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HOME > 遊戯王SS一覧 > 第7話 ストレンジャー・イン・アカデミア

第7話 ストレンジャー・イン・アカデミア 作:コンドル

 注:これまではカードテキストを記載しておりませんでしたが、今回から記載します。また、過去に投稿した物語にも随時カード効果を追記してまいります。


 動物たちが眠るころ、森にある洞窟の中で、月の光に照らされた2つの人影が向かい合っている。1人は背に持たれながら腕を組み、1人は足を広げ、かかとをべったりと地面につけてしゃがんでいる。洞窟内は奥行きがあり、1家族丸ごと住めるほどのスペースがある。
 嵐の到来を思わせる突風が吹き荒れる。草木は揺れ、曇天の空は雷雨と化して地上に降り注ぐ。

 「モンスター暴れさせてんだ?ヴァルタよぉ。『足手まとい』って言葉はおめぇのためにあるんだろうなぁ、ええ?」

 腕を組んでいる男はしゃがんでいる少女、ヴァルタを小馬鹿にするように鼻で笑う。挑発的な言動を取られたヴァルタはそれを意に介さず無視に、退屈そうに外を眺めている。その態度が気に入らないのか、男はかろうじて聞こえ程度の小声で「ミスった、ミスった」と繰り返して呟いている。
 言われっぱなしで腹が立ったのか、ヴァルタはやれやれと言うように呆れた顔をして立ち上がった。


 「ランバ。今回の作戦はアタシがデュエルで『器』を捕まえる役だった。でもアンタは『オレが捕まえる』って言い始めて能力でアタシを押さえつけた。おかげでアタシはモンスターを出させるなんて不慣れなことさせられて...」
 「うるせぇ!オレが代わりに捕まえてやるって言ったんだからそれで良いだろうがぁ!ミスってるやつが言い訳してんじゃねーよバーカ!大体なぁ...」


 ランバは聞きたくないとでもいうようにわざと大声をだして、そこから嫌みったらしく罵倒し始めた。
 その口調は学のない子供のように乱暴で、乱暴な言葉遣いを「かっこいいもの」と勘違いしているような言葉遣いだった。さらに、自分の落ち度を責められたのが気に入らないのか、はたまた認めたくない感情の表出なのか、相手につけ込む隙を与えないよう高圧的に、矢継ぎ早に話す。最初は何度か訂正させようと口を挟んでいたヴァルタだったが、あまりにしつこく話すものだから諦めて沈黙した。それを見て勝利を確信したランバの口撃は苛烈なものになっていく。
 叫ぶ内容は半ばイチャモンに近いものだったが、肝心なのはそこではない。気に入らない女が言葉を返せずに黙っているさまを見ることができれば、それだけで満足だった。

 「…それじゃあ朝になったら一人で器を捕まえてきてやるよ。すぐ終わるぜ?そしたら作戦ミスったお前の無能っぷりがラクタとイルヴァラにもばれちまうなぁ?あー!困ったなぁ!でもお前が悪いんだぜ?オレをお・こ・ら・せ・る・か・ら・なぁ!?ヒャハハハ!」

 語り終わったランバは勝ち誇った表情で洞窟の奥に消えていった。残されたヴァルタは、苛立ちが籠ったため息をつく。

 「…イルヴァラにデュエルで捕えなかったこと言っといてやる。あんなに偉そうに文句ばっかり...バカなのはそっちよ。全く......」

 ツインテールの髪を指でいじりながら、ヴァルタも奥の方へ消えてゆく。
 月の光が雲に隠れ、見えなくなっていく。そして真っ暗な静寂が訪れ、しばらくの間、太陽を待つ。


 第7話「ストレンジャー・イン・アカデミア」

 遊駆はどこか清々しい気分で目を覚ました。ベッドから起き上がり、カーテンをそっと開ける。顔を出した窓から外を見ると、すぐ目の前にある樹木で小鳥が小さな合唱団を結成して良い音色を響かせている。空気を吸おうと窓を開けると、さわやかな風が頬を撫でてきた。出かけるにはちょうど良い天気だ。
 同室の鶴咲輪廻は大きないびきをかいて掛け布団を散らしている。そんないつも通りの姿を見て、遊駆は安心したように微笑んだ。昨日の出来事が過度なストレスになっていないか心配だったからだ。

 1万年前、アナンシャという王が治める地下国家「ナガルタ」が存在していた。ある日そこはラクタ・ヴィ―ジャと3人の部下のクーデターが起こる。しかし何らかのイレギュラーによってラクタたちの暴動は失敗に終わり、未知の技術によって1万年後に目覚める。その間ナガルタは崩壊し、滅ぶ。そして1万年後、目覚めた彼らは神原の友人である本郷クロトを殺 害した。
 彼には他人にはない不思議な能力、「シャクティマ」が備わっており、その能力でナガルタの歴史を知っていた。
 彼が能力で残したノートの解釈によれば、ラクタたちを倒すために魂だけの姿となったマナサが地上に現れ、アナンシャ王は「器」となるシャクティマ使いにより蘇るという。そしてその「器」が藤玄遊駆だという。

 その話を遊駆たちは神原校長から聞かされた。
 自分たちを襲う敵たちと戦い、さらにマナサを見つけ出しアナンシャを復活させる。これが遊駆たちの目標となったのだ。

 着替え終わった遊駆は熟睡している輪廻を見て、起こさないようにそっとドアノブを捻る。
 遊駆は日課である人魂の捜索、否、マナサを探すために部屋を出る。今回は連絡を取れるようにデュエルディスクを装着して。



 (ここでアナンシャのデュエルディスクを発見したのか)



 16年前、本郷クロトはアナンシャのデュエルディスクを発見した。それを対象に「触れた物質の歴史を文章として知る」能力で歴史を知ったわけだが、そのきっかけとなる場所がこの砂浜だ。
 青い大海原を眺めながら、足元の柔らかい白砂の上に靴跡をつけていく。周囲に人はおらず、穏やかな波の音が聞こえてくる。

 入学して以来、学園以外の場所といえば森と寮しか行かなかったな。ふとそう考えた。
 今まではなんとも思っていなかったが、綺麗な景色を見ていると、不思議とそんなことを考えてしまう。デュエルしか興味がなかったのに、なぜかこの景色が愛しく思えてきたのだ。そうして歩き続けていると、ふと、輪廻達の顔が浮かんできた。輪廻が飛行機の中でアカデミアに来た理由を笑わずに聞いてくれたこと。綾羽がマナサによって本性をむき出しにして告白してきた時のこと。昨日の巧と神原校長がナガルタについて教えてくれたこと。そして、マナサを探しに森に入った時に、砂男に「マナサを探せ」と言われたこと...。

 「…ん?」

 砂男の言葉を思い出した時、思わず足が止まった。その一言にどこか違和感を覚えた。


 そうだ。自分からマナサを探せと言っておいて襲うというのは、変だ。

 砂男はそのナガルタ国を滅ぼしたラクタ・ヴィ―ジャという者の仲間のはずだ。
 先ほどまでの清々しい気分はすでに消え失せ、一気に険しい顔つきになる。

 遊駆は考える。自分たちの敵にわざわざ、弊害になる存在を見つけろなどというだろうか?さらに砂男は遊駆が「器」であることを知っている。ならばファーストコンタクトの時点で捕まえていれば済む話であろうに、なぜ。
 それにあの日見た砂男は口調が穏やかだったし、誰かを襲うといった雰囲気も感じられなかった。しかし先日遭遇した砂男は乱暴な口調で、人を人とも思っていないような態度だった。

 (どういうことだ?行動も性格も正反対だ。どちらも同じ能力を持っているのになぜ...)

 プルルルル
 デュエルディスクから着信の音が鳴る。ディスプレイ画面を相手を見ると、発信者は巧だ。
 遊駆は画面に表示された「電話に出る」ボタンを押して着信に応じる。

 『おはよう遊駆君。部屋に呼びに行ったんだけどいなかったものだからさ。今どこにいるの?』
 「砂浜だ。海を見ていた。どうかしたのか?」
 『ああいや、ただ、昨日のことがあったから寝れてるか気になってね。それと、一つ言っておかなくちゃいけないことがあって』
 「言っておくこと?」
 『うん。あのね...』

 
 「よう」


 巧の言葉を聞こうとすると、横から声がして、会話を遮った。
 声の方を向くと、茶色のアップバングのショートヘアを撫でながら、アカデミアの赤い制服を着た青年が遊駆を見て不敵に笑っている。

 『遊駆君どうしたの?聞こえた?』
 「いや...人に話しかけられた。あ、すまない。今通話中で...」
 「うるせぇ!そんなんあとにしろ!おい器野郎。今ここでオレとデュエルしろ!」
 「…!」

 器という言葉、それにこの乱暴な口調。遊駆はこの男の特徴に心当たりがあった。

 「砂男...!」
 
 思わず息を呑む。まさか現れるとは考えていなかったからだ。砂男はポケットに両手を入れて威嚇するように睨みつけている。その腕には黒を基調とした、獣の牙のような鋭い形状が特徴的なデュエルディスクが装着されている。
 
 「お前をデュエルで捕まえろって言われててなぁ、さっさと構えろよ。構えねぇと、殺 すぜ?」

 体の一部を砂に変えて脅しに来た。脳裏に昨日の記憶がよみがえる。首を絞められ、命を奪われそうになったあの恐怖...思い出すだけで、遊駆の額には嫌な汗が流れてきた。

 「…砂男にデュエルを挑まれた。また後で掛けなおす」
 『えっ!?ちょっと待って遊駆君!シャクティマのことで言っておくことが...!」

 プツッ


 「やばい。砂浜って言ってたよね...早くいかなきゃ」


 恐怖がそうさせたのか、遊駆は急ぐように通話を切って、目の前の敵と対峙する。
 デュエルディスクが展開されていく。
 その間、色々な考えが脳を巡る。もし負けたら、とか。こいつに捕まったら、命を奪われるだろう、とか。
 そんな不安をごまかそうとして、さらに考える。そこで一つ、聞きたいことを思い出した。

 「…1つ聞きたいことがある」
 「あ?」
 「なぜマナサを探せと言っておいて俺を襲った?探させるのが目的ならそっとしておけばいいだろう」






 「何言ってんだ?」

 砂男は険しい顔で首をひねる。決して馬鹿にしようとしているのではなく、言っていることを理解できていないように。
 「てめぇこら、適当なことぬかしてんじゃねぇぞ。あったのは昨日が初めてだろうが。それに、マナサってなんだよ、ああ?」
 遊駆の放った言葉の意味を理解できないからか、次第に声のトーンが荒れ始める。体の一部を砂に変えていく。遊駆は質問したことを後悔した。そして目の前にいるのは人間ではなく、言語が同じなだけの化け物だと認識した。

 (マナサを知らない...ならあの時あった砂男は一体...)

 「変なこと聞きやがって、よ!」

 砂男は力任せに砂になった腕で地面を叩いた。そして聞こえるように舌打ちをしてから、デュエルディスクを展開する。

 「イラつく~!あああ!…あーこいつ殺す。ぜってー殺す」

 命令を忘れて感情のままに思ったことを叫ぶ。ディスクを展開させて準備を完了させると、遊駆を睨みつける。
 「てめぇはこのランバ様がぜってーにぶっ殺す」
 「…ランバ、か。行くぞ」


デュエル!!

 「俺のターン。手札から『結束のラトマギア カルセドニー』を召喚。効果で手札の『生命のラトマギア ヘマタイト』を特殊召喚する」手札5→3
 
 「結束のラトマギア カルセドニー」 ☆3
  効果/地属性/魔法使い族
  ATK1000/DEF100
 このカード名の①②の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。
①:このカードが召喚に成功した場合に発動できる。手札から「ラトマギア」モンスターを特殊召喚する。
②:EXモンスターゾーンに「ラトマギア」Lモンスターが存在する場合に発動できる。墓地のこのカードをそのモンスターのリンク先に特殊召喚する。この効果で特殊召喚したこのカードはフィールドから離れた場合に除外される。

「生命のラトマギア ヘマタイト」 ☆3
 効果/地属性/魔法使い族
 ATK100/DEF500
 このカードの①②の効果はそれぞれ1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。自分の墓地に存在する「ラトマギア」モンスター1体を対象として発動できる。このカードを墓地へ送り、対象のモンスターを特殊召喚する。②:自分フィールドの「ラトマギア」モンスターが戦闘・効果で破壊される場合、代わりに墓地のこのカードを除外できる。

 「さらに手札から『変革のラトマギア レピドライト』の効果発動。自分フィールドに『ラトマギア』モンスターが存在する場合、手札から特殊召喚できる」手札3→2

 「変革のラトマギア レピドライト」 ☆2
 効果/地属性/魔法使い族
 ATK600/DEF100
 このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:自分フィールドに「ラトマギア」モンスターが存在する場合に発動できる。手札のこのカードを特殊召喚する。Lモンスターが存在する場合、そのリンク先となる自分フィールドに特殊召喚する。
②:自分フィールドのモンスターが「ラトマギア」モンスターのみの場合に発動できる。デッキから「変革のラトマギア レピドライト」以外のレベル2以下のラトマギアモンスター1体を特殊召喚する。このターン、自分はEXデッキからリンク2以下のモンスターを特殊召喚できない。

 
 フィールドに突然魔法陣て強い光を放つ。光が収まると、そこからは肌の一部が鱗になっているギザギザの歯をした少女が現れた。

 

 現れろ。光へ導くサーキット。
 アローヘッド確認。召喚条件は『ラトマギアモンスター2体以上』。俺はカルセドニーとヘマタイト、レピドライトをリンクマーカーにセット。
 サーキットコンバイン。

 「ナヴァラトナ」の称号を冠する魔術師よ
 太陽の如き焔を操る情熱のラトマギアよ
 今こそ闇夜を照らし焼き払え─

 「リンク召喚。現れろ、リンク3『情熱のラトマギア ルビー』」

 遊駆の頭上に出現した8方向に矢印が向けられた魔法陣を模したような四角い空間にラトマギアたちが吸い込まれる。そして空間の真ん中から、馬の尾を生やした女性のラトマギアが登場した。そして彼女自身が放つ熱気で、周囲には蜃気楼が発生し始める。


 情熱のラトマギア ルビー L3
 効果/地属性/魔法使い族/リンクマーカー← ↓ →
 ATK2600
 「ラトマギア」モンスター2体以上このカード名の②の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードが戦闘を行う場合、バトルフェイズの間だけ相手モンスターの効果は無効化される。
②:このカードが相互リンク状態の場合、自分の手札を任意の枚数除外して発動できる。この効果で除外したカードの枚数分、相手フィールドのカードを選択して破壊する。

 「俺はこれでターンエンド」

 遊駆 LP4000
    モンスター1体
    魔法・罠0枚
    手札2枚

 ランバ LP4000
    モンスター0体
    魔法・罠0枚
    手札5枚


 「いきなりリンク3かよ。気に入らねぇ」

 遊駆の盤面にいるルビーにはバトルフェイズの間相手の効果を無効化する能力がある。相手のさらに墓地のヘマタイトの破壊から守る効果により、相手からの攻撃に耐える盤面ができていた。
 いきなりリンク3のモンスターを出したことにランバは苛立っているが、遊駆のデッキ「ラトマギア」はリンク3モンスターを出すことを前提とした動きが多いため、このように簡単にリンク3を出すことが可能なのだ。

 「オレのターン、ドロー!」手札5→6

 続くランバのターン。何が来るかわからないため、遊駆は身構える。

 「まずはこれだ。手札から永続魔法『スターヴァーム・プレデーション』を発動する。これでオレの手札にある爬虫類族モンスターのレベルは2つ下がるぜ」手札6→5
 
 スターヴァーム・プレデーション 永続魔法
 このカード名の③の効果は1ターンに1度しか発動できない。
①:このカードが存在する限り、手札の爬虫類族モンスターのレベルは2つ下がる。
②:相手フィールドにモンスターが存在する限り、このカードは効果で破壊されない。
③:自分フィールドの「スターヴァーム」モンスターが戦闘で破壊された場合に発動できる。デッキから同名の「スターヴァーム」モンスターを手札に加える。

 カードが発動されると、ランバの場が砂漠に変わる。

 「さらにこいつだ。手札から『スターヴァーム・ハッタジュリンク』を召喚」手札5→4

スターヴァーム・ハッタジュリンク ☆6
効果/闇属性/爬虫類族 
 ATK2000/DEF900
 このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードが召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「スターヴァーム」モンスター1体またはレベル6・爬虫類族モンスター1体を手札に加える。
②:このカードのレベルを2つ下げて発動できる。手札から「スターヴァーム」モンスター1体を特殊召喚する。

 砂漠が蠢き始め、地中から口元から無数の牙が生えた巨大なミミズの姿をしたモンスターが姿を現す。口元からは黄緑色の粘液が出ており、まるでよだれを垂らしているようだ。

 「まだまだ行くぜぇ?ハッタジュリンクの効果発動!召喚に成功した場合、デッキからレベル6の爬虫類族か、スターヴァームを手札に加えられる。オレは『スターヴァーム・ヒトツモイト』を手札に加えるぜ」手札4→5
 「そしてハッタジュリンクの効果!レベルを2つ下げて、手札から『スターヴァーム・ヒトツモイト』を特殊召喚だ!」手札5→4

 ハッタジュリンクが姿を少しだけ地面に埋めると、再び砂漠がうねり始める。すると今度は体に波紋のような柄が体中についたミミズが出現する。

 スターヴァーム・ヒトツモイト ☆6
 効果/闇属性/爬虫類族 
 ATK1800/DEF300
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「スターヴァーム」魔法カード1枚を手札に加える。
②:相手フィールドのレベル5以下のモンスター1体を対象として発動できる。対象のモンスターを破壊する。その後、このカードの攻撃力は対象のモンスターのレベル×200アップする。

 「効果でデッキから『スターヴァーム・アウトブレイク』を手札に加えて、そんで発動ぉ!」手札4→3

スターヴァーム・アウトブレイク 通常魔法
このカード名の①②の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか発動できない。
①:自分フィールドの「スターヴァーム」モンスター1体を対象として発動できる。対象とはカード名が異なる「スターヴァーム」モンスター1体をデッキから特殊召喚する。
②:このカードが墓地に存在する状態で、自分フィールドに「スターヴァーム」モンスターが特殊召喚された場合に発動できる。墓地のこのカードを手札に加える。

 砂漠がさらにうねと、ランバのフィールドに二体目のハッタジュリンクが出現した。
 
 「さぁ行くぜ?お前をぶっ殺すモンスターを拝ませてやるよ!よーく焼き付けな!」

 オレはレベル6の「スターヴァ―ム・ハッタジュリンク」と「スターヴァーム・ヒトツモイト」でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!
 オレに挑む愚者を食らいつくす砂漠の魔物!

 現れろぉ!「スターヴァーム・スコレグリー」!!

 2体のモンスターが光球となって黒い銀河に消えていく。ランバがエクシーズ召喚を行うと、銀河のエネルギーは逆流し、中から新たなスターヴァームが出現した。
 10メートルはあろう巨体に全身から鋭い牙が生えている。その体は真っ黒で、なにか異質な雰囲気を感じさせる。

 スターヴァーム・スコレグリー ★6
 効果/闇属性/爬虫類族
 ATK2800/DEF1200
 レベル6モンスター×2体 このカード名の②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードは効果では破壊されない。
②:このカードが戦闘で相手モンスターを破壊した場合、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。このカードはもう1度だけ続けて攻撃できる。
③:自分メインフェイズに、手札・フィールドの「スターヴァーム」モンスター1体を対象として発動できる。対象のこのカードのX素材にする。その後このカードの攻撃力は800アップする。

 遊駆はここまでの展開を見て大まかな動きを把握していた。
 (奴のデッキはレベル6モンスターを展開してエクシーズ召喚を狙うデッキ。そうなるとデッキにはレベル6が多く入っているはずだ。だが...ヘマタイトの効果で破壊は耐えられる。1000ポイントのダメージは受けるが、問題ない)

 「にしても気に入らねぇなぁ」
 
 そう考えていると、ランバが睨みつけてきた。
 「さっきから不満ばかりだな。一体何が気に入らないんだ」
 「わかんねぇのかよバカ!オレが展開してんのによぉぉぉ、なんもビビらねぇでよぉ。気に入らねぇなぁぁぁ。てめぇなんか雑魚の癖によぉぉぉぉぉ!」

 身勝手な理屈をごねはじめ、さらに地面に八つ当たりを始める。さらに怒りが収まらないのか、手札にあるカードを乱暴に引き抜いた。


 「くそぉ!オレは手札からの『呪念の化身 ウルボヌス』の効果をはつどぉぉぉ!」手札3→2
 「なに...!」
 「効果でハッタジュリンクをリリースしてこいつを特殊召喚だ!」

 ハッタジュリンクは突然苦しみはじめ、全身をくねらせてのたうち回る。そしてついに力尽きると、体内から紫色の蛇が勢いよく飛び出した。

呪念の化身 ウルボヌス ☆5
 効果/闇属性/爬虫類族
 このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:自分フィールドの爬虫類族モンスター1体をリリースして発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。
②:このカードがモンスターゾーンに存在する限り、相手フィールドのモンスターの攻撃力・守備力は300ダウンする。
③:自分フィールドのモンスター1体をリリースして発動できる。相手フィールドの全てのモンスターの攻撃力・守備力はターン終了時まで、リリースしたモンスターの元々の攻撃力分ダウンする。


 ウルボヌスから放たれる瘴気により、ルビーの蜃気楼が消えていく。それに合わせて攻撃力もダウンした。

 情熱のラトマギア ルビー ATK2600→2300

 「まだだぁ!ウルボヌスをリリースして、さらに攻撃力を下げる!」

 情熱のラトマギア ルビー ATK2300→2600→600

 毒蛇が呪いとなりルビーの全身を締め付けるように強く絡みつく。その姿を見て、相手のスコレグリーは腹を空かせたようなうめき声を出して、よだれを垂らした。

 「さらにスコレグリーのもう一つの効果発動!手札の『スターヴァーム・メガスラ―プ』をエクシーズ素材にして、攻撃力アップだ!」手札2→1

 スターヴァーム・スコレグリー ATK2800→3600

 「さぁバトルだ!喰いつくせスコレグリー!デス・ファング!」

 スコレグリーの全身の牙がルビーの肢体を捉え、少しずつ食い込ませていく。ルビーは苦悶の表情を浮かべるがどうすることもできない。頭上からよだれのような溶解液が流れ込み、ついに呑み込む準備は整った。

 「墓地のヘマタイトの効果発動!自身を墓地から除外することで破壊から守る!」
 宝石となったヘマタイトがルビーの元へ現れ橙色のバリアを生成し、スコレグリーの牙を通させない。

 「あー!?だがダメージは受ける!」

 食事をとれなかったスコレグリーはルビーを乱暴に放り投げ、元の場所に戻る。その投げ飛ばされた衝撃波が遊駆にも伝わり、遊駆は後ろに吹き飛ばされた。

 「…ぐおおっ」 LP4000→1000

 「くそぉっ!やられてろよ!カードセット!ターンエンド!」手札1→0

 遊駆 LP1000
    モンスター1体
    魔法・罠0枚
    手札2枚

 ランバ LP4000
    モンスター1体
    魔法・罠2枚(伏1枚)
    手札0枚

 この時攻撃力の変動は終わり元に戻る。
 情熱のラトマギア ルビー ATK600→2600
 スターヴァーム・スコレグリー ATK3600→2800
 

 (くそぉ、メガスラ―プを出してりゃ勝ってたな)
 心の中で悪態をつくランバ。手札にある「スターヴァーム・メガスラ―プ」は手札を捨てることで自信を特殊召喚する効果を持つ攻撃力2400のモンスターだ。もしスコレグリーの効果を使わず特殊召喚して攻撃していれば、そのままデュエルは終わっていた。

 (いや、オレが悪いんじゃねぇ。呼んでないのに手札にあったメガスラ―プが悪いんだ。それとオレが空気を読まずに効果を使った『器』が悪ぃんだ。そうだ。オレが悪いんじゃねぇ)

 勝利を逃したこと認識したが、自分のプレイングを反省するそぶりはない。ただ、誰かに責任を押し付けて自分のミスをごまかしていた。
 対する遊駆は一気に3000も削られたことに焦っていた。

 (ヘマタイトがいなかったら負けていた...もう次はない。このターンに決着をつけないと負ける。力を貸してくれ、俺のデッキ...!)

 「俺のターン、ドロー」手札2→3

 遊駆は手札に来たカードを一瞥すると、策を巡らせる。
 ターンを長引かせるわけにはいかない。となればやることは1つ。一気に4000LPを削り切るワンショットキルしかない。そのために必要なカードは...ある。

 「墓地のカルセドニーの効果発動。EXモンスターゾーンに『ラトマギア』リンクモンスターが存在する場合、墓地のこのカードをリンク先に特殊召喚する」

 ②:EXモンスターゾーンに「ラトマギア」Lモンスターが存在する場合に発動できる。墓地のこのカードをそのモンスターのリンク先に特殊召喚する。この効果で特殊召喚したこのカードはフィールドから離れた場合に除外される。

 「手札から『ラトマギアの召喚術』を発動。EXモンスターゾーンに『ラトマギア』リンクモンスターが存在する場合、手札を1枚墓地へ送り、デッキからレベル4以下の『ラトマギア』モンスターをリンク先に特殊召喚する。来い。『洞察のラトマギア ワーベライト』」手札3→2

 ラトマギアの召喚術 通常魔法
 このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか発動できない。
 ①:自分EXモンスターゾーンに「ラトマギア」Lモンスターが存在する場合に発動できる。デッキからレベル4以下の「ラトマギア」モンスター1体を特殊召喚する。
 ②:このターンに墓地へ送られていないこのカードを除外して発動できる。除外されている「ラトマギア」モンスター1体を手札に加える。このターン、自分は「ラトマギア」モンスターしか特殊召喚できない。

 洞察のラトマギア ワーベライト ☆4
 効果/地属性/魔法使い族
 ATK1800/DEF500
 このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
 ①:このカードが自分フィールドのリンク3モンスターのリンク先に特殊召喚されたターンに発動できる。このターンのエンドフェイズ、自分は自分フィールドのリンク3モンスターの数までデッキからドローする。
 ②:このカードが除外されている場合、除外されている「ラトマギア」モンスター1体を対象として発動できる。対象のカードをデッキに戻し、このカードを手札に加える。


 花火のようなデザインの魔法陣が生成されると、そこから神秘的な雰囲気の白髪の青年が現れる。青年は場に出ると目を閉じて、瞑想を始めた。

 「ワーベライトの効果発動。これにより俺はエンドフェイズにリンク3モンスターの数までカードをドローする。さらに手札から『清潔のラトマギア アルナイト』を召喚」手札2→1

 清潔のラトマギア アルナイト ☆3
 このカード名の①②効果はそれぞれ1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。
 ①:相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。対象のモンスターの攻撃力はターン終了時まで自分フィールドのLモンスターの数×300ダウンする。
 ②:このカードがL素材となり墓地へ送られた場合に発動できる。このカードと墓地の「ラトマギア」カード1枚を手札に加える。


 「アルナイトの効果発動。スコレグリーを対象にして発動する。このターンのエンドフェイズまで、スコレグリーの攻撃力はリンクモンスターの数×300ポイントダウンだ」

 スターヴァーム・スコレグリー ATK2800→2500

 「ちいっ!」
 「まだだ」

 現れろ。
 光へ導くサーキット。
 アローヘッド確認。召喚条件は「ラトマギアモンスター2体以上」。俺はカルセドニー、ワーベライト、アルナイトをリンクマーカーにセット。
 サーキットコンバイン。

「ナヴァラトナ」の称号を冠する叡智の魔術師よ
 今、蒼の魔力を使い未来を掴み取れ─!
 
 「リンク召喚。現れろリンク3。『叡智のラトマギア サファイア』」

 サーキットから現れたのは黒と青を基調とした衣装を身に纏った若き魔導士。手に握った杖を1回転させてポーズを決める。

 叡智のラトマギア サファイア
 「ラトマギア」モンスター2体以上
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードのリンク先に「ラトマギア」モンスターが特殊召喚された時に発動する。相手フィールドのモンスターの攻撃力は500ダウンする。
②:このカードが相互リンク状態の場合、手札を1枚墓地へ送って発動できる。このカードのリンク先のモンスターの数まで相手フィールドのカードを選んで手札に戻す。

 (サファイアとルビーが相互リンク状態になった。これで一気に決める...!)

 「サファイアの効果発動。相互リンク状態の場合、俺は手札を1枚墓地へ送り、リンク先のモンスターの数まで、ランバのカードを選んで手札に戻す。俺は『スターヴァーム・スコレグリーを戻す。行けっ、サファイア。『パンパディー・アンク』!」手札1→0

 サファイアが杖を回して土星の輪を思わせるリングを生み出すと、それをスコレグリーに向けて放ち、動きを抑える。そしてサファイアが宙に浮かぶと、2つの眼が怪しく光りはじめる。
 狙いをさだめると、目標に向かって目から紫色の怪光線を発射した。光線が直撃したスコレグリーは胴体を焼かれ、やがて跡形もなく消滅する。

 「ふざけんな!くそっ!」

 ランバはエースをバウンスされて苛立ちを露わにしたが、それを無視して遊駆は続ける。

 「バトル。これで終わらせる。まずはルビーでダイレクトアタック。『マリーチ・マギア』!」

 ルビーは巨大な魔法陣を描き、5メートルほどの火球を生成する。あまりの質量の大きさにバランスを崩しそうになるが、力任せに火球を投げて下にいるランバめがけてぶつける。

 「があああああ!」LP4000→1400

 「とどめだ!サファイアでダイレクトアタック!『ラトナ・マギア』!」

 サファイアも同じく魔法陣を作り、そこへ向かって魔力を放出し何倍にも強くして打ち出す。宝石の渦がランバに襲い掛かる!










 「あああああクソがあああああ!!!!!罠発動『溟界の呼び蛟』!!!!!」

 溟界の呼び蛟
 (1):自分フィールドに「溟界トークン」(爬虫類族・闇・星2・攻/守0)2体を特殊召喚する。自分の墓地に「溟界」モンスターが8種類以上存在する場合、代わりに以下の効果を適用できる。
●自分の墓地からカード名が異なる爬虫類族モンスター2体を選んで特殊召喚する。

 「なっ...」

 ランバの場に刀を持った黄色い装飾を施したトカゲが2体出現する。それを見たサファイアは攻撃をやめ、空中で静止する。

 「クソクソクソっ!!調子に乗るんじゃねぇぞ!てめぇみたいなゴミが、オレに勝てるとでも思ってんのか!」

 とどめの一撃を防がれた遊駆は茫然としていた。相互リンクの効果も、攻撃も問題なかった。なのに最後の最後で打ち砕かれたのだ。手札はもうない。エンドフェイズにドローはできるが、次の相手ターンが来たら、もし負けたら...。
 (『死ぬ』...?)
 敗北の恐怖と未知の恐怖が同時にやってくる。無意識に息を呑んだ。それでも、自分にできる最善をしないといけない。そう考えて、遊駆はサファイアに指示を出す。

 「サファイアで、溟界トークンに攻撃」


 再び発射されたラトナ・マギアがトークンを包み込み消滅させる。もうできることはない。

 「…ターンエンド。ワーベライトの効果で2枚ドローする」手札0→2

 遊駆は悔しそうにそう宣言した。

 遊駆 LP1000
    モンスター2体
    魔法・罠0枚
    手札2枚

 ランバ LP1400
    モンスター0体
    魔法・罠1枚
    手札0枚


  盤面には2体のリンクモンスターがいる。どちらも攻撃力2500以上で、相手は手札が0枚。さらに基本的にレベル6の爬虫類族を展開してるデッキだ。
 展開の要であろう「スターヴァーム・ハッタジュリンク」はすでに2枚使用されていて、仮に残り1枚を引いたところで、自身の効果でレベルを2つ下げる効果を使えば、レベルが同じでないと行えないエクシーズ召喚は不可能だ。このターンで盤面を一気に覆す、サンダーボルトのような破壊効果を持ち、さらに勝負を決めてくる必殺カードを引きでもしない限りは...。

 
 「あああイライラする!イライラする!バカにしやがってよぉぉぉぉぉ!」

 考えを巡らせているところをランバの叫び声で現実に戻された。ランバはシャクティマにより体を砂にして、腕や足から垂れた砂が音をたてながら落ちて地面に混ざっていく。

 「…オレをここまで追い詰めやがって!オレに罠で防御させやがって!次の展開用に取ってたのによぉぉぉ!思い通りにデュエルさせやがれゴミがぁぁぁ!」
 「そんな我儘が通るわけないだろう。何を言っているんだ」
 「うるせぇぇぇ!オレは強いんだ!有能なんだ!天才なんだ!そんなオレに口答えするなぁぁぁ!!!」

 恐ろしい本心を吐き出すランバ。それを見た遊駆は、余計に相手の得体の知れなさに恐怖する。
 「罰を与えてやる。オレの...ターン!」

 瞬間、ランバは品のない声で大笑いした。


 引いたカードは、「レプティレス・ニャミニ」。


レプティレス・ニャミニ
効果/闇属性/爬虫類族
 ATK2800/DEF1200
 このカード名の①②の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。
①:自分の墓地に爬虫類族モンスターが存在する場合、自分・相手のメインフェイズに、このカードを手札から墓地へ送り、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力を0にする。
②:相手フィールドに攻撃力0のモンスターが存在する場合に発動できる。このカードを墓地から特殊召喚する。


 「ヒャハハハハハハ!!!!!!!勝ったぁぁぁぁぁぁ!ヒャハハハハハハ!」
 「何を...」
 「おい器野郎!お前もシャクティマ持ってんだろ!それなのに使わねぇなんて間抜けだなぁ?ならオレが先に使うからなぁ!」

 ランバが両手を広げ構えると、がら空きのフィールドの真ん中に砂嵐が巻き起こった。さらにランバの胸元が光り輝きはじめ、その光は体を抜け出して手元に収まる。


 「遊駆君!」

 突然、頭上で声がした。巧の声だ。

 「巧!」
 「そいつから今すぐ離れて!そいつが使おうとしているのは...!」

 「うるせぇ!おい器野郎。よーく目に焼き付けろよ。これがオレの魂魔(シャクティマ)だ!」

 砂嵐の中に、ランバは手にある正方形の光と、ドローした「レプティレス・ニャミニ」を投げ入れる。すると砂嵐は力強く轟き、怪物の鳴き声のような音を出し始める。




 「見せてやるよクソ野郎!これがてめぇを葬るオレの力だ!」


 いかなる神にも倒されない偉大な砂の魔獣!

 「『悪夢の魂魔 ザンティコア』!!」


 「なんだ...そのモンスターは...」
 「ヒャハハハ!恐れろォ!崇めろォ!これがオレの魂魔(シャクティマ)だァ!」

 悪夢の魂魔 ザンティコア ☆9
 効果/地属性/サイキック族
 ATK3000/DEF2000
このカードは自身の効果でしか特殊召喚できない。
①:自分のLPが相手より少ない場合、手札のモンスター1体を相手に見せてから裏側表示で除外することで、このカードをデッキから特殊召喚する。この効果の発動と特殊召喚は無効化されない。
②:このカードがフィールドから離れた時に発動する。このカードをデッキの1番下に戻す。
③:このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。フィールドのこのカードの元々の攻撃力以下のモンスターをすべて破壊する。その後、このカードの攻撃力は破壊したモンスターの数×100アップする。
④:相手が自分フィールドのモンスターを対象とする効果を発動した場合、このカードの攻撃力を600下げて発動できる。その発動を無効にする。

 やがて砂嵐が収まると、そこには砂で出来た一匹の巨大な魔獣が生誕していた。
 魔獣はサーベルのように耳を塞ぎたくなるような大声で鳴くと、鋭い牙をむき出しにして、遊駆のモンスターをその牙で頭から食い尽くす。

「こいつはフィールドに出てきたときに自分の攻撃力以下の雑魚を蹴散らす。お前に打つ手はないぜぇ?」
 「魂魔(シャクティマ)...?これは...」
 「僕たちシャクティマ使いが持っている特殊能力...それには自分の能力をカード化してデュエルで使うことも可能なんだ。その効果は、その能力を色濃く反映する」
 

 遊駆は巧の電話を切ったことを後悔した。言おうとしていたことはこのことだったのだ。


 「バトルだ!ザンティコアで、器野郎にダイレクトアタック!『アーグラーフ』!」

 雄たけびを上げながらザンティコア勢いよく突撃してくる。吹き飛ばされて宙を浮いている間、ランバが大きな笑い声が聞こえた。

 遊駆 LP1000→0


 第7話 終

 次回予告
 敗北を喫した遊駆君。敵は捕らえようとしてくるけど、そうは問屋が卸さないよ。でも負けたことを気にしてちょっと落ち込んでるみたい。よし、僕がシャクティマ使いとして色々教えよう!
 次回、遊戯王エターナルタイムRE: 第8話「魂魔を学べ」
 絶対に強くして見せる...!

2025/2/17 「悪夢の魂魔 ザンティコア」の効果を修正
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