第八話　早人のメッセージ　作：海馬マジック

この日の授業は終わった。
今日は舞嘉が学校を休んだ。
よっぽどあの事がショックだったんだろう。
今日は一人で帰った。

「．．．ん？」
家のポストに手紙が．．．。しかも差出人は．．．早人？


　　＊

俺は手紙に書いてあった門上中央公園にやってきた。
今、門上町で起こっている凶悪事件のせいで人は見当たらなかった。

「矢野内君！」
早人がやってきた。
「何なんだ、大事な話って」
早人は恐ろしい形相だった。
「大変なんだ矢野内君！これは重大なことなんだ！．．．落ち着いて聞いてくれ！」
「その前にお前が落ち着けよ。どうしたんだ」
次の瞬間、早人がとんでもないことを口に出した。

「．．．今、門上町で起きている事件は．．．僕の精霊『復讐のソード・ストーカー』が起こしたものなんだ！」

〝！？〟

「．．．精霊、だと？」
「そうなんだ、精霊とはつまりデュエルモンスターズのカードの精霊。本当にいたんだよ！．．．そして僕は不幸なことにカードのマスターに選ばれてしまった．．．」
「本当にいるって、なんで分かるんだよ」
「精霊が見える人と見えない人がこの世界にはいるんだ．．．。矢野内君には見えるかい？このカードから発生する邪悪な気が．．．」
見える．．．。俺は精霊が見えるのか．．．？今までそんなものは見えなかったのに．．．。
「．．．見えるぜ。俺には．．．」
早人はカードを戻す。

「精霊にとりつかれる前にこの事実を伝えなきゃ．．．」
「精霊が人に憑りつくだと．．．？」

「それはまた後で。先にヤツの目的を話すよ。これはデュエルモンスターズ世界の話．．．」
「デュエルモンスターズの．．．世界」

早人は続ける。
「ヤツ．．．僕の精霊『復讐のソード・ストーカー』は、ある王国を守る連合軍の一員だったんだ。そして仲間たちとともに、日々、王国の防衛に努めていた。そんなある日、王国に機械を操る軍隊が攻めてきた。デュエルモンスターズの機械型モンスターをコントロールし、武器として使った謎の軍隊。連合軍は、あっさり敗北した。王国はその者たちに占拠された。仲間は殺された。でも、連合軍でたった一人生き残った者がいた。それは．．．」


「オレだよ」

な．．．何！？
早人．．．。
早人の雰囲気が昼休みにデュエルした時と同じだった。

「どういうことだ．．．！？」
「ククク．．．ハッハハハ．．．！オレは『復讐のソード・ストーカー』！福使早人ではない！」
〝！？〟
早人．．．とりつかれるってまさか！

「お前は機械族を使っていた。機械軍の一人だろぉ！今、仲間の恨みをはらすぞぉ！」
コイツは精霊．．．！？
「待て！俺はそんなんじゃない！普通の中学生だ！」
「機械族を使う時点で機械軍の一員だ！」
現実とデュエルモンスターズの世界の区別ができていないのか！？
対象ってこのことだったのか．．．！

すると、早人(ソード・ストーカーにとりつかれている感じ)は一瞬にして黒い鎧に包まれた。
黒い鎧．．．コイツは．．．！

「コイツの体を使って、この町の奴らを殺した。そしてお前もだ！」
「仲間を殺されたショックで狂ったのか！？」
黒い鎧は剣を振りかざす。〝カン〟
振り落とされた場所は地面だった。
「あ、危ねぇ！やめろ！」

〝シュッ〟
今度は頭が斬られそうになった。
「くそっ！説得するのは無理かよ．．．」
「ふぅん。説得は無駄だが、デュエルで決着をつけてもいい」
「何！？」
確かに、このままだと俺が殺されてしまう。
向こうがそういうなら勝負するまでだ！

「受けて立つ！」