#4 謎のファンサービス　作：暁

目が覚めたのはパイプベッドの上だった。制服を着ているので先程のデュエルは夢ではないのだろう。
状況を確認しようと寝転がったままあたりを見回す。カーテンで区切られたベッド。少し肌寒いエアコンの風。少しだけ漂う消毒液の匂い。
………おそらくここは学校の保健室だ。道端に倒れたのを発見した人が学校に通報し、怪我が酷くないと判断して学校側が保健室へ連れてきたのだろう。考えているうちに意識が覚醒してきた。とっとと教室に行こう…
ベッドの横には登校時持っていた荷物が置いてあった。中身を確認して、カード1枚紛失していない事を確認すると、カーテンを引き、教室を出ようとするとー ー ー

おそらく意識のない下着姿の少女が、保健室の先生に包帯を巻かれていた。「あ」
「あ」
僕はカーテンを閉めた。荷物をベッドの横に置き、ベッドへ寝転がり、何か言われる前に自らを強制的に夢の世界へ引きずり込んだ。
ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー

目が覚めたのはパイプベッドの上だった。……制服を着ているので先程のデュエルは夢ではないのだろう。
「あの」
状況を確認しようと寝転がったままあたりを見回す。目をそらしたわけじゃない。カーテンで区切られたベッド。
「あの、聞こえてますよね？なんで目をそらしたんですか？」
少し肌寒いエアコンの風。
「すいません、あの」
少しだけ漂う消毒液の匂い。
「通報しますよ？」
「すいませんすいません許してください故意ではなかったんです過失ですというかカーテン開けたら不可避のハニートラップとかどうしようもないじゃないですかすいませんすいません」
「いや、冗談ですから…顔あげてください」
さっき下着姿だった女性は優しく微笑んで許してくれた。
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落ち着いた僕は女性と軽く話をした。
名前は宮野 遊加（みやの ゆうか）、同級生で転校してきたばかりらしい。なお、彼女も遊戯王はやっているようだ。使用デッキは「D-HERO」。さっきのデュエルで軽くトラウマになったが彼女に敵意は感じないので、おそらく関係ないだろう。
「そういえば、なんで保健室に？」
「それが分からないんです。昨日の夜から記憶が無くて……」

…え？

「あっ、そうだ！私さっきまですごいデュエルの夢見てたんですよ！なんだかモンスターが実体化してて、相手さんが黒い人形？みたいなモンスター使ってて…とにかくすごいデュエル…あの、柊一さん？」

…おかしい。
彼女の見たという夢は僕が先程やったデュエルとあまりに似すぎている。「モンスターが実体化する」というのは遊戯王七不思議として語り継がれたり、アニメや漫画でよくある話だが、そのあとの「黒い人形のようなモンスター」という発言が僕しか使えない「ヘブンズ・ストリングス」に似てる。
一体どういう事だ…さっきダークシグナーは彼女だったのか…？

…考えるより行動へ移そう。
「宮野さん、EXデッキ見せてくれないかな。あ、盗むわけじゃないよ？」
「え、は、はい。」
そう言って彼女はEXデッキを渡してくれた。
「ベアトリーチェ」…「デッドリーガイ」…「クリスタル・エイリアン」…

「クリスタル・エイリアン」！？

次回へ続く。