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14:『王』のカード~水瓶座の英雄 作:天
ガタリッとけたたましい音を鳴らして椅子が転げた。
立ち上がったヒスイはそれに構わず窓から外を見る。
「この『魔力』は・・・ッ!」
ヒスイがいるのはデュエル・アカデミア内に設けられた彼女の執務室。王都と言えどこの街にはそれほど高い建物はそう多くない。その中でデュエル・アカデミアは一際大きく高い建造物であり、この部屋からも街の様子が一望できた。
暗い夜だ。街灯や家の灯りはあるが、それらは寂しげで弱々しく街全体は闇夜に黒く塗りつぶされている。どれだけ目を凝らそうと、当然そこから特定の人物を探し出すことなどできない。
それでもヒスイは見ずにはいられなかった。
たったいま感じた魔力の波動が一体誰のものなのか、彼女以上に知っている者などいない。
「ユーイ・・・ッ!」
今にも駆け出そうとして、しかしその足は二の足を踏む。
「貴女は武藤ユーイに対して過保護すぎるノネ」
あの時クローディアに言われた言葉が楔のようにその足を縫い付けていた。
しかしヒスイは焦れる。
(この魔力は『今のユーイ』の魔力ではない・・・ッ! ユーイの身に何かが起こっている・・・ッ! 今、ユーイを守れるのは私だけだッ!)
それは半ば言い訳だったのかもしれない。クローディアに知られればまた叱責を喰うかもしれない。
しかしそれでもヒスイにとってそれは、いま動かない理由としては到底足りなかった。
ヒスイは急いで執務室を出ていく。
ユーイが自分の助けを待っているという盲目的な焦燥感が彼女を突き動かしていた。
・
・
・
・
そんな彼女の遥か上方――――デュエル・アカデミアの三角屋根の上でクローディア・デ・メディチは深いため息をついていた。
「あの程度の忠告では親バカは止められないノネ・・・」
かなりの高所なのだが、それを恐れる様子もなく座った姿勢で自由な両足をぷらぷらと宙に揺らす。
「今から向かったところで、あそこでは『あの娘』が『鼻』を効かせているから近づけたりはしないノネ」
ユーイの元に急ぐヒスイを無駄足とばかりに言ってのける。
ビュッと王都の夜風が彼女の美しいツインテールをなびかせた。
「・・・良い風なノネ」
今夜の風は少々冷たいが、クローディアの少し熱を帯びた頬を冷ますには丁度良い。
そんな夜風に誘われて遥か遠くからも武藤ユーイの魔力の波動がクローディアの元まで届いてくる。
「これが武藤ユーイの『本来』の魔力・・・。良い傾向なノネ。この調子で完全覚醒まで一気に持っていければ良いのだけれど・・・それは高望みすぎるノネ」
自嘲めいた笑みを浮かべながら、クローディアは自分が腰掛けている『それ』の冷たい背を撫でる。
クローディアが腰掛けている『それ』――――《古代の機械猟犬》は低い声で『グルル・・・』と唸った。
機械とは言え、獣の背に腰掛け笑むそのシルエットはまさに『魔女』のそれである。
その影は月のない王都の夜にじわりと溶け込むかのようであった。
・
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・
王都郊外――――高い位置からユーイと美少女決闘者のデュエルを見下ろす影があった。
それが立つのは倉庫のような建物の屋根の上。決して立つのに易しい足場ではなかったが、それにとっては関係ないらしく、はいているミニスカートが風にはためこうと構わずじっと二人の動向を注視している。
ふと彼女の『鼻』が風に誘われた匂いを拾う。
(こちらに向かってきている者がいる。二人・・・か。別々のようだけれど)
今、ユーイと美少女決闘者のデュエルは丁度佳境で良い所だ。無粋な邪魔は入れたくない。
しかし彼女は特段なにをするでもない様子。
(どうせここにはたどり着けはしない・・・)
彼女の養母は呪法の扱いに長けた人物だ。
彼女もその養母に手解きを受け、いくつかの呪法を習得している。
今、この場には彼女によって『人払いの呪法』がかけられていた。この呪法は人の無意識下に作用し、自然とこの場に近づけないようにする術である。おそらく現在ここに向かってきている二人の人物は、武藤ユーイの放つ魔力の波動を感知したのだろう。しかし彼女がここにいる限り、このデュエルを邪魔することはおろか、この場所にたどり着くことさえできはしない。
そうして彼女は変わらずユーイと美少女決闘者のデュエルへと関心を戻していった。
・
・
・
・
さて二人のデュエルであるが、美少女決闘者はそのままターンを終了し、ターンプレイヤーはユーイへと移っていた。
ユーイが前髪を掻き上げ、その髪型がオールバックのようになる。
そうすると彼の容貌は元々の整った造形からかかなりクールな印象となった。
ふと美少女決闘者の視線に気付き、ユーイが首を傾げる。
「なんだ? 何か言いたいことでもあるのか?」
指摘されて、自分がユーイに見とれていたことに気付き美少女決闘者の頬が熱を帯びる。
「な、なんでもないわ!」
慌てて顔を背けるが、またチラリとその様子を伺う。
(彼のこの変化・・・『キレた』とか『本性を表した』とかじゃあないわね。前者ならこれほど冷静なのはおかしいし、後者ならそもそも襲撃者である私に隠す理由がない。どちらかと言えば、まるで彼の中の『別人格』が現れたような感じだわ・・・)
美少女決闘者がユーイを見たのはこれで二回目。一度目は入学試験の時だ。
あの時とこのデュエル序盤の彼と、今の彼ではあまりに雰囲気が違いすぎている。しかしそれは単純な性格の変化というには少し異質に感じる。
以前のユーイには年相応の少年らしい甘さがあり、世間ずれしていない純朴で穏やかな好青年という感じだった。
しかし今の彼にはいくつもの修羅場を潜り抜けてきたような『凄み』があり、甘さが消えた分クールかつワイルドな印象を受ける。経験値の差だろうか、以前よりも大人びていると言えるかもしれない。
そしてデュエルの相手としてどちらが厄介かと訊かれれば、それは圧倒的に今の彼の方だった。
そんなユーイが手札を1枚抜き出す。
「さて俺のターンだが、そう言えばさっき《苦渋の黙札》でサーチしたモンスターを見せてなかったな」
そう言ってそのカードを見せてくれる。
確かそのカードは《開闢の騎士》をリリースしてサーチしたカードのはず。ならば闇属性・戦士族のレベル4モンスターであるのは確かだが、そのモンスターは今までユーイが使ってきたのとは少し毛色の違うモンスターのように思えた。
青黒く長い髪、白い仮面、黒い鎧のようなスーツ。体形から女性型のモンスターに見える。
「オレが《苦渋の黙札》でサーチしたのは《E・HERO(エレメンタル・ヒーロー) シャドー・ミスト》。最近新しくデッキに入れたカードだ」
「――――エレメンタル・ヒーロー?」
聞いたことのないモンスターカテゴリーだ。
それもそのはず、このモンスターはあの白紙のカードから浮かび上がってきたモンスターだ。持ち主であるユーイ本人すら入手経路も分からないシークレットレアカードなのだ。
「んじゃあ行くぜ。ドロー!」
ユーイがドローフェイズを行う。
引いたカードは、またしても元々白紙だったカードだ。
「オレは《E・HERO シャドー・ミスト》を召喚ッ!」
ほとんど考える間もなくユーイは引いたばかりのモンスターを召喚する。
場に先ほどのイラスト通りのモンスターが気合いとともに現れた。
E・HERO シャドー・ミスト(星4/ATK1000)
そのステータスはやはり闇属性・戦士族のレベル4モンスター。しかし攻撃力はレベル4にしても低い方だ。
(攻撃力1000か・・・。《捕食植物キメラフレシア》は戦闘に強い効果がある。バトルでの排除は考えていないはず。ならば問題は攻撃力ではない)
《捕食植物キメラフレシア》は戦闘時に相手モンスターの攻撃力を1000下げ、自身の攻撃力を1000上げる効果がある。元々の攻撃力が2500あるため、計算上4500以上の攻撃力を持つモンスターでなければ相討ちにすらできない。
更に美少女決闘者のフィールドには1ターンに1度自分フィールドの「捕食植物」モンスターの数だけ相手モンスターを縛り付ける永続罠《捕食蔦》も未だ健在。
少なくとも現段階ではバトルで《捕食植物キメラフレシア》を倒すのは無謀としか言えない状況だった。
「《捕食蔦》でオレのモンスターを縛ろうと考えているなら、そいつは無理だぜ」
「――――!」
今度はユーイが美少女決闘者の心中を言い当てる。
そして今しがた引いたばかりのカードをひらりと翻す。
「アンタの言葉を借りるなら、これはオレの『精神力』が導いた『運命』ってことになるのかな。オレがいま引いたカードは魔法カード《R―ライト・ジャスティス》。このカードは自分フィールドの「E・HERO」モンスターの数だけ相手フィールドの魔法・罠カードを破壊できる」
「なんですって――――!?」
これはまるで先のターンと同じ展開ではないか。
先のターン、美少女決闘者は《捕食植物キメラフレシア》を縛る《幻想の呪縛》を破壊する《サイクロン》を引いたことで、その精神力が運命を導くことを証明した。
今度はユーイがそれと同じ展開をやり返そうとしている。
ユーイのフィールドの《E・HERO シャドー・ミスト》が駆け出す。
《捕食植物キメラフレシア》を無視して、迫るのは《捕食蔦》のカードへだ。
『オラァッ!』
烈迫の気合いとともに繰り出された《E・HERO シャドー・ミスト》の蹴りが《捕食蔦》へと直撃する。
すると《捕食蔦》のカードは、まるでガラスが割れるように粉々になってしまった。
「くっ――――」
「これでオレのモンスター達はもう縛られたりしない。遠慮なく攻められるってわけなんだぜ」
だがまだ美少女決闘者のフィールドには《捕食植物キメラフレシア》が残っている。
「でもこれでキミの手札はあと1枚。その1枚で私の《捕食植物キメラフレシア》を倒すというの?」
「悪いがオレの手札は1枚じゃあない。墓地の《神剣―フェニックス・ブレード》の効果。このカードは墓地の戦士族モンスター2体を除外することで手札に戻すことができる」
デュエルディスクのセメタリーゾーンから《開闢の騎士》《宵闇の騎士》が除外され、《神剣―フェニックス・ブレード》のカードが射出される。
それを手に取るとユーイは口の端を上げた。
「これでオレの手札は2枚だ。そしてオレは手札から魔法カード《二重魔法(ダブルマジック)》を発動ッ!」
ユーイは手札に加えたばかりの《神剣―フェニックス・ブレード》を再び墓地に送り、手札の最後の1枚を発動させた。
「《二重魔法》は手札の魔法カード1枚を墓地に送ることで、相手の墓地にある魔法カード1枚をオレのカードとして使用することができる魔法カードだッ!」
「《神剣―フェニックス・ブレード》を手札に戻したのはこの手札コストにするため! そして私の墓地の魔法カードということは――――!」
「そう、アンタが使った《融合》をいただくぜ!」
「《融合》をッ!?」
当然ながら《融合》を使うデッキには必ず融合召喚が組み込まれている。逆に言えば、融合召喚をシステムとして有しないデッキに《融合》のみ組み込まれているなどということは普通ない。
この場合でも同じことだ。ユーイが《融合》を欲したということは、ユーイのデッキに融合召喚がシステムとして組み込まれているということ。
しかし美少女決闘者にとって、それは寝耳に水だった。
「リンク召喚だけじゃなく・・・キミのデッキには融合召喚も組み込まれているというの!?」
しかしユーイは首を振る。
「いいや、オレのエクストラデッキには融合モンスターは1枚も入っちゃいない」
「融合モンスターがいないですって? ならば何故《融合》を・・・?」
訝る美少女決闘者を、ユーイがおもむろに指差した。
「オレの融合モンスターなら、アンタが持っているだろう?」
美少女決闘者にはユーイの言っている言葉の意味はすぐには理解できなかった。
しかし、ユーイの指差しているのが彼女自身ではなく彼女の腰辺りであることに気付いた時、彼女の中である可能性が浮上した。
(まさか・・・)
彼女の腰――――スカートのポケットに入れられている物を、ユーイは指差していたのだ。
彼女がそれに気付いたと同時に、『それ』はまるで引っ張られるかのようしてポケットから飛び出してきた。
白紙のカード。
それは彼女が10歳の誕生日にもらった白紙のカードの片割れ。
(これは『あの日』私が渡されたカードッ! 将来結ばれる人に出会った時、初めて生まれると言われたカードッ! そして『王』の魂に寄り添うカード・・・ッ!!)
まるで念動力でも働いているかのように『王』のカードはユーイの方へと吸い寄せられ、その手の中に収まる。
と同時に、ユーイの腕から光の筋がいくつも伸び『王』のカードを包む。
「これは・・・!? 一体、何が起こっているの!?」
美少女決闘者は目の前で起こった事象が信じられないといった面持ちで愕然としている。もはやこれは美少女決闘者の理解の範疇を遥かに超えていた。
(『王』のカードが奪われたッ!? いえ、どちらかと言えば・・・これはまるで・・・『王』のカード自身が彼を選んだようじゃない・・・! こんなことが・・・! そしてこれが意味していることって・・・!)
しかしユーイはこの奇跡に笑みを見せた。
「白紙のカードに『命』を与え、新たなモンスターを『生み出す』ッ! これがオレの異能(スキル)――――『エクストリーム・フォース』の能力ッ!」
美少女決闘者が気付いた時、すでに光の筋は消えていた。
しかしその代わりに、確かに先ほどまで白紙だったカードに新たにモンスターのイラストが浮かび上がっていた。
「こ、これはーーーーッ!? 新たなモンスターを『生み出した』ですってーーーーッ!?」
美少女決闘者は驚きを通り越して震えさえ覚えていた。それは世界がひっくり返ったような衝撃だった。
「そうかアンタ、『異能保持者(スキルホルダー)』を見るのは初めてか」
「『スキルホルダー』・・・噂には聞いたことがあるわ。超一流決闘者であるウルトラレア級決闘者を更に超えたシークレットレア級決闘者の中には人智を超えた能力を持つ人達がいるって。それがその『スキルホルダー』なのね」
「流石に理解が早いな。そういうことだ。そしてこれで理解できただろう、今アンタが相手しているのがそのシークレットレア級決闘者だってことも」
美少女決闘者の背に電流に似た何かが走った。
その正体は戦慄でも恐怖でもない。むしろ歓喜に近いものだ。
(私の体が、心が、今ここで彼と闘えていることを悦んでいる・・・!)
美少女決闘者も体の震えが悦びから来ていることを理解した。
(足が震える。動悸も激しい。体の内側から何かが溢れてきそうだ。しかし不思議と不快ではない。むしろいつまでもこの闘いを楽しみたいッ!)
ユーイは頬を紅潮させる美少女決闘者の様子に微笑みを持って返す。
「デュエルを続けるぜ。オレの《二重魔法》によってアンタの墓地の《融合》はオレのものになった。さぁ、渡してもらおうか」
ユーイが言うと、美少女決闘者はセメタリーゾーンから《融合》を抜き出しこちらに渡す。
「そしてオレはその《融合》を発動ッ! フィールドの《E・HERO シャドー・ミスト》と《白牙のグレート・ホワイト》を融合ッ!!」
渡された《融合》を即座に発動するユーイ。
フィールド上で《E・HERO シャドー・ミスト》と《白牙のグレート・ホワイト》が溶け合う。
そしてユーイは先ほどイラストが浮かび上がったばかりのカードをデュエルディスクにセットした。
「生まれろ! 新たな命! 新たなモンスター!――――融合召喚ッ!!」
ユーイががっちりと手を合わせる。
混ざり合う2体のモンスターの渦から無数の泡が流れ出てきた。それらは集まり束ねられ、やがて人の形へと変化する。
そして産声を上げるかのように『ハアッ!』と叫んで拳を握った。
「名付けるぜッ! お前の名前は《E・HERO アクエリアス》だ・・・ッ!!」
E・HERO アクエリアス(星6/ATK2200)
《E・HERO アクエリアス》はその名が持つ響きの通り、水のヒーローだった。その召喚条件は「HERO」モンスターと水属性モンスターの融合。
全身をブルーメタリックのボディスーツで包み、武器は持たず徒手空拳で闘うヒーローらしい。起伏に富み流線形の肢体から、どうやら女性型のモンスターのようだ。
「デビュー戦だぜ、《E・HERO アクエリアス》。存分に暴れろッ! バトルだッ!」
ユーイがバトルを宣言したのに美少女決闘者は驚く。
《E・HERO アクエリアス》の攻撃力は2200で、《捕食植物キメラフレシア》の効果はおろか元々の攻撃力にさえ及ばない。
しかし攻撃を命じられた《E・HERO アクエリアス》はその通りに攻撃体勢に移り、《捕食植物キメラフレシア》に向けて駆ける。
こうなればもう《捕食植物キメラフレシア》で応戦するしかない。
「どういうつもりかは知らないけれど、受けて立つしかないッ!《捕食植物キメラフレシア》ッ!」
美少女決闘者は素早く《捕食植物キメラフレシア》に迎撃命令を下すが、しかしその《捕食植物キメラフレシア》の動きは鈍い。
「なにッ!?」
見ると《捕食植物キメラフレシア》の体からいくつも泡が立ち上っている。
「こ、これはまさかッ!?」
「そう、この泡こそが《E・HERO アクエリアス》の能力。《E・HERO アクエリアス》の泡に捕らえられたモンスターはそのモンスター効果を奪われる」
《E・HERO アクエリアス》の泡の中には、その対象となったモンスターの効果が封じられていた。
これにより《捕食植物キメラフレシア》はモンスター効果を発動できなかったのだ。
「モンスター効果を奪う・・・ですって? ハッ、『奪う』ということは――――!」
《捕食植物キメラフレシア》から立ち上った泡はふわふわと宙を漂い、やがて《E・HERO アクエリアス》の元へと帰ってきていた。
「ああ、《E・HERO アクエリアス》の効果は、相手モンスターの効果を無効にするだけじゃあない。相手の効果を無効にし、それと同じ効果を得る能力だぜ」
「《捕食植物キメラフレシア》と同じ効果ということは・・・」
「つまり、今の《E・HERO アクエリアス》は《捕食植物キメラフレシア》の『戦闘時、相手モンスターの攻撃力を1000下げ、自身の攻撃力を1000上げる効果』を持つってことだッ!」
捕食植物キメラフレシア(ATK2500→1500)
E・HERO アクエリアス(ATK2200→3200)
「ああ・・・」
美少女決闘者は理解した。
もう《捕食植物キメラフレシア》に打つ手はない。
《E・HERO アクエリアス》は《捕食植物キメラフレシア》の前に悠然と立ち、両の拳を強く握った。
『オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァッ!!』
《E・HERO アクエリアス》が放ったパンチのラッシュが《捕食植物キメラフレシア》の体を粉々に打ち砕いた。
立ち上がったヒスイはそれに構わず窓から外を見る。
「この『魔力』は・・・ッ!」
ヒスイがいるのはデュエル・アカデミア内に設けられた彼女の執務室。王都と言えどこの街にはそれほど高い建物はそう多くない。その中でデュエル・アカデミアは一際大きく高い建造物であり、この部屋からも街の様子が一望できた。
暗い夜だ。街灯や家の灯りはあるが、それらは寂しげで弱々しく街全体は闇夜に黒く塗りつぶされている。どれだけ目を凝らそうと、当然そこから特定の人物を探し出すことなどできない。
それでもヒスイは見ずにはいられなかった。
たったいま感じた魔力の波動が一体誰のものなのか、彼女以上に知っている者などいない。
「ユーイ・・・ッ!」
今にも駆け出そうとして、しかしその足は二の足を踏む。
「貴女は武藤ユーイに対して過保護すぎるノネ」
あの時クローディアに言われた言葉が楔のようにその足を縫い付けていた。
しかしヒスイは焦れる。
(この魔力は『今のユーイ』の魔力ではない・・・ッ! ユーイの身に何かが起こっている・・・ッ! 今、ユーイを守れるのは私だけだッ!)
それは半ば言い訳だったのかもしれない。クローディアに知られればまた叱責を喰うかもしれない。
しかしそれでもヒスイにとってそれは、いま動かない理由としては到底足りなかった。
ヒスイは急いで執務室を出ていく。
ユーイが自分の助けを待っているという盲目的な焦燥感が彼女を突き動かしていた。
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そんな彼女の遥か上方――――デュエル・アカデミアの三角屋根の上でクローディア・デ・メディチは深いため息をついていた。
「あの程度の忠告では親バカは止められないノネ・・・」
かなりの高所なのだが、それを恐れる様子もなく座った姿勢で自由な両足をぷらぷらと宙に揺らす。
「今から向かったところで、あそこでは『あの娘』が『鼻』を効かせているから近づけたりはしないノネ」
ユーイの元に急ぐヒスイを無駄足とばかりに言ってのける。
ビュッと王都の夜風が彼女の美しいツインテールをなびかせた。
「・・・良い風なノネ」
今夜の風は少々冷たいが、クローディアの少し熱を帯びた頬を冷ますには丁度良い。
そんな夜風に誘われて遥か遠くからも武藤ユーイの魔力の波動がクローディアの元まで届いてくる。
「これが武藤ユーイの『本来』の魔力・・・。良い傾向なノネ。この調子で完全覚醒まで一気に持っていければ良いのだけれど・・・それは高望みすぎるノネ」
自嘲めいた笑みを浮かべながら、クローディアは自分が腰掛けている『それ』の冷たい背を撫でる。
クローディアが腰掛けている『それ』――――《古代の機械猟犬》は低い声で『グルル・・・』と唸った。
機械とは言え、獣の背に腰掛け笑むそのシルエットはまさに『魔女』のそれである。
その影は月のない王都の夜にじわりと溶け込むかのようであった。
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王都郊外――――高い位置からユーイと美少女決闘者のデュエルを見下ろす影があった。
それが立つのは倉庫のような建物の屋根の上。決して立つのに易しい足場ではなかったが、それにとっては関係ないらしく、はいているミニスカートが風にはためこうと構わずじっと二人の動向を注視している。
ふと彼女の『鼻』が風に誘われた匂いを拾う。
(こちらに向かってきている者がいる。二人・・・か。別々のようだけれど)
今、ユーイと美少女決闘者のデュエルは丁度佳境で良い所だ。無粋な邪魔は入れたくない。
しかし彼女は特段なにをするでもない様子。
(どうせここにはたどり着けはしない・・・)
彼女の養母は呪法の扱いに長けた人物だ。
彼女もその養母に手解きを受け、いくつかの呪法を習得している。
今、この場には彼女によって『人払いの呪法』がかけられていた。この呪法は人の無意識下に作用し、自然とこの場に近づけないようにする術である。おそらく現在ここに向かってきている二人の人物は、武藤ユーイの放つ魔力の波動を感知したのだろう。しかし彼女がここにいる限り、このデュエルを邪魔することはおろか、この場所にたどり着くことさえできはしない。
そうして彼女は変わらずユーイと美少女決闘者のデュエルへと関心を戻していった。
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さて二人のデュエルであるが、美少女決闘者はそのままターンを終了し、ターンプレイヤーはユーイへと移っていた。
ユーイが前髪を掻き上げ、その髪型がオールバックのようになる。
そうすると彼の容貌は元々の整った造形からかかなりクールな印象となった。
ふと美少女決闘者の視線に気付き、ユーイが首を傾げる。
「なんだ? 何か言いたいことでもあるのか?」
指摘されて、自分がユーイに見とれていたことに気付き美少女決闘者の頬が熱を帯びる。
「な、なんでもないわ!」
慌てて顔を背けるが、またチラリとその様子を伺う。
(彼のこの変化・・・『キレた』とか『本性を表した』とかじゃあないわね。前者ならこれほど冷静なのはおかしいし、後者ならそもそも襲撃者である私に隠す理由がない。どちらかと言えば、まるで彼の中の『別人格』が現れたような感じだわ・・・)
美少女決闘者がユーイを見たのはこれで二回目。一度目は入学試験の時だ。
あの時とこのデュエル序盤の彼と、今の彼ではあまりに雰囲気が違いすぎている。しかしそれは単純な性格の変化というには少し異質に感じる。
以前のユーイには年相応の少年らしい甘さがあり、世間ずれしていない純朴で穏やかな好青年という感じだった。
しかし今の彼にはいくつもの修羅場を潜り抜けてきたような『凄み』があり、甘さが消えた分クールかつワイルドな印象を受ける。経験値の差だろうか、以前よりも大人びていると言えるかもしれない。
そしてデュエルの相手としてどちらが厄介かと訊かれれば、それは圧倒的に今の彼の方だった。
そんなユーイが手札を1枚抜き出す。
「さて俺のターンだが、そう言えばさっき《苦渋の黙札》でサーチしたモンスターを見せてなかったな」
そう言ってそのカードを見せてくれる。
確かそのカードは《開闢の騎士》をリリースしてサーチしたカードのはず。ならば闇属性・戦士族のレベル4モンスターであるのは確かだが、そのモンスターは今までユーイが使ってきたのとは少し毛色の違うモンスターのように思えた。
青黒く長い髪、白い仮面、黒い鎧のようなスーツ。体形から女性型のモンスターに見える。
「オレが《苦渋の黙札》でサーチしたのは《E・HERO(エレメンタル・ヒーロー) シャドー・ミスト》。最近新しくデッキに入れたカードだ」
「――――エレメンタル・ヒーロー?」
聞いたことのないモンスターカテゴリーだ。
それもそのはず、このモンスターはあの白紙のカードから浮かび上がってきたモンスターだ。持ち主であるユーイ本人すら入手経路も分からないシークレットレアカードなのだ。
「んじゃあ行くぜ。ドロー!」
ユーイがドローフェイズを行う。
引いたカードは、またしても元々白紙だったカードだ。
「オレは《E・HERO シャドー・ミスト》を召喚ッ!」
ほとんど考える間もなくユーイは引いたばかりのモンスターを召喚する。
場に先ほどのイラスト通りのモンスターが気合いとともに現れた。
E・HERO シャドー・ミスト(星4/ATK1000)
そのステータスはやはり闇属性・戦士族のレベル4モンスター。しかし攻撃力はレベル4にしても低い方だ。
(攻撃力1000か・・・。《捕食植物キメラフレシア》は戦闘に強い効果がある。バトルでの排除は考えていないはず。ならば問題は攻撃力ではない)
《捕食植物キメラフレシア》は戦闘時に相手モンスターの攻撃力を1000下げ、自身の攻撃力を1000上げる効果がある。元々の攻撃力が2500あるため、計算上4500以上の攻撃力を持つモンスターでなければ相討ちにすらできない。
更に美少女決闘者のフィールドには1ターンに1度自分フィールドの「捕食植物」モンスターの数だけ相手モンスターを縛り付ける永続罠《捕食蔦》も未だ健在。
少なくとも現段階ではバトルで《捕食植物キメラフレシア》を倒すのは無謀としか言えない状況だった。
「《捕食蔦》でオレのモンスターを縛ろうと考えているなら、そいつは無理だぜ」
「――――!」
今度はユーイが美少女決闘者の心中を言い当てる。
そして今しがた引いたばかりのカードをひらりと翻す。
「アンタの言葉を借りるなら、これはオレの『精神力』が導いた『運命』ってことになるのかな。オレがいま引いたカードは魔法カード《R―ライト・ジャスティス》。このカードは自分フィールドの「E・HERO」モンスターの数だけ相手フィールドの魔法・罠カードを破壊できる」
「なんですって――――!?」
これはまるで先のターンと同じ展開ではないか。
先のターン、美少女決闘者は《捕食植物キメラフレシア》を縛る《幻想の呪縛》を破壊する《サイクロン》を引いたことで、その精神力が運命を導くことを証明した。
今度はユーイがそれと同じ展開をやり返そうとしている。
ユーイのフィールドの《E・HERO シャドー・ミスト》が駆け出す。
《捕食植物キメラフレシア》を無視して、迫るのは《捕食蔦》のカードへだ。
『オラァッ!』
烈迫の気合いとともに繰り出された《E・HERO シャドー・ミスト》の蹴りが《捕食蔦》へと直撃する。
すると《捕食蔦》のカードは、まるでガラスが割れるように粉々になってしまった。
「くっ――――」
「これでオレのモンスター達はもう縛られたりしない。遠慮なく攻められるってわけなんだぜ」
だがまだ美少女決闘者のフィールドには《捕食植物キメラフレシア》が残っている。
「でもこれでキミの手札はあと1枚。その1枚で私の《捕食植物キメラフレシア》を倒すというの?」
「悪いがオレの手札は1枚じゃあない。墓地の《神剣―フェニックス・ブレード》の効果。このカードは墓地の戦士族モンスター2体を除外することで手札に戻すことができる」
デュエルディスクのセメタリーゾーンから《開闢の騎士》《宵闇の騎士》が除外され、《神剣―フェニックス・ブレード》のカードが射出される。
それを手に取るとユーイは口の端を上げた。
「これでオレの手札は2枚だ。そしてオレは手札から魔法カード《二重魔法(ダブルマジック)》を発動ッ!」
ユーイは手札に加えたばかりの《神剣―フェニックス・ブレード》を再び墓地に送り、手札の最後の1枚を発動させた。
「《二重魔法》は手札の魔法カード1枚を墓地に送ることで、相手の墓地にある魔法カード1枚をオレのカードとして使用することができる魔法カードだッ!」
「《神剣―フェニックス・ブレード》を手札に戻したのはこの手札コストにするため! そして私の墓地の魔法カードということは――――!」
「そう、アンタが使った《融合》をいただくぜ!」
「《融合》をッ!?」
当然ながら《融合》を使うデッキには必ず融合召喚が組み込まれている。逆に言えば、融合召喚をシステムとして有しないデッキに《融合》のみ組み込まれているなどということは普通ない。
この場合でも同じことだ。ユーイが《融合》を欲したということは、ユーイのデッキに融合召喚がシステムとして組み込まれているということ。
しかし美少女決闘者にとって、それは寝耳に水だった。
「リンク召喚だけじゃなく・・・キミのデッキには融合召喚も組み込まれているというの!?」
しかしユーイは首を振る。
「いいや、オレのエクストラデッキには融合モンスターは1枚も入っちゃいない」
「融合モンスターがいないですって? ならば何故《融合》を・・・?」
訝る美少女決闘者を、ユーイがおもむろに指差した。
「オレの融合モンスターなら、アンタが持っているだろう?」
美少女決闘者にはユーイの言っている言葉の意味はすぐには理解できなかった。
しかし、ユーイの指差しているのが彼女自身ではなく彼女の腰辺りであることに気付いた時、彼女の中である可能性が浮上した。
(まさか・・・)
彼女の腰――――スカートのポケットに入れられている物を、ユーイは指差していたのだ。
彼女がそれに気付いたと同時に、『それ』はまるで引っ張られるかのようしてポケットから飛び出してきた。
白紙のカード。
それは彼女が10歳の誕生日にもらった白紙のカードの片割れ。
(これは『あの日』私が渡されたカードッ! 将来結ばれる人に出会った時、初めて生まれると言われたカードッ! そして『王』の魂に寄り添うカード・・・ッ!!)
まるで念動力でも働いているかのように『王』のカードはユーイの方へと吸い寄せられ、その手の中に収まる。
と同時に、ユーイの腕から光の筋がいくつも伸び『王』のカードを包む。
「これは・・・!? 一体、何が起こっているの!?」
美少女決闘者は目の前で起こった事象が信じられないといった面持ちで愕然としている。もはやこれは美少女決闘者の理解の範疇を遥かに超えていた。
(『王』のカードが奪われたッ!? いえ、どちらかと言えば・・・これはまるで・・・『王』のカード自身が彼を選んだようじゃない・・・! こんなことが・・・! そしてこれが意味していることって・・・!)
しかしユーイはこの奇跡に笑みを見せた。
「白紙のカードに『命』を与え、新たなモンスターを『生み出す』ッ! これがオレの異能(スキル)――――『エクストリーム・フォース』の能力ッ!」
美少女決闘者が気付いた時、すでに光の筋は消えていた。
しかしその代わりに、確かに先ほどまで白紙だったカードに新たにモンスターのイラストが浮かび上がっていた。
「こ、これはーーーーッ!? 新たなモンスターを『生み出した』ですってーーーーッ!?」
美少女決闘者は驚きを通り越して震えさえ覚えていた。それは世界がひっくり返ったような衝撃だった。
「そうかアンタ、『異能保持者(スキルホルダー)』を見るのは初めてか」
「『スキルホルダー』・・・噂には聞いたことがあるわ。超一流決闘者であるウルトラレア級決闘者を更に超えたシークレットレア級決闘者の中には人智を超えた能力を持つ人達がいるって。それがその『スキルホルダー』なのね」
「流石に理解が早いな。そういうことだ。そしてこれで理解できただろう、今アンタが相手しているのがそのシークレットレア級決闘者だってことも」
美少女決闘者の背に電流に似た何かが走った。
その正体は戦慄でも恐怖でもない。むしろ歓喜に近いものだ。
(私の体が、心が、今ここで彼と闘えていることを悦んでいる・・・!)
美少女決闘者も体の震えが悦びから来ていることを理解した。
(足が震える。動悸も激しい。体の内側から何かが溢れてきそうだ。しかし不思議と不快ではない。むしろいつまでもこの闘いを楽しみたいッ!)
ユーイは頬を紅潮させる美少女決闘者の様子に微笑みを持って返す。
「デュエルを続けるぜ。オレの《二重魔法》によってアンタの墓地の《融合》はオレのものになった。さぁ、渡してもらおうか」
ユーイが言うと、美少女決闘者はセメタリーゾーンから《融合》を抜き出しこちらに渡す。
「そしてオレはその《融合》を発動ッ! フィールドの《E・HERO シャドー・ミスト》と《白牙のグレート・ホワイト》を融合ッ!!」
渡された《融合》を即座に発動するユーイ。
フィールド上で《E・HERO シャドー・ミスト》と《白牙のグレート・ホワイト》が溶け合う。
そしてユーイは先ほどイラストが浮かび上がったばかりのカードをデュエルディスクにセットした。
「生まれろ! 新たな命! 新たなモンスター!――――融合召喚ッ!!」
ユーイががっちりと手を合わせる。
混ざり合う2体のモンスターの渦から無数の泡が流れ出てきた。それらは集まり束ねられ、やがて人の形へと変化する。
そして産声を上げるかのように『ハアッ!』と叫んで拳を握った。
「名付けるぜッ! お前の名前は《E・HERO アクエリアス》だ・・・ッ!!」
E・HERO アクエリアス(星6/ATK2200)
《E・HERO アクエリアス》はその名が持つ響きの通り、水のヒーローだった。その召喚条件は「HERO」モンスターと水属性モンスターの融合。
全身をブルーメタリックのボディスーツで包み、武器は持たず徒手空拳で闘うヒーローらしい。起伏に富み流線形の肢体から、どうやら女性型のモンスターのようだ。
「デビュー戦だぜ、《E・HERO アクエリアス》。存分に暴れろッ! バトルだッ!」
ユーイがバトルを宣言したのに美少女決闘者は驚く。
《E・HERO アクエリアス》の攻撃力は2200で、《捕食植物キメラフレシア》の効果はおろか元々の攻撃力にさえ及ばない。
しかし攻撃を命じられた《E・HERO アクエリアス》はその通りに攻撃体勢に移り、《捕食植物キメラフレシア》に向けて駆ける。
こうなればもう《捕食植物キメラフレシア》で応戦するしかない。
「どういうつもりかは知らないけれど、受けて立つしかないッ!《捕食植物キメラフレシア》ッ!」
美少女決闘者は素早く《捕食植物キメラフレシア》に迎撃命令を下すが、しかしその《捕食植物キメラフレシア》の動きは鈍い。
「なにッ!?」
見ると《捕食植物キメラフレシア》の体からいくつも泡が立ち上っている。
「こ、これはまさかッ!?」
「そう、この泡こそが《E・HERO アクエリアス》の能力。《E・HERO アクエリアス》の泡に捕らえられたモンスターはそのモンスター効果を奪われる」
《E・HERO アクエリアス》の泡の中には、その対象となったモンスターの効果が封じられていた。
これにより《捕食植物キメラフレシア》はモンスター効果を発動できなかったのだ。
「モンスター効果を奪う・・・ですって? ハッ、『奪う』ということは――――!」
《捕食植物キメラフレシア》から立ち上った泡はふわふわと宙を漂い、やがて《E・HERO アクエリアス》の元へと帰ってきていた。
「ああ、《E・HERO アクエリアス》の効果は、相手モンスターの効果を無効にするだけじゃあない。相手の効果を無効にし、それと同じ効果を得る能力だぜ」
「《捕食植物キメラフレシア》と同じ効果ということは・・・」
「つまり、今の《E・HERO アクエリアス》は《捕食植物キメラフレシア》の『戦闘時、相手モンスターの攻撃力を1000下げ、自身の攻撃力を1000上げる効果』を持つってことだッ!」
捕食植物キメラフレシア(ATK2500→1500)
E・HERO アクエリアス(ATK2200→3200)
「ああ・・・」
美少女決闘者は理解した。
もう《捕食植物キメラフレシア》に打つ手はない。
《E・HERO アクエリアス》は《捕食植物キメラフレシア》の前に悠然と立ち、両の拳を強く握った。
『オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァッ!!』
《E・HERO アクエリアス》が放ったパンチのラッシュが《捕食植物キメラフレシア》の体を粉々に打ち砕いた。
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これまでもなんかそれ風の言い回しとかしてたが、ついにガッツリやりやがったドン!
どうせツッコんでも「オマージュだ」とかなんとか言ってはぐらかすに決まってるけど、とりあえず言わせてもらうザウルス!
荒木先生はともかく氷色さんは怒るかもしれんザウルス!ごめんなさいザウルス!
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美少女決闘者戦が長引きすぎザウルス! (2018-02-21 14:30)
それはさておき、覚醒したらHEROデッキに目覚めてしまい…どうやらガッチャ魂はユーイにあったようですね。次回予告の毒の竜…うん、アイツだ。
(2018-02-21 16:09)
ん、なんか紙が落ちてるドン。なんか書いてあるザウルス。なになに、「E・HERO アクエリアス(CV:沢城みゆき)」ってどういう意味ドン?
次回は・・・まあ確かにネタバレぎみザウルスね
(2018-02-21 17:24)