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1:金色の夢 作:天
「貴方です・・・」
声が聞こえる。
女の声だ。
どこか歓喜の滲む高揚した声色。
「ああ、ようやく見つけた・・・」
霞がかかったような視界に金色の光が広がっていく。
まるで一面の黄金小麦が一斉にさざめくような美しさと荘厳さ。
見たことのない光景であるにも関わらず、どこか懐かしさを感じる。
「貴方様が道を失わぬ限り、この身と忠誠を捧げ片時も御身の傍らを離れず付き従うことをここに誓約申し上げます」
言葉の意は分かるが、それが何を意味するのかは分からない。
だが我知らず自分が頷くのが分かった。
姿も見えない女の言葉に何を頷いたのか、それは分からない。ただ何となくだが、それで相手が柔和に微笑んだのが分かる。それで自分が何かに安心したのも。
しかし目の前に広がっていた金色の光がそこで収束していく。
いや違う。
自分が光から遠退いているのだ。
まるで見えない何かに後ろから引っ張られているかのように、急速に光は視界の果てとなっていく。
自分が何かを叫ぼうとしていた。
それは悲鳴なのか、はたまた彼女の名なのか。
しかし声にならないその言葉を聞けないまま、体がガタンと揺れた。
そこで『武藤 遊偉(ムトウ ユーイ)』は覚醒した。
目を開くとそこは馬車の中。
ガタガタと揺れる震動でまだ走行中なのはすぐに分かった。
「ようやくお目覚めか?」
対面に座る女が苦笑と共に問いかける。
艶やかな長い黒髪、大きな瞳、今は仕事用の黒いロングローブ姿だがそれでも起伏に富んだスタイルは隠せてはいない。
今はユーイの保護者の立場にあるその女性―――『響 翡翠(ヒビキ ヒスイ)』はお世辞ナシにかなりの美貌の持ち主である。
しっかりと化粧された妙齢の女性らしいしっとりとした色気のある視線をこちらに向けている。
「こんなにガタガタと揺れる車内でよくもまあそんなによく寝られるものだな」
ヒスイの言葉でようやくユーイは自分がいつの間にか寝入ってしまっていたことを自覚した。
その余韻とも言える欠伸を噛み殺す。
何か夢を見ていたような気がするが、どんな夢だったかは思い出せない。
御者が「すいやせん」と申し訳なさそうに小さくこちらに頭を下げる。
どうやら彼の操縦ミスで馬車が大きく揺れてユーイの覚醒を誘発したようだが、御者の言葉はどちらかと言えばヒスイに向けられたものだろう。彼の雇い主はユーイではなく彼女なのだ、当然のことだ。彼女に養ってもらっている身としてはそこに文句は付けられない。
窓の外を見る。
通りすぎていく景色はすでに街中の風景だ。
通りに立ち並ぶ商店や露店が次々に馬車の後方へと流れていく。
「お前が寝ている間にもう王都へは入っている」
ヒスイもユーイを追うように視線を外に馳せる。
「ここが王都・・・。思ってたよりなんか寂れた感じだな」
ユーイが見る限り、麗らかな陽気の昼間だというのに人通りはまばらだ。王都というからにはもっと賑わっているものだと思っていたのだがそんな様子ではない。
「・・・この国が病み始めているという噂は本当だったらしいな」
ヒスイも神妙な面持ちでこれから二人が住むことになるこの街を見つめていた。
そうこうしている間に馬車は目的地へと到着した。
そこは巨大な建物だった。こんな巨大な建物はこれまでユーイがいた田舎にはなかった。
「村の教会の何倍もデカイ。ここが試験会場なのか?」
「そうだ。明後日ここでお前のこれからの進退が決まるわけだ」
ユーイの質問にヒスイがにやりと意地悪な笑みを浮かべる。
「プレッシャーかけるなよ」
「なあに、お前が本当に落ちるとは思ってはいないさ。さて、私は手続きに行ってくるからお前はこれから生活することになる街を見学でもしてきたらどうだ」
言うとヒスイは大きな鞄を提げる。
彼女に付いていっても仕事の邪魔になるだけだし、その間にやることもない。
「おけ。そうする」
短くそれだけ言い、ユーイも自分の荷物を背負うように肩にかけた。とはいえバイオリンケースほどの小さな鞄が一つだけなのだが。
ユーイは何をするでもなくブラブラと街を歩いていた。
やはり王都は閑散としているとまでは言わないが、それでも活気に満ちているとは言い難い様子だった。
通りにはずっと店が立ち並んではいるが賑わいはなく、中には閉まったままの店も少なくない。
すれ違う人々の顔にも笑顔は少なく、陰鬱というか疲れた顔をした者が多い。
「この国一番の街がこの有り様かよ」
現在この街には明後日の『試験』のため、国の内外から多くの志願者が集まっているはずだ。それでこの様子では本当に目も当てられない。
「国が病み始めている・・・か」
ヒスイの言葉を反芻する。
これがその結果なのだろうか。
国が病めば人心は離れ、やがては民そのものが国から逃げ出していくことになる。王都がこの有り様では地方はもっと酷い状態なのかもしれない。
そんなことを考えながら、これからの生活を想いため息をついた―――その時だった。
「いやッ、やめて下さいッ・・・!」
悲鳴が聞こえた。
ありがちな展開だと思うだろ?
「ありがちな展開だよな」
そう言いながらもユーイはその悲鳴を無視できない。困っている人を放ってはおけない。それがユーイという少年の性なのだから。
「ちょっとくらい良いじゃねぇか、お嬢さん」
「そうだぜ、何も取って喰おうってわけじゃないんだ。すこーしだけ俺達の宿に来て遊んでくれりゃ良いだけだよ」
一人の少女が二人の男に行く手を塞がれていた。
少女の方は明らかに嫌がっているのに、二人はしつこく言い寄っている。ナンパにしてもとてもスマートなものとは言い難い。
男は二人ともそれなりにガタイがよく、女の子一人が力ずくでどうにかできる相手ではなさそうだ。
そこにもう一人、金髪の優男が加わる。
「まあまあ、二人とも。お前たちみたいのが二人で取り囲んではお嬢さんも怖がってしまうだろ」
金髪の男は他の二人とは明らかに身なりからして違っていた。体型は痩せ型で力だけなら二人の方が上だろうが、二人はそこらの市民より少し良いといった程度だが彼の服装は明らかに一般市民とは言えないものだ。大きな商家の坊っちゃんか、もしかしたら貴族階級なのかもしれない。
所作もそれなりに洗練されている。
「ボクの取り巻き共が怖がらせて悪かったね。ボクの名前は『シクス・タイタン』。この名前、聞いたことあるよね?」
シクスは手のひらを胸に当てうやうやしく頭を下げる。
確かに一見紳士的な動作ではあるのだが、上げた顔の眼は少女を値踏みするかのように嫌らしい光に濡れている。
そして少女の方もそれに気づかないほど馬鹿ではない。
しかし彼の名は簡単に逆らうことができないほどの力を持っていた。
「タイタン・・・? それって、あのタイタン家の・・・?」
先程までとは違う意味で少女が身を固くする。
「理解してもらえたみたいだね。ではボクに逆らうってことがどういう結果を生むかも当然分かるよね? 自分で言うのも何だが、君のような凡俗な身分の者からしたらボクに声をかけてもらえるなんて光栄なのことなんだよ?」
シクスがつらつらと言葉を吐く度に、彼の眼は少女を見下すものへと変わっていく。
彼が家名を口にしたことに対する態度で彼女が自分よりも劣る身分であることを察したようだ。
人目も憚らず自らの身分を吹聴する。こういう人種は目下の者にはどこまでも冷酷になることができるものだ。
そして彼の思惑通り、通りを行く人々も家名を聞いた途端に目を反らし足早にその場を過ぎて行った。
「さぁ、解ったならボクの誘いを断るような不敬なマネ・・・しねぇよな?」
シクスが手を差し出す。
しかしその顔は最早紳士の仮面など被ってはいない。そこに浮かんでいたのは紛れもなく下衆の笑み。それはもう誘いではなく、命令だった。
「その辺にしといたら?」
問題なさそうだったら静観するつもりだったが、堪らずユーイは彼らに声をかけた。
四人の視線がそこで初めてユーイの存在を捉える。
「んだテメェは・・・」
シクスの取り巻きの片方がこちらに向き直る。
「武藤ユーイ」
「誰がテメェの名前なんて訊いてんだよッ! どういう了見でシクス様の邪魔してやがんだって訊いてんだッ!」
こちらを威嚇するためかズイと距離を縮めて睨んでくる。彼の方がユーイよりも身長が高いため見下ろされる格好だ。
なんだお前は、と訊かれたから名乗ったのだけれど、どうやら彼の意図するところはそこじゃなかったらしい。
それにしてもいきなり怒鳴るとはキレ易いやつ。
「悪い、ちょっと一般常識ってやつには疎くてね。それより俺にはその娘が嫌がっているように見えるんだけど」
「だから何だってんだ? シクス様はあの七大貴族―――『七星候(セブンスターズ)』の一角、タイタン家の御曹司であらせられる。テメェらみたいな下賤の輩は大人しくこの方の言うことに従ってりゃいいんだよッ」
怒鳴り終わるが早いか男はユーイの胸ぐらに掴みかかろうと太い腕を伸ばす。
しかし―――
「いぎゃあッ」
バチンとショートしたような音が鳴り、その手は見えない何かに弾かれた。
一瞬前まで威勢の良かった男の顔からみるみる血の気が引いていく。
見るとこちらに伸ばした手の指が二本ほどあらぬ方向に曲がってしまっていた。
「あ・・・あ・・・お、オレの指がぁ・・・」
男が痛みにへたり込むのを見て、他の二人が血相を変える。
「貴様、『決闘者(デュエリスト)』か・・・」
シクスが柳眉を吊り上げてこちらを睨む。
「決闘者は天によって守られた存在。決闘者はあらゆる暴力から自動的に守られる。それがこの世界の理・・・」
少女がぽつりと呟く。
それがそのまま現在の状況を説明していた。
涙を流し始めた男を放っておいて、ユーイはシクス達に歩み寄る。
「改めて自己紹介しておくよ。俺の名前は武藤ユーイ。将来、『決闘王(デュエルキング)』になる男だ」
声が聞こえる。
女の声だ。
どこか歓喜の滲む高揚した声色。
「ああ、ようやく見つけた・・・」
霞がかかったような視界に金色の光が広がっていく。
まるで一面の黄金小麦が一斉にさざめくような美しさと荘厳さ。
見たことのない光景であるにも関わらず、どこか懐かしさを感じる。
「貴方様が道を失わぬ限り、この身と忠誠を捧げ片時も御身の傍らを離れず付き従うことをここに誓約申し上げます」
言葉の意は分かるが、それが何を意味するのかは分からない。
だが我知らず自分が頷くのが分かった。
姿も見えない女の言葉に何を頷いたのか、それは分からない。ただ何となくだが、それで相手が柔和に微笑んだのが分かる。それで自分が何かに安心したのも。
しかし目の前に広がっていた金色の光がそこで収束していく。
いや違う。
自分が光から遠退いているのだ。
まるで見えない何かに後ろから引っ張られているかのように、急速に光は視界の果てとなっていく。
自分が何かを叫ぼうとしていた。
それは悲鳴なのか、はたまた彼女の名なのか。
しかし声にならないその言葉を聞けないまま、体がガタンと揺れた。
そこで『武藤 遊偉(ムトウ ユーイ)』は覚醒した。
目を開くとそこは馬車の中。
ガタガタと揺れる震動でまだ走行中なのはすぐに分かった。
「ようやくお目覚めか?」
対面に座る女が苦笑と共に問いかける。
艶やかな長い黒髪、大きな瞳、今は仕事用の黒いロングローブ姿だがそれでも起伏に富んだスタイルは隠せてはいない。
今はユーイの保護者の立場にあるその女性―――『響 翡翠(ヒビキ ヒスイ)』はお世辞ナシにかなりの美貌の持ち主である。
しっかりと化粧された妙齢の女性らしいしっとりとした色気のある視線をこちらに向けている。
「こんなにガタガタと揺れる車内でよくもまあそんなによく寝られるものだな」
ヒスイの言葉でようやくユーイは自分がいつの間にか寝入ってしまっていたことを自覚した。
その余韻とも言える欠伸を噛み殺す。
何か夢を見ていたような気がするが、どんな夢だったかは思い出せない。
御者が「すいやせん」と申し訳なさそうに小さくこちらに頭を下げる。
どうやら彼の操縦ミスで馬車が大きく揺れてユーイの覚醒を誘発したようだが、御者の言葉はどちらかと言えばヒスイに向けられたものだろう。彼の雇い主はユーイではなく彼女なのだ、当然のことだ。彼女に養ってもらっている身としてはそこに文句は付けられない。
窓の外を見る。
通りすぎていく景色はすでに街中の風景だ。
通りに立ち並ぶ商店や露店が次々に馬車の後方へと流れていく。
「お前が寝ている間にもう王都へは入っている」
ヒスイもユーイを追うように視線を外に馳せる。
「ここが王都・・・。思ってたよりなんか寂れた感じだな」
ユーイが見る限り、麗らかな陽気の昼間だというのに人通りはまばらだ。王都というからにはもっと賑わっているものだと思っていたのだがそんな様子ではない。
「・・・この国が病み始めているという噂は本当だったらしいな」
ヒスイも神妙な面持ちでこれから二人が住むことになるこの街を見つめていた。
そうこうしている間に馬車は目的地へと到着した。
そこは巨大な建物だった。こんな巨大な建物はこれまでユーイがいた田舎にはなかった。
「村の教会の何倍もデカイ。ここが試験会場なのか?」
「そうだ。明後日ここでお前のこれからの進退が決まるわけだ」
ユーイの質問にヒスイがにやりと意地悪な笑みを浮かべる。
「プレッシャーかけるなよ」
「なあに、お前が本当に落ちるとは思ってはいないさ。さて、私は手続きに行ってくるからお前はこれから生活することになる街を見学でもしてきたらどうだ」
言うとヒスイは大きな鞄を提げる。
彼女に付いていっても仕事の邪魔になるだけだし、その間にやることもない。
「おけ。そうする」
短くそれだけ言い、ユーイも自分の荷物を背負うように肩にかけた。とはいえバイオリンケースほどの小さな鞄が一つだけなのだが。
ユーイは何をするでもなくブラブラと街を歩いていた。
やはり王都は閑散としているとまでは言わないが、それでも活気に満ちているとは言い難い様子だった。
通りにはずっと店が立ち並んではいるが賑わいはなく、中には閉まったままの店も少なくない。
すれ違う人々の顔にも笑顔は少なく、陰鬱というか疲れた顔をした者が多い。
「この国一番の街がこの有り様かよ」
現在この街には明後日の『試験』のため、国の内外から多くの志願者が集まっているはずだ。それでこの様子では本当に目も当てられない。
「国が病み始めている・・・か」
ヒスイの言葉を反芻する。
これがその結果なのだろうか。
国が病めば人心は離れ、やがては民そのものが国から逃げ出していくことになる。王都がこの有り様では地方はもっと酷い状態なのかもしれない。
そんなことを考えながら、これからの生活を想いため息をついた―――その時だった。
「いやッ、やめて下さいッ・・・!」
悲鳴が聞こえた。
ありがちな展開だと思うだろ?
「ありがちな展開だよな」
そう言いながらもユーイはその悲鳴を無視できない。困っている人を放ってはおけない。それがユーイという少年の性なのだから。
「ちょっとくらい良いじゃねぇか、お嬢さん」
「そうだぜ、何も取って喰おうってわけじゃないんだ。すこーしだけ俺達の宿に来て遊んでくれりゃ良いだけだよ」
一人の少女が二人の男に行く手を塞がれていた。
少女の方は明らかに嫌がっているのに、二人はしつこく言い寄っている。ナンパにしてもとてもスマートなものとは言い難い。
男は二人ともそれなりにガタイがよく、女の子一人が力ずくでどうにかできる相手ではなさそうだ。
そこにもう一人、金髪の優男が加わる。
「まあまあ、二人とも。お前たちみたいのが二人で取り囲んではお嬢さんも怖がってしまうだろ」
金髪の男は他の二人とは明らかに身なりからして違っていた。体型は痩せ型で力だけなら二人の方が上だろうが、二人はそこらの市民より少し良いといった程度だが彼の服装は明らかに一般市民とは言えないものだ。大きな商家の坊っちゃんか、もしかしたら貴族階級なのかもしれない。
所作もそれなりに洗練されている。
「ボクの取り巻き共が怖がらせて悪かったね。ボクの名前は『シクス・タイタン』。この名前、聞いたことあるよね?」
シクスは手のひらを胸に当てうやうやしく頭を下げる。
確かに一見紳士的な動作ではあるのだが、上げた顔の眼は少女を値踏みするかのように嫌らしい光に濡れている。
そして少女の方もそれに気づかないほど馬鹿ではない。
しかし彼の名は簡単に逆らうことができないほどの力を持っていた。
「タイタン・・・? それって、あのタイタン家の・・・?」
先程までとは違う意味で少女が身を固くする。
「理解してもらえたみたいだね。ではボクに逆らうってことがどういう結果を生むかも当然分かるよね? 自分で言うのも何だが、君のような凡俗な身分の者からしたらボクに声をかけてもらえるなんて光栄なのことなんだよ?」
シクスがつらつらと言葉を吐く度に、彼の眼は少女を見下すものへと変わっていく。
彼が家名を口にしたことに対する態度で彼女が自分よりも劣る身分であることを察したようだ。
人目も憚らず自らの身分を吹聴する。こういう人種は目下の者にはどこまでも冷酷になることができるものだ。
そして彼の思惑通り、通りを行く人々も家名を聞いた途端に目を反らし足早にその場を過ぎて行った。
「さぁ、解ったならボクの誘いを断るような不敬なマネ・・・しねぇよな?」
シクスが手を差し出す。
しかしその顔は最早紳士の仮面など被ってはいない。そこに浮かんでいたのは紛れもなく下衆の笑み。それはもう誘いではなく、命令だった。
「その辺にしといたら?」
問題なさそうだったら静観するつもりだったが、堪らずユーイは彼らに声をかけた。
四人の視線がそこで初めてユーイの存在を捉える。
「んだテメェは・・・」
シクスの取り巻きの片方がこちらに向き直る。
「武藤ユーイ」
「誰がテメェの名前なんて訊いてんだよッ! どういう了見でシクス様の邪魔してやがんだって訊いてんだッ!」
こちらを威嚇するためかズイと距離を縮めて睨んでくる。彼の方がユーイよりも身長が高いため見下ろされる格好だ。
なんだお前は、と訊かれたから名乗ったのだけれど、どうやら彼の意図するところはそこじゃなかったらしい。
それにしてもいきなり怒鳴るとはキレ易いやつ。
「悪い、ちょっと一般常識ってやつには疎くてね。それより俺にはその娘が嫌がっているように見えるんだけど」
「だから何だってんだ? シクス様はあの七大貴族―――『七星候(セブンスターズ)』の一角、タイタン家の御曹司であらせられる。テメェらみたいな下賤の輩は大人しくこの方の言うことに従ってりゃいいんだよッ」
怒鳴り終わるが早いか男はユーイの胸ぐらに掴みかかろうと太い腕を伸ばす。
しかし―――
「いぎゃあッ」
バチンとショートしたような音が鳴り、その手は見えない何かに弾かれた。
一瞬前まで威勢の良かった男の顔からみるみる血の気が引いていく。
見るとこちらに伸ばした手の指が二本ほどあらぬ方向に曲がってしまっていた。
「あ・・・あ・・・お、オレの指がぁ・・・」
男が痛みにへたり込むのを見て、他の二人が血相を変える。
「貴様、『決闘者(デュエリスト)』か・・・」
シクスが柳眉を吊り上げてこちらを睨む。
「決闘者は天によって守られた存在。決闘者はあらゆる暴力から自動的に守られる。それがこの世界の理・・・」
少女がぽつりと呟く。
それがそのまま現在の状況を説明していた。
涙を流し始めた男を放っておいて、ユーイはシクス達に歩み寄る。
「改めて自己紹介しておくよ。俺の名前は武藤ユーイ。将来、『決闘王(デュエルキング)』になる男だ」
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最初投稿の仕方が分からなくて失敗してしまいました(笑)
よろしくお願いします! (2017-12-11 10:46)
SSでも本家アニメでも異世界編とかはありますが、最初からファンタジー(?)世界が舞台なのは珍しいですね。王道な展開で女の子を襲うゲスな上流階級を相手にした勝負。楽しみです。 (2017-12-11 14:10)
コメントありがとうございます!
この小説はとにかく自分の面白いと思うことと遊戯王をミックスした作品になる予定です!皆さんにとってもそうであれば嬉しいです! (2017-12-12 05:31)