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七符「正常な異常」 作:ツバサ
※リミットレギュレーションは1月以降の物となります。
幻想郷で最も高いとされる、妖怪の山。
すっかり雲に覆われた天候の下で山の麓へと飛んできたのは東風谷早苗。
本来なら自身の神社、守矢神社が存在する頂上へとそのまま向かうところだが、今回は麓から調べていった方がいい・・・霊夢ほど頼りにはならな
いが、自身の勘がそう告げていたのだ。
そんな彼女が麓に降りると、山の入り口に頭を抱えながら石に座り込む者がいる。
フリルが付いた黒いスカート、白いシャツ、頭には頭襟をかぶり、背中から黒い翼を生やした彼女は・・・。
「・・・あれ、文さん?」
「・・・あやや?早苗さんですか・・・」
新聞記者の天狗、射命丸文だ。
しかし、普段の惚けた言動からは想像もつかないほどに弱った印象を受ける。
何故、と早苗は一瞬考え込んだが、文が座り込んだまま差し出した札を見て察した。
「・・・『幻想絆』カード・・・ですか。
その様子だと、必死に悪影響をこらえているみたいですね・・・」
「ええ・・・あなたの懐からこのカード達が放つ気と同じ物を感じたのですが・・・どうやらあなたに影響はないようですし、このまま受け取って
くれますか・・・?」
「・・・うーん」
早苗は再び考え込む。八雲紫の手紙によれば、「幻想絆」カードの悪影響はこちらも「幻想絆」カードを使い、デュエルによって勝利する以外に消
し去ることができないとのことだ。
つまり、このまま受け取ってしまったなら早苗自身も悪影響を受ける可能性があるのである。
受けない可能性も無くは無いが、試すには少々リスキーすぎる。
「・・・気が乗らないかもしれませんけど、そのカード達をデッキに入れたうえでデュエルしてくれませんか?わざと負けてもらえるならそれがい
いんですが・・・」
「その方法でないと受け取れないと・・・?うーん、仕方ないですねぇ・・・」
文のデッキは「BF」と名のついたモンスター群を中心としたデッキだが、ここでは「幻想絆」カードを繰り出しつつ負けるよう戦術を組んでくれ
たことで、早苗は難なく勝利。
彼女の体調も良くなったようであり、「幻想絆」カードを受け取った後でも早苗が悪影響を及ぼすことは無かった。
「手間をかけさせてすみません・・・文さんが回収していたのはこれらだけですか?」
「ええ。秋の神様、厄神様、河童、そして天狗衆・・・山の神様に関してはまだ回収していませんがね」
文以外に妖怪等がいないのが気になったが、文によれば皆悪影響により体調を崩しているとのこと。
すぐに回復することだろうが、早々に残りの「幻想絆」カードも回収しておかなければならないだろう。早苗は新たな「幻想絆」カードもデッキに
組み込み、浮遊する。
「では後は私に任せてください。文さんも体調に気を付けて!」
「幸運を祈りますー」
宙を漂いながら少しずつ山の上の神社へと向かう早苗。
その道中でも新たに手に入れた「幻想絆」カードをデッキに入れるべくデッキ調整を行っている。
早苗のデッキコンセプトを考えると無理に全部を入れる必要はないのだが、早苗は常識にとらわれない。
むちゃくちゃなデッキコンセプトでも無理やり回してしまうのが彼女だ。
そうしてデッキを完成させたところで速度を上げる。目的の守矢神社はすぐそこ、そして自分はそこの巫女。迷うはずがない。
見えたのは博麗神社と雰囲気が似た神社・・・守矢神社。
そして、その神社の前に二人の女性が立っている。
一人は紫がかった青髪、赤色で半袖の上着とえんじ色のスカートを着ている。
もう一人は金髪で青と白を基調とした壺装束を着た少女・・・が、目立つのはその帽子のような何かである。
市女笠に目玉が二つ付いており、たまにキョロ、とそれは動く。
この二人こそが、この神社の神様である・・・。
「ただいま戻りました、神奈子様、諏訪子様」
青髪の女性が八坂神奈子、金髪の少女が洩矢諏訪子。
一見すると特に異常がありそうにも見えない。早苗はひとまずホッとする。
が、その安心は次の瞬間驚きへと変えられる。
早苗のデッキから、4枚のカードが飛び出し、神奈子の手元へと向かったことで。
「・・・え、え?一体何が・・・」
戸惑う早苗に見せつけるように、神奈子は静かにその4枚のカードを見せつける。
「幻想絆・早苗」、「幻想絆・雛」、「幻想絆・穣子」、「幻想絆・静葉」・・・早苗自身のカードは紫から渡された束の中にあった物、残りは先
ほど文から預かったカードのうち3枚だ。
「・・・感謝するよ、早苗。よくこのカード達を持ってきてくれた・・・」
「持ってきてくれたって・・・神奈子様、一体どうしたんですか・・・?」
「・・・直接動けば、手に入れる前に退治される・・・神でも私たちは異変においては平等だからね・・・」
相変わらず自然な笑みを浮かべる神奈子、そして諏訪子。
しかし・・・その口調は明らかに不自然そのもの。早苗はまさか、と思いながらも察した。
「ま、まさか・・・『幻想絆』カードの悪影響に支配されて・・・!?」
「早苗はわかってないねぇ、私たちがそんな悪影響を受けると本気で思ってる?
こんな悪影響、すぐに克服してやったよ・・・」
けらけらと笑いだす諏訪子。が、どう見ても悪影響を受けているようにしか見えない。
ひょっとしたら、予想以上に深刻な事態となっているのかもしれない・・・。
「・・・しかし、神属性のカードと私たちの力を持った早苗のカードしか回収できないか。
どうやら早苗に譲ってもらうしかないみたいだ・・・なあ、諏訪子?」
「だねぇ、神奈子。てことで早苗、早く残りの『幻想絆』カードを渡しておくれよ?
この力をうまく使いこなせば、さらに多くの者の信仰を得られるようになるかもしれないからね」
二人の目は明らかに正常ではない。
どうやら悪影響は、二人の意識が正常であるかのように振る舞おうとしているようだが・・・それを見破れない早苗ではない。
すぐさま不足した分の4枚をデッキに投入し、早苗はデッキを突き出す。
「アンティルールです!そちらが勝てば『幻想絆』カードは全て渡します!
ですが、こちらが勝てばお二人の『幻想絆』カードを全て回収させてもらいます!」
「・・・勇ましいものだ。頼もしく感じるよ。
諏訪子、ここは私がやる。文句はないね?」
「既に私のカードも投入しているんだろ?文句なんてあるはずないね」
その言葉に神奈子は頷くと、自身が持っていたデッキを同じように早苗に対して突き出す。
「頼もしくはあるが、反抗する時期を間違えたね。
お前がまだまだ未熟だということを、この場で教えてやるよ・・・」
「確かにまだ私は未熟・・・お二人の足元にも及びません!
しかし、それでも退けない戦いはあるもの!絶対に元に戻して見せます!!」
緑色の陣と金色の陣が展開され、デュエルフィールドを形成。
デッキを置き、互いに高らかと宣言する――
――デュエル!!
今回先行を取るのは早苗。互いに8000のライフでデュエルが開始した。
「私のターンです!まずは・・・『RR-バニシング・レイニアス』を通常召喚します!」
早苗のフィールドに現れたのは、猛禽と機械が融合した見た目の鳥獣モンスター。
攻撃力1300しかないが、その目的は基本的に戦闘ではない。
「このカードが召喚、特殊召喚した自分ターンのメインフェイズ時、1度だけ手札からレベル4以下の『RR』モンスターを特殊召喚できます!私
はこの効果で『RR-ミミクリー・レイニアス』を守備表示で特殊召喚します!」
続いてバニシング・レイニアスの隣に現れたのは、黄色いパーツが特徴的な翼を持った鳥獣モンスター。
守備力1900。その数値はそれなりのものであるが、早苗はこのカードをそのまま場には残さない。
早苗が右手を2体に向けてかざすと、それぞれが光球となっていく。
「私はレベル4のバニシング・レイニアスとミミクリー・レイニアスでオーバーレイ!!」
光球となった2体は、上空に現れた時空の渦の中へと吸い込まれていく。
レミリアがネオタキオンを呼び出したときは特殊な方法であったが、今回は正規の方法で召喚される。
同じレベルのモンスター2体以上を素材として行う特殊召喚方法――
「――2体のモンスターで、オーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!!」
光球が吸い込まれて混じり合い、その中心で爆発を起こす。
そこから現れたのは、2体とは全く異なる姿の別のモンスター――
「――『RR-フォース・ストリクス』!!」
フクロウと機械が融合したような鳥獣モンスター、フォース・ストリクス。
その守備力は2000。ミミクリー・レイニアスとはそう変わらない数値だが、ここでは関係ない。
「フォース・ストリクスのモンスター効果を発動します!
オーバーレイユニットを一つ取り除くことで、デッキから鳥獣族、闇属性、レベル4モンスター1体を手札に加えられる。
私はミミクリー・レイニアスを取り除き、デッキからこの条件を満たす『RR-バニシング・レイニアス』を手札に加えます・・・」
フォース・ストリクスの周囲に漂っていた二つの光球のうち、一つが弾けてフォース・ストリクスに吸収されると、早苗のデッキから1枚のカード
がはじき出され、彼女の手に収まる。
そうして見せたカードは先ほど宣言したバニシング・レイニアス。そのまま手札へと加えた。
「墓地に送ったミミクリー・レイニアスの効果を発動します。
メインフェイズ時にこのターン墓地に送られたこのカードを除外することで、デッキからミミクリー・レイニアス以外の『RR』カード1枚を手札
に加えます。
デッキから罠カード、『RR-レディネス』を手札に加えさせてもらいますね」
再びデッキからカードがはじき出され、早苗は確認のためにそのカードを公開、手札に加えた後シャッフルする。
「カードを1枚伏せてターンを終了します」
早苗の場に伏せカードが1枚出現。
手札5枚からスタートした早苗であったが、ここまでの展開で残った手札は4枚。消費を抑えつつ戦えるのが「RR」の最大の特徴だ。
早苗のベースデッキに最初から存在していたコンセプトの1つである。
そんな早苗のプレイに関心したように神奈子は目を細める。
「流石だね、最初からその2枚が手札に加わっているとは・・・お前も中々ここの住人らしくなってきたじゃないか?」
「・・・これくらいの引きは普通です。さあ、次は神奈子様のターンです」
「ふ・・・私のターン」
カードをドローし、手札に加える神奈子。
それを見ながら、ふと早苗は疑問に思う。
(・・・そういえば神奈子様のデッキってどんなのかしら・・・)
早苗は神奈子がデュエルをしたところを一切見たことが無い。
当然ながら、諏訪子のデュエルも見たことが無い。ゆえにそのデッキタイプが全く分からない。
一方、あちらはこちらが使うデッキ内容をある程度把握している。
情報面のアドバンテージはあちらが有利と考えていいだろう。
「時に早苗。神は何によってその力を維持できるか・・・知っているだろう?」
「・・・人々の信仰によって、ですよね?
信仰の無い神は消える・・・その理は絶対です」
「そうだ。そんな不安定な神だからこそさまざまな力を振うことを許される。
そう、勝利を導けるほどの力をな・・・」
そう言って神奈子が魔法・罠ゾーンに置いたカードは、かつてその凶悪さから禁止カードとなり、のちにそのテキストを変更されることでようやく
制限カードへと舞い戻ったものだった。
「永続魔法、『王家の神殿』を発動だ・・・」
「・・・!」
すると神奈子、諏訪子の後ろに存在する守矢神社はその姿を変え、全く別の物を祀る新たな神殿となってしまった。
その様子は、まるで二人が早苗の知らない神であったかのように・・・。
「ふふ、こいつは1ターンに1度、罠カードをセットしたターンに発動できるようにするカードだ。
本来一度セットし、次の相手ターンからようやく発動可能な罠カードだが、これである程度の速攻性を持てる。
私はカードを1枚伏せる。そして『王家の神殿』の効果によってこのカードを発動させる!
罠カード、『針虫の巣窟』!」
「針虫の巣窟」・・・そのカード名を聞いた途端、早苗は嫌な予感を感じていた。
このカードを発動したプレイヤーのデッキの上から5枚を墓地に送るという、素人なら間違いなくデメリットカードとしか捉えないようなカードで
あるが・・・このカードゲームはカードを墓地に送ることでその真価を発揮するというデッキも多い。
そう、ディスアドバンテージの塊のように見えるこのカードは、時に絶大なアドバンテージをもたらすのである。
「さあ、5枚墓地に送らせてもらう・・・」
まず1枚目を墓地に送る神奈子。
1枚目は「スキル・サクセサー」。これは罠カードであるが、墓地に存在する場合、自分ターンに除外することでモンスター1体の攻撃力を800
アップさせる効果を持った中々便利なカードである。
2枚目、「シャドール・ビースト」・・・このモンスターカードは墓地に送られることで効果を発揮できる。それを発揮する前に、「針虫の巣窟」
の処理を終わらせなければならない。
3枚目、4枚目、5枚目・・・それらを見た早苗は、思わず言葉を失った。
「・・・そんな、3枚の・・・『幻想絆』・・・!?」
「幻想絆・静葉」、「幻想絆・穣子」、「幻想絆・雛」・・・3枚の神が、静かに墓地で眠る。
だが、神奈子は不敵に笑う・・・そう、彼女にとっては想定の範囲内なのである・・・。
後書き
何か月放置してんだ自分。
まあたまにはガス抜きしつつ書かないと持たないんですよ、うん。
早苗さんは「幻想絆」カードを回収しましたが、一部を奪われてしまいました。
奪った理由は・・・開発に携わった方々なら大体察しがつくことでしょう。
ただ、このままだとあれを使うのはほとんど無理なので、ある程度工夫させてもらいます。
しかしまあ、ここまで8割ほど自分のカードしか使わせてないなぁ・・・意図してるわけじゃないんですが・・・。
早苗のベースデッキは見ての通り「RR」です。意味も無しに叫ぶ兄さんは嫌いだよ・・・。
本来は「RR-ライズ・ファルコン」を切り札としつつ闇属性と風属性の混合型としようと思っていましたが、放置している間に「RR」の新カードが登場しましたからね。
「RR」、早苗さん好きそうですから・・・思わず。
幻想郷で最も高いとされる、妖怪の山。
すっかり雲に覆われた天候の下で山の麓へと飛んできたのは東風谷早苗。
本来なら自身の神社、守矢神社が存在する頂上へとそのまま向かうところだが、今回は麓から調べていった方がいい・・・霊夢ほど頼りにはならな
いが、自身の勘がそう告げていたのだ。
そんな彼女が麓に降りると、山の入り口に頭を抱えながら石に座り込む者がいる。
フリルが付いた黒いスカート、白いシャツ、頭には頭襟をかぶり、背中から黒い翼を生やした彼女は・・・。
「・・・あれ、文さん?」
「・・・あやや?早苗さんですか・・・」
新聞記者の天狗、射命丸文だ。
しかし、普段の惚けた言動からは想像もつかないほどに弱った印象を受ける。
何故、と早苗は一瞬考え込んだが、文が座り込んだまま差し出した札を見て察した。
「・・・『幻想絆』カード・・・ですか。
その様子だと、必死に悪影響をこらえているみたいですね・・・」
「ええ・・・あなたの懐からこのカード達が放つ気と同じ物を感じたのですが・・・どうやらあなたに影響はないようですし、このまま受け取って
くれますか・・・?」
「・・・うーん」
早苗は再び考え込む。八雲紫の手紙によれば、「幻想絆」カードの悪影響はこちらも「幻想絆」カードを使い、デュエルによって勝利する以外に消
し去ることができないとのことだ。
つまり、このまま受け取ってしまったなら早苗自身も悪影響を受ける可能性があるのである。
受けない可能性も無くは無いが、試すには少々リスキーすぎる。
「・・・気が乗らないかもしれませんけど、そのカード達をデッキに入れたうえでデュエルしてくれませんか?わざと負けてもらえるならそれがい
いんですが・・・」
「その方法でないと受け取れないと・・・?うーん、仕方ないですねぇ・・・」
文のデッキは「BF」と名のついたモンスター群を中心としたデッキだが、ここでは「幻想絆」カードを繰り出しつつ負けるよう戦術を組んでくれ
たことで、早苗は難なく勝利。
彼女の体調も良くなったようであり、「幻想絆」カードを受け取った後でも早苗が悪影響を及ぼすことは無かった。
「手間をかけさせてすみません・・・文さんが回収していたのはこれらだけですか?」
「ええ。秋の神様、厄神様、河童、そして天狗衆・・・山の神様に関してはまだ回収していませんがね」
文以外に妖怪等がいないのが気になったが、文によれば皆悪影響により体調を崩しているとのこと。
すぐに回復することだろうが、早々に残りの「幻想絆」カードも回収しておかなければならないだろう。早苗は新たな「幻想絆」カードもデッキに
組み込み、浮遊する。
「では後は私に任せてください。文さんも体調に気を付けて!」
「幸運を祈りますー」
宙を漂いながら少しずつ山の上の神社へと向かう早苗。
その道中でも新たに手に入れた「幻想絆」カードをデッキに入れるべくデッキ調整を行っている。
早苗のデッキコンセプトを考えると無理に全部を入れる必要はないのだが、早苗は常識にとらわれない。
むちゃくちゃなデッキコンセプトでも無理やり回してしまうのが彼女だ。
そうしてデッキを完成させたところで速度を上げる。目的の守矢神社はすぐそこ、そして自分はそこの巫女。迷うはずがない。
見えたのは博麗神社と雰囲気が似た神社・・・守矢神社。
そして、その神社の前に二人の女性が立っている。
一人は紫がかった青髪、赤色で半袖の上着とえんじ色のスカートを着ている。
もう一人は金髪で青と白を基調とした壺装束を着た少女・・・が、目立つのはその帽子のような何かである。
市女笠に目玉が二つ付いており、たまにキョロ、とそれは動く。
この二人こそが、この神社の神様である・・・。
「ただいま戻りました、神奈子様、諏訪子様」
青髪の女性が八坂神奈子、金髪の少女が洩矢諏訪子。
一見すると特に異常がありそうにも見えない。早苗はひとまずホッとする。
が、その安心は次の瞬間驚きへと変えられる。
早苗のデッキから、4枚のカードが飛び出し、神奈子の手元へと向かったことで。
「・・・え、え?一体何が・・・」
戸惑う早苗に見せつけるように、神奈子は静かにその4枚のカードを見せつける。
「幻想絆・早苗」、「幻想絆・雛」、「幻想絆・穣子」、「幻想絆・静葉」・・・早苗自身のカードは紫から渡された束の中にあった物、残りは先
ほど文から預かったカードのうち3枚だ。
「・・・感謝するよ、早苗。よくこのカード達を持ってきてくれた・・・」
「持ってきてくれたって・・・神奈子様、一体どうしたんですか・・・?」
「・・・直接動けば、手に入れる前に退治される・・・神でも私たちは異変においては平等だからね・・・」
相変わらず自然な笑みを浮かべる神奈子、そして諏訪子。
しかし・・・その口調は明らかに不自然そのもの。早苗はまさか、と思いながらも察した。
「ま、まさか・・・『幻想絆』カードの悪影響に支配されて・・・!?」
「早苗はわかってないねぇ、私たちがそんな悪影響を受けると本気で思ってる?
こんな悪影響、すぐに克服してやったよ・・・」
けらけらと笑いだす諏訪子。が、どう見ても悪影響を受けているようにしか見えない。
ひょっとしたら、予想以上に深刻な事態となっているのかもしれない・・・。
「・・・しかし、神属性のカードと私たちの力を持った早苗のカードしか回収できないか。
どうやら早苗に譲ってもらうしかないみたいだ・・・なあ、諏訪子?」
「だねぇ、神奈子。てことで早苗、早く残りの『幻想絆』カードを渡しておくれよ?
この力をうまく使いこなせば、さらに多くの者の信仰を得られるようになるかもしれないからね」
二人の目は明らかに正常ではない。
どうやら悪影響は、二人の意識が正常であるかのように振る舞おうとしているようだが・・・それを見破れない早苗ではない。
すぐさま不足した分の4枚をデッキに投入し、早苗はデッキを突き出す。
「アンティルールです!そちらが勝てば『幻想絆』カードは全て渡します!
ですが、こちらが勝てばお二人の『幻想絆』カードを全て回収させてもらいます!」
「・・・勇ましいものだ。頼もしく感じるよ。
諏訪子、ここは私がやる。文句はないね?」
「既に私のカードも投入しているんだろ?文句なんてあるはずないね」
その言葉に神奈子は頷くと、自身が持っていたデッキを同じように早苗に対して突き出す。
「頼もしくはあるが、反抗する時期を間違えたね。
お前がまだまだ未熟だということを、この場で教えてやるよ・・・」
「確かにまだ私は未熟・・・お二人の足元にも及びません!
しかし、それでも退けない戦いはあるもの!絶対に元に戻して見せます!!」
緑色の陣と金色の陣が展開され、デュエルフィールドを形成。
デッキを置き、互いに高らかと宣言する――
――デュエル!!
今回先行を取るのは早苗。互いに8000のライフでデュエルが開始した。
「私のターンです!まずは・・・『RR-バニシング・レイニアス』を通常召喚します!」
早苗のフィールドに現れたのは、猛禽と機械が融合した見た目の鳥獣モンスター。
攻撃力1300しかないが、その目的は基本的に戦闘ではない。
「このカードが召喚、特殊召喚した自分ターンのメインフェイズ時、1度だけ手札からレベル4以下の『RR』モンスターを特殊召喚できます!私
はこの効果で『RR-ミミクリー・レイニアス』を守備表示で特殊召喚します!」
続いてバニシング・レイニアスの隣に現れたのは、黄色いパーツが特徴的な翼を持った鳥獣モンスター。
守備力1900。その数値はそれなりのものであるが、早苗はこのカードをそのまま場には残さない。
早苗が右手を2体に向けてかざすと、それぞれが光球となっていく。
「私はレベル4のバニシング・レイニアスとミミクリー・レイニアスでオーバーレイ!!」
光球となった2体は、上空に現れた時空の渦の中へと吸い込まれていく。
レミリアがネオタキオンを呼び出したときは特殊な方法であったが、今回は正規の方法で召喚される。
同じレベルのモンスター2体以上を素材として行う特殊召喚方法――
「――2体のモンスターで、オーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!!」
光球が吸い込まれて混じり合い、その中心で爆発を起こす。
そこから現れたのは、2体とは全く異なる姿の別のモンスター――
「――『RR-フォース・ストリクス』!!」
フクロウと機械が融合したような鳥獣モンスター、フォース・ストリクス。
その守備力は2000。ミミクリー・レイニアスとはそう変わらない数値だが、ここでは関係ない。
「フォース・ストリクスのモンスター効果を発動します!
オーバーレイユニットを一つ取り除くことで、デッキから鳥獣族、闇属性、レベル4モンスター1体を手札に加えられる。
私はミミクリー・レイニアスを取り除き、デッキからこの条件を満たす『RR-バニシング・レイニアス』を手札に加えます・・・」
フォース・ストリクスの周囲に漂っていた二つの光球のうち、一つが弾けてフォース・ストリクスに吸収されると、早苗のデッキから1枚のカード
がはじき出され、彼女の手に収まる。
そうして見せたカードは先ほど宣言したバニシング・レイニアス。そのまま手札へと加えた。
「墓地に送ったミミクリー・レイニアスの効果を発動します。
メインフェイズ時にこのターン墓地に送られたこのカードを除外することで、デッキからミミクリー・レイニアス以外の『RR』カード1枚を手札
に加えます。
デッキから罠カード、『RR-レディネス』を手札に加えさせてもらいますね」
再びデッキからカードがはじき出され、早苗は確認のためにそのカードを公開、手札に加えた後シャッフルする。
「カードを1枚伏せてターンを終了します」
早苗の場に伏せカードが1枚出現。
手札5枚からスタートした早苗であったが、ここまでの展開で残った手札は4枚。消費を抑えつつ戦えるのが「RR」の最大の特徴だ。
早苗のベースデッキに最初から存在していたコンセプトの1つである。
そんな早苗のプレイに関心したように神奈子は目を細める。
「流石だね、最初からその2枚が手札に加わっているとは・・・お前も中々ここの住人らしくなってきたじゃないか?」
「・・・これくらいの引きは普通です。さあ、次は神奈子様のターンです」
「ふ・・・私のターン」
カードをドローし、手札に加える神奈子。
それを見ながら、ふと早苗は疑問に思う。
(・・・そういえば神奈子様のデッキってどんなのかしら・・・)
早苗は神奈子がデュエルをしたところを一切見たことが無い。
当然ながら、諏訪子のデュエルも見たことが無い。ゆえにそのデッキタイプが全く分からない。
一方、あちらはこちらが使うデッキ内容をある程度把握している。
情報面のアドバンテージはあちらが有利と考えていいだろう。
「時に早苗。神は何によってその力を維持できるか・・・知っているだろう?」
「・・・人々の信仰によって、ですよね?
信仰の無い神は消える・・・その理は絶対です」
「そうだ。そんな不安定な神だからこそさまざまな力を振うことを許される。
そう、勝利を導けるほどの力をな・・・」
そう言って神奈子が魔法・罠ゾーンに置いたカードは、かつてその凶悪さから禁止カードとなり、のちにそのテキストを変更されることでようやく
制限カードへと舞い戻ったものだった。
「永続魔法、『王家の神殿』を発動だ・・・」
「・・・!」
すると神奈子、諏訪子の後ろに存在する守矢神社はその姿を変え、全く別の物を祀る新たな神殿となってしまった。
その様子は、まるで二人が早苗の知らない神であったかのように・・・。
「ふふ、こいつは1ターンに1度、罠カードをセットしたターンに発動できるようにするカードだ。
本来一度セットし、次の相手ターンからようやく発動可能な罠カードだが、これである程度の速攻性を持てる。
私はカードを1枚伏せる。そして『王家の神殿』の効果によってこのカードを発動させる!
罠カード、『針虫の巣窟』!」
「針虫の巣窟」・・・そのカード名を聞いた途端、早苗は嫌な予感を感じていた。
このカードを発動したプレイヤーのデッキの上から5枚を墓地に送るという、素人なら間違いなくデメリットカードとしか捉えないようなカードで
あるが・・・このカードゲームはカードを墓地に送ることでその真価を発揮するというデッキも多い。
そう、ディスアドバンテージの塊のように見えるこのカードは、時に絶大なアドバンテージをもたらすのである。
「さあ、5枚墓地に送らせてもらう・・・」
まず1枚目を墓地に送る神奈子。
1枚目は「スキル・サクセサー」。これは罠カードであるが、墓地に存在する場合、自分ターンに除外することでモンスター1体の攻撃力を800
アップさせる効果を持った中々便利なカードである。
2枚目、「シャドール・ビースト」・・・このモンスターカードは墓地に送られることで効果を発揮できる。それを発揮する前に、「針虫の巣窟」
の処理を終わらせなければならない。
3枚目、4枚目、5枚目・・・それらを見た早苗は、思わず言葉を失った。
「・・・そんな、3枚の・・・『幻想絆』・・・!?」
「幻想絆・静葉」、「幻想絆・穣子」、「幻想絆・雛」・・・3枚の神が、静かに墓地で眠る。
だが、神奈子は不敵に笑う・・・そう、彼女にとっては想定の範囲内なのである・・・。
後書き
何か月放置してんだ自分。
まあたまにはガス抜きしつつ書かないと持たないんですよ、うん。
早苗さんは「幻想絆」カードを回収しましたが、一部を奪われてしまいました。
奪った理由は・・・開発に携わった方々なら大体察しがつくことでしょう。
ただ、このままだとあれを使うのはほとんど無理なので、ある程度工夫させてもらいます。
しかしまあ、ここまで8割ほど自分のカードしか使わせてないなぁ・・・意図してるわけじゃないんですが・・・。
早苗のベースデッキは見ての通り「RR」です。意味も無しに叫ぶ兄さんは嫌いだよ・・・。
本来は「RR-ライズ・ファルコン」を切り札としつつ闇属性と風属性の混合型としようと思っていましたが、放置している間に「RR」の新カードが登場しましたからね。
「RR」、早苗さん好きそうですから・・・思わず。
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イイネ | タイトル | 閲覧数 | コメ数 | 投稿日 | 操作 | |
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48 | 零符「予兆、異変の始まり」 | 940 | 0 | 2014-11-24 | - | |
81 | 壱符「始まり、託された絆」 | 947 | 1 | 2014-11-25 | - | |
80 | 二符「開幕、紅き主の剣」 | 877 | 0 | 2014-11-26 | - | |
58 | 参符「ロストプライド」 | 1324 | 0 | 2014-11-28 | - | |
85 | 四符「心理の内」 | 815 | 0 | 2014-11-29 | - | |
81 | 五符「運命と微かな希望」 | 969 | 0 | 2014-11-30 | - | |
90 | 六符「歪められた運命」 | 1057 | 5 | 2014-12-01 | - | |
109 | 七符「正常な異常」 | 841 | 2 | 2015-02-16 | - | |
141 | 八符「見えぬその深さ」 | 1765 | 2 | 2015-06-13 | - |
更新情報 - NEW -
- 2024/09/30 新商品 WORLD PREMIERE PACK 2024 カードリスト追加。
- 09/30 12:47 評価 8点 《鎖付き飛龍炎刃》「《サラマンドラ》と《鎖付きブーメラン》が合…
- 09/30 12:43 掲示板 オリカコンテスト(R)計画処
- 09/30 12:27 評価 8点 《サラマンドラ・フュージョン》「明らかに《聖騎士の追想 イゾル…
- 09/30 12:15 評価 7点 《果てなき灰滅》「《灰滅》の永続罠。 自身の送り付けが可能な《…
- 09/30 12:15 デッキ 灰よ
- 09/30 11:56 掲示板 オリカコンテスト(R)計画処
- 09/30 11:49 評価 6点 《灰滅せし都の先懸》「相手の場にエース級や《滅亡龍 ヴェイドス…
- 09/30 11:47 評価 9点 《滅亡龍 ヴェイドス》「名前と出で立ちから《ドラゴン族》っぽく…
- 09/30 11:45 評価 7点 《灰滅せし都の英雄》「灰滅の妨害要員になれるカード。 《滅亡龍…
- 09/30 11:41 デッキ さらりと強化された暗黒界
- 09/30 11:37 評価 7点 《灰滅の憤怒》「ほぼ《滅亡龍 ヴェイドス》を墓地に送ってそれを…
- 09/30 11:27 評価 8点 《灰滅せし成れの果て》「素材のゆるさが本体。 《果てなき灰滅》…
- 09/30 11:23 評価 9点 《滅亡き闇 ヴェイドス》「主に《果てなき灰滅》による融合効果で…
- 09/30 11:19 ボケ Voici la Carte~メニューはこちら~の新規ボケ。私の人生…
- 09/30 11:14 評価 7点 《終わりなき灰滅》「《滅亡龍 ヴェイドス》でセットできる永続罠…
- 09/30 11:06 評価 8点 《灰滅の復燃》「灰滅の妨害方法は破壊に偏っていますが、このカー…
- 09/30 11:04 ボケ 狂愛の竜娘アイザの新規ボケ。"狂愛"…? 失礼だな…"純愛"だよ。 …
- 09/30 11:01 ボケ 暗黒界の文殿の新規ボケ。さて…今日は伊東ライフ先生にするか…
- 09/30 11:00 評価 5点 《狂愛の竜娘アイザ》「 自ら相手にくっついた挙げ句に心中してく…
- 09/30 10:58 評価 8点 《果てなき灰滅》「《滅亡龍 ヴェイドス》によってセットできる罠…
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新符お疲れ様でした!更新待ち望んでた時に偶然見つけてびっくりです。早苗さんが不審者のカードとは……瑠璃ィィィィ! (2015-02-21 16:50)
後書きでも書いてある通り、本来「RR」を使わせるつもりは無く、切り札がライズ・ファルコンという予定だったのですが、新規が続々登場するうちに早苗さんのロボット好きという二次設定を反映させようと使わせてみました。種族こそ鳥獣族ですが、見た目はほとんど機械族ですからね・・・。 (2015-02-21 23:20)