6月8日──熱い炎　作：コンドル

デュエルアカデミア大会開始から約一時間が経過し、鶴咲輪廻は対戦相手を発見した。相手は樋山伴弾というラグビー選手のようなガッシリした体格の、髪型はオールバックの男、この男は火山のように熱い｢ヴォルカニック」というデッキを使用し、デュエル開始から早速輪廻に炎の弾丸を発射し、ダメージを与える。
その炎を受け、輪廻の魂の炎も、熱く燃え上がろうとしていた...。



現在のフィールド

伴弾
LP3500
手札3
場　ヴォルカニック･ハンマー1伏1
墓地ヴォルカニック･バレット1THE･トリッキー1

輪廻LP3800
手札5
場、墓地、除外無

現在輪廻のターン

｢俺は手札から『幻装騎士　ブレイブ』を召喚！」

黄金の鎧を纏い、飾りの無い剣を持つ若き勇者が輪廻のフィールドに参上する。勇者が剣を鞘から抜く。

ブレイブ(光)　LV2　ATK1000DEF500
(行くぜ！)
｢ブレイブの効果発動！1ターンに1度、手札から『幻装獣』と名の付くモンスター1体を特殊召喚できる！来い！『幻装獣　スクォンク』！」

ブレイブは剣を天に掲げ、異次元へ繋がるホールを開く。その中からやって来たスクォンクが現れ、そして即座にフィールドから消滅した。

｢スクォンクの効果発動！スクォンクは召喚、特殊召喚に成功した時、戦場から跡形もなく消滅する！」
｢ほう、えらく弱腰なモンスターじゃな。だが、そんな奴を効果を使用し特殊召喚したという事は、何か策がある...ということかのう」

勘が鋭いというべきか、樋山は輪廻が何故スクォンクを特殊召喚したか、その理由があると推察する。
その推察は当たっているのか、輪廻は笑顔の表情を崩さず、次に移る。

｢手札から魔法カード『二重召喚』を発動！これにより、俺は再びモンスターを通常召喚できるぜ。さぁ、俺は『幻装獣　クラーケン』を召喚！」

水色のエネルギー体の幻装獣が現れる。白い鎧が体に装着されているタコのようなイカのようなその幻装獣に、ブレイブは優しい笑顔を向けた。

クラーケン(水)　LV4　ATK900DEF800

｢出し惜しみは無しで行く！幻装獣クラーケンの効果発動！相手フィールドのリンクモンスター以外の効果モンスター1体を、ヴォルカニック･ハンマーを対象とし、そのモンスターをデッキに戻す！」
｢何！？」

クラーケンの口らしき部分から放たれた墨がヴォルカニック･ハンマーをフィールドから退ける。そしてクラーケンも力尽きたように光の粒子となる。

｢そしてクラーケンは次にやって来る俺のターンのスタンバイフェイズまで除外される」
｢くっ...そのクラーケンとやら、強いのぉ。効果だけでなく、体格が一回りも二回りも違うヴォルカニック･ハンマーに臆することなく攻撃するとは...」

大型モンスターがあっさり除去されたことが少し堪えたか、樋山は一瞬だけ苦い表情を浮かべるも、すぐさま切り替え、むしろハンマーを倒したクラーケンに対し称賛の言葉を浴びせた。これに輪廻は嬉しそうに笑う。

｢そう言われるとクラーケンも嬉しいだろうぜ。･･･さぁ続けようか。バトル！ブレイブで樋山にダイレクトアタック！」

シャイニング･ソード！

ブレイブが樋山に向かい真っ直ぐに突っ込んで行き、目の前で腕を振り上げ、一切の無駄なく、樋山を斬る。

｢罠発動！ブレイズ･キャノン･マガジン！くっ！」伴弾　LP3500→2500

｢･･･俺はカードを1枚セット。ターンエンドだ」

輪廻LP3800
手札1
場ブレイブ1伏1
墓地魔法1
除外スクォンク1クラーケン1

伴弾LP2500
手札3
場ブレイズ･キャノン･マガジン　墓地ヴォルカニック･ハンマー1、ヴォルカニック･バレット1、THE･トリッキー1
除外無

｢俺のターン、ドロー！･･･よおし、俺は『ヴォルカニック･ロケット』を召喚！」

ロケット(炎)　LV4
ATK1900DEF1400

｢ヴォルカニック･ロケットが召喚、特殊召喚に成功した時、デッキ、墓地から『ブレイズ･キャノン』と名の付くカード1枚を手札に加えられる。俺はデッキから『ブレイズ･キャノン』を手札に加え、発動！そしてブレイズ･キャノンを墓地へ！手札から、『ブレイズ･キャノン―トライデント』を発動！」

炎のエネルギーを蓄積したような巨大な砲台が二つ、そして燃えているロケットと名の付くモンスター。見ているだけで火傷しそうな盤面である。樋山はこのフィールドを見て、少し残念そうな表情を浮かべ、手札のカードを見つめる。

(鶴咲輪廻か...中々に熱い男よ。だが、まだまだ熱さが足りん！)

｢マガジンの効果発動！1ターンに1度、メインフェイズに手札からヴォルカニックカード1枚を墓地へ送ることで、デッキから1枚ドローする！」

樋山の送ったカードが炎となり、マガジンにエネルギーとしてチャージされる。

｢行くぞ！バトル！ヴォルカニック･ロケットで、幻装騎士ブレイブを攻撃！」

ロケット噴射をしながら、ヴォルカニック･ロケットがブレイブに向かって勢いよく突進。ブレイブの腹を、貫くように突き上げ、瞬間ロケットと共にブレイブが爆発。煙が上がり、暫くしてロケットだけがフィールドに戻ってきた。

｢あちっ、熱っ！」輪廻LP3800→2900

ロケットの攻撃はやはり熱いようだ。体は跳ね飛びをするように熱を冷ます行動を一心不乱にする。

｢そしてターンエンド」

樋山
LP2500　
手札2　
場ヴォルカニック･ロケット1、ブレイズ･キャノン･マガジン1、ブレイズ･キャノン―トライデント
墓地ヴォルカニック･バレット1、ブレイズ･キャノン1、？1

輪廻
LP2900
手札1
場伏1
墓地ブレイブ1
除外スクォンク、クラーケン

｢俺のターン、ドロー！スタンバイフェイズ時に、クラーケンが戻ってくるぜ！」

クラーケン(水)　LV4
ATK900DEF800

戻ってきたクラーケンに輪廻は信頼の眼差しを向ける。

樋山のフィールドを一瞥する。そして輪廻は目を瞑った。

(･･･やっぱデュエルってのはこんな風じゃねぇと。全力で、そうさ。分かったぜ。俺と樋山の似たところ...よし...)

ビュー、と、風が二人のデュエリストの髪を撫でた。
｢いい風だなぁ...なんか、俺達のデュエルを祝ってくれてるみたいだ」
｢？」
輪廻は目を瞑りながら樋山に語りかける。
｢俺のモットーは全力でデュエルを楽しむこと...俺、結構熱くなりやすくてよ、昔は熱くなりすぎて親父に怒られて...けど、樋山の熱い闘志とか、そういうデュエルに対する態度...そういうの見てるとよ...俺...」

瞬間、風が強くなる。風の音が強くなり、樋山の額に汗が流れ、輪廻から目が離せない状態となった。輪廻は目を開き、そして、右の拳を握り、風を切った。

｢負けられねぇ！だから、俺の燃えているこの魂の炎を、今まで以上に燃やす！この風を受けて、更に炎を強くする！樋山！お前の炎を越えてな！」

樋山は何か感じ取った。

(熱くか、フム、鶴咲輪廻、成る程...よし。やはりデュエルはこうでなくてはな！)

｢ならばやってみろ！鶴咲輪廻！貴様のようなデュエリストこそ、この手札にある俺の切り札を出すに相応しい！」

　　ここからが本当の勝負だ！！