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第五話 奇術師の決闘VS異次元の王③” 作:そうじ☆屋
【DDD反骨王レオニダス】
異次元の悪魔の王の名を冠するその黄金の悪魔と対峙するクオンはその困惑を隠せずにいた。
なぜなら彼はこの世界に転生を果たしてからは、前世とのカードプールのあまりの差に驚き、このまま放っておいてはいずれ重要なデュエルで致命的なミスを犯してしまうと考え、遊勝塾の中でも一番カード知識の収集に力を入れていた。
そのおかげで彼のカード知識はかなりのものとなっていたのだが、そんな彼の知識でも目の前のモンスターがいったいどんなカードなのかその正体がわからなかったからだ。
「(確かに私の知識も完璧ではない。しかし、これほどのプレッシャーを放つモンスター。市場に出回っていれば噂ぐらい聞いてもおかしくないはずだが………!?そうか!!)」
と、そこまで考えたところでクオンは目の前のモンスターがどういうカードなのか、ある考えに行き着いた。
「なるほど。LDS製のカードということですか」
「ああ、その通りだ」
クオンのその言葉に、零児は静かに頷く。
クオンの前世であるデュエルモンスターズ初期の時代。デュエルモンスターズのカードをデザイン、製造ができるのは、デュエルモンスターズの創造主であるペガサス・J・クロフォードが会長を務めていた|I2《インダストリアル・イリュージョン》社のみであったが、今の時代ではそれなりに厳しい制約を果たすことができれば、自社製のカードを製造することができる。
つまり、目の前のモンスターはレオ・コーポレーションが製造した、赤馬零児専用カテゴリのモンスターということになる。
「(あのペガサス・J・クロフォードは「トゥ―ン」という専用モンスターを創造したと聞きますが、さすが世界屈指の大企業のトップにして100年に一度の天才と謳われたデュエリスト。スケールが違いますねえ)」
妙なところで感心しているクオンをよそに、零児はデュエルを続ける。
「さて、私はここで特殊召喚したレオニダスの効果を発動させてもらう。このカードは効果ダメージを受けた時に特殊召喚できることは話したと思うが、特殊召喚した際、私は自分が受けたダメージの分だけライフを回復することができる。『イーヴィル・キュア』!」
すると、レオニダスの瞳が赤く光ったかと思うと、零児の体を青い波導が包み込む。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
零児
LP:2900→3900
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「さらにレオニダスがフィールド上に表側表示で存在する限り、私が受ける効果ダメージは全て0になる」
「それはまた……」
零児の言葉に呆れたような声をあげるクオン。
だがそれも仕方ないだろう。つまり目の前のモンスターがいる限り、事実上バーンダメージで零児を倒すことなど不可能だということなのだから。
「さらに私は「命削りの宝札」を発動。このカードにより、私は5ターン後すべてのカードを捨てることにより、カードを5枚ドローすることが可能となる」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
命削りの宝札
通常魔法(未OCG)
自分の手札が5枚になるようにデッキからカードをドローする。 発動後5回目の自分のスタンバイフェイズ時に手札を全て墓地に送る。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
5ターン後にすべての手札を捨てるというリスクはあるが、最大5枚ものドローカードを実現することができる、かつて海馬瀬戸も愛用したといわれる超レアカード。
既に禁止になっている強欲な壺をも上回る最強クラスのドロー増強カードでありながら、あまりの効果により生産が途中で中止されてしまったために、その希少性により未だに制限《現役》であるそのカードの効果により、零児はカードを5枚引く。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
零児
手札0枚→5枚
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
カード効果により零児は十分に手札を補充すると、さらに魔法カードを発動させる。
「さらに私は永続魔法カード、「地獄門の契約書」を発動。このカードは戦乙女の契約書と同じく、所有者に1000ポイントのダメージを与える代わりに1ターンに1度、デッキからレベル4以下の「DD」モンスターを手札に加える。私はレベル4「DDリリス」を選択」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
地獄門の契約書
永続魔法(原作効果)
①:自分スタンバイフェイズに発動する。
自分は1000ダメージを受ける。
②:1ターンに1度、デッキからレベル4以下の「DD」モンスター1体を手札に加える事ができる。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
DDリリス
効果モンスター (原作効果)
星4/闇属性/悪魔族/攻 100/守 2100
①:このカードが手札から特殊召喚に成功した場合、
自分の墓地の「DD」モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを手札に加える。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
地獄門の契約書の効果により零児はデッキから1枚のカードを手札に加える。
「そして私は永続魔法「魔神王の契約書」を発動する!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
|魔神王《ましんおう》の|契約書《けいやくしょ》
永続魔法
「魔神王の契約書」の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分メインフェイズに発動できる。
自分の手札・フィールドから、
悪魔族の融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、
その融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する。
「DD」融合モンスターを融合召喚する場合、
自分の墓地のモンスターを除外して融合素材とする事もできる。
(2):自分スタンバイフェイズに発動する。
自分は1000ダメージを受ける。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「このカードも地獄門の契約書同様、自分のスタンバイフェイズ時、自分自身に1000ポイントのダメージを与えるが、その対価として、1ターンに一度、悪魔族融合モンスターを融合魔法無しに融合召喚できる」
「なッ!?」
「融合魔法無しに、融合召喚だって!?」
その彼の言葉に反応したのは、融合使いである素良と、その素良と戦い苦戦させられた遊矢の二人だった。
その二人の声が聞こえたのか、零児はどこか不適な笑みを浮かべる。
「私が融合するのはDDケルベロスとDDリリス」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
|DD《ディーディー》ケルベロス
ペンデュラム・効果モンスター
星4/闇属性/悪魔族/攻1800/守 600
【Pスケール:青6/赤6】
(1):1ターンに1度、自分フィールドの「DD」モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターのレベルを4にし、攻撃力・守備力を400アップする。
【モンスター効果】
(1):このカードが手札からP召喚に成功した時、
「DDケルベロス」以外の「DD」モンスターが自分フィールドに存在する場合に
自分の墓地の永続魔法カード1枚を対象として発動できる。
そのカードを手札に加える。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
そして零児は先ほど地獄門の契約書の効果により手札に加えたDDリリスと、元から手札に会ったDDケルベロスの二枚のカードを天高く掲げると叫びだす。まるで新たな王の誕生を祝うが如く。
「牙むく地獄の番犬よ、闇夜に誘う妖婦よ。冥府に渦巻く光の中で、今一つとなりて新たな王を生み出さん!!融合召喚。生誕せよレベル6「DDD烈火王テムジン」!!」
そして天から一人の紅き王が現れる。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
DDD烈火王テムジン
融合・効果モンスター
星6/炎属性/悪魔族/攻2000/守1500
「DD」モンスター×2
「DDD烈火王テムジン」の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードがモンスターゾーンに存在し、
自分フィールドにこのカード以外の「DD」モンスターが特殊召喚された場合、
自分の墓地の「DD」モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを特殊召喚する。
(2):このカードが戦闘または相手の効果で破壊された場合、
自分の墓地の「契約書」カード1枚を対象として発動できる。
そのカードを手札に加える。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
素良と遊矢。そして柚子と真澄のデュエルにより融合召喚については知っていた遊勝塾の面々も、それらとはまた違った融合召喚を披露した零児のやり方に驚きを隠せない。
「あいつ融合使いか!!」
「でもあのモンスターを呼び出すためだけにあんなリスクを?」
「今度はあのレオニダスってモンスターと同じDDD……」
「Dが三つ?」
「どういう意味だ?」
困惑する遊勝塾の面々。塾長である柊修三も、今までの試合で零児が一回も融合召喚を使っていないことを確認すると不安そうな表情を浮かべるが、しかし当の本人であるクオンだけは、ただ感心の声を上げるだけでいつものペースを崩さない。
「ほー、融合魔法無しで融合召喚ですか。フュージョンゲートを使うわけでも無し、専用の融合魔法でも無し。珍しいカードを使いますねえ」
そんな彼の言葉に、しかし零児は無言で返すと、さらなるモンスターを召喚する。
「さらに私はチューナーモンスター。「DDナイト・ハウリング」を召喚する」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
|DD《ディーディー》ナイト・ハウリング
チューナー・効果モンスター
星3/闇属性/悪魔族/攻 300/守 600
(1):このカードが召喚に成功した時、
自分の墓地の「DD」モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターの攻撃力・守備力は0になり、
そのモンスターが破壊された場合に自分は1000ダメージを受ける。
この効果の発動後、ターン終了時まで自分は悪魔族モンスターしか特殊召喚できない。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
すると、零児のフィールド上にワニの顔のようなモンスターが召喚される。
「チューナーモンスターだと!?あやつまさかッ!!」
そのモンスターの登場に、先ほど自身が行ったデュエルが頭の中によぎった権現坂は、零児がこれから行おうとしていることがなんなのか理解したのか驚愕の声を上げる。
そんな彼の様子を一瞥しながらも、零児は淡々とデュエルを続ける。
「このカードが召喚に成功した時、墓地からレベル4以下のDDモンスターを特殊召喚することができる。私はこの効果により墓地からDDリリスを特殊召喚する」
すると黒い穴が出現し、その中からユリを模した悪魔が現れる。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
DDリリス
攻撃力100/守備力2100
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
新たに出現した悪魔の登場に、クオンはこのデュエルにおいてはじめて笑みを消した。
「……なるほど、シンクロ召喚ですか……」
「ご名答だ。さあ、行くぞ。私はレベル4のDDリリスに、レベル3のDDナイト・ハウリングをチューニング!!」
すると2体のの悪魔が飛び上がったかと思えば、DDナイト・ハウリングが光の輪となりその姿を消し、DDリリスがその光の輪の中を駆け抜ける。
「闇を切り裂く咆哮よ。疾風の速さを得て、新たな王の産声となれ!!シンクロ召喚。生誕せよ、レベル7「DDD疾風王アレクサンダー」!!」
その零児の言葉とともに、光の柱の中から緑色のオーラを纏った新たな王が現れた。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
DDD疾風王アレクサンダー
シンクロ・効果モンスター
星7/風属性/悪魔族/攻2500/守2000
「DD」チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
「DDD疾風王アレクサンダー」の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードがモンスターゾーンに存在し、
自分フィールドにこのカード以外の「DD」モンスターが召喚・特殊召喚された場合、
自分の墓地のレベル4以下の「DD」モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを特殊召喚する。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
シンクロ召喚により新たな悪魔の登場に、観覧席からこのデュエルで何度目かわからない驚きの声が上がる。
「やつが使えるのは融合だけじゃなかったのか……!!」
だが、どうやら驚くのはまだ早かったようで、零児のデュエルはさらなる動きを見せる。
「まだ終わりではない。私はDDD烈火王テムジンのモンスター効果を発動」
するとテムジンの纏っていたオーラが紅色から紫色のオーラへと変色する。
「このカード以外にDDDと名のつくモンスターが特殊召喚された時、墓地に存在するDDと名のついたモンスターを一体特殊召喚できる。再び蘇れ、DDリリス!!」
その言葉とともに先ほどアレクサンダーのシンクロ召喚に使われた一体であるDDリリスが再びフィールド上にその姿を現した。
「さらに、DDD疾風王アレクサンダーのモンスター効果を発動!DDと名のついたモンスターが特殊召喚された時、墓地にいるDDと名のついたモンスター一体を特殊召喚することができる!!」
すると、アレクサンダーの周りに突風が吹き荒れ、新たに黒い渦が生まれたかと思えば二足歩行の三つの犬の首を持つ化け物が零児のフィールドに出現した。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
DDケルベロス
攻撃力1800/守備力600
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「そしてレベル4のDDケルベロスとレベル4DDリリスでオーバーレイ!!」
「なッ!?」
「2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!!」
そして2対のモンスターが光となり、空に出現した渦の中に飛び込んだかと思えば、その中から大きな雷が、フィールドに落ちた。そしてその中から三対目の王が出現する。
「この世の全てを統べるため、今世界の頂に降臨せよ!!エクシーズ召喚。生誕せよ、ランク4「怒涛王シーザー」!!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
|DDD《ディーディーディー》|怒濤王《どとうおう》シーザー
エクシーズ・効果モンスター
ランク4/水属性/悪魔族/攻2400/守1200
悪魔族レベル4モンスター×2
「DDD怒濤王シーザー」の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。
このターンに破壊されたモンスターをバトルフェイズ終了時に、
自分の墓地から可能な限り特殊召喚する。
次のスタンバイフェイズに自分は
この効果で特殊召喚したモンスターの数×1000ダメージを受ける。
この効果は相手ターンでも発動できる。
(2):このカードがフィールドから墓地へ送られた場合に発動できる。
デッキから「契約書」カード1枚を手札に加える。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
新たに出現した王の姿に、観覧席から今日一番の驚愕の声が上がる。
「あれは……!?」
「エクシーズモンスターまでも……」
「な、なんてやつだ!?」
そしてそれは零児の本気のデュエルを見たことがないLDSの生徒たちも同じであったが、そんな中、赤馬理事長だけは笑みを浮かべていた。
それは先ほどの不安な状態から自らの息子が一気に逆転したことからなる安心の笑みだった。
「(そう、それでいいのよ零児さん。あなたは最強のデュエリスト。こんなところで負けるはずがない)」
そして零児の情報をあらかじめ知っていた柊塾長も、赤馬が行った三つの召喚により生み出された三体のモンスターに動揺こそしていなかったが、その顔にはいつものどこかコミカルな表情はなく、深刻なものを宿していた。
「三つの召喚方法を自在に操る。これが赤馬零児……」
そしてその三体の王と相対しているクオンは、いつもの笑みを浮かべながら、しかし珍しくその額から冷や汗を流していた。
「(これはこれは……。少々まずいかもしれませんねえ」
そんな彼の内心を知ってか知らずか。零児はその瞳に鋭い眼光を宿しながら話を続ける。
「『DDD』とはすなわち、「|D《ディファレント》|D《ディメンション》|D《デーモン》」。
さあ異次元をも制する王の力、たっぷり味わうがいい」
そして彼は不敵に笑った。
異次元の悪魔の王の名を冠するその黄金の悪魔と対峙するクオンはその困惑を隠せずにいた。
なぜなら彼はこの世界に転生を果たしてからは、前世とのカードプールのあまりの差に驚き、このまま放っておいてはいずれ重要なデュエルで致命的なミスを犯してしまうと考え、遊勝塾の中でも一番カード知識の収集に力を入れていた。
そのおかげで彼のカード知識はかなりのものとなっていたのだが、そんな彼の知識でも目の前のモンスターがいったいどんなカードなのかその正体がわからなかったからだ。
「(確かに私の知識も完璧ではない。しかし、これほどのプレッシャーを放つモンスター。市場に出回っていれば噂ぐらい聞いてもおかしくないはずだが………!?そうか!!)」
と、そこまで考えたところでクオンは目の前のモンスターがどういうカードなのか、ある考えに行き着いた。
「なるほど。LDS製のカードということですか」
「ああ、その通りだ」
クオンのその言葉に、零児は静かに頷く。
クオンの前世であるデュエルモンスターズ初期の時代。デュエルモンスターズのカードをデザイン、製造ができるのは、デュエルモンスターズの創造主であるペガサス・J・クロフォードが会長を務めていた|I2《インダストリアル・イリュージョン》社のみであったが、今の時代ではそれなりに厳しい制約を果たすことができれば、自社製のカードを製造することができる。
つまり、目の前のモンスターはレオ・コーポレーションが製造した、赤馬零児専用カテゴリのモンスターということになる。
「(あのペガサス・J・クロフォードは「トゥ―ン」という専用モンスターを創造したと聞きますが、さすが世界屈指の大企業のトップにして100年に一度の天才と謳われたデュエリスト。スケールが違いますねえ)」
妙なところで感心しているクオンをよそに、零児はデュエルを続ける。
「さて、私はここで特殊召喚したレオニダスの効果を発動させてもらう。このカードは効果ダメージを受けた時に特殊召喚できることは話したと思うが、特殊召喚した際、私は自分が受けたダメージの分だけライフを回復することができる。『イーヴィル・キュア』!」
すると、レオニダスの瞳が赤く光ったかと思うと、零児の体を青い波導が包み込む。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
零児
LP:2900→3900
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「さらにレオニダスがフィールド上に表側表示で存在する限り、私が受ける効果ダメージは全て0になる」
「それはまた……」
零児の言葉に呆れたような声をあげるクオン。
だがそれも仕方ないだろう。つまり目の前のモンスターがいる限り、事実上バーンダメージで零児を倒すことなど不可能だということなのだから。
「さらに私は「命削りの宝札」を発動。このカードにより、私は5ターン後すべてのカードを捨てることにより、カードを5枚ドローすることが可能となる」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
命削りの宝札
通常魔法(未OCG)
自分の手札が5枚になるようにデッキからカードをドローする。 発動後5回目の自分のスタンバイフェイズ時に手札を全て墓地に送る。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
5ターン後にすべての手札を捨てるというリスクはあるが、最大5枚ものドローカードを実現することができる、かつて海馬瀬戸も愛用したといわれる超レアカード。
既に禁止になっている強欲な壺をも上回る最強クラスのドロー増強カードでありながら、あまりの効果により生産が途中で中止されてしまったために、その希少性により未だに制限《現役》であるそのカードの効果により、零児はカードを5枚引く。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
零児
手札0枚→5枚
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
カード効果により零児は十分に手札を補充すると、さらに魔法カードを発動させる。
「さらに私は永続魔法カード、「地獄門の契約書」を発動。このカードは戦乙女の契約書と同じく、所有者に1000ポイントのダメージを与える代わりに1ターンに1度、デッキからレベル4以下の「DD」モンスターを手札に加える。私はレベル4「DDリリス」を選択」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
地獄門の契約書
永続魔法(原作効果)
①:自分スタンバイフェイズに発動する。
自分は1000ダメージを受ける。
②:1ターンに1度、デッキからレベル4以下の「DD」モンスター1体を手札に加える事ができる。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
DDリリス
効果モンスター (原作効果)
星4/闇属性/悪魔族/攻 100/守 2100
①:このカードが手札から特殊召喚に成功した場合、
自分の墓地の「DD」モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを手札に加える。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
地獄門の契約書の効果により零児はデッキから1枚のカードを手札に加える。
「そして私は永続魔法「魔神王の契約書」を発動する!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
|魔神王《ましんおう》の|契約書《けいやくしょ》
永続魔法
「魔神王の契約書」の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分メインフェイズに発動できる。
自分の手札・フィールドから、
悪魔族の融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、
その融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する。
「DD」融合モンスターを融合召喚する場合、
自分の墓地のモンスターを除外して融合素材とする事もできる。
(2):自分スタンバイフェイズに発動する。
自分は1000ダメージを受ける。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「このカードも地獄門の契約書同様、自分のスタンバイフェイズ時、自分自身に1000ポイントのダメージを与えるが、その対価として、1ターンに一度、悪魔族融合モンスターを融合魔法無しに融合召喚できる」
「なッ!?」
「融合魔法無しに、融合召喚だって!?」
その彼の言葉に反応したのは、融合使いである素良と、その素良と戦い苦戦させられた遊矢の二人だった。
その二人の声が聞こえたのか、零児はどこか不適な笑みを浮かべる。
「私が融合するのはDDケルベロスとDDリリス」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
|DD《ディーディー》ケルベロス
ペンデュラム・効果モンスター
星4/闇属性/悪魔族/攻1800/守 600
【Pスケール:青6/赤6】
(1):1ターンに1度、自分フィールドの「DD」モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターのレベルを4にし、攻撃力・守備力を400アップする。
【モンスター効果】
(1):このカードが手札からP召喚に成功した時、
「DDケルベロス」以外の「DD」モンスターが自分フィールドに存在する場合に
自分の墓地の永続魔法カード1枚を対象として発動できる。
そのカードを手札に加える。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
そして零児は先ほど地獄門の契約書の効果により手札に加えたDDリリスと、元から手札に会ったDDケルベロスの二枚のカードを天高く掲げると叫びだす。まるで新たな王の誕生を祝うが如く。
「牙むく地獄の番犬よ、闇夜に誘う妖婦よ。冥府に渦巻く光の中で、今一つとなりて新たな王を生み出さん!!融合召喚。生誕せよレベル6「DDD烈火王テムジン」!!」
そして天から一人の紅き王が現れる。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
DDD烈火王テムジン
融合・効果モンスター
星6/炎属性/悪魔族/攻2000/守1500
「DD」モンスター×2
「DDD烈火王テムジン」の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードがモンスターゾーンに存在し、
自分フィールドにこのカード以外の「DD」モンスターが特殊召喚された場合、
自分の墓地の「DD」モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを特殊召喚する。
(2):このカードが戦闘または相手の効果で破壊された場合、
自分の墓地の「契約書」カード1枚を対象として発動できる。
そのカードを手札に加える。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
素良と遊矢。そして柚子と真澄のデュエルにより融合召喚については知っていた遊勝塾の面々も、それらとはまた違った融合召喚を披露した零児のやり方に驚きを隠せない。
「あいつ融合使いか!!」
「でもあのモンスターを呼び出すためだけにあんなリスクを?」
「今度はあのレオニダスってモンスターと同じDDD……」
「Dが三つ?」
「どういう意味だ?」
困惑する遊勝塾の面々。塾長である柊修三も、今までの試合で零児が一回も融合召喚を使っていないことを確認すると不安そうな表情を浮かべるが、しかし当の本人であるクオンだけは、ただ感心の声を上げるだけでいつものペースを崩さない。
「ほー、融合魔法無しで融合召喚ですか。フュージョンゲートを使うわけでも無し、専用の融合魔法でも無し。珍しいカードを使いますねえ」
そんな彼の言葉に、しかし零児は無言で返すと、さらなるモンスターを召喚する。
「さらに私はチューナーモンスター。「DDナイト・ハウリング」を召喚する」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
|DD《ディーディー》ナイト・ハウリング
チューナー・効果モンスター
星3/闇属性/悪魔族/攻 300/守 600
(1):このカードが召喚に成功した時、
自分の墓地の「DD」モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターの攻撃力・守備力は0になり、
そのモンスターが破壊された場合に自分は1000ダメージを受ける。
この効果の発動後、ターン終了時まで自分は悪魔族モンスターしか特殊召喚できない。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
すると、零児のフィールド上にワニの顔のようなモンスターが召喚される。
「チューナーモンスターだと!?あやつまさかッ!!」
そのモンスターの登場に、先ほど自身が行ったデュエルが頭の中によぎった権現坂は、零児がこれから行おうとしていることがなんなのか理解したのか驚愕の声を上げる。
そんな彼の様子を一瞥しながらも、零児は淡々とデュエルを続ける。
「このカードが召喚に成功した時、墓地からレベル4以下のDDモンスターを特殊召喚することができる。私はこの効果により墓地からDDリリスを特殊召喚する」
すると黒い穴が出現し、その中からユリを模した悪魔が現れる。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
DDリリス
攻撃力100/守備力2100
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
新たに出現した悪魔の登場に、クオンはこのデュエルにおいてはじめて笑みを消した。
「……なるほど、シンクロ召喚ですか……」
「ご名答だ。さあ、行くぞ。私はレベル4のDDリリスに、レベル3のDDナイト・ハウリングをチューニング!!」
すると2体のの悪魔が飛び上がったかと思えば、DDナイト・ハウリングが光の輪となりその姿を消し、DDリリスがその光の輪の中を駆け抜ける。
「闇を切り裂く咆哮よ。疾風の速さを得て、新たな王の産声となれ!!シンクロ召喚。生誕せよ、レベル7「DDD疾風王アレクサンダー」!!」
その零児の言葉とともに、光の柱の中から緑色のオーラを纏った新たな王が現れた。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
DDD疾風王アレクサンダー
シンクロ・効果モンスター
星7/風属性/悪魔族/攻2500/守2000
「DD」チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
「DDD疾風王アレクサンダー」の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードがモンスターゾーンに存在し、
自分フィールドにこのカード以外の「DD」モンスターが召喚・特殊召喚された場合、
自分の墓地のレベル4以下の「DD」モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを特殊召喚する。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
シンクロ召喚により新たな悪魔の登場に、観覧席からこのデュエルで何度目かわからない驚きの声が上がる。
「やつが使えるのは融合だけじゃなかったのか……!!」
だが、どうやら驚くのはまだ早かったようで、零児のデュエルはさらなる動きを見せる。
「まだ終わりではない。私はDDD烈火王テムジンのモンスター効果を発動」
するとテムジンの纏っていたオーラが紅色から紫色のオーラへと変色する。
「このカード以外にDDDと名のつくモンスターが特殊召喚された時、墓地に存在するDDと名のついたモンスターを一体特殊召喚できる。再び蘇れ、DDリリス!!」
その言葉とともに先ほどアレクサンダーのシンクロ召喚に使われた一体であるDDリリスが再びフィールド上にその姿を現した。
「さらに、DDD疾風王アレクサンダーのモンスター効果を発動!DDと名のついたモンスターが特殊召喚された時、墓地にいるDDと名のついたモンスター一体を特殊召喚することができる!!」
すると、アレクサンダーの周りに突風が吹き荒れ、新たに黒い渦が生まれたかと思えば二足歩行の三つの犬の首を持つ化け物が零児のフィールドに出現した。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
DDケルベロス
攻撃力1800/守備力600
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「そしてレベル4のDDケルベロスとレベル4DDリリスでオーバーレイ!!」
「なッ!?」
「2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!!」
そして2対のモンスターが光となり、空に出現した渦の中に飛び込んだかと思えば、その中から大きな雷が、フィールドに落ちた。そしてその中から三対目の王が出現する。
「この世の全てを統べるため、今世界の頂に降臨せよ!!エクシーズ召喚。生誕せよ、ランク4「怒涛王シーザー」!!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
|DDD《ディーディーディー》|怒濤王《どとうおう》シーザー
エクシーズ・効果モンスター
ランク4/水属性/悪魔族/攻2400/守1200
悪魔族レベル4モンスター×2
「DDD怒濤王シーザー」の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。
このターンに破壊されたモンスターをバトルフェイズ終了時に、
自分の墓地から可能な限り特殊召喚する。
次のスタンバイフェイズに自分は
この効果で特殊召喚したモンスターの数×1000ダメージを受ける。
この効果は相手ターンでも発動できる。
(2):このカードがフィールドから墓地へ送られた場合に発動できる。
デッキから「契約書」カード1枚を手札に加える。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
新たに出現した王の姿に、観覧席から今日一番の驚愕の声が上がる。
「あれは……!?」
「エクシーズモンスターまでも……」
「な、なんてやつだ!?」
そしてそれは零児の本気のデュエルを見たことがないLDSの生徒たちも同じであったが、そんな中、赤馬理事長だけは笑みを浮かべていた。
それは先ほどの不安な状態から自らの息子が一気に逆転したことからなる安心の笑みだった。
「(そう、それでいいのよ零児さん。あなたは最強のデュエリスト。こんなところで負けるはずがない)」
そして零児の情報をあらかじめ知っていた柊塾長も、赤馬が行った三つの召喚により生み出された三体のモンスターに動揺こそしていなかったが、その顔にはいつものどこかコミカルな表情はなく、深刻なものを宿していた。
「三つの召喚方法を自在に操る。これが赤馬零児……」
そしてその三体の王と相対しているクオンは、いつもの笑みを浮かべながら、しかし珍しくその額から冷や汗を流していた。
「(これはこれは……。少々まずいかもしれませんねえ」
そんな彼の内心を知ってか知らずか。零児はその瞳に鋭い眼光を宿しながら話を続ける。
「『DDD』とはすなわち、「|D《ディファレント》|D《ディメンション》|D《デーモン》」。
さあ異次元をも制する王の力、たっぷり味わうがいい」
そして彼は不敵に笑った。
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44 | 第二話 奇術師の帰国。 | 240 | 0 | 2015-03-17 | - | |
14 | 第三話 奇術師の決闘VS異次元の王① | 196 | 0 | 2015-03-17 | - | |
29 | 第四話 奇術師の決闘VS異次元の王② | 166 | 0 | 2015-03-18 | - | |
19 | 第五話 奇術師の決闘VS異次元の王③” | 203 | 0 | 2015-03-18 | - |
更新情報 - NEW -
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