第七話　精霊　作：海馬マジック

「出口は必ずあるはずだ！みんなで探そうぜ」
秀平が俺たちに言う。
やれやれと言うふうに、服部が言う。
「僕が校舎内をくまなく探しました。出口はありません」
「だからって諦められるかよ！」

とりあえず、俺が仲裁に入る。
「まぁまぁ、言い合いしてても始まんないだろ？出口さえ見つかればいいんだ。やるだけやってみようぜ」
こうして、俺たちは二組に別れて出口を探すこととなった。


　　＊

「健次とペアになるのも嫌だけどよー．．．」
「何か？」
「なんでお前と一緒なんだ！」
秀平と服部は２階の廊下を進んでいる。校舎内の電灯が点いていない上に、外は曇り空。廊下はだいぶ暗い。

「クジで決まっちゃったから。そう言うしかありませんね」
見るからに知的な感じが漂うぜ．．．。
オレが苦手なタイプなんだよな．．．。

〝バンバン〟

「開かねぇ．．．。一体なんなんだよ！！」
「怒っても仕様がありませんよ。開かないものは開かない．．．」
「うるせぇ！こんなことになってイラつかないわけがねぇ！お前はなんでそんなにも冷静でいられるんだ！」
「冷静でいられるのは僕のとりえでして」
「くそ！もういいよ！」
「諦めましたか．．．」
「．．．うるさい！」
いちいちムカつく野郎だぜ。

すると前方に人影が見えた。
「．．．人？」
「まだ生徒が残っていたみたいですね」

向こうの人影が近づいてくる。
「あ！人がいたよ！」
「誰？」
「１組の秀平と．．．もう一人は．．．知らない」
「秀平って．．．変態秀平？」

ムッ！変態だとー！失礼な！
しかし．．．。
「お前って影薄いんだな」
服部に皮肉を言った。
「君は影は薄くなくても、汚名をつけられているようですね」
う．．．。


　　＊

見つからない．．．。
いくら探しても出口が．．．。

「どこも開かないよね」
「ああ」

俺と舞嘉は一緒のペアになった。
秀平たちもまだこんな状態なんだろうか。

「健次はさ．．．」
「ん？」
「精霊って信じる？デュエルモンスターズの」
舞嘉が唐突に精霊の話を持ち込んだ。

「い、いきなりなんだよ」
信じるもなにも、この目で見たことがある。
でも、舞嘉の口からその話が出てくるなんて．．．。
「私はね．．．」
〝カパ〟

カード？
俺はそのカードを見て、驚いた。
「ブ．．．ブラック・マジシャン・ガール！？」
デュエルキング　武藤遊戯しか持っていないと聞いていたけど．．．。
舞嘉が持っているなんて！
「このカードはお婆ちゃんがくれたの」
「．．．本物かよ」
「うん。だって．．．」
舞嘉がそう言った直後、カードが光った。

．．．え？
「なんだ！？」

やがて光はおさまった。
だけど．．．。

「こんにちは！ブラック・マジシャン・ガールです！君が健次君だね？」
茫然。
光が消えた瞬間、ブラマジガール似の、いや、ブラマジガールが現れた。
なんなんだ！？
「．．．あ。突然でゴメンね。あたしはデュエルモンスターズの精霊！信じられないかもしれないけど、とりあえずそう思っててね」
無茶苦茶な．．．。
少し話が長くなりそうだ．．．。