第六話　閉じ込められた校舎　作：海馬マジック

ここは．．．どこだ？

俺は暗い廊下で倒れていた。
ここは校舎だ！

隣に石崎秀平も倒れていた。
さっきまでコイツと帰っていたのに．．．。一体なんでこんなところに？

「おい、起きろ」
俺は隣で倒れている秀平の体を揺すった。
「．．．んん？何だよ．．．」
「寝ぼけてる場合かよ。俺たち、学校にいるんだぞ。どういう事なんだ．．．」
「ん？あ！ホントだ．．．何でだろ」
「取りあえずここから出るか」

俺たちは玄関まで来た。
こんなに学校の中暗かったけ？
玄関の扉は閉じていた。

〝ガチャ　ガチャ　ドンドン〟

「開かないぞここ！」
何だって！？

〝ガチャガチャ〟

「本当だ．．．」

「別の扉を探そう」
何で開かないんだ．．．。さっきから人ともすれ違っていないし．．．
すると、別の扉を探そうとした俺たちに声が掛かる。
「無駄だよ」
「うぉっと！？びっくりした。誰だ！？」
秀平が訊く。

俺たちがさっき歩いた廊下から人が来る。
この学校の制服．．．門上中の生徒だ。
「３年４組の服部(はっとり)英一(えいいち)だよ。君たちのようにこの学校に閉じ込められたんだ」
落ち着いた感じでその生徒が言う。
長い髪の毛を後ろで縛っている。
４組ってことは俺のクラスのすぐ隣か。

「閉じ込められたって？」
秀平がまた訊く。
「１０分ぐらい前からこんな状態さ。外に出る扉、窓の鍵は全て開かない。先生も見当たらない。困ったことだよ」
ふぅと服部英一はため息をつく。その割にはだいぶ落ち着いている。
「どうすりゃいいだよ！」
「僕にだって分からない．．．。だけど、何かオカルトの匂いがする」
オカルトの匂いって．．．。
あ！そうだ！保健室の舞嘉！無事だろうか。
「ちょっと、保健室へ行ってくる！」
「ちょ！待て、健次！」
俺は保健室へと向かった。


　　＊

勢いよく保健室のドアを開けた。
舞嘉はベッドにいた。
いきなり俺が入って来たので当惑顔だ。
「健次？」
「大丈夫か？」
「うん。結構よくなった」
「保健室の先生は？」
「少し前に保健室から出たきり戻っていないわよ。どうかしたの？」
「いや、今学校が閉じ込められている感じらしいんだ」
「え？」

舞嘉にそのことについて話した。
舞嘉はその話を聞き、俺に訊いた。
「つまり．．．今、学校から出られない状況ってこと？」


　　＊

後から来た秀平と服部の紹介を舞嘉にした。
石崎が途中、「お前の彼女？」と言ってきたので、言い返した。幼馴染みだと。

「ここから出るためだ。ガラスを割るしかない！」
紹介の後、秀平が大胆な提案をした。
そして、サッカーボールをどこからか持ってきた。

「いくぞー！どりゃ！」
ボールは秀平に蹴られて勢いよく跳んだ。
ガラスにぶつかる！というところで、俺たちはあり得ない現象を見た。
ボールのスピードが一気に下がり、窓にぶつからないで、その手前で力なく落ちたのである。
ボールがバウンドする。

「何でやん！？あのスピードなら、普通に窓ガラスに当たってただろ！」
秀平が嘆く。
服部が静かに呟く。
「どうしても、僕たちをここから出させないつもりですか．．．」

この学校で何が起きているんだ．．．？
窓の外の景色は曇っていた。