【デュエル２】御剣の誤算　作：ユタ

～セントラル校　センターリング～
安室ユウヒ　LP1500　　手札２枚
　　　　　　　　　　　【カウンター・ラット】DEF 2000
御剣リョウマ　LP4000　手札２枚
　　　　　　　　　　　【殲滅の使徒】ATK 2000

御剣「まさかこの攻撃を受けきるとは……。少し評価をあげてやろうじゃないか。カードを１枚セットし、ターンエンド。」

ミナモ「たしかにしのいだけれど、防御してるだけじゃ勝てないのがデュエル。先生のデッキは超攻撃的な〈使徒〉デッキ。どう切り返すか見物ね。」

カナ「なんとなく会場の雰囲気も変わったわね。ミナモみたいに期待している人が多いのかも。先生、やりすぎで人気ないしねえ……」

苦笑するカナの言う通り、会場は、この受験生は何かやってくれるかもという期待に満ちている。先ほどまで意地悪な顔を浮かべていた生徒たちも、もしかすると御剣がやられるかもという面白い展開を期待しているようである。御剣はそのデュエルの実力こそ本物ではあるが、その忖度しなさすぎる大人げのない性格で、彼の試験のせいで居残り補習をさせられた生徒もたくさんいるのだ。

ユウヒ「先生の攻撃はすごかった！でもここからは僕の、いや、俺の舞台です！いくぜ！ドロー！」

ミナモ「なんか雰囲気がかわった……？」

ユウヒ「きた！魔法カード、【野生解放】発動！この効果で【カウンター・ラット】の攻撃力はその守備力分アップする！攻撃表示！」
　ATK500→2500

御剣「ふん、獣族・獣戦士族専用の強化カード。守備力の高い〈ラット〉モンスターとは好相性。【殲滅の使徒】の攻撃力を上回ったか。」
御剣（くくく、攻撃してこい。私の伏せカードは、【解放の使徒】除外されている〈使徒〉カードをすべて墓地に戻すことのできるカード。このカード自身も〈使徒〉カード。よって、【殲滅の使徒】の攻撃力は一気に4500となる。これで終わりだ……）

ミナモ「あの伏せカードはおそらく【解放の使徒】ね。攻撃した瞬間、デュエルエンド。先生の勝ちよ。」

カナ「ミナモ、入学レクであのカードに負けたもんねえ。」

ミナモ「やなこと思い出させないで。」


ユウヒ「（先生のあの表情。やっぱあの伏せカードは罠だよなあ）俺は、墓地の【ラット・クリボー】第二の効果を発動する！」

【ラット・クリボー】
　闇　星１　ATK 300 DEF 200
　悪魔族　①相手モンスターの攻撃宣言時、手札から特殊召喚できる。攻撃対象をこのモンスターに移し替えてダメージ計算を行う。その後、デッキから【ラット・クリボー】を１枚、手札に加える。
　②墓地のこのカードを除外して発動できる。相手の場にセットされているカード１枚は、このターン発動することができない。

ユウヒ「そのセットカードの発動を封じさせてもらう！」

御剣「くっ（今【殲滅の使徒】を失うのはまずい）伏せカードをチェーンして発動！【解放の使徒】この効果で除外されている〈使徒〉カードをすべて墓地に戻す！」

【殲滅の使徒】　ATK2000→4500

ミナモ「あのネズミクリボーそんな効果もあったんだ。」

カナ「御剣先生、カウンター勝利を狙ってたのにすかされちゃったわね。」

ユウヒ「あぶな！攻撃してたら負けてたや。サンキュー相棒！」

御剣「だがしかし、このターンの終わりに君の【カウンター・ラット】は破壊される。教えてやるが私の手札は【撲滅の使徒】。もし残りの手札を伏せて起死回生を図ったとてそれは無駄なこと。次のターン、【殲滅の使徒】の攻撃で君のLPは０になるわけだ。よく耐えたが、これで……。」

ユウヒ「まだですよ先生！相棒がつないでくれたチャンスをみすみす逃すわけにはいかない！魔法カード【ラット・ブラッド・アタック】発動！」

御剣「なんだ！？そのカードは！？」

ユウヒ「父さんが俺に残してくれた魂のカードだ！この効果で、【カウンター・ラット】の攻撃力は、除外されている【プリヴェント・ラット】【ラット・クリボー】の守備力の合計分アップする！さらに、この効果で攻撃力のアップしたモンスターが破壊されたとき、その攻撃力分のダメージを相手に与える！」

【カウンター・ラット】
　ATK2500→4700

御剣「4,4700だと……？」

ユウヒ「いけ！【殲滅の使徒】に攻撃！」

御剣　LP4000→3800

ユウヒ「さらにエンドフェイズ、【野生解放】の効果で【カウンター・ラット】は破壊され、その攻撃力分のダメージが先生に！」

御剣「そ、そんな馬鹿な……」

御剣　Lp3800→0

会場がざわつく。ついに難攻不落の御剣が倒れたのだ。それも、今日初めてアカデミアに来た少年によって……。

ミナモ「あの子、面白いじゃない……。」

カナ「今日から、クラスメイトね。仲良くできるといいけれど……」

ユウヒ「ガッチャ！楽しいデュエルだったぜ！先生！」

御剣「く……。」

校長「素晴らしいデュエルでしたよ。二人とも。」

どこで見ていたのか。校長が拍手をしながら現れた。

校長「ユウヒくん、大きく、強くなりましたね。君ほどのデュエルの実力があれば、ここでもやっていけるでしょう。編入を許可します。おめでとう。」

ユウヒ「ありがとうございます！よっしゃあああああ！」


こうして、安室ユウヒの学生生活がはじまった。

～続く～

【ラット・ブラッド・アタック】
　魔法
　自分の場の〈ラット〉モンスター１体の攻撃力は、このターンの間、除外されている〈ラット〉モンスター２体の守備力の合計分アップする。この効果を受けたモンスターが効果で破壊された場合、その攻撃力分のダメージを相手に与える。