第01話　カードを持つ決闘者達　作：アスラLｖ12

見渡す限りの青い空。そして其の青空の下にある小さなカードショップ。名を「カード・ザ・レスト」。レストとは英語で「安らぎ・安心」と言う意味を持つ。何故このような名前にしたのかは謎である。そんなカードショップに一人の青年がやってきた。

ガラッと扉を開ける音、それと同時に渦巻き眼鏡をかけている女性がその音の元となっている人物を見つけた。

「あ、和也さん。いらっしゃーい。今日はどんな用かな？」

「俺が此処に来る理由は分かっているだろ。幸子さん」

和也と呼ばれる青年は自分の髪をかきながら軽くため息をつく。そんな彼を見れば苦笑いを浮かべている女性は皆藤幸子。此処のカード・ザ・レストの店長をしている女性である。和也が此処に来る理由はパックを買ってデッキを調整するか、あるいは誰かとデュエルをするくらいしかない。まあ、時々幸子やほかの店員と雑談などをしているのだが、それはあまりない。

「今日は誰もいないのか……」

「お客さんの大半は学生だからね。今日は平日でこの時間はいつも退屈なの」

「ふーん……」

それは仕方がないことなのだが、これは困った。デュエルする気満々で来たので此処でできないとなってしまっては萎えてくる。

「じゃあ、私とデュエルしてみない？」

「幸子さんと？あんたデュエルできたのか？」

「当然。伊達にカードショップの店長をしていないわよ」

と上機嫌そうに彼女はレジの奥からデュエルディスクを取り出してくる。成程、彼女もそれなりにデュエルをするんだろう。どうせ相手もいない。ならば彼女とデュエルをするのもアリと判断した彼は自分の持っているデュエルディスクを装着し少し広いところまで歩き、彼女もそれについていく。

ところ変わってカード・ザ・レストの広場、主にデュエルをするのが目的で使われることが多い。

「一応言っとくが、手加減はしないでくれよ」

「わかってるよ。和也くんの実力は誰よりも理解してるんだから。じゃあ……行くよ」

彼女の言葉に和也は頷く。デュエルディスクが起動しシャッフルされたデッキからカードを5枚ドローし、ライフメーターには4000の数値が表示された。



決闘（デュエル）！

高杉和也　LP4000
皆藤幸子　LP4000



「それじゃあ、まずは私から先攻をもらうね。私のターン、ドロー！」
幸子のデュエルをする姿は初めてだなと思っていると、幸子はデッキからカードを1枚ドローした。　
「私は仮面竜を攻撃表示で召喚。カードを1枚セットしてターンエンドよ」

幸子が召喚したのはドラゴン族のリクルート効果を持つ仮面竜。幸子のデッキはドラゴンデッキだろうか。まあ、それはデュエルをしているうちに分かる。ターン終了の宣言をする彼女を見れば和也はデッキの上に指を置いた。

「俺のターン、ドロー」

和也はデッキからカードを1枚ドローした。リクルート効果を持つが、此処は取り敢えずこのカードで様子を見させてもらおう。

「俺はスピード・ウォリアーを召喚！スピード・ウォリアーは召喚に成功したバトルフェイズ時、攻撃力が倍になる。スピード・ウォリアーで、仮面竜を攻撃！」

鮮やかな蹴りを持って仮面竜を撃破する。先程いたドラゴンはスピード・ウォリアーの攻撃により粉砕された。

幸子：LP4000→3600

「じゃあ、此処で私は仮面竜の効果を発動するよ。仮面竜が戦闘によって破壊され墓地へおくられた時、デッキから攻撃力1500以下のドラゴン族モンスター1体を特殊召喚する。私はデッキから、神龍の聖刻印を特殊召喚するね」

「聖刻か……厄介なモンスターを使うな。俺はカードを2枚セットしターンを終了」

幸子の頭上に浮かぶスフィア状のモンスター。どうやら彼女の使うデッキは聖刻デッキだろう。彼は警戒をしつつカードをセットしターン終了を宣言した。



現在の状況
高杉和也　LP4000
スピード・ウォリアー（攻撃表示）　　伏せカード2　手札3



皆藤幸子　LP3600
神龍の聖刻印（守備表示）　伏せカード1　手札4



今回のプレイングカード
スピード・ウォリアー（効果モンスター）
☆2　風属性　戦士族　ATK/900 DEF/400
このカードの召喚に成功したターンのバトルフェイズ時にのみ発動する事ができる。このカードの元々の攻撃力はバトルフェイズ終了時まで倍になる。



仮面竜（効果モンスター）
☆3　炎属性　ドラゴン族　ATK/1400 DEF/1100　
このカードが戦闘によって破壊され墓地に送られた時、デッキから攻撃力1500以下のドラゴン族モンスター1体を自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。その後デッキをシャッフルする。



神龍の聖刻印（通常モンスター）
☆8　光属性　ドラゴン族　ATK/0 DEF/0
謎の刻印が刻まれた聖なる遺物。神の如く力を振るった龍の力を封じた物と伝承は語る。黄金の太陽の下、悠久の刻を経て、それはやがて神々しさと共に太陽石と呼ばれるようになった。