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第六話・実技テスト 軍治良太VS黒崎龍吾 作:鈴木颯手
いよいよテストの日がやってきた。先ずは午前中に筆記テストを行い午後に実技テストを行う日程となっている。実技テストは同じ寮の者で行われるため今日は同じ寮の者が全員ライバルと言える存在であった。
この日の為に龍吾はテスト勉強を行ってきており自分に納得が行く状況まで来ていた。
そして早速テストが始まるがそこで気付く。龍吾は中央のテーブルの後方に座っているため教室全体が良く見えるがその中に遊城十代の姿はなかった。よく見れば十代の弟分の丸藤翔(この前本人に教えてもらった)の隣の席が空白となっている。恐らく寝坊したのだろう。
龍吾はそこまで考えるとテストに集中する。十代には悪いが筆記テストで十代の事など眼中にはなく最大の障壁として三沢大地を想定していた。入学試験の時も三沢は龍吾を抜いてトップであった。他にも龍吾の上には三人いたが龍吾も含めて二位まではほぼ同じ点数であったためハードルは高くはない。だが、一位である三沢と二位の間はかなり点数が開いており龍吾はかなりの衝撃を受けていた。
ちょっとした負けず嫌いの龍吾は打倒三沢を掲げて勉強に打ち込んだのだ。
そしてテストが始まってから三十分もするとようやく十代が教室に現れたが数分もしないうちに寝てしまっていた。このことから筆記テストは壊滅的なのは龍吾にも分かった。
龍吾が問題を解き終えたのはテスト時間にまだ余裕がある頃だった。ミスがないかを確認しながら時間を潰すと漸く試験が教員の大徳寺先生が午後の実技テストの予定を伝えると生徒はみんなが教室を急いで出ていった。
「…今日は何かあったのか?」
龍吾は教室に残っていた三沢に聞く。
「ああ、今日は新しいカードが大量に入荷される日なんだ。だから早く購買部に行ったんだろう」
「成程、三沢。お前は身に行かないのか?」
「ああ。俺は今のデッキを信じているからな。そう言う龍吾こそどうなんだ?」
「興味がないと言えば嘘になる。…が、別に慌てて行くほど興味があるわけではない」
「君ならそう言うと思っていたよ。それじゃあ十代達を起こすとしよう」
三沢がそう言ったので十代達がいた方向を見れば翔と背中を合わせて未だに寝ていた。二人は寝不足なのだろうか?と感じてしまうが特に言葉には出さなかった。
「起きろ二人とも、もうテストは終了したぞ」
「…え?あぁぁぁぁ!!!!しまったぁ~!やってしまった~!」
「お?もう終わったのか?」
寝ぼけ目でそんな事を言う十代とは対照的に翔はかなり顔を青くしている。
「…あれ?みんな何処に行ったんだ?」
「新しく出たカードを買いに行ったのさ」
先程龍吾がした質問を十代がして三沢がそれを答えた。二人はそれを聞いて早速カードを買いに行ったが既にほとんどは売り切れているだろうと龍吾は心の中で思った。
「それじゃあ俺はテストに向けてデッキの最終調整を行ってくるよ。龍吾はどうする?」
「購買部に行って昼食を購入する」
「そうか。なら実技テストでまた会おう」
「…ああ」
そう言って二人は教室を出ると反対方向に向かうのであった。
☆★☆★☆
「…実技テストの相手はお前か」
「そうみたいだな」
龍吾はデュエル場に立ち目の前にいる人物にそう告げるとその人物も肯定する。
「俺は三沢が相手だと思ったが違かったようだ。だが手加減はしない。行くぞ、良太!」
「来い!龍吾!」
龍吾は目の前の人物、軍治良太にそう言うと良太も答える。
「「デュエル!」」
「先行は俺が貰う!ドロー!」
先行を取ったのは龍吾であった。
黒崎龍吾
手札5枚→6枚
「俺は手札から雷邪龍サンダーダークドラゴンの効果発動!このカードを墓地に送る事でデッキから同名カードを二体手札に加える!」
「早速来たか!」
黒崎龍吾
手札6枚→5枚→7枚
「俺は手札から死者転生を発動!手札を墓地に送る事で墓地のモンスター一体を手札に加える。そして墓地に送ったサイレントドラグーンを手札に戻し効果発動!このカードを特殊召喚する!」
サイレントドラグーン
ATK2000 DEF1700
「更に俺は手札のデス・ヘル・ラグーンの効果によりこのカードの攻守を0にして場に特殊召喚する!」
デス・ヘル・ラグーン
ATK2700→0
DEF600 →0
「俺はこの二体のモンスターを生贄にダークアイズ・カオスドラゴンを召喚する!出でよ!ダークアイズ・カオスドラゴン!」
そう言って登場したのはブルーアイズホワイトドラゴンを黒くしたような龍であった。その龍は場に降り立つとブルーアイズに似た咆哮をする。
ダークアイズ・カオスドラゴン
ATK3000 DEF2500
「また新しいモンスターか。一体どれだけ持っているのか…」
「俺は手札を一枚伏せてターンエンド」
龍吾はターンエンドの宣言をする。これで龍吾の手札は2枚となりその2枚も雷邪龍サンダーダークドラゴンであることは確定していた。
「相手の手札の中身が分かるって言うのは少し安心できるな。俺のターン、ドロー!」
軍治良太
手札5枚→6枚
「俺は手札から天使の施しを発動!デッキからカードを3枚引いて2枚捨てる!」
軍治良太
手札5枚→8枚→6枚
「更に俺は強欲な壺を発動!デッキから二枚ドロー!」
軍治良太
手札5枚→7枚
「俺は手札からおろかな埋葬を発動!デッキからモンスターを一体墓地に送る。…コレデ揃った」
このターンの間に良太の墓地にはモンスターが三体送られていた。良太は笑みを浮かべ龍吾はその意味を知り驚愕する。
「まさか!?」
「そのまさかだ!手札からダークアームドドラゴンを特殊召喚!更にもう一体だ!」
一瞬で良太の場に黒い龍が二体召喚される。
ダークアームドドラゴン
ATK2800 DEF1000
「ダークアームドドラゴンの効果は、知っているな?」
「!リバースカードオープン!ダークハリケーン!」
「ダークハリケーン?」
「このカードは自分の場に闇属性モンスターが存在する場合のみ発動できる。相手の場のカードを二枚までゲームから除外する!」
「はぁ!?」
良太が驚きの声を上げている間に二つの黒いハリケーンが現れ二体のダークアームドドラゴンを飲み込み消失した。
「まじかよ…。なら俺は速すぎた埋葬発動!800ライフを払う事で墓地のモンスターを特殊召喚してこのカードを装備する!特殊召喚するのはトライホーンドラゴン!」
軍治良太LP4000→3200
トライホーンドラゴン
ATK2850 DEF2350
「更に俺は一気呵成を発動!このターンの間自分の場のモンスター一体の攻撃力を1500アップする!行け!トライホーンドラゴン!」
トライホーンドラゴンが雄たけびを上げてダークアイズ・カオスドラゴンに突撃する。ダークアイズ・カオスドラゴンは成すすべなく破壊される。
黒崎龍吾LP4000→2650
一気呵成の効果で大幅に上がった攻撃力によって龍吾は大きくライフを削られてしまう。
「俺はカードを二枚伏せてターンエンド」
黒崎龍吾LP2650 手札2枚
モンスター
なし
魔法、罠
なし
軍治良太LP3200 手札1枚
モンスター
トライホーンドラゴン
魔法、罠
速すぎた埋葬(トライホーンドラゴン装備中)
セット
セット
ダークアイズ・カオスドラゴンの召喚に大幅に手札を消費した龍吾には雷邪龍サンダーダークドラゴンが二枚あるのみだった。対する良太は手札は1枚のみだが攻撃力2850を誇るトライホーンドラゴンにセットカードが二枚と龍吾を圧倒していた。
「…俺のターン、ドロー」
黒崎龍吾
手札2枚→3枚
「…俺は強欲な壺を発動!デッキから二枚ドローする!」
黒崎龍吾
手札2枚→4枚
「…俺はモンスターをセット、更にカードを一枚伏せてターンエンド」
龍吾の行動を見た良太は笑みを浮かべる。
「成程、手札にクリラグーンだったか?あれはないか。ならまだやりようはある。俺のターン、ドロー!」
軍治良太
手札1枚→2枚
「これは…いいカードを引いたぜ。先ずはトライホーンドラゴンでセットモンスターを攻撃!」
トライホーンドラゴンの攻撃によってセットされていたカードはそのまま踏みつけられて破壊されるがその瞬間トライホーンドラゴンも破壊される。
「何!?」
「セットしていたサイバーポッドの効果によって場のモンスターを全て破壊する。その後デッキから五枚めくりレベル4以下のモンスターを攻撃表示または裏側守備表示で特殊召喚する」
「まじかよ。まあいい、俺は…アックスドラゴニュートを攻撃表示で特殊召喚する。そして残りは手札に加えるぜ」
軍治良太
手札2枚→6枚
「俺は漆黒のドラグーン、闇龍の卵、デス・ヘル・ラグーンを特殊召喚する。そして漆黒のドラグーンの効果でアックスドラゴニュートを破壊する」
黒崎龍吾
手札2枚→4枚
「俺は攻撃でない。メインフェイズ2にカードを一枚伏せてターンエンドだ」
黒崎龍吾LP2650 手札4枚
モンスター
闇龍の卵
漆黒のドラグーン
デス・ヘル・ラグーン
魔法、罠
なし
セット
軍治良太LP3200 手札5枚
モンスター
なし
魔法、罠
セット
セット
セット
前までのターンとは違い場は龍吾が有利ではあるが良太の魔法、罠の場所にはセットカードが三枚もありプレッシャーを与えていた。
「俺のターン、ドロー!」
黒崎龍吾
手札4枚→5枚
「リバースカードオープン!トラップフュージョン!」
「トラップフュージョン!?」
「このカードはエクストラデッキから融合モンスター一体を選択しそのカードが闇属性なら墓地の闇属性モンスターで代用できるカードだ!」
「…俺はもう驚かないぞ。可笑しいだろ…」
良太は頭を抱えるが龍吾は構わずに続ける。
「俺は暗黒のアルティメットゴーレムを選択する!これにより俺は墓地のダークアイズ・カオスドラゴンと雷邪龍サンダーダークドラゴンをゲームから除外する事で召喚する!現れろ!暗黒のアルティメットゴーレム!」
龍吾の言葉に合わせて明日香との戦いで召喚した巨大な巨人が現れる。
暗黒のアルティメットゴーレム
ATK4000 DEF4000
「そして手札の魔王龍ザガンの効果発動!このカードを墓地に送り相手の場に魔王トークンを二体特殊召喚する!」
「俺の場に…ってことは!?」
「お前の場の魔王トークンを二体と俺の場の暗黒のアルティメットゴーレム、漆黒のドラグーンを生贄に邪悪龍ダークドラグーンを特殊召喚する!」
そして現れる邪悪龍ダークドラグーン。明日香との戦いで召喚されなかったためかいつもより方向に力が入っていた。
「これが邪悪龍ダークドラグーンと対峙する事で発生するプレッシャーか…。結構きついな」
そしてその咆哮をもろに受ける良太はかなり辛そうな顔をしながら何とか耐えていた。
「邪悪龍ダークドラグーンは生贄に捧げたモンスターの攻撃力、若しくは守備力の合計の数値となる!俺は攻撃力を選択!邪悪龍ダークドラグーンの攻撃力は10500!だが、このカードを召喚したターンに攻撃は出来ないがまだだ!俺は手札から融合を発動して雷邪龍サンダーダークドラゴン二体を融合!ツインヘッド・サンダーダークドラゴンを特殊召喚する!」
そして現れるのは二つの頭を持つ龍。二つの龍は互いに咆哮をする。
邪悪龍ダークドラグーン
ATK10500 DEF10500
ツインヘッド・サンダーダークドラゴン
ATK3000 DEF2500
「ツインヘッド・サンダーダークドラゴンで攻撃!」
「リバースカードオープン!聖なるバリア・ミラーフォース!相手の攻撃表示モンスターを全て破壊する!これは対象を取らないカード!よって邪悪龍ダークドラグーンにも通用する!」
ツインヘッド・サンダーダークドラゴンの前に透明なバリアが生まれる。ツインヘッド・サンダーダークドラゴンはお構いなしに攻撃するがその攻撃は跳ね返り後ろにいた邪悪龍ダークドラグーンを巻き込んで大爆発を起こしてしまう。
「どうだ!まだ勝負は分からないぜ!」
「…いや、俺の勝ちだ。邪悪龍ダークドラグーンの効果発動!」
そう龍吾が言うと爆心地を中心に闇の光があふれ出る。
「このカードが戦闘以外の方法で破壊された時墓地、手札からこのカードの攻撃力以下の数値の攻撃力のモンスターを可能な限り特殊召喚する!」
「はぁ!?」
そして光が強くなると直ぐに消えるがそこには五体の龍が存在していた。
暗黒のアルティメットゴーレム
ATK4000 DEF4000
漆黒のドラグーン×2
ATK1700 DEF1600
魔王龍ザガン
ATK2400 DEF300
サイレントドラグーン
ATK2000 DEF1700
「おいおい、まじかよ…」
「まだバトルフェイズは続いている。よってこのモンスター達は攻撃する事が出来る!更に二体の漆黒のドラグーンの効果でお前の二枚のセットカードを破壊させてもらう!」
そして良太の場のカードが全て破壊された。良太は汗を掻きながらも机上に笑う。
「…まだ、俺が負けたと決まった訳ではない」
「なら試してみるか。暗黒のアルティメットゴーレムで攻撃!」
暗黒のアルティメットゴーレムが腕を振りかぶり一気に良太に振り下ろす。良太はそれを…受けた。
軍治良太LP3200→-800
良太のLPは一気に減り良太は吹き飛ばされそうになるがそれをギリギリで耐えきった。受けきると良太は大きく息を吐いた。
「…ふぅ、負けちまったか。やっぱりこのデッキじゃ辛いか」
「…それはお前のデッキではないのか?」
良太のそばまで寄った龍吾は良太の言葉に疑問を持つ。
「ん?いや、これは俺のデッキだよ。ただ、俺の本命のデッキがまだ完成していなくてね。今回はこっちのデッキを使ったわけだ」
「成程。だが、俺の勝ちに変わりはない」
「ああ、次は負けないぜ!龍吾」
「…ああ」
良太は手を差し出し龍吾はそれを握り返した。
【…素晴らしいデュエルだったよ黒崎君】
その時デュエル場に声が響き渡った。その声は入学式の時に長い演説を行っていた校長の鮫島であった。
【あそこからの回復は素晴らしかった。久しぶりに楽しいデュエルを見せてもらった。君は後で校長室に来てくれ。大事な話があるのでね】
校長はそう言うと続きをするように促し奥に引っ込んでしまう。
「大事な話って一体何だろうな?」
「知らん」
良太の疑問をばっさり切り捨てると龍吾は観客席に向かって歩き出した。それを慌てて良太が追いかけていくのであった。
その後遊城十代がオベリスクブルーの生徒とデュエルをして見事勝利を収めてラーイエローに昇格となったりしたがそれ以外は特に問題はなく実技テストは終えるのであった。
この日の為に龍吾はテスト勉強を行ってきており自分に納得が行く状況まで来ていた。
そして早速テストが始まるがそこで気付く。龍吾は中央のテーブルの後方に座っているため教室全体が良く見えるがその中に遊城十代の姿はなかった。よく見れば十代の弟分の丸藤翔(この前本人に教えてもらった)の隣の席が空白となっている。恐らく寝坊したのだろう。
龍吾はそこまで考えるとテストに集中する。十代には悪いが筆記テストで十代の事など眼中にはなく最大の障壁として三沢大地を想定していた。入学試験の時も三沢は龍吾を抜いてトップであった。他にも龍吾の上には三人いたが龍吾も含めて二位まではほぼ同じ点数であったためハードルは高くはない。だが、一位である三沢と二位の間はかなり点数が開いており龍吾はかなりの衝撃を受けていた。
ちょっとした負けず嫌いの龍吾は打倒三沢を掲げて勉強に打ち込んだのだ。
そしてテストが始まってから三十分もするとようやく十代が教室に現れたが数分もしないうちに寝てしまっていた。このことから筆記テストは壊滅的なのは龍吾にも分かった。
龍吾が問題を解き終えたのはテスト時間にまだ余裕がある頃だった。ミスがないかを確認しながら時間を潰すと漸く試験が教員の大徳寺先生が午後の実技テストの予定を伝えると生徒はみんなが教室を急いで出ていった。
「…今日は何かあったのか?」
龍吾は教室に残っていた三沢に聞く。
「ああ、今日は新しいカードが大量に入荷される日なんだ。だから早く購買部に行ったんだろう」
「成程、三沢。お前は身に行かないのか?」
「ああ。俺は今のデッキを信じているからな。そう言う龍吾こそどうなんだ?」
「興味がないと言えば嘘になる。…が、別に慌てて行くほど興味があるわけではない」
「君ならそう言うと思っていたよ。それじゃあ十代達を起こすとしよう」
三沢がそう言ったので十代達がいた方向を見れば翔と背中を合わせて未だに寝ていた。二人は寝不足なのだろうか?と感じてしまうが特に言葉には出さなかった。
「起きろ二人とも、もうテストは終了したぞ」
「…え?あぁぁぁぁ!!!!しまったぁ~!やってしまった~!」
「お?もう終わったのか?」
寝ぼけ目でそんな事を言う十代とは対照的に翔はかなり顔を青くしている。
「…あれ?みんな何処に行ったんだ?」
「新しく出たカードを買いに行ったのさ」
先程龍吾がした質問を十代がして三沢がそれを答えた。二人はそれを聞いて早速カードを買いに行ったが既にほとんどは売り切れているだろうと龍吾は心の中で思った。
「それじゃあ俺はテストに向けてデッキの最終調整を行ってくるよ。龍吾はどうする?」
「購買部に行って昼食を購入する」
「そうか。なら実技テストでまた会おう」
「…ああ」
そう言って二人は教室を出ると反対方向に向かうのであった。
☆★☆★☆
「…実技テストの相手はお前か」
「そうみたいだな」
龍吾はデュエル場に立ち目の前にいる人物にそう告げるとその人物も肯定する。
「俺は三沢が相手だと思ったが違かったようだ。だが手加減はしない。行くぞ、良太!」
「来い!龍吾!」
龍吾は目の前の人物、軍治良太にそう言うと良太も答える。
「「デュエル!」」
「先行は俺が貰う!ドロー!」
先行を取ったのは龍吾であった。
黒崎龍吾
手札5枚→6枚
「俺は手札から雷邪龍サンダーダークドラゴンの効果発動!このカードを墓地に送る事でデッキから同名カードを二体手札に加える!」
「早速来たか!」
黒崎龍吾
手札6枚→5枚→7枚
「俺は手札から死者転生を発動!手札を墓地に送る事で墓地のモンスター一体を手札に加える。そして墓地に送ったサイレントドラグーンを手札に戻し効果発動!このカードを特殊召喚する!」
サイレントドラグーン
ATK2000 DEF1700
「更に俺は手札のデス・ヘル・ラグーンの効果によりこのカードの攻守を0にして場に特殊召喚する!」
デス・ヘル・ラグーン
ATK2700→0
DEF600 →0
「俺はこの二体のモンスターを生贄にダークアイズ・カオスドラゴンを召喚する!出でよ!ダークアイズ・カオスドラゴン!」
そう言って登場したのはブルーアイズホワイトドラゴンを黒くしたような龍であった。その龍は場に降り立つとブルーアイズに似た咆哮をする。
ダークアイズ・カオスドラゴン
ATK3000 DEF2500
「また新しいモンスターか。一体どれだけ持っているのか…」
「俺は手札を一枚伏せてターンエンド」
龍吾はターンエンドの宣言をする。これで龍吾の手札は2枚となりその2枚も雷邪龍サンダーダークドラゴンであることは確定していた。
「相手の手札の中身が分かるって言うのは少し安心できるな。俺のターン、ドロー!」
軍治良太
手札5枚→6枚
「俺は手札から天使の施しを発動!デッキからカードを3枚引いて2枚捨てる!」
軍治良太
手札5枚→8枚→6枚
「更に俺は強欲な壺を発動!デッキから二枚ドロー!」
軍治良太
手札5枚→7枚
「俺は手札からおろかな埋葬を発動!デッキからモンスターを一体墓地に送る。…コレデ揃った」
このターンの間に良太の墓地にはモンスターが三体送られていた。良太は笑みを浮かべ龍吾はその意味を知り驚愕する。
「まさか!?」
「そのまさかだ!手札からダークアームドドラゴンを特殊召喚!更にもう一体だ!」
一瞬で良太の場に黒い龍が二体召喚される。
ダークアームドドラゴン
ATK2800 DEF1000
「ダークアームドドラゴンの効果は、知っているな?」
「!リバースカードオープン!ダークハリケーン!」
「ダークハリケーン?」
「このカードは自分の場に闇属性モンスターが存在する場合のみ発動できる。相手の場のカードを二枚までゲームから除外する!」
「はぁ!?」
良太が驚きの声を上げている間に二つの黒いハリケーンが現れ二体のダークアームドドラゴンを飲み込み消失した。
「まじかよ…。なら俺は速すぎた埋葬発動!800ライフを払う事で墓地のモンスターを特殊召喚してこのカードを装備する!特殊召喚するのはトライホーンドラゴン!」
軍治良太LP4000→3200
トライホーンドラゴン
ATK2850 DEF2350
「更に俺は一気呵成を発動!このターンの間自分の場のモンスター一体の攻撃力を1500アップする!行け!トライホーンドラゴン!」
トライホーンドラゴンが雄たけびを上げてダークアイズ・カオスドラゴンに突撃する。ダークアイズ・カオスドラゴンは成すすべなく破壊される。
黒崎龍吾LP4000→2650
一気呵成の効果で大幅に上がった攻撃力によって龍吾は大きくライフを削られてしまう。
「俺はカードを二枚伏せてターンエンド」
黒崎龍吾LP2650 手札2枚
モンスター
なし
魔法、罠
なし
軍治良太LP3200 手札1枚
モンスター
トライホーンドラゴン
魔法、罠
速すぎた埋葬(トライホーンドラゴン装備中)
セット
セット
ダークアイズ・カオスドラゴンの召喚に大幅に手札を消費した龍吾には雷邪龍サンダーダークドラゴンが二枚あるのみだった。対する良太は手札は1枚のみだが攻撃力2850を誇るトライホーンドラゴンにセットカードが二枚と龍吾を圧倒していた。
「…俺のターン、ドロー」
黒崎龍吾
手札2枚→3枚
「…俺は強欲な壺を発動!デッキから二枚ドローする!」
黒崎龍吾
手札2枚→4枚
「…俺はモンスターをセット、更にカードを一枚伏せてターンエンド」
龍吾の行動を見た良太は笑みを浮かべる。
「成程、手札にクリラグーンだったか?あれはないか。ならまだやりようはある。俺のターン、ドロー!」
軍治良太
手札1枚→2枚
「これは…いいカードを引いたぜ。先ずはトライホーンドラゴンでセットモンスターを攻撃!」
トライホーンドラゴンの攻撃によってセットされていたカードはそのまま踏みつけられて破壊されるがその瞬間トライホーンドラゴンも破壊される。
「何!?」
「セットしていたサイバーポッドの効果によって場のモンスターを全て破壊する。その後デッキから五枚めくりレベル4以下のモンスターを攻撃表示または裏側守備表示で特殊召喚する」
「まじかよ。まあいい、俺は…アックスドラゴニュートを攻撃表示で特殊召喚する。そして残りは手札に加えるぜ」
軍治良太
手札2枚→6枚
「俺は漆黒のドラグーン、闇龍の卵、デス・ヘル・ラグーンを特殊召喚する。そして漆黒のドラグーンの効果でアックスドラゴニュートを破壊する」
黒崎龍吾
手札2枚→4枚
「俺は攻撃でない。メインフェイズ2にカードを一枚伏せてターンエンドだ」
黒崎龍吾LP2650 手札4枚
モンスター
闇龍の卵
漆黒のドラグーン
デス・ヘル・ラグーン
魔法、罠
なし
セット
軍治良太LP3200 手札5枚
モンスター
なし
魔法、罠
セット
セット
セット
前までのターンとは違い場は龍吾が有利ではあるが良太の魔法、罠の場所にはセットカードが三枚もありプレッシャーを与えていた。
「俺のターン、ドロー!」
黒崎龍吾
手札4枚→5枚
「リバースカードオープン!トラップフュージョン!」
「トラップフュージョン!?」
「このカードはエクストラデッキから融合モンスター一体を選択しそのカードが闇属性なら墓地の闇属性モンスターで代用できるカードだ!」
「…俺はもう驚かないぞ。可笑しいだろ…」
良太は頭を抱えるが龍吾は構わずに続ける。
「俺は暗黒のアルティメットゴーレムを選択する!これにより俺は墓地のダークアイズ・カオスドラゴンと雷邪龍サンダーダークドラゴンをゲームから除外する事で召喚する!現れろ!暗黒のアルティメットゴーレム!」
龍吾の言葉に合わせて明日香との戦いで召喚した巨大な巨人が現れる。
暗黒のアルティメットゴーレム
ATK4000 DEF4000
「そして手札の魔王龍ザガンの効果発動!このカードを墓地に送り相手の場に魔王トークンを二体特殊召喚する!」
「俺の場に…ってことは!?」
「お前の場の魔王トークンを二体と俺の場の暗黒のアルティメットゴーレム、漆黒のドラグーンを生贄に邪悪龍ダークドラグーンを特殊召喚する!」
そして現れる邪悪龍ダークドラグーン。明日香との戦いで召喚されなかったためかいつもより方向に力が入っていた。
「これが邪悪龍ダークドラグーンと対峙する事で発生するプレッシャーか…。結構きついな」
そしてその咆哮をもろに受ける良太はかなり辛そうな顔をしながら何とか耐えていた。
「邪悪龍ダークドラグーンは生贄に捧げたモンスターの攻撃力、若しくは守備力の合計の数値となる!俺は攻撃力を選択!邪悪龍ダークドラグーンの攻撃力は10500!だが、このカードを召喚したターンに攻撃は出来ないがまだだ!俺は手札から融合を発動して雷邪龍サンダーダークドラゴン二体を融合!ツインヘッド・サンダーダークドラゴンを特殊召喚する!」
そして現れるのは二つの頭を持つ龍。二つの龍は互いに咆哮をする。
邪悪龍ダークドラグーン
ATK10500 DEF10500
ツインヘッド・サンダーダークドラゴン
ATK3000 DEF2500
「ツインヘッド・サンダーダークドラゴンで攻撃!」
「リバースカードオープン!聖なるバリア・ミラーフォース!相手の攻撃表示モンスターを全て破壊する!これは対象を取らないカード!よって邪悪龍ダークドラグーンにも通用する!」
ツインヘッド・サンダーダークドラゴンの前に透明なバリアが生まれる。ツインヘッド・サンダーダークドラゴンはお構いなしに攻撃するがその攻撃は跳ね返り後ろにいた邪悪龍ダークドラグーンを巻き込んで大爆発を起こしてしまう。
「どうだ!まだ勝負は分からないぜ!」
「…いや、俺の勝ちだ。邪悪龍ダークドラグーンの効果発動!」
そう龍吾が言うと爆心地を中心に闇の光があふれ出る。
「このカードが戦闘以外の方法で破壊された時墓地、手札からこのカードの攻撃力以下の数値の攻撃力のモンスターを可能な限り特殊召喚する!」
「はぁ!?」
そして光が強くなると直ぐに消えるがそこには五体の龍が存在していた。
暗黒のアルティメットゴーレム
ATK4000 DEF4000
漆黒のドラグーン×2
ATK1700 DEF1600
魔王龍ザガン
ATK2400 DEF300
サイレントドラグーン
ATK2000 DEF1700
「おいおい、まじかよ…」
「まだバトルフェイズは続いている。よってこのモンスター達は攻撃する事が出来る!更に二体の漆黒のドラグーンの効果でお前の二枚のセットカードを破壊させてもらう!」
そして良太の場のカードが全て破壊された。良太は汗を掻きながらも机上に笑う。
「…まだ、俺が負けたと決まった訳ではない」
「なら試してみるか。暗黒のアルティメットゴーレムで攻撃!」
暗黒のアルティメットゴーレムが腕を振りかぶり一気に良太に振り下ろす。良太はそれを…受けた。
軍治良太LP3200→-800
良太のLPは一気に減り良太は吹き飛ばされそうになるがそれをギリギリで耐えきった。受けきると良太は大きく息を吐いた。
「…ふぅ、負けちまったか。やっぱりこのデッキじゃ辛いか」
「…それはお前のデッキではないのか?」
良太のそばまで寄った龍吾は良太の言葉に疑問を持つ。
「ん?いや、これは俺のデッキだよ。ただ、俺の本命のデッキがまだ完成していなくてね。今回はこっちのデッキを使ったわけだ」
「成程。だが、俺の勝ちに変わりはない」
「ああ、次は負けないぜ!龍吾」
「…ああ」
良太は手を差し出し龍吾はそれを握り返した。
【…素晴らしいデュエルだったよ黒崎君】
その時デュエル場に声が響き渡った。その声は入学式の時に長い演説を行っていた校長の鮫島であった。
【あそこからの回復は素晴らしかった。久しぶりに楽しいデュエルを見せてもらった。君は後で校長室に来てくれ。大事な話があるのでね】
校長はそう言うと続きをするように促し奥に引っ込んでしまう。
「大事な話って一体何だろうな?」
「知らん」
良太の疑問をばっさり切り捨てると龍吾は観客席に向かって歩き出した。それを慌てて良太が追いかけていくのであった。
その後遊城十代がオベリスクブルーの生徒とデュエルをして見事勝利を収めてラーイエローに昇格となったりしたがそれ以外は特に問題はなく実技テストは終えるのであった。
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