第2話 爆風の魔術師　作：ハントラ

「俺のターン、ドロー！」

ユーラはデッキからカードを引き抜く。そして一枚の手札を天に掲げる。

「手札の『エクスプロード・ウィザード』は、自分の『ボム』『バクダン』『エクスプロード』モンスターが二体以上除外されている場合、手札から特殊召喚できる！除外ゾーンにいるのは『ボムソルジャー』3体、『ボムバード』、そして『バクダンディー』！よって特殊召喚できる！」

「現れろ！レベル7！あらゆる障壁吹き飛ばす、爆風の魔術師！『エクスプロード・ウィザード』！」

真紅の魔法陣が現れ、そこから炎が噴き出す。炎はあまりにも強く、ただの映像なのに周りに引火しそうな勢いだ。その炎から突然、赤い衣を纏った右腕が現れ右方向に払い、炎を吹き飛ばした。そして現れる、爆風の魔術師。ユーラのエースモンスターだ。

エクスプロード・ウィザード
ATK2500

「それがあなたのエースってわけですか…！」

女はユーラのエースを沈痛な面持ちで見つめる。だが口元が若干笑っていたことにユーラは気づいていなかった…。

「『エクスプロード・ウィザード』の効果！このカードが召喚、特殊召喚に成功した時、エンドフェイズまで除外されている『ボム』『バクダン』『エクスプロード』モンスターの数×500ポイント、攻撃力をアップする！」

エクスプロード・ウィザード
ATK2500→5000

「バトル！『エクスプロード・ウィザード』で、『アサシネート・ダーク』に攻撃！爆・烈・魔・導(エクスプロード・マジック)！」

魔術師が右手をかざすと、どこからか赤い杖が現れ、手に収まる。呪文のようなものを唱えた途端、杖の先端にエネルギー弾のようなものが出来上がってゆく。魔術師はカッと目を見開き、そのエネルギー弾を相手へ飛ばし爆発させる。

ドカーーン！！

あまりの轟音に決闘者二人は揃って耳を塞ぎ、教会の外にいた鳩が一斉に逃げ出す。それなのにカレンは眠ったままだ。…肝が座っているのかよほど深く眠らされたのかはわからない。

女LP5000→500

「ケホッ、ケホッ、全く…この子に傷がついたらどうしてくれようです…」
「…そこは自分の心配をするところじゃないのか？」
「女の柔肌は武器ですよ？武器。傷ついたら大変です(ま、『そういうの』が好きな特殊な人もいるみたいですけどね)。で？もう終わりですか？」
「…俺はカードを一枚伏せ、ターンエンド！(相手のライフは500…俺のかなり切羽詰まった状況だ…それなのにあの余裕、やはり『デュエルは最後までわからない』！)」

エクスプロード・ウィザード
ATK5000→2500

「私のターンです！ドロー！」

「！手札から魔法カード、『後釜暗殺者』発動！ライフを半分にし、墓地の『アサシネート』チューナー一体とチューナー以外の『アサシネート』モンスター一体を除外して！そのレベルの合計と同じレベルを持つ『アサシネート』シンクロモンスターをシンクロ召喚扱いで特殊召喚する！」
「っ！？墓地のモンスターで！？」
「墓地のレベル6『ミツヒデ』とレベル3『ウルフ』を除外！白銀の弾丸よ、祖国の誇りのために、侵略者に食らいつけ！」

「シンクロ召喚！現れろ、レベル9！『アサシネート・アントマ』！」

ミツヒデのような戦国武将を思わせる鎧は着ておらず、帽子を被り、ロングコートを着た暗殺者が現れた。帽子からうっすらと見えるその目はどこまでもどこまでも冷たかった。

女LP500→250

アサシネート・アントマ
ATK3100

「アントマの効果発動！相手フィールドのカードを全て破壊し、破壊したカードの数×500ポイント、相手にダメージを与える！」

アントマが懐から7連発の銃を取り出し、二発だけ撃つ。弾丸は的確にエクスプロード・ウィザードとユーラの伏せカード一枚に命中し、破壊する。

「『エクスプロード・ウィザード』！なんてこった…！」

ユーラLP3300→2300

「まだ終わりじゃないですよ！アントマの効果には続きがあります！『その後、破壊したカードの数×500ポイントこのカードの攻撃力を下げる』！」

アサシネート・アントマ
ATK3100→2100

「だがこのターンの攻撃は可能……！」
「そういうことです、アントマでダイレクトアタック！国敵排除弾(エネミー・エリミネーター)！」

アントマが残りの弾丸を全部発射する。7発のうち二発を撃っていたので残り5発の弾丸がユーラの体を正確に貫く。

「うわあああぁっ！」

ユーラLP2300→200

「ライフ逆転、ですねぇ。あなたもよく頑張った方ですけど、あなたの手札はゼロ、フィールドのモンスターもゼロ、…決まりましたかねぇ？」
「………フッ。だが、まだとどめを刺していない！」
「…………？」
「おれの導火線に点いた火はまだ消えちゃいないってことさ！確かにあんたは強い！それは今のターンで十分分かった！その上、あんたはひょっとしたらいい人かもしれない！それは何度もカレンを気遣ってくれたから分かる！でも！！」

ユーラは大きく息をすって宣言する。


「宣言するぜ！このデュエル、このターンで決めなければあんたは『負ける』！」

突拍子もない勝利宣言。次のターンでよほどいいカードを引く自身があるのか。いや、女は薄々感づいていた。このターンで勝負を決めなければ、女が敗北する仕掛け…いや、『爆弾』をユーラが仕掛けていることを。

「(末恐ろしい子です……『合格』ってところですかね。)……私はカードを一枚伏せ、ターンエンド！」

女がエンドフェイズを宣言したその瞬間、女の足元が赤く光りだす。

「……忠告はしたはずだぜ？」
「忠告があっても、どうにもならない時だってあるんですよ…おめでとう、あなたの勝ちです。」

「『エクスプロード・ウィザード』が戦闘、効果によって墓地に送られたターンのエンドフェイズ時、相手プレイヤーに1000のダメージを与える！爆裂魔導・第二術式(エクスプロード・セカンドスペル)！」

女LP250→0

「いたた…まったく、容赦ないんですねぇ…」

女が尻をさすりながら起き上がる。

「約束だ、俺が勝ったからカレンを解放しろ、そしてカレンを狙った理由も話してもらおうか。」

ユーラが女に詰め寄っていく。

「くすっ、前に進むのは結構ですけど後ろにも気をつけたほうがいいですよ？」
「何？」

次の瞬間、ユーラの背後から腕が伸びてきた。

「な！？」

腕の細さと群青色のドレスの裾のようなものが見えたことから、ユーラはこの腕の主人がおさらく女性の腕であると考えた。とっさに抵抗するも、口元に布のようなものが当てられ段々と意識が薄れていく…。

(こいつ、いつの間に…いや、それよりもこれは………ま……すい…………)



「おやすみなさいです。さて、ティア！さっさとこの『二人』をリーダーのところへ運んじゃうです！」
「了解です。先ほどの爆音によって12名ほどの村民がこの教会に対し警戒心を抱いており、そのうち三名ほどこちらに向かってきているようですので可及的速やかに行いましょう。」












次回予告
意識を失ったユーラが目覚め、見たものは、カレンを眠らせた犯人とその仲間達だった…

女「あなたに約束通り話してあげるです。カレンちゃんを狙った本当の理由を…」
ユーラ「ここまでして話すような理由…いったい、カレンの身に何があるっていうんだ…？」

次回 運命のあの日












おまけ デッキ紹介
【持ち主】ユーラ=ギス=オウディナ

【デッキ名】爆破魔導

【カテゴリ】『ボム』『バクダン』『エクスプロード』

【種族】戦士族の『ボムソルジャー』、鳥獣族の『ボムバード』、悪魔族の『バクダンディー』、そして魔法使い族の『エクスプロード・マジシャン』と様々。

【戦い方】今後のネタバレになる可能性を考慮し割愛。

【弱点】今後の(ry