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破壊剣士の宿命 後編 作:プレミメイカー
「奴らしき竜が現れたと情報のあった村や町は全て壊滅、
地形すら変わっちまうくらいに破壊しつくされていた。
それもどんどんその規模は拡大していっているんだ。
この前は栄えた巨大な城下町が滅ぼされた。民衆の反乱があって混乱していたとはいえ、
並大抵の竜が一晩で滅ぼせる規模の町じゃねぇ。」
もはや天災以上の脅威だ。母さんは不安げな視線を父さんに向けている。
「つまり、そいつは町を襲う度、その力を増しているということか?」
「あぁ、その通りだ兄貴。だから、万が一その竜が攻めてきても里を守れるよう、戦力はなるべくここにとどめておくんだ。捜索は俺がやるよ。
そして、最悪の事態に陥ったときは……知ってるんだろ?兄貴は、あの剣の在処を」
父さんはしばらく何かを思慮するように目を瞑ったあと、真っ直ぐおじさんを見つめ、答えた。
「ああ……我々の力だけで対処しきれない場合は止むを得まい。」
「やはり、存在していたんだな。」
「ただ、本当に脅威と判断した時だけだ。それこそ世界の滅亡を感じるほどのな。
あれは最強の剣であるとともに禁忌の剣でもあるのだから。
里の守りを固める件は賛成だ。ただ少し時間をくれ、ある程度食糧の備蓄など準備がいる。さっそく早朝にでもとりかかるとしよう。」
「わかった。手伝えることがあったら何でも言ってれ。」
父さんは強くうなずいて席を立ち、奥の自室へ向う。母さんもそれを追うように席をたった。その後ろ姿から先ほどのような不安は微塵も感じられない。もう覚悟を決めたようだ。
さすが里長の妻といったところか。ふと妹の寝ている部屋に視線が移る……俺に、なにができるのだろう。
「大丈夫さ。」
おじさんが軽く俺の肩を叩いた。
父さんが必要最低限の食料調達等を除き、里外へ出ることを禁じてから2週間が経った。
ほぼ体制も整い、これまでの慌ただしさが嘘かのようにここ数日は安穏とした日常が続いていた。例の竜は去ったのではないか。そう言い出す者も出始めた。
かくいう俺もその一人だ。こっそり里を抜け出して、破竜の霊山山頂の大岩に仰向けになっている。
「『宝剣- ドラゴンバスターブレード -』……か。」
『邪なる竜』を封じた伝説の破壊剣。竜を斬るほどにその切れ味を増し、極限まで研ぎ澄まされた刃は、地を砕き、海を割り、空を裂くと言われている。しかし、使い手を選び資格なき者はその身も心も斬られた竜の怨念によって引き裂かれるという。
「本当にそんなバカみたいな剣があるのかよ、おじさん……。」
岩から降りようとバスターが半身を起した瞬間。
足元からの強烈な突風ともに、禍々しく黒ずんだ一頭の巨竜が飛び上がってきた。
六本の足、翼は鳥の羽毛の様だ。見たこともない竜。
「なんだ、こい……」
ズバンッ……
「!?」
真っ二つだった。
巨大な肉塊が岩壁を転げ麓の森の中へ消える。
「……里の方角から来た、のか?」
「すさまじい切れ味だな。さぁて、アレは誰だったのかねぇ。ま、誰でもいいか。」
大岩の下に人?あの竜を斬ったやつか?
「……!!おじ、さん?」けど、あんな剣持ってたか?
「誰だ?出てこねぇなら岩ごと叩ッ斬るぞ。」
「……。」岩の上で立ち上がり顔を見せる。
「俺が言うのもなんですけど、
どうしてこんなところにいるんですか?それに、その剣は?」
彼がいつもと違う空気を纏っているからか、俺は岩を降りる気にはなれなかった。
「まぁ、お前のことだ、退屈すぎてここまで昼寝に来たんだろ?わざわざ。
この剣は、ほら、先週教えてやったろ?これがそうさ、『宝剣- ドラゴンバスターブレード -』」
「!! まさか里は……」
父さんは、母さんは、リトルは!
「あぁ、奴に襲われちまった。俺は兄貴に任されてこいつを取りに来たってわけよ。
っつーことで、早く降りてこいよ。奴は1匹じゃなかった。少しでも加勢は多い方がいい。」
「……。」
「どうした?」
「1つ、聞かせてください。
あの竜を斬ったとき、『アレは誰だったのか』って、どういうことですか?
まるで、もともと人だったみたいな……」
「……案外賢しいねぇ、父親と違って。めんどくせぇ、やっぱ岩ごと叩ッ斬る!」
彼が纏っていた警戒の気が、刹那、殺意に転じた。
ザンッ!大人のドラゴンほどはあろう巨岩が一太刀で瓦礫と化す。
「ふははっ!避けたか、やるねぇ!一度斬撃を見ていただけでこの反応とは!」
「しかし、ちと煙を上げすぎたか、……よっと」
ダンディが剣先で軽く地面を小突くと土煙が一瞬で吹き飛んだ。
直後、バスターの顔面に重く鋭い回し蹴りがめり込む!
「予想より近かったな。斬れなかったじゃねーか。が、体の方はまだまだみたいだな。」
「ぐがッ……」 ただの蹴り一発で……
素の実力差も圧倒的だ、けど、この殺気、味方に向けられるものじゃない!
バスターブレードを持ち帰って、里を救えるのは……
「俺、だけだッ!!」
「あ、」 目の前にそびえる人影。もう、こんな近くまで、死ん……
「なにがだよ。」気だるげな声とは裏腹に、鋭い殺意がこもった剣が高く振り上げられる。
ゴゥッ!「「!?」」
下からの強烈な突風、これは……
「あぁ?里の竜か、邪魔すん…」
隙だ。あの竜が作った!
「しまッ!」
「破壊剣 一 ・ 閃!!!」
「ごッがあっ!」ドシャアァ……
やっ…た!あいつは剣を落として吹っ飛んでった、けど……後ろには、
振り向くとそこに竜はいなかった。頭上を通り越して先へ飛び去ろうとしていた。
「くっそがぁ~ッ!」
目の前が真っ白になるほどの強烈が閃光が上空に向かって放たれ、
それは一瞬にして先ほどの竜を焼きつくし灰にした。
閃光の残滓で霞む視線を急いで、発生源であろう男の方へ向ける。
「やってくたなぁ、予定じゃこれから最強の剣で、最狂の竜を狩り放題だったのによぅ……」
異様に肥大化し鋭く長い爪を持つ左腕、角の生えた頭、怪しく赤らむ眼光、そして、あの2頭の竜によく似た翼が右背部から生えている。
「バスタァァ、お前のせいで抑え込んでた竜核が覚醒しちまったじゃねぇか。」
なんだあの姿は、リュウカクが覚醒?まるで意味が分からない……
「ぐおおおお……」
みるみる影が大きく歪に膨らんでいく。そして、
「……これはさっきまでの、竜?人が、竜に?」
「そうだ、これがあの竜どもの、そして伝説の『邪なる竜』正体だ。」
「これが、正体?……じゃあ、今までのは、まさか、里の人だったというのか!」
ガシャッ、バスターブレードを拾い上げ力を込める。
「それを、おじさんは、あなたは、お前はぁぁッ!バスターブレード!力を貸してくれ、
俺はあいつを、破壊する!!!」
地形すら変わっちまうくらいに破壊しつくされていた。
それもどんどんその規模は拡大していっているんだ。
この前は栄えた巨大な城下町が滅ぼされた。民衆の反乱があって混乱していたとはいえ、
並大抵の竜が一晩で滅ぼせる規模の町じゃねぇ。」
もはや天災以上の脅威だ。母さんは不安げな視線を父さんに向けている。
「つまり、そいつは町を襲う度、その力を増しているということか?」
「あぁ、その通りだ兄貴。だから、万が一その竜が攻めてきても里を守れるよう、戦力はなるべくここにとどめておくんだ。捜索は俺がやるよ。
そして、最悪の事態に陥ったときは……知ってるんだろ?兄貴は、あの剣の在処を」
父さんはしばらく何かを思慮するように目を瞑ったあと、真っ直ぐおじさんを見つめ、答えた。
「ああ……我々の力だけで対処しきれない場合は止むを得まい。」
「やはり、存在していたんだな。」
「ただ、本当に脅威と判断した時だけだ。それこそ世界の滅亡を感じるほどのな。
あれは最強の剣であるとともに禁忌の剣でもあるのだから。
里の守りを固める件は賛成だ。ただ少し時間をくれ、ある程度食糧の備蓄など準備がいる。さっそく早朝にでもとりかかるとしよう。」
「わかった。手伝えることがあったら何でも言ってれ。」
父さんは強くうなずいて席を立ち、奥の自室へ向う。母さんもそれを追うように席をたった。その後ろ姿から先ほどのような不安は微塵も感じられない。もう覚悟を決めたようだ。
さすが里長の妻といったところか。ふと妹の寝ている部屋に視線が移る……俺に、なにができるのだろう。
「大丈夫さ。」
おじさんが軽く俺の肩を叩いた。
父さんが必要最低限の食料調達等を除き、里外へ出ることを禁じてから2週間が経った。
ほぼ体制も整い、これまでの慌ただしさが嘘かのようにここ数日は安穏とした日常が続いていた。例の竜は去ったのではないか。そう言い出す者も出始めた。
かくいう俺もその一人だ。こっそり里を抜け出して、破竜の霊山山頂の大岩に仰向けになっている。
「『宝剣- ドラゴンバスターブレード -』……か。」
『邪なる竜』を封じた伝説の破壊剣。竜を斬るほどにその切れ味を増し、極限まで研ぎ澄まされた刃は、地を砕き、海を割り、空を裂くと言われている。しかし、使い手を選び資格なき者はその身も心も斬られた竜の怨念によって引き裂かれるという。
「本当にそんなバカみたいな剣があるのかよ、おじさん……。」
岩から降りようとバスターが半身を起した瞬間。
足元からの強烈な突風ともに、禍々しく黒ずんだ一頭の巨竜が飛び上がってきた。
六本の足、翼は鳥の羽毛の様だ。見たこともない竜。
「なんだ、こい……」
ズバンッ……
「!?」
真っ二つだった。
巨大な肉塊が岩壁を転げ麓の森の中へ消える。
「……里の方角から来た、のか?」
「すさまじい切れ味だな。さぁて、アレは誰だったのかねぇ。ま、誰でもいいか。」
大岩の下に人?あの竜を斬ったやつか?
「……!!おじ、さん?」けど、あんな剣持ってたか?
「誰だ?出てこねぇなら岩ごと叩ッ斬るぞ。」
「……。」岩の上で立ち上がり顔を見せる。
「俺が言うのもなんですけど、
どうしてこんなところにいるんですか?それに、その剣は?」
彼がいつもと違う空気を纏っているからか、俺は岩を降りる気にはなれなかった。
「まぁ、お前のことだ、退屈すぎてここまで昼寝に来たんだろ?わざわざ。
この剣は、ほら、先週教えてやったろ?これがそうさ、『宝剣- ドラゴンバスターブレード -』」
「!! まさか里は……」
父さんは、母さんは、リトルは!
「あぁ、奴に襲われちまった。俺は兄貴に任されてこいつを取りに来たってわけよ。
っつーことで、早く降りてこいよ。奴は1匹じゃなかった。少しでも加勢は多い方がいい。」
「……。」
「どうした?」
「1つ、聞かせてください。
あの竜を斬ったとき、『アレは誰だったのか』って、どういうことですか?
まるで、もともと人だったみたいな……」
「……案外賢しいねぇ、父親と違って。めんどくせぇ、やっぱ岩ごと叩ッ斬る!」
彼が纏っていた警戒の気が、刹那、殺意に転じた。
ザンッ!大人のドラゴンほどはあろう巨岩が一太刀で瓦礫と化す。
「ふははっ!避けたか、やるねぇ!一度斬撃を見ていただけでこの反応とは!」
「しかし、ちと煙を上げすぎたか、……よっと」
ダンディが剣先で軽く地面を小突くと土煙が一瞬で吹き飛んだ。
直後、バスターの顔面に重く鋭い回し蹴りがめり込む!
「予想より近かったな。斬れなかったじゃねーか。が、体の方はまだまだみたいだな。」
「ぐがッ……」 ただの蹴り一発で……
素の実力差も圧倒的だ、けど、この殺気、味方に向けられるものじゃない!
バスターブレードを持ち帰って、里を救えるのは……
「俺、だけだッ!!」
「あ、」 目の前にそびえる人影。もう、こんな近くまで、死ん……
「なにがだよ。」気だるげな声とは裏腹に、鋭い殺意がこもった剣が高く振り上げられる。
ゴゥッ!「「!?」」
下からの強烈な突風、これは……
「あぁ?里の竜か、邪魔すん…」
隙だ。あの竜が作った!
「しまッ!」
「破壊剣 一 ・ 閃!!!」
「ごッがあっ!」ドシャアァ……
やっ…た!あいつは剣を落として吹っ飛んでった、けど……後ろには、
振り向くとそこに竜はいなかった。頭上を通り越して先へ飛び去ろうとしていた。
「くっそがぁ~ッ!」
目の前が真っ白になるほどの強烈が閃光が上空に向かって放たれ、
それは一瞬にして先ほどの竜を焼きつくし灰にした。
閃光の残滓で霞む視線を急いで、発生源であろう男の方へ向ける。
「やってくたなぁ、予定じゃこれから最強の剣で、最狂の竜を狩り放題だったのによぅ……」
異様に肥大化し鋭く長い爪を持つ左腕、角の生えた頭、怪しく赤らむ眼光、そして、あの2頭の竜によく似た翼が右背部から生えている。
「バスタァァ、お前のせいで抑え込んでた竜核が覚醒しちまったじゃねぇか。」
なんだあの姿は、リュウカクが覚醒?まるで意味が分からない……
「ぐおおおお……」
みるみる影が大きく歪に膨らんでいく。そして、
「……これはさっきまでの、竜?人が、竜に?」
「そうだ、これがあの竜どもの、そして伝説の『邪なる竜』正体だ。」
「これが、正体?……じゃあ、今までのは、まさか、里の人だったというのか!」
ガシャッ、バスターブレードを拾い上げ力を込める。
「それを、おじさんは、あなたは、お前はぁぁッ!バスターブレード!力を貸してくれ、
俺はあいつを、破壊する!!!」
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