Turn002 天下獲りの協力者！　作：「勅使河原」が読めぬ

遊騎がスタジアムの主となって、しばらく経ったある日のこと。

「はぁ、はぁ…」

遊騎と同い年ほどの少年が、息を切らしてスタジアムに駆け込んできた。

「君…炎藤遊騎だよね…？」
「そうだけど…誰？」
「よかった…。あ、僕は光岡流星(ミツオカ・リュウセイ)。この近くのスタジアムをやってるんだ」
「…ってことは…まさか、二つ目のスタジアムをここにしたいってことか！？」
「いやいや、僕は光属性使いだよ？　ここのスタジアムをもらうのは無理だ。僕は、君に相談をしに来たんだ」
「相談？」
「うん。…その前に、君のデュエルを見せてもらうよ。デュエル！」

穂村との戦いと同じく、デュエルフィールドが光り出す。

「先攻は俺がもらう！　まずはモンスターをセット！　カードを２枚セットしてターンエンドだ！」
「僕のターン、ドロー！　まずはおろかな埋葬を発動！　墓地に星因士 デネブを送る！　そして手札から星因士 ベガを通常召喚！　効果で手札から星因士 アルタイルを特殊召喚！　さらに効果で墓地からデネブを特殊召喚！　デネブの効果でデッキから新たなアルタイルを手札に加えるよ！　そして３体でエクシーズ召喚！　星輝士 トライヴェール！」
「いきなりエクシーズ召喚を！？」
「召喚時効果発動！　遊騎のフィールドのカードを全て手札に戻すよ！」
「何っ！？」
「そしてトライヴェールの２つ目の効果！　遊騎の手札を１枚墓地へ送る！　墓地へ送るのは…これだ！」

遊騎の手札が、無作為に１枚浮かび上がり、墓地へ落ちて行く。

「うっ…コアトルが手札から捨てられた…」
「そしてダイレクトアタックだ！」
「うあぁぁぁ！」
「そして僕はカードを１枚セットしてターンエンド！」
「…いきなりこんなに食らうとはな…。でも俺は諦めない！　ドロー！」

しかし、遊騎の表情は曇っていた。

「…モンスターとカードを１枚ずつセットして、ターンエンドだ…」
「行くよ、僕のターン、ドロー！　僕はアルタイルを通常召喚！　効果で墓地のベガを特殊召喚し、その効果で手札の星因士 シャムを特殊召喚！　遊騎に１０００ダメージを与える！」
「くっ…！」
「そして３体でエクシーズ！　召喚、星輝士 デルタテロス！　効果で遊騎のセットした魔法か罠か分からないけど、それを破壊！」
「クソっ…」
「トライヴェールでモンスターに攻撃！」
「セットモンスターはラヴァルの炎車回し…よってデッキからラヴァル炎火山の侍女とラヴァル炎樹海の妖女を墓地へ送る！」
「…これで決まりだね。行け、デルタテロス！」
「ぐっ…あぁぁぁぁ！」

あまりにも呆気ない敗北に、遊騎は言葉すらも出なかった。

「…まだまだ井の中の蛙だったんだな、俺は…」
「…いい…」
「え？」
「…遊騎、すごくいいよ！　君のその熱いデュエルなら、出来るよ、天下統一！」
「天下統一…？　そんなの、無理だろ？　だってこの世界には属性が６つもあるんだ。他の属性のデッキを持つなんて普通は無理だから、天下統一なんて都市伝説…」
「協力してほしいんだ！」
「協力？」
「うん。僕は光属性、そして遊騎は炎属性。あと４つの属性の使い手を仲間にして、皆で天下を統一しよう！」

突然何を言い出すんだ、と遊騎は仰天したが、遊騎にとって、デュエルでの天下統一は昔からの夢だった。不可能だと思っていたが、今の流星の発言は、遊騎にとって渡りに船だった。

だから…。

「…ああ。よろしくな、流星！」

遊騎は、流星と固い握手を交わした。