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TURN06: 忍び寄る脅威と姿なき龍 作:217
前回のあらすじ
遊騎と愛華は買い物に行く途中、使用が禁止されているブースターを使ってデュエルを行っている現場に遭遇。ブースターを使っていたのは、アカデミア屈指の不良、黒崎翔。アカデミアの生徒の不祥事ということで、愛華がデュエルをすることに。翔のカラクリによる高速展開に一時窮地に追い込まれる愛華であったが、自身のエース、戦女神・アテナと切り札、戦女神・アマテラスを融合召喚し、翔のカラクリデッキを破ったのであった
翔「くっそー!」
翔のDホイールは既に停止し、画面にはDEFEATの文字が移っていた。
翔「なんで…なんでこの俺が!女なんかに…!」
愛華「あらあら。女だからって、別に男より弱いってことはないのよ?」
翔「ふざけんなよ…!こうなったら…!」
そういうと、翔は自身のポケットからスタンガンを取り出し、愛華に突きつけた
愛華「あなた…!そんなものを!」
翔「うるせぇ!こんなとこでおとなしく捕まってられるか!おい、そこの男!動いてみろ、そしたらこの女を…」
翔が言い終わる頃には、既に遊騎は翔の懐に入っていた。
翔「な…!?」
遊騎「さすがにな、やっちゃいけねえことってもんがあるぜ、少年」
そう言うと、右脚で翔の持っていたスタンガンを蹴り上げ、翔の腹に一発決め込んでいた。
翔「かはっ…て、てめぇ…!」
遊騎「おとなしく捕まってろ、このドアホ」
遊騎の目は、普段のやる気のない目から一転、怒りに満ち満ちていた。
遊騎「さて…そろそろあいつがくるころだな。」
愛華「そうね。にしても、少し遅い気がするけど…」
愛華がそう言い終わると、遠くの方からDホイールの音が聞こえてきた。
遊騎「お、きたきた。…ん?」
モブセキュリティ「現場到着。これより、犯人の捕縛を行います。」
そこに来たのは、普通のセキュリティであった。
遊騎「おいおい、和也はどうした?俺はあいつに連絡を入れたはずだが?」
モブセキュリティ「いえ、私も和也さんからの連絡を受けてここへ来たのですが…」
愛華「…?どういうこと?」
モブセキュリティ「なんでも、デュエルレーンは今救急車が入れないから、俺が直接病院まで送るとかなんとか…」
愛華「…和也、そんなキャラだったっけ?」
遊騎「いや、違うと思うが。恐らく…」
モブセキュリティ「それより、貴方方に伝言をと、和也さんから聞いてます」
遊騎「伝言?」
モブセキュリティ「いつも日用品を買ってるデパートに向かえ。今立てこもりがおきてて、セキュリティも出動しているが、相手が相当のデュエルの腕を持っているため、下手な突入ができない。とのことです。」
遊騎「なるほどな…。ったく、めんどくせえ仕事だな。愛華、ついてくるか?」
愛華「もちろん!」
遊騎「OK、あんまり無茶はすんじゃねえぞ。んじゃ、さっさと行くか!」
そう言うと、遊騎と愛華はDホイールに乗り、立てこもりが起こっているデパートへと向かっていった。
一方、こちらは被害現場。まだ愛華がデュエルしている頃。
和也「被害者発見。これより保護します。…っと、大丈夫かい?」
女子高生「はい…っ痛!」
和也「こいつは骨折が酷いな…。早く病院へ行かないと…ん?君は…」
女子高生「あ、あなたは…楠木和也さん?」
和也「君は確か…長谷部望、だったよね?」
望「はい!覚えててくれたんですね!」
黒崎翔とのデュエルに敗北してしまったこの女子高生の名は、長谷部望。18歳。デュエルアカデミア高等部の中でも1,2を争うほどの成績を誇る。正義感が強いため、周りからは委員長と呼ばれている。
和也「そりゃあまあ、あのデュエルを忘れるわけ無いしな」
望「嬉しい…覚えててくれたんだ…照」
和也「それより、なんたってDホイールに乗ったんだ?アカデミアじゃ特殊な申請がない限り乗れないはずだ。それに、君はDホイールにあまり興味がなかったと思うけど…」
望「最近、アカデミアで、ライディングデュエルに関する不祥事が多発しているんです。恐らく、この前Dホイールへの免許制限が緩和されたからだと…。だから、私もDホイールに乗って、悪事を働く生徒を懲らしめようと思ったんですけど…」
和也「Dホイールを見ても、まだ初心者レベルってとこか。ま、その意識は評価するが、ちょっとやり過ぎな気もするけどな…ん?」
和也と望が話していると、デュエルレーンの上にある橋から、ある男性がこちらを見ていた。
和也「あの人は確か…」
望「ス、スレイブ教頭先生…」
橋の上にいるのは、スレイブ教頭。デュエルアカデミアの教頭を務める。
スレイブ「長谷部君、君は授業に来ずに、一体何をしているのかね?」
望「す、すいません…」
スレイブ「まったく!最近、君は生徒にやたらと絡んだり、授業に出ずに不祥事を働く生徒に詰め寄ったり、周りの人達の迷惑ばかりしているではないか!」
スレイブ教頭はものすごい剣幕で望をまくし立てた。
望「そ、そんなことありません!私は校則に違反してる生徒に注意をしているだけで…」
スレイブ「言い訳は聞かん!」
スレイブ教頭の一喝によって、望の目には涙が浮かんでいた
望「どうして…私は、間違ったことをしてるの?…ぐすっ」
スレイブ「さあ!さっさとアカデミアに戻るぞ!」
スレイブ教頭が望の腕を掴もうとしたその時、和也がその間に入った。
和也「教頭、少し待って下さい。」
スレイブ「おお、君は楠木君ではないか。一体なんの真似だ?」
和也「教頭、僕は貴方を凄く尊敬していた。どの生徒にも優しく接し、不祥事を起こした生徒とは真剣に向き合って話し合う。だからこそ、貴方は多数の生徒から好かれ、敬愛されていた。先程みたいに、生徒の言い分を聞かずにただ怒鳴り散らすような人ではなかったはずです。」
スレイブ「楠木君、人は変わるものだよ。私とて人間だ。度重なる生徒の不祥事に真摯に向き合っても、改善する生徒は一握りだけ…。それに加え、親からの理不尽な苦情が毎日続けば、私の心も折れる。」
和也「貴方はそんな人ではない!どんなに理不尽な事にも面と向かってぶつかり、解決してきたではありませんか!それがなぜ!」
スレイブ「楠木君、私は手に入れたのだよ。誰も私に逆らえない力をね!」
和也「力…!?」
スレイブ「そう!誰も抗うことができない、絶対的な力をね!この力で、言うことを聞かない生徒を力ずくでねじ伏せるのです!」
すると一瞬、和也はスレイブ教頭から謎の力と気配を感じ取った。
和也「今のは、一体…?」
ふと望の方を見た和也は、今にも泣いてしまいそうな顔して震えている望が目に映った。
和也「望、大丈夫か?」
望「せ、先生から感じたのは、何…?」
和也「!?…そうか、望も感じ取ったんだな。」
望「どうしよう…私のせいで…」
和也「望のせいじゃない。これはもっと別の何かだろう。望、俺から離れるなよ?」
そう言うと、和也はデュエルディスクをセットした。
和也「教頭、デュエルで決着をつけましょう!」
スレイブ「いいでしょう!物分りの悪い子にはお仕置きです!」
和也(もしこれが…あの人の言っていた脅威なら…俺は!)
デュエル!
スレイブ 手札5枚
和也 手札5枚
スレイブ「先攻はもらいますよ!私のターン!私は手札から、サイバー・ドラゴン・コアを召喚!」
望「サイバー・ドラゴン…!? 教頭先生はサイバー流の使い手なの?」
和「ネオドミノシティのアカデミアの教頭は、代々アンティークギアデッキを受け継ぎ、ここ魅蘭市のアカデミアの教頭は、サイバー流を受け継いでいく。そういう伝統なんだよ。」
スレイブ「まあ、私自身あまりデュエルをしないから、見たことある人の方が少ないのですがね。いきますよ!サイバー・ドラゴン・コアの効果発動!」
サイバー・ドラゴン・コア
効果モンスター
星2/光属性/機械族/攻 400/守1500
このカードが召喚に成功した時、
デッキから「サイバー」または「サイバネティック」と名のついた
魔法・罠カード1枚を手札に加える。
また、相手フィールド上にモンスターが存在し、
自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、
墓地のこのカードを除外して発動できる。
デッキから「サイバー・ドラゴン」と名のついたモンスター1体を特殊召喚する。
「サイバー・ドラゴン・コア」の効果は1ターンに1度しか使用できない。
このカードのカード名は、フィールド上・墓地に存在する限り「サイバー・ドラゴン」として扱う。
スレイブ「私はデッキから、サイバネティック・フュージョン・サポートを手札に加える!そして、カードを1枚伏せて、ターンエンド!」
スレイブ 手札4枚 伏せ1
和「俺のターン、ドロー!」
和也 手札6枚
和「このカードは、自分フィールド上にモンスターが存在せず、相手フィールド上にモンスターが存在する時、手札から特殊召喚できる!俺は手札から、ジャンク・シュバリエを特殊召喚!」
ジャンク・シュバリエ
効果モンスター
星5/地属性/戦士族/攻2100/守1600
(1)相手フィールド上にモンスターが存在し、
自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、
このカードは手札から特殊召喚できる。
(2)墓地のこのカードを除外し、自分フィールド上の「ジャンク」モンスター1体を選択して発動する。選択したモンスターはこのターン、戦闘及びカードの効果で破壊されない。この効果は相手ターンでも発動できる。
和「さらに手札から、ジャンク・ブレーダーを召喚!バトル!ジャンク・シュバリエで、サイバー・ドラゴン・コアを攻撃!」
スレイブ「くっ…!」
スレイブ LP4000→2300
和「さらに、ジャンク・ブレーダーでダイレクトアタック!」
スレイブ「ぬぅぅ…!」
スレイブ LP2300→500
望「すごい…1ターンでライフが500に…これなら!」
和「いや、あの伏せは恐らく…!」
スレイブ「くくく…さすがは楠木君。私のデッキをよく分かってるね。その通り、伏せカードはこれだ!罠発動!サイバネティック・ゲイン!」
サイバネティック・ゲイン
通常罠
(1):直接攻撃を受けた時、このカードを発動できる。その戦闘で受けたダメージ分のライフを回復し、受けたダメージ以下の攻撃力を持つ「サイバー」モンスターを1体手札に加える。
スレイブ「このカードの効果により、私はジャンク・ブレーダーの攻撃力、1800分のライフを回復!さらに!デッキからサイバー・ドラゴン・ツヴァイを手札に加える!」
望「そんな…せっかくダメージを与えたのに…」
和「気にすることはない。これはスレイブ教頭の常套手段。あの罠は厄介だから、先に潰しておいたんだよ」
スレイブ「流石は楠木君。私のデュエルをよく把握している。だが、それでは今の私には勝てませんよ?」
和「わかってますよ!俺はカードを2枚伏せて、ターンエンド!」
和也 手札2枚 伏せ2枚
スレイブ「私のターン!ドロー!」
スレイブ 手札6枚 伏せ無し
その瞬間、和也はスレイブ教頭が一瞬何か黒くくすんだ瘴気に覆われていたのを見た。
和「今のは…」
スレイブ「ほら、何をぼさっとしているのですか!いきますよ!このカードは、相手フィールド上にのみモンスターが存在する時、手札から特殊召喚できる!私は手札から、サイバー・ドラゴンを特殊召喚!」
サイバー・ドラゴン
効果モンスター
星5/光属性/機械族/攻2100/守1600
相手フィールド上にモンスターが存在し、
自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、
このカードは手札から特殊召喚できる。
和「来たか…!」
スレイブ「ふふふ…まだですよ!私はさらに手札から、サイバー・ドラゴン・ツヴァイを召喚!そして効果を発動!」
サイバー・ドラゴン・ツヴァイ
効果モンスター
星4/光属性/機械族/攻1500/守1000
このカードが相手モンスターに攻撃するダメージステップの間、
このカードの攻撃力は300ポイントアップする。
1ターンに1度、手札の魔法カード1枚を相手に見せて発動できる。
このカードのカード名はエンドフェイズ時まで
「サイバー・ドラゴン」として扱う。
また、このカードのカード名は、
墓地に存在する限り「サイバー・ドラゴン」として扱う。
スレイブ「手札の魔法カードを見せることで、このモンスターはサイバー・ドラゴンとして扱うことができます!そして、私が見せる魔法カードはもちろん…くくく!」
不気味な笑みを見せたスレイブ教頭が見せたカードは…
和「『パワー・ボンド』…!」
スレイブ「さあ楠木君!覚悟しなさい!私は手札から、パワー・ボンドを発動!」
パワー・ボンド
通常魔法
自分の手札・フィールド上から、
融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、
機械族のその融合モンスター1体を融合召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターの攻撃力は、その元々の攻撃力分アップする。
このカードを発動したターンのエンドフェイズ時、
自分はこのカードの効果でアップした数値分のダメージを受ける。
スレイブ「私はフィールド上の2体のサイバー・ドラゴンを融合!融合召喚!出でよ!サイバー・ツイン・ドラゴン!」
サイバー・ツイン・ドラゴン
融合・効果モンスター
星8/光属性/機械族/攻2800/守2100
「サイバー・ドラゴン」+「サイバー・ドラゴン」
このカードの融合召喚は上記のカードでしか行えない。
このカードは1度のバトルフェイズ中に2回攻撃する事ができる。
スレイブ「サイバー・ツイン・ドラゴンの攻撃力は、パワー・ボンドの効果により、倍となる!よって、その攻撃力は!」
和「攻撃力、5600…!」
望「このままじゃ、和也先輩はサイバー・ツイン・ドラゴンの2回攻撃で、ライフが…!」
スレイブ「さあ、これで終わりです!サイバー・ツイン・ドラゴンで、ジャンク・シュバリエに攻撃!エヴォリューション・ツイン・バースト!」
サイバー・ツイン
ATK 5600
ジャンク・シュバリエ
ATK 2100
和「ぐぁぁっっ!…な、何だ、この衝撃…は…!」
和也 LP4000→500
通常のSVシステムではあり得ないほどの凄まじい衝撃。それを受けた和也は、立っているだけで精一杯という状態であった。
望「和也先輩!大丈夫ですか!」
和「あぁ…なんとか…な」
スレイブ「ふふふ。これで分かりましたかな?このデュエルは、普通の生ぬるいデュエルとは違うのですよ。自身の命をかけたデュエルなのですからね!さぁ、これでお終いです!私はサイバー・ツイン・ドラゴンで、ジャンク・ブレーダーを攻撃!エヴォリューション・ツイン・バースト!」
サイバー・ツイン
ATK 5600
ジャンク・ブレーダー
ATK 1800
望「いやぁ!ぐすっ…和也先輩!」
望は大粒の涙を流しながら、和也の名前を叫び続けた。そして、泣き崩れてしまいそうな望の頭を撫でながら、和也は優しい声で言った。
和「心配すんな。俺が負けるはずねぇだろ?」
望「和也…先輩…ぐすっ」
和「見てろって(ニコッ)。 リバースカード、オープン!痛恨の代償!」
痛恨の代償
通常罠
このターン、自分が2000ポイント以上のダメージを受けたターン、このカードを発動できる。以下の効果の内、1つを選んで適用する。
(1)自分フィールド上のモンスター1体を墓地に送る。このターン、自分が受けるダメージは全て0となる。また、このターンのエンドフェイズ時、この効果で墓地に送ったモンスターの攻撃力以下の攻撃力を持つモンスターを、デッキから1枚加えることができる。
(2)手札のモンスター1体を特殊召喚する。そのモンスターはこのターン、戦闘及び効果で破壊されない。
和「俺はジャンク・ブレーダーを墓地に送り、このターン受けるダメージを全て0にする!」
ガキン!
スレイブのサイバー・ツインが放った攻撃を、半透明のバリアがはじき返した。
スレイブ「ほう…なかなかしぶといですね」
和「ふぅ…少し焦ったが、なんとかなったか」
望「先輩、身体の方は大丈夫ですか…?」
和「正直、ちょいとキツイ…。まあでも、心配すんな!それより、望だって怪我してんだ。気をつけておけよ」
望「は、はい!」
スレイブ「青春ですね〜…ですが、悪い子達がそうしてイチャついてるのを、私は見逃すことはできませんよ!」
望「い、イチャついてなんか…(照) そ、それより、このターン、教頭先生はパワー・ボンドの効果でダメージが!」
スレイブ「その通り。流石は望君、よく分かってるね。私はこれでターンエンド。」
和「この瞬間、痛恨の代償の効果で、俺はジャンク・シンクロンを手札に加える!」
望「よし!これで、教頭先生のライフは…!」
和「いや…まだだ!」
スレイブ「察しが良いですね!楠木君!私がなんの考えもなしにパワー・ボンドを使うわけないですからね!私は手札から速攻魔法、サイバネティック・トランジスタを発動!」
サイバネティック・トランジスタ
速攻魔法
(1)このターン、自分が効果ダメージを受けるとき、そのダメージを無効にし、その数値分のライフを回復する
(2)このカードが相手によって墓地に送られた時、デッキから「サイバー」モンスターを1枚手札に加えることができる。
スレイブ「この効果により、私はパワー・ボンドで受けるダメージ、2800ポイントのライフを回復し、ダメージを無効化する!」
スレイブ LP2300→5100
望「そ、そんな!」
和「流石は、サイバー流免許皆伝者ですね。」
スレイブ「君こそ、このコンボで倒れなかったのは君くらいなものだよ、楠木君。さあ!次は君のターンだ!」
スレイブ 手札2枚
和「俺のターン!ドロー!」
和也 手札4枚 伏せ1枚
和「さ、こっから巻き返すか!このカードは、自分フィールド上にモンスターがいない時、手札から特殊召喚できる!俺は手札から、ジャンク・フォワードを守備表示で特殊召喚!」
スレイブ「ジャンク・フォワード…ということは…」
和「さらに、手札のレベル・スティーラーを墓地に送り、手札からクイック・シンクロンを特殊召喚する!」
クイック・シンクロン
チューナー・効果モンスター
星5/風属性/機械族/攻 700/守1400
このカードは「シンクロン」チューナーの代わりとしてS素材にできる。
このカードをS素材とする場合、
「シンクロン」チューナーを素材とするSモンスターのS召喚にしか使用できない。
(1):このカードは手札のモンスター1体を墓地へ送り、
手札から特殊召喚できる。
和「さらに、墓地のレベル・スティーラーは、自分フィールドのレベル5以上のモンスターのレベルを1つ下げることで、墓地から特殊召喚できる!」
レベル・スティーラー
効果モンスター
星1/闇属性/昆虫族/攻 600/守 0
このカードが墓地に存在する場合、
自分フィールド上のレベル5以上のモンスター1体を選択して発動できる。
選択したモンスターのレベルを1つ下げ、
このカードを墓地から特殊召喚する。
このカードはアドバンス召喚以外のためにはリリースできない。
望「チューナーモンスターに、合計レベルは…8!」
スレイブ「さぁ!来なさい!楠木君!」
和「えぇ!遠慮なくいかせてもらいます!俺はレベル1のレベル・スティーラーとレベル3のジャンク・フォワードに、レベル4のクイック・シンクロンをチューニング!」
望(凄い…和也先輩の本気のデュエルを、こんなに間近で見られるなんて…)
和「集いし闘志が、怒号の魔神を呼び覚ます。光さす道となれ!シンクロ召喚!粉砕せよ、我が相棒にしてエース!ジャンク・デストロイヤー!」
キュイーン!
どこかの機動兵器の起動音に似た音を唸らせ、ジャンク・デストロイヤーがその姿を現した。
スレイブ「来ましたな!楠木君のエースカード!」
和「ジャンク・デストロイヤーのモンスター効果を発動!このカードのシンクロ召喚に成功した時、このカードのチューナー以外のシンクロ素材の数まで、フィールド上のカードを破壊できる!俺はサイバー・ツイン・ドラゴンを破壊!タイダル・エナジー!」
スレイブ「くっ!サイバー・ツインが!」
和「このまま突っ切る!俺はジャンク・デストロイヤーでダイレクトアタック!デストロイ・ナックル!」
スレイブ「ぐわぁぁっっ!!」
スレイブ LP5100→2500
望「よし!大ダメージを与えた!」
スレイブ「くくく…あーはっはっはっ!」
和「!?」
望「な、何!?」
スレイブ「ありがとう、楠木君。私はこれで…本当の力を出すことができるようになったよ!」
和「本当の、力…だと!?」
スレイブ「このカードは、相手からダイレクトアタックを受けた時、手札から特殊召喚することができる!出でよ!魔界にすむ獰猛なる龍よ、今この地に出でて全てを破壊せよ!冥壊魔龍・ヴリトラ!」
スレイブの持つカードから放たれている黒い瘴気が一つとなり、この世の物とは思えない程の不気味な姿をした龍が現れた。
和「冥壊魔龍・ヴリトラ…!? そんなカード、今まで聞いたことないぞ!」
望「何なの…あのモンスター…!(ガタガタ)」
スレイブ「これが、私が手に入れた絶対的な力だ!行くぞ!冥壊魔龍・ヴリトラは、特殊召喚に成功した時、このカード以外のフィールド上の攻撃表示のモンスターを全て破壊する!」
和「な、何!?」
パリン!
和「くっ…!ジャンク・デストロイヤーが…!」
スレイブ「これで、君のエースモンスターはいなくなった。もはや、君にこのモンスターを倒すことはできないのだよ!」
望「和也先輩のエースであり切り札のジャンク・デストロイヤーが破壊された状態で、どうやって勝つの…」
スレイブ「そうです!そうやって絶望しなさい!そして、私に従うのですよ!さぁ、これでお終いです!冥壊魔龍・ヴリトラは、自身の効果で破壊したモンスターの中で最も攻撃力の高いモンスターの攻撃力を奪う!」
冥壊魔龍・ヴリトラ
効果モンスター
星8/闇属性/悪魔族/攻 ?/守 ?0
このカードは通常召喚できない。
「冥壊魔龍・ヴリトラ」の(3)の効果は、1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分が直接攻撃によってダメージを受けた時に発動できる。 このカードを手札から特殊召喚する。
(2):(1)の効果による特殊召喚に成功した時、このカード以外のフィールド上の攻撃表示モンスターを全て破壊する。その後、このモンスターの攻撃力は、その中で最も攻撃力の高いモンスターの攻撃力と同じになる。
(3):「冥壊魔龍・ヴリトラ」はフィールド上に1体しか存在できない。
スレイブ「ヴリトラの攻撃力は、破壊したジャンク・デストロイヤーの攻撃力、2600となる!」
和「くっ…!ターン、エンド…!」
和也 手札1枚 伏せ1枚
スレイブ「私のターン!ドロー!」
スレイブ 手札2枚
スレイブ「バトルです!私はヴリトラで、和也君にダイレクトアタック!」
望「和也先輩!」
和「大丈夫、心配するなよ(ニコッ)リバースカード、オープン!シンクロ・ウェーブ・ウォール!」
シンクロ・ウェーブ・ウォール
通常罠
(1)自分の墓地に存在するSモンスター1体を選択して発動する。そのモンスターを墓地から守備表示で特殊召喚する。この効果で特殊召喚されたモンスターはこのターン戦闘では破壊されず、効果は無効、攻撃力は0となり、レベルは4となる。
和「この効果で、俺は墓地のジャンク・デストロイヤーを守備表示で特殊召喚する!」
ガキン!
ヴリトラの猛攻を、ジャンク・デストロイヤーがなんとか受け切ることで、和也達へと衝撃が及ぶことは無かった。
スレイブ「しぶとい…!ですが、次で確実に仕留めてあげます!私はカードを1枚伏せて、ターンエンド!」
スレイブ 手札1枚 伏せ1枚
和(なんとかなったか…。だが、この状況…!)
スレイブ「フフフ…分かりましたかな?これが私の手に入れた絶対的な力!誰も抗うことなどできない力なのですよ!」
和「…俺のターン、ドロー」
スレイブ「絶望しているのですか?この圧倒的な状況では、無理もありません。ですから…もっと絶望していただきましょう!永続罠、冥壊の洗礼を発動!」
冥壊の洗礼
永続罠
(1)このカードがフィールド上に存在する場合、特殊召喚された相手モンスターの効果は無効となり、攻撃力は半分になる。
(2)自分フィールド上に「冥壊」モンスターが存在しない時、このカードを破壊する。
(3)このカードが破壊された場合、自分フィールド上のカードを全て破壊して発動する。自分の墓地から魔法・罠カードを1枚手札に加える。
スレイブ「これで、君を完全に封じることができた…!これで本当に、お終いです!」
望「和也先輩の場には、攻撃力0のジャンク・デストロイヤーだけ…しかも特殊召喚したモンスターは、効果が無効となり、攻撃力は半分になる…。この状況を乗り越えるには、最低でも攻撃力5200のモンスターを出す必要がある…。無理よ!そんなモンスター、見たことないもの…」
スレイブ(さらに、仮にヴリトラが破壊されたとしても、墓地のパワー・ボンドと手札のサイバネティック・フュージョン・サポートで次の融合モンスターを召喚できる。この勝負、もらっ…)
和「あなたに勝ちは来ませんよ、スレイブ先生」
スレイブ「!?」
和「確かに、あなたは強大な力を手に入れているようだ。だが、ただ力だけが、デュエルの勝敗を決したりはしない。駆け引き、ドロー…様々なものが絡み合うことで、デュエルは成り立っている。だからこそ、力ではなく、己を磨けば、デュエルに勝利することができる…。スレイブ先生、あなたが僕にくれた言葉です。」
スレイブ「そんなもの、ただの戯言に決まっているだろう!この世は…デュエルは…力が全てなのだよ!」
和「そんなことはない!俺が、目を覚まさせてやる!いくぞ!俺は手札から、ジャンク・シンクロンを召喚!効果により、墓地からレベル・スティーラーを特殊召喚!」
スレイブ「結局はシンクロ召喚に頼らざる負えない君に、私が負けるはずなどなかろう!」
和「気付いてないようだな」
スレイブ「何!?」
和「俺が何のために、1ターン前にジャンク・シンクロンを召喚できる状況でしなかったか、分かりますか?」
望「確かに、和也先輩は前のターン、召喚権は使っていない…使っていれば、より多くのダメージとシンクロモンスターを出せたのに…。まさか!?」
スレイブ「まさか、この状況を、予測していたというのか!?」
和「あぁ!俺がジャンク・シンクロンを残した理由は、あなたの出す何かしらの脅威を打ち砕くため!そしてその時は、今だ!」
和也が叫んだその瞬間、和也のデュエルディスクからまばゆい光が出現した。
スレイブ「何だ、この光は!」
和「見せてやる!これが、あの人から託された、この街を守る力だ!」
(♪遊星のテーマ)
和「レベル4となったジャンク・デストロイヤーと、レベル1のレベル・スティーラーに、レベル3のジャンク・シンクロンをチューニング!集いし願いが、姿なき龍を具現する!光差す道となれ!シンクロ召喚!発現せよ!機械眼の量子龍(マシナリーアイズ・クァンタム・ドラゴン)!」
光は和也を包み込み、次第に弱くなっていくと、海のように蒼い躯体と、翡翠色に輝く眼を宿す龍が光の中から姿を現した。
スレイブ「機械眼の量子龍…だと!?なんだ、このモンスターは!」
望「すごい…なんて美しいの」
和「こいつが俺の切り札、機械眼の量子龍だ!」
スレイブ「っ…!しかし、冥壊の洗礼の効果を忘れてもらっては困る!機械眼の量子龍は効果が無効となり、攻撃力は半分となる!どの道貴様に勝ち目などない!」
和「機械眼の量子龍の効果発動!スキャニング・イベイジョン!このモンスターは、罠の効果を受けない!」
スレイブ「何だと!?」
和「さらに!機械眼の量子龍は攻撃宣言時、フィールド上のモンスターを1体選択し、エンドフェイズまで、そのモンスターの攻撃力の半分を、自身の攻撃力に加える!」
望「今、フィールド上にいるのは、冥壊魔龍・ヴリトラのみ!」
和「いくぞ、バトルだ!機械眼の量子龍で、冥壊魔龍・ヴリトラを攻撃!この瞬間、ヴリトラの攻撃力の半分、1300が機械眼の量子龍に加わる!」
機械眼の量子龍(マシナリーアイズ・クァンタム・ドラゴン)
シンクロ・効果モンスター
星8/地属性/ドラゴン族/攻3000/守2400
チューナーモンスター1体+チューナー以外のモンスター1体以上
このモンスターは機械族としても扱う
(3)の効果は、このカードが表側表示で存在する限り1度しか使用できない。
(1)このカードは、罠カードの効果を受けない。
(2)このカードの攻撃宣言時、フィールド上のこのカード以外のモンスターを1体選択して発動する。エンドフェイズまで、このカードの攻撃力をそのモンスターの攻撃力の半分の数値分アップする。
(3)このモンスターが破壊される場合、代わりにこのカードの攻撃力を0にする。
スレイブ「だが、仮にその攻撃力を加えても、私の受けるダメージは1700!ライフは0にはならない!そして次のターン、君は…!」
和「言ったでしょう!目を覚まさせてやると!手札から速攻魔法、共鳴調律を発動!」
共鳴調律
速攻魔法
(1)自分フィールド上のSモンスターを1体選択し、墓地に存在する選択したモンスターの持つレベル以下のSモンスターを1体選択して発動する。選択した墓地のモンスターをゲームから除外し、そのモンスターの攻撃力分、選択したフィールド上のSモンスターの攻撃力をアップする。
和「機械眼の量子龍のレベルは8!よって、俺は墓地のジャンク・デストロイヤーを除外し、その攻撃力を加える!よって、その攻撃力は…!」
機械眼の量子龍
ATK 4300→6900
スレイブ「攻撃力、6900だと!?」
望「これなら!お願い、マシナリーアイズ!和也先輩を、勝利に!」
和「スレイブ先生に取り憑く闇よ、この一撃で消し去ってやる!いけ!機械眼の量子龍!消滅のレゾナンスバースト!」
スレイブ「バカな…!絶対的な力を持ったこの私が…!負けるだと…!ぐわぁぁぁっっ!」
スレイブ LP2500→0
勝者 楠木和也
次回へ続く…
遊騎と愛華は買い物に行く途中、使用が禁止されているブースターを使ってデュエルを行っている現場に遭遇。ブースターを使っていたのは、アカデミア屈指の不良、黒崎翔。アカデミアの生徒の不祥事ということで、愛華がデュエルをすることに。翔のカラクリによる高速展開に一時窮地に追い込まれる愛華であったが、自身のエース、戦女神・アテナと切り札、戦女神・アマテラスを融合召喚し、翔のカラクリデッキを破ったのであった
翔「くっそー!」
翔のDホイールは既に停止し、画面にはDEFEATの文字が移っていた。
翔「なんで…なんでこの俺が!女なんかに…!」
愛華「あらあら。女だからって、別に男より弱いってことはないのよ?」
翔「ふざけんなよ…!こうなったら…!」
そういうと、翔は自身のポケットからスタンガンを取り出し、愛華に突きつけた
愛華「あなた…!そんなものを!」
翔「うるせぇ!こんなとこでおとなしく捕まってられるか!おい、そこの男!動いてみろ、そしたらこの女を…」
翔が言い終わる頃には、既に遊騎は翔の懐に入っていた。
翔「な…!?」
遊騎「さすがにな、やっちゃいけねえことってもんがあるぜ、少年」
そう言うと、右脚で翔の持っていたスタンガンを蹴り上げ、翔の腹に一発決め込んでいた。
翔「かはっ…て、てめぇ…!」
遊騎「おとなしく捕まってろ、このドアホ」
遊騎の目は、普段のやる気のない目から一転、怒りに満ち満ちていた。
遊騎「さて…そろそろあいつがくるころだな。」
愛華「そうね。にしても、少し遅い気がするけど…」
愛華がそう言い終わると、遠くの方からDホイールの音が聞こえてきた。
遊騎「お、きたきた。…ん?」
モブセキュリティ「現場到着。これより、犯人の捕縛を行います。」
そこに来たのは、普通のセキュリティであった。
遊騎「おいおい、和也はどうした?俺はあいつに連絡を入れたはずだが?」
モブセキュリティ「いえ、私も和也さんからの連絡を受けてここへ来たのですが…」
愛華「…?どういうこと?」
モブセキュリティ「なんでも、デュエルレーンは今救急車が入れないから、俺が直接病院まで送るとかなんとか…」
愛華「…和也、そんなキャラだったっけ?」
遊騎「いや、違うと思うが。恐らく…」
モブセキュリティ「それより、貴方方に伝言をと、和也さんから聞いてます」
遊騎「伝言?」
モブセキュリティ「いつも日用品を買ってるデパートに向かえ。今立てこもりがおきてて、セキュリティも出動しているが、相手が相当のデュエルの腕を持っているため、下手な突入ができない。とのことです。」
遊騎「なるほどな…。ったく、めんどくせえ仕事だな。愛華、ついてくるか?」
愛華「もちろん!」
遊騎「OK、あんまり無茶はすんじゃねえぞ。んじゃ、さっさと行くか!」
そう言うと、遊騎と愛華はDホイールに乗り、立てこもりが起こっているデパートへと向かっていった。
一方、こちらは被害現場。まだ愛華がデュエルしている頃。
和也「被害者発見。これより保護します。…っと、大丈夫かい?」
女子高生「はい…っ痛!」
和也「こいつは骨折が酷いな…。早く病院へ行かないと…ん?君は…」
女子高生「あ、あなたは…楠木和也さん?」
和也「君は確か…長谷部望、だったよね?」
望「はい!覚えててくれたんですね!」
黒崎翔とのデュエルに敗北してしまったこの女子高生の名は、長谷部望。18歳。デュエルアカデミア高等部の中でも1,2を争うほどの成績を誇る。正義感が強いため、周りからは委員長と呼ばれている。
和也「そりゃあまあ、あのデュエルを忘れるわけ無いしな」
望「嬉しい…覚えててくれたんだ…照」
和也「それより、なんたってDホイールに乗ったんだ?アカデミアじゃ特殊な申請がない限り乗れないはずだ。それに、君はDホイールにあまり興味がなかったと思うけど…」
望「最近、アカデミアで、ライディングデュエルに関する不祥事が多発しているんです。恐らく、この前Dホイールへの免許制限が緩和されたからだと…。だから、私もDホイールに乗って、悪事を働く生徒を懲らしめようと思ったんですけど…」
和也「Dホイールを見ても、まだ初心者レベルってとこか。ま、その意識は評価するが、ちょっとやり過ぎな気もするけどな…ん?」
和也と望が話していると、デュエルレーンの上にある橋から、ある男性がこちらを見ていた。
和也「あの人は確か…」
望「ス、スレイブ教頭先生…」
橋の上にいるのは、スレイブ教頭。デュエルアカデミアの教頭を務める。
スレイブ「長谷部君、君は授業に来ずに、一体何をしているのかね?」
望「す、すいません…」
スレイブ「まったく!最近、君は生徒にやたらと絡んだり、授業に出ずに不祥事を働く生徒に詰め寄ったり、周りの人達の迷惑ばかりしているではないか!」
スレイブ教頭はものすごい剣幕で望をまくし立てた。
望「そ、そんなことありません!私は校則に違反してる生徒に注意をしているだけで…」
スレイブ「言い訳は聞かん!」
スレイブ教頭の一喝によって、望の目には涙が浮かんでいた
望「どうして…私は、間違ったことをしてるの?…ぐすっ」
スレイブ「さあ!さっさとアカデミアに戻るぞ!」
スレイブ教頭が望の腕を掴もうとしたその時、和也がその間に入った。
和也「教頭、少し待って下さい。」
スレイブ「おお、君は楠木君ではないか。一体なんの真似だ?」
和也「教頭、僕は貴方を凄く尊敬していた。どの生徒にも優しく接し、不祥事を起こした生徒とは真剣に向き合って話し合う。だからこそ、貴方は多数の生徒から好かれ、敬愛されていた。先程みたいに、生徒の言い分を聞かずにただ怒鳴り散らすような人ではなかったはずです。」
スレイブ「楠木君、人は変わるものだよ。私とて人間だ。度重なる生徒の不祥事に真摯に向き合っても、改善する生徒は一握りだけ…。それに加え、親からの理不尽な苦情が毎日続けば、私の心も折れる。」
和也「貴方はそんな人ではない!どんなに理不尽な事にも面と向かってぶつかり、解決してきたではありませんか!それがなぜ!」
スレイブ「楠木君、私は手に入れたのだよ。誰も私に逆らえない力をね!」
和也「力…!?」
スレイブ「そう!誰も抗うことができない、絶対的な力をね!この力で、言うことを聞かない生徒を力ずくでねじ伏せるのです!」
すると一瞬、和也はスレイブ教頭から謎の力と気配を感じ取った。
和也「今のは、一体…?」
ふと望の方を見た和也は、今にも泣いてしまいそうな顔して震えている望が目に映った。
和也「望、大丈夫か?」
望「せ、先生から感じたのは、何…?」
和也「!?…そうか、望も感じ取ったんだな。」
望「どうしよう…私のせいで…」
和也「望のせいじゃない。これはもっと別の何かだろう。望、俺から離れるなよ?」
そう言うと、和也はデュエルディスクをセットした。
和也「教頭、デュエルで決着をつけましょう!」
スレイブ「いいでしょう!物分りの悪い子にはお仕置きです!」
和也(もしこれが…あの人の言っていた脅威なら…俺は!)
デュエル!
スレイブ 手札5枚
和也 手札5枚
スレイブ「先攻はもらいますよ!私のターン!私は手札から、サイバー・ドラゴン・コアを召喚!」
望「サイバー・ドラゴン…!? 教頭先生はサイバー流の使い手なの?」
和「ネオドミノシティのアカデミアの教頭は、代々アンティークギアデッキを受け継ぎ、ここ魅蘭市のアカデミアの教頭は、サイバー流を受け継いでいく。そういう伝統なんだよ。」
スレイブ「まあ、私自身あまりデュエルをしないから、見たことある人の方が少ないのですがね。いきますよ!サイバー・ドラゴン・コアの効果発動!」
サイバー・ドラゴン・コア
効果モンスター
星2/光属性/機械族/攻 400/守1500
このカードが召喚に成功した時、
デッキから「サイバー」または「サイバネティック」と名のついた
魔法・罠カード1枚を手札に加える。
また、相手フィールド上にモンスターが存在し、
自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、
墓地のこのカードを除外して発動できる。
デッキから「サイバー・ドラゴン」と名のついたモンスター1体を特殊召喚する。
「サイバー・ドラゴン・コア」の効果は1ターンに1度しか使用できない。
このカードのカード名は、フィールド上・墓地に存在する限り「サイバー・ドラゴン」として扱う。
スレイブ「私はデッキから、サイバネティック・フュージョン・サポートを手札に加える!そして、カードを1枚伏せて、ターンエンド!」
スレイブ 手札4枚 伏せ1
和「俺のターン、ドロー!」
和也 手札6枚
和「このカードは、自分フィールド上にモンスターが存在せず、相手フィールド上にモンスターが存在する時、手札から特殊召喚できる!俺は手札から、ジャンク・シュバリエを特殊召喚!」
ジャンク・シュバリエ
効果モンスター
星5/地属性/戦士族/攻2100/守1600
(1)相手フィールド上にモンスターが存在し、
自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、
このカードは手札から特殊召喚できる。
(2)墓地のこのカードを除外し、自分フィールド上の「ジャンク」モンスター1体を選択して発動する。選択したモンスターはこのターン、戦闘及びカードの効果で破壊されない。この効果は相手ターンでも発動できる。
和「さらに手札から、ジャンク・ブレーダーを召喚!バトル!ジャンク・シュバリエで、サイバー・ドラゴン・コアを攻撃!」
スレイブ「くっ…!」
スレイブ LP4000→2300
和「さらに、ジャンク・ブレーダーでダイレクトアタック!」
スレイブ「ぬぅぅ…!」
スレイブ LP2300→500
望「すごい…1ターンでライフが500に…これなら!」
和「いや、あの伏せは恐らく…!」
スレイブ「くくく…さすがは楠木君。私のデッキをよく分かってるね。その通り、伏せカードはこれだ!罠発動!サイバネティック・ゲイン!」
サイバネティック・ゲイン
通常罠
(1):直接攻撃を受けた時、このカードを発動できる。その戦闘で受けたダメージ分のライフを回復し、受けたダメージ以下の攻撃力を持つ「サイバー」モンスターを1体手札に加える。
スレイブ「このカードの効果により、私はジャンク・ブレーダーの攻撃力、1800分のライフを回復!さらに!デッキからサイバー・ドラゴン・ツヴァイを手札に加える!」
望「そんな…せっかくダメージを与えたのに…」
和「気にすることはない。これはスレイブ教頭の常套手段。あの罠は厄介だから、先に潰しておいたんだよ」
スレイブ「流石は楠木君。私のデュエルをよく把握している。だが、それでは今の私には勝てませんよ?」
和「わかってますよ!俺はカードを2枚伏せて、ターンエンド!」
和也 手札2枚 伏せ2枚
スレイブ「私のターン!ドロー!」
スレイブ 手札6枚 伏せ無し
その瞬間、和也はスレイブ教頭が一瞬何か黒くくすんだ瘴気に覆われていたのを見た。
和「今のは…」
スレイブ「ほら、何をぼさっとしているのですか!いきますよ!このカードは、相手フィールド上にのみモンスターが存在する時、手札から特殊召喚できる!私は手札から、サイバー・ドラゴンを特殊召喚!」
サイバー・ドラゴン
効果モンスター
星5/光属性/機械族/攻2100/守1600
相手フィールド上にモンスターが存在し、
自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、
このカードは手札から特殊召喚できる。
和「来たか…!」
スレイブ「ふふふ…まだですよ!私はさらに手札から、サイバー・ドラゴン・ツヴァイを召喚!そして効果を発動!」
サイバー・ドラゴン・ツヴァイ
効果モンスター
星4/光属性/機械族/攻1500/守1000
このカードが相手モンスターに攻撃するダメージステップの間、
このカードの攻撃力は300ポイントアップする。
1ターンに1度、手札の魔法カード1枚を相手に見せて発動できる。
このカードのカード名はエンドフェイズ時まで
「サイバー・ドラゴン」として扱う。
また、このカードのカード名は、
墓地に存在する限り「サイバー・ドラゴン」として扱う。
スレイブ「手札の魔法カードを見せることで、このモンスターはサイバー・ドラゴンとして扱うことができます!そして、私が見せる魔法カードはもちろん…くくく!」
不気味な笑みを見せたスレイブ教頭が見せたカードは…
和「『パワー・ボンド』…!」
スレイブ「さあ楠木君!覚悟しなさい!私は手札から、パワー・ボンドを発動!」
パワー・ボンド
通常魔法
自分の手札・フィールド上から、
融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、
機械族のその融合モンスター1体を融合召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターの攻撃力は、その元々の攻撃力分アップする。
このカードを発動したターンのエンドフェイズ時、
自分はこのカードの効果でアップした数値分のダメージを受ける。
スレイブ「私はフィールド上の2体のサイバー・ドラゴンを融合!融合召喚!出でよ!サイバー・ツイン・ドラゴン!」
サイバー・ツイン・ドラゴン
融合・効果モンスター
星8/光属性/機械族/攻2800/守2100
「サイバー・ドラゴン」+「サイバー・ドラゴン」
このカードの融合召喚は上記のカードでしか行えない。
このカードは1度のバトルフェイズ中に2回攻撃する事ができる。
スレイブ「サイバー・ツイン・ドラゴンの攻撃力は、パワー・ボンドの効果により、倍となる!よって、その攻撃力は!」
和「攻撃力、5600…!」
望「このままじゃ、和也先輩はサイバー・ツイン・ドラゴンの2回攻撃で、ライフが…!」
スレイブ「さあ、これで終わりです!サイバー・ツイン・ドラゴンで、ジャンク・シュバリエに攻撃!エヴォリューション・ツイン・バースト!」
サイバー・ツイン
ATK 5600
ジャンク・シュバリエ
ATK 2100
和「ぐぁぁっっ!…な、何だ、この衝撃…は…!」
和也 LP4000→500
通常のSVシステムではあり得ないほどの凄まじい衝撃。それを受けた和也は、立っているだけで精一杯という状態であった。
望「和也先輩!大丈夫ですか!」
和「あぁ…なんとか…な」
スレイブ「ふふふ。これで分かりましたかな?このデュエルは、普通の生ぬるいデュエルとは違うのですよ。自身の命をかけたデュエルなのですからね!さぁ、これでお終いです!私はサイバー・ツイン・ドラゴンで、ジャンク・ブレーダーを攻撃!エヴォリューション・ツイン・バースト!」
サイバー・ツイン
ATK 5600
ジャンク・ブレーダー
ATK 1800
望「いやぁ!ぐすっ…和也先輩!」
望は大粒の涙を流しながら、和也の名前を叫び続けた。そして、泣き崩れてしまいそうな望の頭を撫でながら、和也は優しい声で言った。
和「心配すんな。俺が負けるはずねぇだろ?」
望「和也…先輩…ぐすっ」
和「見てろって(ニコッ)。 リバースカード、オープン!痛恨の代償!」
痛恨の代償
通常罠
このターン、自分が2000ポイント以上のダメージを受けたターン、このカードを発動できる。以下の効果の内、1つを選んで適用する。
(1)自分フィールド上のモンスター1体を墓地に送る。このターン、自分が受けるダメージは全て0となる。また、このターンのエンドフェイズ時、この効果で墓地に送ったモンスターの攻撃力以下の攻撃力を持つモンスターを、デッキから1枚加えることができる。
(2)手札のモンスター1体を特殊召喚する。そのモンスターはこのターン、戦闘及び効果で破壊されない。
和「俺はジャンク・ブレーダーを墓地に送り、このターン受けるダメージを全て0にする!」
ガキン!
スレイブのサイバー・ツインが放った攻撃を、半透明のバリアがはじき返した。
スレイブ「ほう…なかなかしぶといですね」
和「ふぅ…少し焦ったが、なんとかなったか」
望「先輩、身体の方は大丈夫ですか…?」
和「正直、ちょいとキツイ…。まあでも、心配すんな!それより、望だって怪我してんだ。気をつけておけよ」
望「は、はい!」
スレイブ「青春ですね〜…ですが、悪い子達がそうしてイチャついてるのを、私は見逃すことはできませんよ!」
望「い、イチャついてなんか…(照) そ、それより、このターン、教頭先生はパワー・ボンドの効果でダメージが!」
スレイブ「その通り。流石は望君、よく分かってるね。私はこれでターンエンド。」
和「この瞬間、痛恨の代償の効果で、俺はジャンク・シンクロンを手札に加える!」
望「よし!これで、教頭先生のライフは…!」
和「いや…まだだ!」
スレイブ「察しが良いですね!楠木君!私がなんの考えもなしにパワー・ボンドを使うわけないですからね!私は手札から速攻魔法、サイバネティック・トランジスタを発動!」
サイバネティック・トランジスタ
速攻魔法
(1)このターン、自分が効果ダメージを受けるとき、そのダメージを無効にし、その数値分のライフを回復する
(2)このカードが相手によって墓地に送られた時、デッキから「サイバー」モンスターを1枚手札に加えることができる。
スレイブ「この効果により、私はパワー・ボンドで受けるダメージ、2800ポイントのライフを回復し、ダメージを無効化する!」
スレイブ LP2300→5100
望「そ、そんな!」
和「流石は、サイバー流免許皆伝者ですね。」
スレイブ「君こそ、このコンボで倒れなかったのは君くらいなものだよ、楠木君。さあ!次は君のターンだ!」
スレイブ 手札2枚
和「俺のターン!ドロー!」
和也 手札4枚 伏せ1枚
和「さ、こっから巻き返すか!このカードは、自分フィールド上にモンスターがいない時、手札から特殊召喚できる!俺は手札から、ジャンク・フォワードを守備表示で特殊召喚!」
スレイブ「ジャンク・フォワード…ということは…」
和「さらに、手札のレベル・スティーラーを墓地に送り、手札からクイック・シンクロンを特殊召喚する!」
クイック・シンクロン
チューナー・効果モンスター
星5/風属性/機械族/攻 700/守1400
このカードは「シンクロン」チューナーの代わりとしてS素材にできる。
このカードをS素材とする場合、
「シンクロン」チューナーを素材とするSモンスターのS召喚にしか使用できない。
(1):このカードは手札のモンスター1体を墓地へ送り、
手札から特殊召喚できる。
和「さらに、墓地のレベル・スティーラーは、自分フィールドのレベル5以上のモンスターのレベルを1つ下げることで、墓地から特殊召喚できる!」
レベル・スティーラー
効果モンスター
星1/闇属性/昆虫族/攻 600/守 0
このカードが墓地に存在する場合、
自分フィールド上のレベル5以上のモンスター1体を選択して発動できる。
選択したモンスターのレベルを1つ下げ、
このカードを墓地から特殊召喚する。
このカードはアドバンス召喚以外のためにはリリースできない。
望「チューナーモンスターに、合計レベルは…8!」
スレイブ「さぁ!来なさい!楠木君!」
和「えぇ!遠慮なくいかせてもらいます!俺はレベル1のレベル・スティーラーとレベル3のジャンク・フォワードに、レベル4のクイック・シンクロンをチューニング!」
望(凄い…和也先輩の本気のデュエルを、こんなに間近で見られるなんて…)
和「集いし闘志が、怒号の魔神を呼び覚ます。光さす道となれ!シンクロ召喚!粉砕せよ、我が相棒にしてエース!ジャンク・デストロイヤー!」
キュイーン!
どこかの機動兵器の起動音に似た音を唸らせ、ジャンク・デストロイヤーがその姿を現した。
スレイブ「来ましたな!楠木君のエースカード!」
和「ジャンク・デストロイヤーのモンスター効果を発動!このカードのシンクロ召喚に成功した時、このカードのチューナー以外のシンクロ素材の数まで、フィールド上のカードを破壊できる!俺はサイバー・ツイン・ドラゴンを破壊!タイダル・エナジー!」
スレイブ「くっ!サイバー・ツインが!」
和「このまま突っ切る!俺はジャンク・デストロイヤーでダイレクトアタック!デストロイ・ナックル!」
スレイブ「ぐわぁぁっっ!!」
スレイブ LP5100→2500
望「よし!大ダメージを与えた!」
スレイブ「くくく…あーはっはっはっ!」
和「!?」
望「な、何!?」
スレイブ「ありがとう、楠木君。私はこれで…本当の力を出すことができるようになったよ!」
和「本当の、力…だと!?」
スレイブ「このカードは、相手からダイレクトアタックを受けた時、手札から特殊召喚することができる!出でよ!魔界にすむ獰猛なる龍よ、今この地に出でて全てを破壊せよ!冥壊魔龍・ヴリトラ!」
スレイブの持つカードから放たれている黒い瘴気が一つとなり、この世の物とは思えない程の不気味な姿をした龍が現れた。
和「冥壊魔龍・ヴリトラ…!? そんなカード、今まで聞いたことないぞ!」
望「何なの…あのモンスター…!(ガタガタ)」
スレイブ「これが、私が手に入れた絶対的な力だ!行くぞ!冥壊魔龍・ヴリトラは、特殊召喚に成功した時、このカード以外のフィールド上の攻撃表示のモンスターを全て破壊する!」
和「な、何!?」
パリン!
和「くっ…!ジャンク・デストロイヤーが…!」
スレイブ「これで、君のエースモンスターはいなくなった。もはや、君にこのモンスターを倒すことはできないのだよ!」
望「和也先輩のエースであり切り札のジャンク・デストロイヤーが破壊された状態で、どうやって勝つの…」
スレイブ「そうです!そうやって絶望しなさい!そして、私に従うのですよ!さぁ、これでお終いです!冥壊魔龍・ヴリトラは、自身の効果で破壊したモンスターの中で最も攻撃力の高いモンスターの攻撃力を奪う!」
冥壊魔龍・ヴリトラ
効果モンスター
星8/闇属性/悪魔族/攻 ?/守 ?0
このカードは通常召喚できない。
「冥壊魔龍・ヴリトラ」の(3)の効果は、1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分が直接攻撃によってダメージを受けた時に発動できる。 このカードを手札から特殊召喚する。
(2):(1)の効果による特殊召喚に成功した時、このカード以外のフィールド上の攻撃表示モンスターを全て破壊する。その後、このモンスターの攻撃力は、その中で最も攻撃力の高いモンスターの攻撃力と同じになる。
(3):「冥壊魔龍・ヴリトラ」はフィールド上に1体しか存在できない。
スレイブ「ヴリトラの攻撃力は、破壊したジャンク・デストロイヤーの攻撃力、2600となる!」
和「くっ…!ターン、エンド…!」
和也 手札1枚 伏せ1枚
スレイブ「私のターン!ドロー!」
スレイブ 手札2枚
スレイブ「バトルです!私はヴリトラで、和也君にダイレクトアタック!」
望「和也先輩!」
和「大丈夫、心配するなよ(ニコッ)リバースカード、オープン!シンクロ・ウェーブ・ウォール!」
シンクロ・ウェーブ・ウォール
通常罠
(1)自分の墓地に存在するSモンスター1体を選択して発動する。そのモンスターを墓地から守備表示で特殊召喚する。この効果で特殊召喚されたモンスターはこのターン戦闘では破壊されず、効果は無効、攻撃力は0となり、レベルは4となる。
和「この効果で、俺は墓地のジャンク・デストロイヤーを守備表示で特殊召喚する!」
ガキン!
ヴリトラの猛攻を、ジャンク・デストロイヤーがなんとか受け切ることで、和也達へと衝撃が及ぶことは無かった。
スレイブ「しぶとい…!ですが、次で確実に仕留めてあげます!私はカードを1枚伏せて、ターンエンド!」
スレイブ 手札1枚 伏せ1枚
和(なんとかなったか…。だが、この状況…!)
スレイブ「フフフ…分かりましたかな?これが私の手に入れた絶対的な力!誰も抗うことなどできない力なのですよ!」
和「…俺のターン、ドロー」
スレイブ「絶望しているのですか?この圧倒的な状況では、無理もありません。ですから…もっと絶望していただきましょう!永続罠、冥壊の洗礼を発動!」
冥壊の洗礼
永続罠
(1)このカードがフィールド上に存在する場合、特殊召喚された相手モンスターの効果は無効となり、攻撃力は半分になる。
(2)自分フィールド上に「冥壊」モンスターが存在しない時、このカードを破壊する。
(3)このカードが破壊された場合、自分フィールド上のカードを全て破壊して発動する。自分の墓地から魔法・罠カードを1枚手札に加える。
スレイブ「これで、君を完全に封じることができた…!これで本当に、お終いです!」
望「和也先輩の場には、攻撃力0のジャンク・デストロイヤーだけ…しかも特殊召喚したモンスターは、効果が無効となり、攻撃力は半分になる…。この状況を乗り越えるには、最低でも攻撃力5200のモンスターを出す必要がある…。無理よ!そんなモンスター、見たことないもの…」
スレイブ(さらに、仮にヴリトラが破壊されたとしても、墓地のパワー・ボンドと手札のサイバネティック・フュージョン・サポートで次の融合モンスターを召喚できる。この勝負、もらっ…)
和「あなたに勝ちは来ませんよ、スレイブ先生」
スレイブ「!?」
和「確かに、あなたは強大な力を手に入れているようだ。だが、ただ力だけが、デュエルの勝敗を決したりはしない。駆け引き、ドロー…様々なものが絡み合うことで、デュエルは成り立っている。だからこそ、力ではなく、己を磨けば、デュエルに勝利することができる…。スレイブ先生、あなたが僕にくれた言葉です。」
スレイブ「そんなもの、ただの戯言に決まっているだろう!この世は…デュエルは…力が全てなのだよ!」
和「そんなことはない!俺が、目を覚まさせてやる!いくぞ!俺は手札から、ジャンク・シンクロンを召喚!効果により、墓地からレベル・スティーラーを特殊召喚!」
スレイブ「結局はシンクロ召喚に頼らざる負えない君に、私が負けるはずなどなかろう!」
和「気付いてないようだな」
スレイブ「何!?」
和「俺が何のために、1ターン前にジャンク・シンクロンを召喚できる状況でしなかったか、分かりますか?」
望「確かに、和也先輩は前のターン、召喚権は使っていない…使っていれば、より多くのダメージとシンクロモンスターを出せたのに…。まさか!?」
スレイブ「まさか、この状況を、予測していたというのか!?」
和「あぁ!俺がジャンク・シンクロンを残した理由は、あなたの出す何かしらの脅威を打ち砕くため!そしてその時は、今だ!」
和也が叫んだその瞬間、和也のデュエルディスクからまばゆい光が出現した。
スレイブ「何だ、この光は!」
和「見せてやる!これが、あの人から託された、この街を守る力だ!」
(♪遊星のテーマ)
和「レベル4となったジャンク・デストロイヤーと、レベル1のレベル・スティーラーに、レベル3のジャンク・シンクロンをチューニング!集いし願いが、姿なき龍を具現する!光差す道となれ!シンクロ召喚!発現せよ!機械眼の量子龍(マシナリーアイズ・クァンタム・ドラゴン)!」
光は和也を包み込み、次第に弱くなっていくと、海のように蒼い躯体と、翡翠色に輝く眼を宿す龍が光の中から姿を現した。
スレイブ「機械眼の量子龍…だと!?なんだ、このモンスターは!」
望「すごい…なんて美しいの」
和「こいつが俺の切り札、機械眼の量子龍だ!」
スレイブ「っ…!しかし、冥壊の洗礼の効果を忘れてもらっては困る!機械眼の量子龍は効果が無効となり、攻撃力は半分となる!どの道貴様に勝ち目などない!」
和「機械眼の量子龍の効果発動!スキャニング・イベイジョン!このモンスターは、罠の効果を受けない!」
スレイブ「何だと!?」
和「さらに!機械眼の量子龍は攻撃宣言時、フィールド上のモンスターを1体選択し、エンドフェイズまで、そのモンスターの攻撃力の半分を、自身の攻撃力に加える!」
望「今、フィールド上にいるのは、冥壊魔龍・ヴリトラのみ!」
和「いくぞ、バトルだ!機械眼の量子龍で、冥壊魔龍・ヴリトラを攻撃!この瞬間、ヴリトラの攻撃力の半分、1300が機械眼の量子龍に加わる!」
機械眼の量子龍(マシナリーアイズ・クァンタム・ドラゴン)
シンクロ・効果モンスター
星8/地属性/ドラゴン族/攻3000/守2400
チューナーモンスター1体+チューナー以外のモンスター1体以上
このモンスターは機械族としても扱う
(3)の効果は、このカードが表側表示で存在する限り1度しか使用できない。
(1)このカードは、罠カードの効果を受けない。
(2)このカードの攻撃宣言時、フィールド上のこのカード以外のモンスターを1体選択して発動する。エンドフェイズまで、このカードの攻撃力をそのモンスターの攻撃力の半分の数値分アップする。
(3)このモンスターが破壊される場合、代わりにこのカードの攻撃力を0にする。
スレイブ「だが、仮にその攻撃力を加えても、私の受けるダメージは1700!ライフは0にはならない!そして次のターン、君は…!」
和「言ったでしょう!目を覚まさせてやると!手札から速攻魔法、共鳴調律を発動!」
共鳴調律
速攻魔法
(1)自分フィールド上のSモンスターを1体選択し、墓地に存在する選択したモンスターの持つレベル以下のSモンスターを1体選択して発動する。選択した墓地のモンスターをゲームから除外し、そのモンスターの攻撃力分、選択したフィールド上のSモンスターの攻撃力をアップする。
和「機械眼の量子龍のレベルは8!よって、俺は墓地のジャンク・デストロイヤーを除外し、その攻撃力を加える!よって、その攻撃力は…!」
機械眼の量子龍
ATK 4300→6900
スレイブ「攻撃力、6900だと!?」
望「これなら!お願い、マシナリーアイズ!和也先輩を、勝利に!」
和「スレイブ先生に取り憑く闇よ、この一撃で消し去ってやる!いけ!機械眼の量子龍!消滅のレゾナンスバースト!」
スレイブ「バカな…!絶対的な力を持ったこの私が…!負けるだと…!ぐわぁぁぁっっ!」
スレイブ LP2500→0
勝者 楠木和也
次回へ続く…
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140 | TURN01 進化の奇跡・トランス召喚 | 1139 | 0 | 2014-09-18 | - | |
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81 | TURN 02.5: トランス召喚解説 | 1016 | 0 | 2014-09-19 | - | |
82 | TURN03: 真夜中の疾走 | 1012 | 0 | 2014-09-22 | - | |
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67 | TURN05: 戦う乙女たち | 867 | 0 | 2014-11-13 | - | |
241 | TURN06: 忍び寄る脅威と姿なき龍 | 1915 | 0 | 2014-12-09 | - |
更新情報 - NEW -
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