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HOME > 遊戯王SS一覧 > 1話「構築せよ!エレメント召喚!」

1話「構築せよ!エレメント召喚!」 作:グレイ

1話「構築せよ!エレメント召喚!」

 身体を貫くような強烈な光と共に美遊は飛び起きた。
 寝惚け眼で辺りを見回すも、そこには見慣れた自宅の風景があるだけである。閃光の原因について考えを巡らすも、遂には何にも辿り着かず、今のは夢であったと結論付けた。

美遊「今日は、入学式」

 無意識に口から言葉が発せられた。思考が追い付いて来て焦りを覚え始めるが、時刻の確認を取ると、まだ慌てるような時間ではない。無駄に急ぐ必要がなくなって一安心、美遊は溜息を吐いた。
顔を洗う。食事を摂る。歯を磨く。新品の制服を着る。デッキを持ち、デュエルディスクを装着する。全ての準備が整うと美遊は自宅を出発した。
 歩いてしばらくすると、同じ制服を着た学生達が多く同じ道を通るようになった。彼らもまた同じアカデミア生であるようで、個性溢れるデュエルディスクを身に着けている。美遊は自身の装着する、支給された最新型のそれを見つめ、眉を顰めた。
 ようやく目も覚めて来るので、先の閃光のことなどを考えながら歩いていると、アカデミアは見えて来た。天高く聳える学び舎、広大な敷地の木々、そして側には大海原。元々は海だった場所を埋め立てて最近作られたらしく、木々も全て移植されたものであるそうで、すぐ側が海にもかかわらずまるで大樹海のようになっている。
 入学試験の時に既に散々驚いた後であるので、観賞もそこそこに会場へ向かう。

 会場となる体育館はかなり大きいものだと思っていたが、中に立ち入ってみると想像以上に広い。新しい学校ではあるが定員が非常に多く、全校生徒は9000人と全国一位のマンモス校であり、敷地が異常に広いのもそのためである、ということは聞いていたが、実際に目で見てみると、凄まじさを改めて実感するのであった。
 暫時待機すると、教師の一声で入学式・始業式が開始する。
 美遊達1年生はデュエルアカデミア20期生。体育館前のステージには大きなデュエルフィールドが設置されているが、これはアカデミア創立20周年記念のものである――などと言った、校長・日野木徹によるアカデミアの話の色々に耳を傾けていた。

校長「――さて、私の話もこれくらいにしておいて。今年の入学式には、なんとスペシャルビッグイベントがあります。それはエキシビション・デュエル!」

美遊「エキシビション……?」

 校長によって発表されたエキシビション・デュエル。それはこの度新しく設置されたデュエルフィールドのデモンストレーションであると同時に、最優秀新入生を決定するための試合でもあった。アカデミアでは、新入生の目標とするために毎年最優秀新入生を決定することになっている。入学試験の筆記及び面接デュエルの成績でそれは決定されていたのだが、10期生にはなんと満点を記録した生徒が2人いる。そこでこのエキシビション・デュエルを行い、どちらが最優秀新入生かを決定するのである。
 満点の成績優秀者2人が、発表される。

校長「満点合格となったその2人は――藍河美遊、楢村小夜!両名は前へ!」

美遊「!? ……はい!」

 美遊は自分に自信があるため、自分が満点であったということはさほど驚いてはいない。しかし、もう一人の呼ばれた名前には聞き覚えがあった。聞き覚えがあるどころではなく、彼女はその名前を知っていた。その少女を知っていた。デュエルアカデミア・初等部時代の幼馴染であり大親友、小夜。中学は転勤で地元を離れていたため会うことは無かった。小夜も、美遊の名前が呼ばれたことで驚愕していた。
 壇上に上がり、美遊は小夜と対峙し、感慨深く見つめ合う。

美遊「小夜……久しぶりだな」

小夜「うん。帰ってきてたんだね、こっちに」

美遊「――まあ、な……しかし2人が満点か。腕は落ちてないみたいだな」

小夜「当たり前……今まで95戦して、あたしの48勝。あたしの方が強いんだから」

美遊「あの頃の私と同じと思うなよ?今回は私が勝つ!」

小夜「それはあたしのセリフだよ。今回『も』、あたしが勝つ!」

 会話を挟み、臨戦態勢に入る2人の決闘者。
 美遊のデュエルディスクは最新型。腕につけたシルバーのボディからは、フィールドの役割を果たす実体を持つ立体映像の板が出現する。一方小夜は、腕につけたクリムゾンとブラックのボディの横からまず一つの板が飛び出し、その板の横からフィールドの役割を果たすブレード状の板が飛び出す、美遊のそれと比較すると旧型だが凝った造りで、細部にライトが付いてキラキラするディスクを構えた。
 普段の美遊なら、小夜のデュエルデュスクを見れば朝のように眉を顰めたであろう。しかし今の美遊はそれどころではなく胸が高鳴り、高揚感に満ち足りていた。それは小夜も同じであり、その顔を見ればお互いにそのことを理解できた。

校長「二人とも準備はバッチリのようです。それでは早速開始いたしましょう。エキシビション・デュエル――開始!」

「「デュエル!」」

美遊「私のターン!出でよ、『レアル・クルセイダー』!」

《レアル・クルセイダー》
効果モンスター
星4/地属性/戦士族/攻1800/守1200
(1):フィールドにレベル5以上のモンスターが特殊召喚された場合、
このカードをリリースして発動する。
そのレベル5以上のモンスターを破壊する。

 美遊が立体映像の板にカードを設置して、モンスターを召喚。体育館前のデュエル・フィールドには、白い鎧に身を包んだ剣士が召喚された。これも立体映像ではあり、このデュエルを観戦している生徒・教師・保護者もそのモンスターを確認することが可能。
 この世界のデュエルはデュエルディスクを装着した者同士で行われ、道端や公園、河川敷などでもよく行われている。基本的に行うためには面積が必要とされる。アカデミアが広大な敷地であるのは、生徒数が多いだけではなくこういう理由があった。

美遊「リバースカードを1枚。これでターン終了だ!」

小夜「へえ、それだけ?静かな滑り出しだね」

美遊「『レアル・クルセイダー』には特殊召喚されたレベル5以上のモンスターを破壊する必要がある。今はこれでいいのさ」

小夜「フン。そんなの無意味ってことをすぐ教えてあげるよ。あたしのターン、ドロー!」

小夜「『超騎士サイコ・セイバー』を特殊召喚。このカードは、相手モンスターが存在し、あたしのモンスターがいない時に特殊召喚ができる!」

《超騎士サイコ・セイバー》(SSオリジナル)
効果モンスター
星6/地属性/サイキック族/攻2200/守2200
このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):相手フィールドにのみモンスターが存在する場合、
このカードは手札から特殊召喚できる。
(2):このカードが墓地に存在し、
EXデッキからサイキック族モンスターが特殊召喚された場合に発動できる。
墓地のこのカードを手札に加える。

美遊「レベル6のモンスターが特殊召喚されたことで、『レアル・クルセイダー』の効果が誘発!自身をリリースし、『サイコ・セイバー』を破壊する!」

小夜「でも、これでもう召喚は邪魔されない。あたしは永続魔法、『プレイスタート』を発動!」

《プレイスタート》(SSオリジナル)
永続魔法
(1):1ターンに1度、この効果を発動できる。
手札からレベル5以上のサイキック族モンスター1体を特殊召喚する。
この効果は自分フィールドにモンスターが存在しない場合に発動と処理ができる。

小夜「このカードの効果で、手札からレベル5以上のサイキック族モンスターを特殊召喚できる!あたしは『超銃士サイコ・シューター』を特殊召喚!」

《超騎士サイコ・シューター》(SSオリジナル)
効果モンスター
星5/地属性/サイキック族/攻1400/守2200
このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。
自分フィールドのサイキック族モンスターの数まで、
手札からレベル5以上のサイキック族モンスターを効果を無効にして守備表示で特殊召喚する。

小夜「そしてこの特殊召喚で、『サイコ・シューター』の効果が発動する!自分フィールドのモンスターの数まで手札からレベル5以上のサイキック族モンスターを特殊召喚ができる」

美遊「今はシューター1体のみだから、召喚できるのも1体までだな」

小夜「1体で十分なんだから。『アーマード・サイキッカー』を特殊召喚!」

《マスター・ジーグ》
効果モンスター
星8/地属性/サイキック族/攻2600/守1400
(1):1ターンに1度、1000LPを払って発動できる。
自分フィールドのサイキック族モンスターの数だけ、
相手フィールドのモンスターを選んで破壊する。

小夜「そしてあたしは『アーマード・サイキッカー』を召喚。このカードはレベル6だけど、サイキック族モンスターがいる場合リリースなしで召喚ができる!」

《アーマード・サイキッカー》
効果モンスター
星6/地属性/サイキック族/攻2200/守1800
(1):自分フィールドにサイキック族モンスターが存在する場合、
このカードはリリースなしで召喚できる。
(2)このカードが戦闘で相手モンスターを破壊した場合に発動する。
自分は破壊したモンスターの元々の攻撃力の半分のダメージを受ける。
その後、自分の墓地の、受けたダメージの数値以下の攻撃力を持つモンスター1体を特殊召喚できる。

美遊「これでモンスターが十分に並んだ……来るか!」

小夜「――あたしは『サイコ・シューター』と『アーマード・サイキッカー』をエレメントとし、『マスター・ジーグ』をアセンション!」

小夜「常識を超え、世界を超える!闇をも照らす光となって、勝利に突き進め!」

小夜「エレメント召喚!現れろ、レベル8!『超人騎士ナイトゲーム』!」

《超人騎士ナイトゲーム》(SSオリジナル)
エレメント・効果モンスター
星8/光属性/サイキック族/攻3000/守1000
【エレメント素材】レベル5以上のサイキック族モンスター2体
サイキック族モンスター
(1):このカードが攻撃したターンのバトルステップ中、手札1枚を捨てて発動できる。
このカードは続けて攻撃できる。
(2):相手フィールドのモンスターの攻撃力は、
このカードのエレメント元のモンスターのレベル×100ダウンする。

美遊「やっぱり、エレメント召喚か」

小夜「これがあたしのエース、『超人騎士ナイトゲーム』。これで美遊を倒す!この瞬間、墓地の『サイコ・セイバー』の効果。EXデッキからサイキック族が特殊召喚された時、このカードを手札に戻す!」

小夜「バトルフェイズ!『ナイトゲーム』でダイレクトアタック!」

美遊「痛いダメージだが……リバースカードオープン、『ダメージ・コンデンサー』!」LP4000→1000

《ダメージ・コンデンサー》
通常罠
自分が戦闘ダメージを受けた時、手札を1枚捨てて発動できる。
受けたそのダメージの数値以下の攻撃力を持つモンスター1体を
デッキから表側攻撃表示で特殊召喚する。

美遊「手札1枚をコストに、受けた戦闘ダメージ以下の攻撃力のモンスターを攻撃表示でリクルートする。来い、『弾丸特急バレット・ライナー』!」

《弾丸特急バレット・ライナー》
効果モンスター
星10/地属性/機械族/攻3000/守 0
このカード名の(1)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分フィールドのモンスターが機械族・地属性モンスターのみの場合に発動できる。
このカードを手札から特殊召喚する。
(2):このカードの攻撃宣言の際に、自分はこのカード以外の自分フィールドのカード2枚を墓地へ送らなければならない。
(3):このカードが墓地へ送られたターンのエンドフェイズに、
「弾丸特急バレット・ライナー」以外の自分の墓地の機械族モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを手札に加える。

小夜「攻撃力3000、だけど相打ちを狙ってもそうはいかないよ。『ナイトゲーム』がいる限り、相手モンスターの攻撃力はエレメント元モンスターのレベルかける100ダウンする」

小夜「そして『ナイトゲーム』の効果発動!攻撃後に手札を捨てることで、連続して攻撃を行うことができる!あたしは『バレット・ライナー』に追加攻撃!」

美遊「ライフは残る。問題ない!」LP1000→200

小夜「いいえ。私にはさっき手札に加えた『サイコ・セイバー』がある。これを捨てることでもう1度――」

美遊「そうはさせるかよ。地属性の戦闘破壊に誘発して手札の『楽天禍カルクラグラ』の効果を発動。特殊召喚し、デッキのモンスターを墓地へ送ることができる」

《楽天禍カルクラグラ》
効果モンスター
星8/地属性/天使族/攻2600/守 200
このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分フィールドの表側表示の地属性モンスターが
戦闘または相手の効果で破壊された場合に発動できる。
このカードを手札から特殊召喚する。
その後、デッキからモンスター1体を墓地へ送る事ができる。

美遊「墓地へ送るのは『スナップドラゴン』。このカードが墓地へ送られた時、ランダムで1枚、エンドフェイズまで相手の手札を除外する!」

《スナップドラゴン》
効果モンスター
星2/地属性/植物族/攻 300/守 100
このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが墓地へ送られた場合に発動する。
相手の手札をランダムに1枚選び、エンドフェイズまで表側表示で除外する。

小夜「――ふん!あたしはターンエンド。手札は返してもらうよ」

美遊「このエンドフェイズ、墓地の『バレット・ライナー』の効果で『アセンション・ブースター』を手札に加える」

《アセンション・ブースター》(SSオリジナル)
効果モンスター
星6/地属性/機械族/攻1000/守2500
このカード名(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):EXデッキから特殊召喚された地属性モンスターが戦闘を行うダメージ計算時、
手札・フィールドのこのカードを墓地へ送って発動できる。
そのモンスターの攻撃力・守備力はそのダメージ計算時のみ1000アップする。
(2):このカードが墓地に存在する場合
自分フィールドの地属性モンスターが戦闘で破壊された時に発動できる。
このカードを特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外される。

小夜「所詮は1ターン永らえただけ。今のままでは『ナイトゲーム』は突破できないよ!」

美遊「安心しろ……このドローカードでお前の敗北は確定する!私のターン!」

美遊「待ってたぜ。『ストラタム・ランサー』を召喚!」

《ストラタム・ランサー》(SSオリジナル)
効果モンスター
星4/地属性/戦士族/攻1800/守 800
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分フィールドのモンスター1体を除外して発動できる。
自分の手札・墓地の通常モンスター1体を選んで特殊召喚する。
(2):自分フィールドのエレメントモンスターが戦闘でモンスターを破壊した時、
墓地のこのカードと地属性モンスター2体を除外して発動できる。
そのモンスターはもう1度だけ続けて攻撃できる。

美遊「『ストラトム・ランサー』の効果で『カルクラグラ』を除外し、通常モンスターを特殊召喚する!出でよ、『崩壊竜エルイングラード』!」

《崩壊竜エルイングラード》(SSオリジナル)
通常モンスター
星8/地属性/ドラゴン族/攻3000/守0
崩壊の力を身に宿す伝説のドラゴン。
その力は自らも制御できず、全てを無に還してしまうと伝えられている。

小夜「攻撃力3000。でも『ナイトゲーム』の効果で攻撃力はダウンするからまだ届かないよ!」

美遊「慌てるな。このデュエルの勝敗を決するモンスターなら、今呼び出してやる!私は『ストラトム・ランサー』をエレメントとし、『崩壊竜エルイングラード』をアセンション!」

小夜「!美遊もエレメント召喚を!」

美遊「その聖槍に想いを乗せて、狂った世界を突き抜けろ。エレメント召喚!希望の使者!レベル5、『エンカウント・ランサー』ッ!」

《エンカウント・ランサー》(SSオリジナル)
エレメント・効果
星5/地属性/戦士族/2300/2100
【エレメント素材】効果モンスター1体
通常モンスター
(1):このカードは、このカードのエレメント元となっているモンスターの
元々の攻撃力以下の攻撃力の相手モンスターの効果を受けない。
(2):このカードが戦闘で相手モンスター破壊した時に発動できる。
このカードのエレメント元となっているモンスターの元々の攻撃力の半分のダメージを相手に与える。

小夜「これが美遊のエースモンスター……!」

美遊「バトルだ!『エンカウント・ランサー』で『ナイトゲーム』に攻撃。この攻撃宣言時に手札の『アセンション・ブースター』を墓地へ送って、攻撃力を1000上昇させる!」

小夜「しかし、『ナイトゲーム』の効果で攻撃力は800ダウンしている。その程度じゃあたしは超えられないんだから!」

美遊「『エンカウント・ランサー』は、エレメント元モンスター以下の攻撃力のモンスターの効果を受けない」

美遊「『エルイングラード』と『ナイトゲーム』はともに3000打点、つまり耐性は適用される!」

小夜「ああッ……!」LP4000→3700

美遊「そしてこの瞬間、『エンカウント・ランサー』の効果発動!戦闘で破壊したモンスターの攻撃力の半分のダメージを相手に与える!」

美遊「言った通り打点は3000。よって1500のダメージを食らえ!『アサルト・オブ・ジャスティス』!」

小夜「ぐっ……!」LP3700→2200

美遊「ここ攻撃力は元に戻るが、これで終いだ。墓地の『ストラトム・ランサー』、加えて『レアル・クルセイダー』、『カルクラグラ』を除外し、再攻撃の権利を与える!」

美遊「行けぇ、『エンカウント・ランサー』でダイレクトアタック!『ブレイク・ダウン・イレイザー』!」

小夜「そんな……あああああ――!!!!」LP2200→0 ピーッ

美遊「見たか、これが私の実力だ!」

 勝利に愉悦し、満面の笑みを浮かべる美遊。デュエル中は二人だけの世界のようで他は目に入っていなかったが、それが終わり一旦落ち着くと周りが見えてくる。観戦していた生徒は皆歓声に湧き、興奮のあまり立ち上がる者も見えた。教師は拍手で両者を称えている。考えてみれば、成績ではこの二人に敵う一年生はいない、つまり一年生で最もハイレベルな戦いが行われたという事であって、このような状況であるのも当然と言えば当然である。美遊はアカデミアでの自らの立ち位置を理解し始めていた。
 ふと小夜の方に目をやると、やはり悔しがっている様子が見えた。小夜は非常に負けず嫌いな子であったな、と昔の事を思い出し始めていた。
 やがて、校長によって最優秀新入生の表彰が行われた。新入生の目標となるために毎年決定されている、と説明されてはいたが、模範生として何をすれば良いかということはよくわからないでいた。筆記と実技、すなわちデュエルの強さで決定されているのだから、勝利する姿を見せ続け、生徒達の向上心を煽り、アカデミアの実力水準を保つことが使命――か。
 藍河美遊は、勝利こそが全てだという考えの持ち主ではなかった。勝利すれば当然楽しい。だが、楽しくない勝利は無意味である、という信念がある。実力が上がっても、生徒のモチベーションが上がらなければ、それは生徒のためにはならないのでは、という考えに傾いていた。
 しかし、その事について深く考えていて、それが自らのモチベーションに影響しては元も子もない。今は勝利の余韻に浸るとしよう――と、半ば無理やり気持ちを切り替える美遊であった。
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