２：依頼の内容　作：ヒラーズ

ここは、追放世界の島国「レクス公国」。大きさはアメリカの大陸の約5倍の国土を持つ大きな国（？）だ。他にもやたらと巨大な国家があるんだが、実のところまだ未探索の大陸も存在し、分からないことだらけでもある。

まぁ追放世界は多くの破れた世界、滅んでしまった世界などが多く合併して出来上がった世界で、通称「時のゴミ捨て場」と呼ばれるほどのものだからな。

そんでもって俺が今いるところが、上司であり君主の「レクス・マキナ・プロトコル」がいる城の中だ。中は豪華な作りと装飾が施されているが、騙されてはいけない。

城の中には厳重な警備があり、監視カメラや罠まで設置されてるくらいだ。
まぁ設置したのは元々俺の思案の元でやったんだがな・・・。

「それじゃあ、俺はレクス様と話をしてくる。ハルとセージは見学しててくれ」
「わかった」
「わかりました」

返事は良いんだが、色々と抱え込んでる事が多量なのは見て分かる。
早く済ませてきた方が得策だろうな。

「……（大丈夫だろうか？）」

俺もちょっと不安だが、報連相は大事だからな。
せめて何かできないだろうか？そう考えながら、俺はレクス様のオフィスへと足を運んだのだった。




＊




「なるほどね。それで僕のオフィスに来た理由でもあるのかい？」
「はい。そろそろ我々もやるべきなのでは？」
「うーん……あの議題をかい？大丈夫なのかねぇ」
「最近は子供の追放者が増えるばかりです。それどころか、大人の追放者が少しずつ減少していく動きが見られます」
「それは…参ったね。確かにこれは深刻な問題だよ」

今、俺が話しているのはこの国での事での話だ。
何せ、致命的な事に、この国には学び舎が極端に少ない……と言うより学校が無いんだ。まぁ罪人と悪神しかいない世界だからな。

影響によっては不老不死の力が与えられるからな。だが、この世界にも学校があってもいいと俺は思う。知恵がなければ罪をどう償えばいいかわからんからな。

「……分かった。考えとくよ」
「ホント頼みますよ」

すんなりと引き受けてくれて非常に助かる。だがその分の任務があるという事を忘れてはいけない。

「じゃあ、君に与える依頼なんだけど……」
「どのような？」






＊







「探索？」
「うん。この大陸にずっと留まってる訳にはいかないからね。そこで1年前の事件に巻き込まれた君でしかできない依頼なんだ」

要するにまだ見ぬ大陸の調査依頼だな。予想はしていたが、大丈夫なのか？

「別に構いませんが、そうとなればこの国の防衛線は崩れますが…？」
「そこは心配ないよ。最近は２つの国とは全く争ってないし。まぁたまに姉上が此処に来るだけで問題ないよ」

大問題なんだよなぁ……姉であり、敵国の女皇帝様が単身でこの国に来るとか異常しかないぞ……。マジで大丈夫かよ……。

「しかし、別大陸となれば。それなりの準備が必要になるのですが？」
「無問題。すでに準備は始めている。ハル君やセージちゃんにしばらく留守にする伝言を伝えるだけだよ」

おおう……準備が早いようで……。

「確かにね。君の言う通り、防衛網が崩れるけど。最近は警戒を大幅強化を施しているつもりなんだよ。君が不在中を想定してね」
「成程、いつでも私が長期の任務に行けるような配慮まで…」
「僕から言えることはこのぐらいかな。後は君にこれを渡すだけだ」
「？」

レクス様は机の引き出しから一つの小さい機械を取り出し、俺に引き渡す。

「それは時空圏外でも通信が行える「超時空通信機」だ。試作段階だけど、それなりに成果を出しているよ」
「いいのですか？」

しかもこれ耳に付けるイヤホンタイプの通信機だ。
最新式じゃないか。いつの間に……。

「場所はこの大陸から南方だ。そこに島らしき影が見えたと周辺時空警備船からの連絡が入った」
「了解。小島だった場合は？」
「その場で引き返してくればいい。簡単でしょ？」

はぁ……まぁそうしておくとしよう。
俺はオフィスを出て、任務へ向かうべく、港へと足を運んだ。