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Phase1 強引な私情 作:ニセチノミー
窓から注がれる朝の日差しが亜美の顔を優しく温める。
亜美は開きかけた目をこすりながら上半身を起こした。
ベッドの上で背伸びをした後、いつも身につけているペンダントを手に取り首にかける。
ペンダントは日差しに照らされ燦々と輝いた。
亜美は机に向かい、一つのカードの束を手に取り1枚1枚眺めていた。
すると、亜美の携帯が突然なり始めた。
誰からだろうと携帯の開き発信者を確認すると、発信主は海馬コーポレーション社長の海馬瀬人だった。
「海馬瀬人だ、今すぐ我が社に来るがいい。それと、あのペンダントも一緒に持ってこい。以上だ」
あまりにも一瞬の出来事で、亜美は呆然としていた。
「それだけ!?フランスから日本まで引越させといて引っ越しご苦労とか無いわけ?全くもう!」
亜美はめんどくさそうに身支度をすると、ため息を吐きながら海馬コーポレーションへ向かった。
海馬コーポレーションにたどり着くと、入り口前でガタイの良い男性が亜美の到着を待っていたかのようにそこに立っていた。
「おはようございます亜美様。話は社長から伺っております。さぁ、社長室へどうぞ…」
「あ、磯野さん。ありがと」
海馬コーポレーションの社員、磯野に案内され、亜美は海馬のいる社長室へと向かった。
「さぁ、こちらです。瀬人様、失礼します」
磯野がドアのロックを解除しようとした時、少し低くも透き通った声が後ろから聞こえてきた。
「亜美を連れてきたようだな。ご苦労だった磯野」
「せっ、瀬人様、びっくりしましたよ
後は瀬人様にお任せします。ではこれで」
「いきなり呼び出してすまなかった。よし、ちゃんとペンダントは持ってきているな。流石は我が弟子」
「前置きはいいよ。で、なんで呼び出したの?」
「話は中でしよう」
そういうと、瀬人は滑らかな手さばきでキーを押し、ドアを開けた。
打ち込まれたパスワードをみて亜美は声を出さずに苦笑いした。
「瀬人さんたら…」
海馬は亜美を自室へ招き入れると、早速本題に入った。
「今日貴様を呼んだのには訳がある。お前のそのペンダントに関係のある話だ。取り敢えずこれをみてもらった方が早いだろう。例のものを持ってこい《KS-1025》」
海馬が合図を出すと、KS-1025と呼ばれた一機のドローン型ロボットが少し大きめのタブレットを海馬の元へ持ってきた。
KS-1025はタブレットを渡すと音も立てずにその場を後にした。
「すごい!日本は進んでいるんだね。まだ2005年だっていうのに。でもKS-1025ってめんどくさい名前。」
「あいつの名前は副社長のモクバが命名した。大目に見てやってくれ。それよりもだ、早速こいつを見て欲しい」
海馬はタブレットを起動させ、一枚の画像を亜美に見せた。
画像に写っているものは骨董品のような鎧の画像だった。
「瀬人さんこれって鎧だよね。それがどうかしたの?」
「ただの鎧ではない。左肩の部分を見てみろ。特殊なデザインになっているだろう?これが青眼の白龍と酷似している」
「そう言われてみると…だけどこれ結構年代物なんじゃ?」
「そうだ。情報によるとイギリスのストーンヘンジ周辺から発掘されたものらしい。
そしてこの鎧の所有者は1480年代にとある戦争で抗争していたという」
「1480年代?その時代には青眼の白龍どころかMアンドWカードすら存在してないじゃない」
「…我が社の全科学力を使ってもこれに関することはその事以外何も分からなかったのだ。この時代になぜこのようなデザインの鎧があったのか、所有者は何の戦争で戦っていたのかだが、一つだけ分かったことがある」
「何が分かったの?」
「お前の身につけているソレだ。海馬ランドパリで初めてお前と会った時から気になっていたんでな、お前がフランスにいた頃いろいろと調べさせてもらった。そのペンダントとこの鎧は同じ場所で発見された」
「これが…?」
亜美はそう言うと、首にかかったペンダントを手に取り、何かを悟るようにじっと見つめた。
そして再び海馬の方に顔を向けた。
「どうした?なにか心当たりがあるのか?」
海馬が尋ねると、亜美は黙って首を横に振った。
「それが全く記憶になくて…」
「まあいい。その件については調べていけば後にわかるだろう。それで、この鎧のことを調べる中でこいつが必要でな…しばらくの間貸して欲しいのだがどうだろうか」
「やだよ私の宝物なんだから!いくら瀬人さんでも貸せないよ!」
「何故だ!俺はこいつとこの鎧のルーツを調べたいだけだそんなに時間もかかるまい」
途端に海馬に熱が入り、海馬の手は亜美のペンダントに向かって伸びていった。
亜美は必死で海馬の腕を掴み、ペンダント に触れさせまいと彼の腕を跳ね除けた。
「やめてよ!」
「貴様、何か隠しているな。ならばデュエルで勝負だ。俺が勝ったらそのペンダント を渡せ。ついでにこの勝負で貴様の腕が鈍っていないかテストしてやる!」
「わかったよ。絶対にペンダントは渡さないから!」
「表情が変わった…だが、それくらいどうとも…そういえばこれを渡してなかったな
亜美、こいつを使え」
海馬は一機のデュエルディスクを亜美に手渡した。
亜美がディスクを受け取ると、互いに位置につき、デッキをセットした後手札5枚をドローした。
「ルールはライフポイント3000ルールで行く。さぁ来るがいい」
「デュエル」
亜美LP3000
瀬人LP3000
「ペンダントは渡さない!ドロー!」
デュエルディスクからカードが1枚自動で排出され、亜美はそれをスッと引き抜いた。
手札を確認し、フィールドゾーンにカードを並べていく。
「モンスターを守備でセット、カード2枚伏せてターンエンド」
「相手がどう来ようが、俺は全力で叩きのめす!ドロー!」
「俺は手札から《ブラックホール》を発動。フィールドのモンスターを全て破壊する!
更に《龍の尖兵》を召喚。モンスター効果で手札のドラゴン族モンスターを捨て、攻撃力を300上げる」
龍の尖兵 レベル4
ATK1700→2000
「モンスターが!でもこれじゃ私のライフは削りきれないよ!」
「俺の弟子である貴様がそんな甘い事を抜かすとは…ならば教えてやる!甘い考えを捨てぬ限り行き着く先は敗北しかないことを!」
「龍の尖兵の効果で捨てた《チャイル・ドラゴン》の効果を発動。このカードが捨てられた時、手札からドラゴン族モンスター1体を特殊召喚する!いでよ《青眼の白龍》」
青眼の白龍 レベル8
ATK3000
「そんな…」
「ワハハハハ!行け、青眼よ!《滅びのバーストストリーム》!」
青眼は全身を光らせ、己の口に青い光を一点に集め、亜美目掛けて光線を放った。
街を破壊し尽くす巨大な洪水の如くその光は亜美に激しく降り注いだ。
「うわぁぁぁぁぁっ!」
亜美LP3000→0
「デュエルは俺の勝ちだ。ペンダント …渡してもらうぞ」
海馬はデュエルディスクをたたむと、亜美のペンダントを掴みそれを取ろうとした。
「っ…!」
亜美は海馬の腕を掴み、ペンダントから引き離そうとした。
「なんだ、どうしてもダメなのか?」
海馬は一旦ペンダントから手を離し、服のホコリを払いながら亜美に言った。
海馬の青い瞳が亜美の水色の瞳と視線を交わす。
亜美は必死の表情で訴えかけた。
「全く記憶が無いっていうのは嘘なの…でも私、毎晩このペンダントが手に取った人々を刺し殺す夢を見るんだ…夢だけど何かある気がして、もし瀬人さんが手にしたと思うと…」
「なるほど、この短剣の部分で人を殺すというのか。笑わせる…そんな話があるはずなかろう。俺はオカルト話は生きたまま冥界に行けることしか信じん」
「でも…!」
「安心しろ、俺はこんなものに殺される男では無い!お前が俺の弟子なら…信じてくれるな」
「う、わ、わかったよ…信じるからね…?」
亜美はペンダントを海馬に手渡した。
ペンダントを渡すまでの間、亜美の手は震えていた。
海馬を信じる心はあるが、その中で、亜美の心に巣食う恐怖心という魔物が唸りを上げていた。
「フフ…少し素直じゃないところは変わらずか…だが感謝する。礼と言ってはなんだが、こいつを持って行け。まぁ、これは元々お前に手渡すつもりだったがな」
そういうと、海馬は先程のデュエルで貸した白と水色のデュエルディスクと、4枚のカードを手渡した。
「瀬人さん、これを私に?」
「あぁ、だがこのデュエルディスクは旧型のものを少し改造しただけのものだが、ちゃんと機能してくれるから安心しろ。そして、この4枚のカードだが、まぁ見て見るがいい」
亜美は言われるがまま裏になっている4枚のカードをオープンした。
それは3枚の機械族モンスターのカードと、後の一枚は目を疑うようなものだった。
「えっ、こ、これって!」
「左からA-アサルト・コア、B-バスター・ドレイク、C-クラッシュ・ワイバーン、そして青眼の白龍だ」
「これ、瀬人さんが愛用してる青眼の白龍…これだけは受け取れないよ!」
「落ち着け、この青眼の白龍は俺のものではない。インダストリアル・イリュージョン社協力のもと開発したものだからな。
お前のデッキは以前俺が渡したものとはいえまだまだ生温い。この4枚をデッキに組み込み、さらなる高みを目指せ。お前なら青眼の白龍を使いこなせるはずだ」
「ありがとう…!大事に使うよ。でも、そのペンダント すぐに返してね!」
亜美は改めて4枚のカードを受け取った。
4枚のカードは共鳴しているかのようにキラキラと光り輝いていた。
亜美はそっとデッキケースにカード入れると、にっこりと笑い、海馬コーポレーションを後にした。
「感謝するぞ、亜美よ。このペンダントを借りたからには必ず青眼の鎧とペンダントのルーツを必ず炙りだしてやる。そしてこの鎧の持ち主とその歴史を!」
その頃フランスの某所ではとある集団がこんな会話をしていた。
「例の物は見つかったか?」
「いや…見つからない。あの教会にも立ち寄っては見たんだが奴らは何も分からないとしか言っていなかった…」
「くそっ…どうすれば良いんだ!資金源を失ったこの組織の頼みの綱だっていうのに!」
「簡単には行かないがこの組織を存続させる方法はあるぞ…組織を抜けた《アイツ》を呼び戻すことができれば…《ユニオン・コルス》は潰えない!」
亜美は開きかけた目をこすりながら上半身を起こした。
ベッドの上で背伸びをした後、いつも身につけているペンダントを手に取り首にかける。
ペンダントは日差しに照らされ燦々と輝いた。
亜美は机に向かい、一つのカードの束を手に取り1枚1枚眺めていた。
すると、亜美の携帯が突然なり始めた。
誰からだろうと携帯の開き発信者を確認すると、発信主は海馬コーポレーション社長の海馬瀬人だった。
「海馬瀬人だ、今すぐ我が社に来るがいい。それと、あのペンダントも一緒に持ってこい。以上だ」
あまりにも一瞬の出来事で、亜美は呆然としていた。
「それだけ!?フランスから日本まで引越させといて引っ越しご苦労とか無いわけ?全くもう!」
亜美はめんどくさそうに身支度をすると、ため息を吐きながら海馬コーポレーションへ向かった。
海馬コーポレーションにたどり着くと、入り口前でガタイの良い男性が亜美の到着を待っていたかのようにそこに立っていた。
「おはようございます亜美様。話は社長から伺っております。さぁ、社長室へどうぞ…」
「あ、磯野さん。ありがと」
海馬コーポレーションの社員、磯野に案内され、亜美は海馬のいる社長室へと向かった。
「さぁ、こちらです。瀬人様、失礼します」
磯野がドアのロックを解除しようとした時、少し低くも透き通った声が後ろから聞こえてきた。
「亜美を連れてきたようだな。ご苦労だった磯野」
「せっ、瀬人様、びっくりしましたよ
後は瀬人様にお任せします。ではこれで」
「いきなり呼び出してすまなかった。よし、ちゃんとペンダントは持ってきているな。流石は我が弟子」
「前置きはいいよ。で、なんで呼び出したの?」
「話は中でしよう」
そういうと、瀬人は滑らかな手さばきでキーを押し、ドアを開けた。
打ち込まれたパスワードをみて亜美は声を出さずに苦笑いした。
「瀬人さんたら…」
海馬は亜美を自室へ招き入れると、早速本題に入った。
「今日貴様を呼んだのには訳がある。お前のそのペンダントに関係のある話だ。取り敢えずこれをみてもらった方が早いだろう。例のものを持ってこい《KS-1025》」
海馬が合図を出すと、KS-1025と呼ばれた一機のドローン型ロボットが少し大きめのタブレットを海馬の元へ持ってきた。
KS-1025はタブレットを渡すと音も立てずにその場を後にした。
「すごい!日本は進んでいるんだね。まだ2005年だっていうのに。でもKS-1025ってめんどくさい名前。」
「あいつの名前は副社長のモクバが命名した。大目に見てやってくれ。それよりもだ、早速こいつを見て欲しい」
海馬はタブレットを起動させ、一枚の画像を亜美に見せた。
画像に写っているものは骨董品のような鎧の画像だった。
「瀬人さんこれって鎧だよね。それがどうかしたの?」
「ただの鎧ではない。左肩の部分を見てみろ。特殊なデザインになっているだろう?これが青眼の白龍と酷似している」
「そう言われてみると…だけどこれ結構年代物なんじゃ?」
「そうだ。情報によるとイギリスのストーンヘンジ周辺から発掘されたものらしい。
そしてこの鎧の所有者は1480年代にとある戦争で抗争していたという」
「1480年代?その時代には青眼の白龍どころかMアンドWカードすら存在してないじゃない」
「…我が社の全科学力を使ってもこれに関することはその事以外何も分からなかったのだ。この時代になぜこのようなデザインの鎧があったのか、所有者は何の戦争で戦っていたのかだが、一つだけ分かったことがある」
「何が分かったの?」
「お前の身につけているソレだ。海馬ランドパリで初めてお前と会った時から気になっていたんでな、お前がフランスにいた頃いろいろと調べさせてもらった。そのペンダントとこの鎧は同じ場所で発見された」
「これが…?」
亜美はそう言うと、首にかかったペンダントを手に取り、何かを悟るようにじっと見つめた。
そして再び海馬の方に顔を向けた。
「どうした?なにか心当たりがあるのか?」
海馬が尋ねると、亜美は黙って首を横に振った。
「それが全く記憶になくて…」
「まあいい。その件については調べていけば後にわかるだろう。それで、この鎧のことを調べる中でこいつが必要でな…しばらくの間貸して欲しいのだがどうだろうか」
「やだよ私の宝物なんだから!いくら瀬人さんでも貸せないよ!」
「何故だ!俺はこいつとこの鎧のルーツを調べたいだけだそんなに時間もかかるまい」
途端に海馬に熱が入り、海馬の手は亜美のペンダントに向かって伸びていった。
亜美は必死で海馬の腕を掴み、ペンダント に触れさせまいと彼の腕を跳ね除けた。
「やめてよ!」
「貴様、何か隠しているな。ならばデュエルで勝負だ。俺が勝ったらそのペンダント を渡せ。ついでにこの勝負で貴様の腕が鈍っていないかテストしてやる!」
「わかったよ。絶対にペンダントは渡さないから!」
「表情が変わった…だが、それくらいどうとも…そういえばこれを渡してなかったな
亜美、こいつを使え」
海馬は一機のデュエルディスクを亜美に手渡した。
亜美がディスクを受け取ると、互いに位置につき、デッキをセットした後手札5枚をドローした。
「ルールはライフポイント3000ルールで行く。さぁ来るがいい」
「デュエル」
亜美LP3000
瀬人LP3000
「ペンダントは渡さない!ドロー!」
デュエルディスクからカードが1枚自動で排出され、亜美はそれをスッと引き抜いた。
手札を確認し、フィールドゾーンにカードを並べていく。
「モンスターを守備でセット、カード2枚伏せてターンエンド」
「相手がどう来ようが、俺は全力で叩きのめす!ドロー!」
「俺は手札から《ブラックホール》を発動。フィールドのモンスターを全て破壊する!
更に《龍の尖兵》を召喚。モンスター効果で手札のドラゴン族モンスターを捨て、攻撃力を300上げる」
龍の尖兵 レベル4
ATK1700→2000
「モンスターが!でもこれじゃ私のライフは削りきれないよ!」
「俺の弟子である貴様がそんな甘い事を抜かすとは…ならば教えてやる!甘い考えを捨てぬ限り行き着く先は敗北しかないことを!」
「龍の尖兵の効果で捨てた《チャイル・ドラゴン》の効果を発動。このカードが捨てられた時、手札からドラゴン族モンスター1体を特殊召喚する!いでよ《青眼の白龍》」
青眼の白龍 レベル8
ATK3000
「そんな…」
「ワハハハハ!行け、青眼よ!《滅びのバーストストリーム》!」
青眼は全身を光らせ、己の口に青い光を一点に集め、亜美目掛けて光線を放った。
街を破壊し尽くす巨大な洪水の如くその光は亜美に激しく降り注いだ。
「うわぁぁぁぁぁっ!」
亜美LP3000→0
「デュエルは俺の勝ちだ。ペンダント …渡してもらうぞ」
海馬はデュエルディスクをたたむと、亜美のペンダントを掴みそれを取ろうとした。
「っ…!」
亜美は海馬の腕を掴み、ペンダントから引き離そうとした。
「なんだ、どうしてもダメなのか?」
海馬は一旦ペンダントから手を離し、服のホコリを払いながら亜美に言った。
海馬の青い瞳が亜美の水色の瞳と視線を交わす。
亜美は必死の表情で訴えかけた。
「全く記憶が無いっていうのは嘘なの…でも私、毎晩このペンダントが手に取った人々を刺し殺す夢を見るんだ…夢だけど何かある気がして、もし瀬人さんが手にしたと思うと…」
「なるほど、この短剣の部分で人を殺すというのか。笑わせる…そんな話があるはずなかろう。俺はオカルト話は生きたまま冥界に行けることしか信じん」
「でも…!」
「安心しろ、俺はこんなものに殺される男では無い!お前が俺の弟子なら…信じてくれるな」
「う、わ、わかったよ…信じるからね…?」
亜美はペンダントを海馬に手渡した。
ペンダントを渡すまでの間、亜美の手は震えていた。
海馬を信じる心はあるが、その中で、亜美の心に巣食う恐怖心という魔物が唸りを上げていた。
「フフ…少し素直じゃないところは変わらずか…だが感謝する。礼と言ってはなんだが、こいつを持って行け。まぁ、これは元々お前に手渡すつもりだったがな」
そういうと、海馬は先程のデュエルで貸した白と水色のデュエルディスクと、4枚のカードを手渡した。
「瀬人さん、これを私に?」
「あぁ、だがこのデュエルディスクは旧型のものを少し改造しただけのものだが、ちゃんと機能してくれるから安心しろ。そして、この4枚のカードだが、まぁ見て見るがいい」
亜美は言われるがまま裏になっている4枚のカードをオープンした。
それは3枚の機械族モンスターのカードと、後の一枚は目を疑うようなものだった。
「えっ、こ、これって!」
「左からA-アサルト・コア、B-バスター・ドレイク、C-クラッシュ・ワイバーン、そして青眼の白龍だ」
「これ、瀬人さんが愛用してる青眼の白龍…これだけは受け取れないよ!」
「落ち着け、この青眼の白龍は俺のものではない。インダストリアル・イリュージョン社協力のもと開発したものだからな。
お前のデッキは以前俺が渡したものとはいえまだまだ生温い。この4枚をデッキに組み込み、さらなる高みを目指せ。お前なら青眼の白龍を使いこなせるはずだ」
「ありがとう…!大事に使うよ。でも、そのペンダント すぐに返してね!」
亜美は改めて4枚のカードを受け取った。
4枚のカードは共鳴しているかのようにキラキラと光り輝いていた。
亜美はそっとデッキケースにカード入れると、にっこりと笑い、海馬コーポレーションを後にした。
「感謝するぞ、亜美よ。このペンダントを借りたからには必ず青眼の鎧とペンダントのルーツを必ず炙りだしてやる。そしてこの鎧の持ち主とその歴史を!」
その頃フランスの某所ではとある集団がこんな会話をしていた。
「例の物は見つかったか?」
「いや…見つからない。あの教会にも立ち寄っては見たんだが奴らは何も分からないとしか言っていなかった…」
「くそっ…どうすれば良いんだ!資金源を失ったこの組織の頼みの綱だっていうのに!」
「簡単には行かないがこの組織を存続させる方法はあるぞ…組織を抜けた《アイツ》を呼び戻すことができれば…《ユニオン・コルス》は潰えない!」
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