失った力と得た可能性　作：シュンＰ

零「無理だった…」
零は全身から力が抜けその場に、ペタン、と座り込んでしまう
テン「約束だ、遊波竣。君のデッキをもらおう」
テンは倒れている竣のデュエルディスクからカードを抜き取る
零「ッ佳寿！」
佳寿「…ッ」
零「そんな…こんなのって…」
テン「伊馬、行くぞ」
伊馬「はい」
２人はショップから出て行った





結局この日の大会は中止なり、全国大会への権利も渡されないことになった
その後、佳寿・零・気絶している竣・結有は、チーム夢幻のガレージへと向かった
ガララララララ
佳寿が担いでいた２人を地面に寝かせ、シャッターを開ける
夢幻のガレージは伊馬の家であって、鍵を伊馬と佳寿で所有している。当然泊まり込みになることもあるので、４人全員分のベッドもある
佳寿「よっこらせと」
佳寿は未だ尚気絶している竣と結有をそれぞれのベッドに寝かせる
佳寿「もう夜の７時か。２人とも気絶してからもう２時間は経つぞ」
零「佳寿、今日は私たちここで止まってもいい？明日は日曜で学校もないし」
佳寿は答える
佳寿「ああ、いいぜ。ベッドは伊馬の物を使うといい」
零「ありがとう」
佳寿「どういたしまして。にしても困ったもんだ、リーダー不在じゃどうなるのやら」
佳寿はポリポリと頭をかく
零「ごめんなさい、私が負けてしまったばっかりに…」
佳寿「いや、気にするな。あのカードたちはもはや初見殺しみたいなものさ」
零「そうだけど…」
２人が会話していた時だった
結有「うわぁー！」
結有が叫び声を上げながら目を覚ました
佳寿「お、起きたか、結有」
結有「ハァ…ハァ…ここは…ガレージか…」
佳寿「ああそうだよ。お前大丈夫か？まさかデュエル中に倒れるとは思わなかったぞ」
結有「ああ、ゴメン。俺低血圧なもんで。そう言えばデュエルはどうなったの？勝ったんだよね？」
結有は慌てて質問する
佳寿「そ、それは…」
零「負けたわ」
零は静かに告げる
結有「う、嘘だよね？」
竣「いや負けちまったよ、俺らは」
佳寿「竣！起きたか」
竣「ああ。すまなかったな、俺が未熟なばっかりに。零、大丈夫か？」
零「ええ平気よ、それより貴方、大丈夫なの？」
竣「なんのことだ？」
佳寿「とぼけるな竣。お前の未来を見ることが出来る力だ」
竣「ああ、そのことね」
何かを思い出したかのように竣は言う
結有「俺が倒れてる間にそんなことがあったんだね…」
零「しかも竣はデッキを奪われてしまったわけだし、伊馬を取り戻すためにも勝つ方法を考えないと…」
佳寿「零に負けた俺じゃアイツらに勝つのはさすがに無理があるな」
結有「俺も…」
零「私も…」
竣「俺もデッキもないしなぁ…」
３人が悩んでいる時だった
？？？「いやー、大変だねぇ」
ガレージの暗がりから声がした
結有「誰だ！」
零「姿を現しなさい！」
？？？「言われなくても行くさ」
声の主は姿を現す
佳寿「お前は…」
竣「何をしに来た、天馬三日月！」
竣が声を荒げた
三日月「まったく、ひどい扱いだねェ、竣君。君たちに新しい力を渡そうと思ってきたのにさ」