第５話　毒を持って毒を制す　作：ｸﾄｩﾙﾌ大好きな人

　宇宙が用意していたのはお手製の小さな御守りだった。凛と六花は差し出された御守りを受け取る。



宇宙「それは私が作ってきた簡易の御守りだ。神様の加護などは獲られないが代わりに私のサイコデュエリストの力を込めてある。もしこの力に関わる事で危ない時があれば一度だけだがこれが守ってくれる。効果は一度だけだ、よく覚えておいてくれ」


　2人は改めて御守りを確認し、それぞれが自分のポケットへ忍ばせる。そんな2人を見て香蓮はふとある事に気付く。



香蓮「ところで宇宙、私の分はありませんの？」


宇宙「・・・・あぁ、そういえば用意してなかったな。諦めてくれ」


香蓮「私の心配はしていただけませんの！？」


宇宙「まぁ香蓮だし」


香蓮「私だけ扱いがぞんざいではありませんでして！？」


宇宙「さて話が逸れたな。凛、まず確認したい。心がサイコデュエリストと知っても尚、心の事を好きで居てくれるのか？」



凛「・・・・・。好きかどうかと聞かれた場合、ボクはいいえと答えます」



宇宙「そうか、やはり「だってボクは心くんを愛してますから」・・・え？」



凛「好きなんて言葉だけじゃ物足りません。だってボクは心くんを、心くんはボクを愛してるんですから」


　そういって笑う凛は一点の曇りのない、晴れやかな笑顔だった。


六花「もし何かあれば私も力になります。みんなが力を合わせれば困難なんてへっちゃらですよ」



　頼もしいなと宇宙も笑う。忌まわしき存在であるサイコデュエリストである私達を避ける訳ではなく、それを受け入れてくれる。これなら心を任せられる・・・そう思った宇宙は席を立つ。



宇宙「さぁ、この話はこれで一旦お終いだ。わざわざ遠い所から来てくれた2人をもてなさないとな」


　紅茶を入れなおそうかと宇宙がキッチンへ向かうがすぐさまに香蓮に取り押さえられる。



香蓮「まさかとは思いますが宇宙が紅茶を用意する気ですの？」

宇宙「あぁ、そうだが」

香蓮「ならば全力で拒否させて頂きますの！私が入れるので席に座ってくださいまし」

宇宙「ひどい言われようだが私にだってそれくらい・・・」


香蓮「どす黒い紅茶・・・山盛りの砂糖・・・」


宇宙「ではお言葉に甘えるとしよう。すまないが任せた」



　自分が座っていた場所に戻った宇宙に「さっきの言葉は？」と凛が尋ねるも宇宙は笑うだけで何も答えなかった。


　そうこうしている内に買い物を終えた心が帰宅する。リビングではガールズトークに花を咲かせているのか楽しそうな笑い声が聞こえる。出かけようとする凛を呼び止めただけあって何か深刻な話をとも考えたがそれもただの杞憂だったのかもとリビングへ入る。


心「ただいま。楽しそうだね？」


香蓮「おかえｒ「おかえり心くん！」」



　待っていたと言わんばかりに心に飛びついたのは凛だった。突然飛びつかれたにも関わらずバランスを崩す所か平然と立っている心。これも筋トレの成果か・・・？


心「凛ちゃんただいま。なんだか元気さが増してるような」

凛「多分それは心くんのせいかな・・・ふふ」


　首にぶら下がるような形で抱きつく凛と心の目と目は離れず、少しづつその距離は近づき・・・



宇宙「んんっ！2人とも。2人きりの世界に入るのは良いが周りも良く見てくれよ？」


　宇宙の咳払いでハっとした2人は急いで離れるもいつのまにか繋いだ手は離さない模様。そんな2人をどす黒いオーラ全開で睨む香蓮といつもとは違う方向性で積極的な凛に少し戸惑う六花だった。




香蓮「いくらお付き合いしているとは言えここまで見せ付けられると少々イラっと来ますわ！凛さん、貴女にデュエルを申し込みますわ！」



　怒り心頭の香蓮はデュエルディスクを展開する。


凛「なんでそんなに怒っているのかはわかないけどデュエルなら受けて立ちます」


　凛も躊躇う事なくデュエルディスクを展開。


凛＆香蓮「「デュエル！！」」


　凛 LP 8000　ＶＳ　香蓮 LP 8000


《１ターン目》


凛「先行はボクみたいですね。ボクは手札５枚をセットしてターンエンドです！」

凛 LP 8000
手札：0　フィールド：なし　魔法・罠：セット５

香蓮 LP 8000
手札：５　フィールド：なし　魔法・罠：なし



《２ターン目》

香蓮「私のターン、ドロー。せっかくですけど今の私はデュエルを楽しむような気分ではありませんの。速攻で形をつけて差し上げますわ！」


　「まずは『聖刻龍－アセトドラゴン』を自身の効果で通常召喚、攻撃力が1000になりますわ。そのまま『アセト』をリリースし『聖刻龍－シユウドラゴン』を特殊召喚。リリースした『アセト』の効果でデッキから『メテオ・ドラゴン』の攻守を0にし守備表示で特殊召喚。」


　「さらに『シユウ』の効果発動、手札の『聖刻龍－ネフテドラゴン』をリリースして貴女のセットしている真ん中のカードを破壊しますわ」


凛「問題ないです。リバースカードオープン『仕込み爆弾』、それにチェーンし『自業自得』発動！さらにチェーンし『おジャマトリオ』、そして最後に『連鎖爆撃』発動です！」


チェーン５　連鎖爆撃
チェーン４　おジャマトリオ
チェーン３　自業自得
チェーン２　仕込み爆弾
チェーン１　聖刻龍－シユウドラゴン


凛「何もないようでしたらこのまま行きます！まず『連鎖爆撃』で2000のダメージ！おジャマトークンを3体を香蓮さんのフィールドに特殊召喚、『自業自得』で2500のダメージ！さらに『仕込み爆弾』の効果で1500のダメージ！そして『シユウドラゴン』の効果で破壊された『仕込み爆弾』の効果で1000のダメージです！！」

　2000+2500+1500+1000＝7000

香蓮 LP 8000 → 1000

香蓮「不覚ですわ、こんなダメージだけでなくフィールドまで」


　香蓮が自分のフィールドに目を向けるとおジャマトークンの3人がこちらを見つめていた。邪魔ですわ！と怒ると3人はシユウの足元へ逃げていく。


香蓮「フィールドが埋まっている為リリースした『ネフテ』の効果は発動出来ませんわ。私はこれでターンエンドですの」


凛 LP 8000
手札：0　フィールド：なし　魔法・罠：セット１

香蓮 LP 1000
手札：３　フィールド：『メテオ・ドラゴン』『聖刻龍－シユウドラゴン』『おジャマトークン』×３　魔法・罠：なし


《３ターン目》

凛「ボクのターン、ドロー！ボクはカードをセットしてターンエンド」


凛 LP 8000
手札：0　フィールド：なし　魔法・罠：セット２

香蓮 LP 1000
手札：３　フィールド：『メテオ・ドラゴン』『聖刻龍－シユウドラゴン』『おジャマトークン』×３　魔法・罠：なし



《４ターン目》

香蓮「私のターン、ドロー！」

凛「出来ればもっとチェーンを積みたかったけど仕方ないよね。リバースカードオープン《仕込みマシンガン》発動！香蓮さんに2400のダメージです！」


香蓮 LP 1000 → LP 0



香蓮「こ、こんなのって・・・あんまりですわ」


　思わずその場でへたり込む。展開さえ許されず、手も足も出ない結果となってしまった香蓮だった。