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第15話 希望の魔法少女 作:いちごT
15話
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全開のあらすじ
年に一度の学園内のデュエル大会であるアカデミアカップのエントリーデュエルが始まった。その難易度は高く、挑戦者は次々とデュエルAIに敗北する中、伴 遊飛 は苦戦しつつもそれを打ち破る。そして次はちよの出番となった…
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ガチャリ
簡素なドアを開けるとそこにはひと昔前のデュエルフィールドがあった。以前はゲームセンターなどに設置されていたり、かの有名な決闘王国でも使われていたがデュエルディスクが普及してからというもの、すっかり廃れてしまった代物である。
10代の若者には馴染みがないため、ちよは物珍しそうにそれを眺める。先ほどの遊飛のデュエルで映像越しに見たものの、間近で見るとまた違った迫力がある。
ちよ「うわあ……凄い…」
ちよ「え、えっと…まずは学籍番号…」
眺めているばかりでは進まない。ちよはクロノスの説明を思い出しながらフィールドの前に立ち、パネルを操作する。学籍番号を入力、続いてタッグデュエル、詰デュエルなどの種類の選択画面より『Special』を選ぶ。
AI「……『Special』認証 シマシタ。デッキ ヲ セット シテ クダサイ。」
ちよ「は、はいっ!」
急に機械音声が部屋に響き渡り、驚きながらも音声に従いデッキをセットする。セットしてしばらくの間ピーッという音だけが流れたが、ほどなくしてそれも止まる。
AI「登録完了 デス。エントリーデュエル ヲ 開始 シマス。」
ちよ「よ、よろしくお願いします。」
音声に対してペコリと頭を下げた瞬間、乗っていた足場がゆっくりと上昇し、そこそこの高さでガタッと止まる。
ちよ「こんな感じなんだ…」
ー待合室ー
遊飛「お、そろそろ始まるみたいだぞ。」
景介「さてさて…どんなデッキが来るんだろうね。」
遊飛「何言ってんだ? サイバー・ドラゴンだろ?」
景介「違うと思うよ。ほら、別の部屋のモニター見てみなよ。」
遊飛「ん? 」
遊飛がずらっと並んだ扉の上に設置されたモニターに目をやると生徒達のデュエルの様子が映し出されていた。AI側のフィールドにサイバー・ドラゴンの姿はなく、それぞれ違ったモンスターや魔法カードが展開されている。
遊飛「あれ? サイバー・ドラゴンだけじゃねーんだ…」
景介「僕らより早くここに入ったくせに気づかなかったんだ……」
遊飛「しょうがねえだろ。自分のデッキ組みなおしてたんだからよ…」
景介「はは、遊飛くんらしいね。しかしAIの使うデッキはいくつかのサンプルデッキから選ばれているのか…別の基準があるのか…」
遊飛「んなの気にしたって意味ねーだろ。俺らはちよの応援してればいいんだよ!」
親指と人差し指を顎に当てて考え込む景介の背中をパシーンと軽く叩きモニターの方に向き直る。
景介「一応僕もエントリーデュエル残ってるんだけど……」
遊飛「ほら、始まるぞ!」
景介「聞いてないし…」
そんなやりとりをしている間にちよの立つデュエルフィールドでは先攻が決まっていた。その先攻となったちよが5枚の手札を握り今まさにデュエルが始まるところであった。
ちよ LP4000 VS デュエルAI LP4000
ちよ「うちの先攻! 手札から『ビッグバンガール』を守備表示で召喚!」
・ビッグバンガール ☆4 炎属性 1300/1500
赤いローブを纏った銀髪の女性のモンスターが出現。その場に跪き、防御姿勢をとる。
ちよ「そして魔法カード『ご隠居の猛毒薬』を発動。このカードは相手に800のダメージを与えるか自分のライフを1200回復するかを選ぶカード。うちはライフを回復する!」
ちよ LP4000→LP5200
ちよ「この瞬間、ビッグバンガールの効果発動! 自分のライフが回復した時、相手に500のダメージを与える!」
デュエルAI LP4000→LP3500
ちよ「カードを1枚伏せてターンエンド。」
遊飛「おお!ちよの奴、1ターン目からやるじゃん!」
景介「回復とダメージでライフ差を広げる。いいスタートだ。」
AI「ワタシ ノ ターン デス ドロー シマス。スタンバイフェイズ ニ 入リマス。メインフェイズ ニ 入リマス。『アサルトワイバーン』ヲ 召喚 シマス。」
•アサルトワイバーン ☆4 光属性 1800/1000
青く刺々しい体の飛竜が威嚇するかのように翼を広げ咆哮する。
AI「バトルフェイズ ニ 入リマス。アサルトワイバーン デ ビッグバンガール ニ 攻撃 シマス。」
ちよ「ふ、伏せカード発動! 『フローラルシールド』!!」
その鋭利な翼でビッグバンガールを切り裂かんと突進してくる飛龍の眼前に、無数の花弁が舞う。突進はそれに阻まれてしまい、旋回しながら元の位置へ戻る。
ちよ「これで攻撃は無効。そして1枚ドローする。」
AI「バトルフェイズ ヲ 終了 シマス。メインフェイズ2 ニ 入リマス。カード ヲ 2枚 セット シマス。 ターン ヲ 終了 シマス。」
●ちよ LP5200 手札3
モンスター1 『ビッグバンガール』
魔法、罠0
●デュエルAI LP3500 手札3
モンスター1 『アサルトワイバーン』
魔法、罠1 伏せカード×1
ちよ「うちのターン、ドロー。『白魔道士ピケル』を召喚。」
•白魔道士ピケル ☆2 光属性 1200/0
ちよ「そして永続魔法『平和の使者』発動。これで攻撃力1500以上のモンスターは攻撃できない。ターンエンド。」
ちよ(うん…いい感じ。このまま頑張ろう。)
AI「ワタシ ノ ターン ドロー シマス。スタンバイフェイズ ニ 入リマス。メインフェイズ ニ 入リマス。『ゴーレム・ドラゴン』ヲ 守備表示 デ 召喚 シマス。」
•ゴーレム・ドラゴン ☆4 地属性 200/2000
岩の体を持つドラゴンが盾のような形状の腕を構えて出現する。
AI「コノ カード ガ 存在スル 限り ワタシ ノ フィールド ノ コノ カード 以外 ノ ドラゴン族 モンスター ハ 攻撃対象 ニ デキマセン。」
AI「エンドフェイズ ニ 入リマス。ターン ヲ 終了 シマス。」
遊飛「よし、いい感じに進めてるな!」
景介「ちよさんは魔法使い族、AIはドラゴン族か。さながら魔法少女のドラゴン退治ってとこだね。」
●ちよ LP5200 手札2
モンスター2 『白魔道士ピケル』『ビッグバンガール』
魔法、罠1 『平和の使者』
●デュエルAI LP3500 手札3
モンスター2 『アサルトワイバーン』『ゴーレム・ドラゴン』
魔法、罠1 伏せカード×2
ちよ(あっちも防御を固めてきた…けどうちのデッキには関係ない。よし、このまま!)
ちよ「ドロー。スタンバイフェイズにピケルの効果発動! 」
デュエルAI「トラップカード『シモッチによる副作用』ヲ 発動 シマス。」
ちよ「えっ!?」
デュエルAI「ライフ ヲ 回復 スル 効果 ヲ ダメージ ヲ 与エル 効果 ニ シマス。」
ピケルの杖から放たれた癒しの光を浴びた途端、ちよの体に電撃が疾る。ピケルは振り向いて自分の主人の姿を心配そうな表情で見つめる。
ちよ「うっ…!」
ちよ LP5200→LP4400
遊飛「うまく合わせられちまった……さすがコンピューターってとこか。」
景介「……そういう問題じゃないと思うよ。」
同じ画面を見ながら同じように苦い顔をする2人。しかしその表情の理由は違っていたようだ。
遊飛「ん?どういう意味だよ。」
景介「あのデッキにシモッチによる副作用なんてかなり変だってことだよ。」
遊飛「まあ…確かに都合よく入ってるなって感じはするけどよ。」
景介「ドラゴン族はメジャーでサポートカードが多い種族だ。なのにシモッチによる副作用なんて使い所が限られたカード、普通は入れない。」
景介「でも相手はコンピューター。しかもデュエル前にデッキを登録してるってことは…」
遊飛「ちよのデッキがどんなデッキなのか分かってて入れてるってのか?」
景介「だろうね。考えてみれば遊飛くんの時もそうだ。キメラテックフォートレスドラゴンは機械族の天敵だしね。」
遊飛「じゃあこれは自分のデッキを対策したデッキとのデュエルってことか…」
景介「うん。それでほぼ確定だと思う。」
スタッフ「次、37番! 開いた部屋に入るように!!」
熱い議論を遮ったのはスタッフが次の挑戦者を呼ぶ声だった。その声に反応して立ち上がったのは景介である。
景介「遊飛くんは勝った。一果さんとちよさんも今戦ってる。僕もそれに続くとするよ。」
遊飛「おう!頑張れよ!」
景介「ありがとう。行ってくるよ。」
男同士、拳と拳を合わせて見送り見送られる2人。遊飛はこれでよし!と言わんばかりの満足そうな笑顔だが、景介は少し照れ臭そうな含み笑いを見せて開いた部屋へと向かう。
ーちよサイドー
ちよ LP4400 VS AI LP3500
ちよ(シモッチによる副作用…!? うちのデッキが苦手なカード!)
ちよ「……平和の使者のコスト。うちはライフポイント100を払う。」
・ちよ LP4400→LP4300
ちよ「…カードを2枚伏せてターンエンド。」
手札やフィールドを何度も交互に見比べるちよ。しかしこのターンはカードを伏せるにとどめ、エンドを宣言する。
AI「ワタシ ノ ターン デス。ドロー シマス。」
AI「魔法 カード 『スタンピング・クラッシュ』 発動 シマス。ドラゴン族 モンスター ガ フィールド ニ 存在 スル 場合 魔法、トラップ カード 1 枚 ヲ 破壊 シテ 500 ダメージ ヲ 与エマス。」
AI「平和の使者 ヲ 選択 シテ 破壊 シマス。」
巨大な足が平和の使者を踏み潰し、その衝撃がちよを襲う。
ちよ「うっ!?」
ちよ LP4300→LP3800
AI「アサルト・ワイバーン ヲ 召喚 シマス。」
2体目の青き飛竜がゴーレム・ドラゴンを挟むように現れる。
AI「バトルフェイズ ニ 入リマス。アサルトワイバーン デ ビッグバンガール ヲ 攻撃 シマス。」
ちよ「速攻魔法『ディメンションマジック』を発動! 場に魔法使い族モンスター……うちは白魔道士ピケルを生贄に…」
ちよ「そして手札から魔法使い族モンスター1体を特殊召喚する。お願い、『マジシャンズ・ヴァルキリア!』守備表示!」
•マジシャンズ・ヴァルキリア ☆4 光 1600/1800
ちよ「さらに効果で場のモンスター1体を破壊出来る! アサルト・ワイバーンを破壊!」
ちよ(マジシャンズ・ヴァルキリア……この子が攻撃を引き受けてくれるし守備力も高い。なんとか立て直さないと…)
AI「バトルフェイズ ヲ 終了 シマス。 メインフェイズ ニ 入リマス。カード ヲ 1枚 セット シマス。ターン ヲ 終了 シマス。」
●ちよ LP3800 手札1
モンスター 2:『ビッグバンガール』『マジシャンズ・ヴァルキリア』
魔法、罠 1 :『伏せカード』
●AI LP3500 手札4
モンスター 2:『アサルト・ワイバーン』『ゴーレム・ドラゴン』
魔法、罠 2:『シモッチによる副作用』 『伏せカード』
ちよ「うちのターン、ドロー。………『黒魔導師クラン』を守備表示。」
•黒魔導師クラン ☆2 闇 1200/0
ちよ「うちはこれでターンエンド。」
AI「ワタシ ノ ターン デス。ドロー シマス。 スタンバイフェイズ ニ 入リマス。」
ちよ「クランの効果発動、相手モンスターの数×400ダメージ!」
AI LP3500→LP2700
AI「メインフェイズ ニ 入リマス。ゴーレム・ドラゴン ヲ リリース シテ 『創世龍』 ヲ 召喚 シマス。」
•創世龍 ☆6 光 2200/1800
AI「バトルフェイズ ニ 入リマス。創世龍 デ マジシャンズ・ヴァルキリア ニ 攻撃 シマス。」
魔法使いの少女が放たれる火炎弾に飲み込まれる。
ちよ「くっ!」
AI「アサルト・ワイバーン デ 黒魔導師クラン ヲ 攻撃 シマス。」
ちよ「クランっ!」
AI「アサルト・ワイバーン ノ 効果 ヲ 発動 シマス。戦闘 デ モンスター ヲ 破壊 シタ 時 コノ カード ヲ 墓地 ニ 送り 手札 カラ ドラゴン族 モンスター 1体 ヲ 特殊召喚 シマス。」
AI「『バイス・ドラゴン』ヲ 特殊召喚 シマス。」
•バイス・ドラゴン ☆5 闇 2000/2400
AI「バイス・ドラゴン デ ビッグバン・ガール ヲ 攻撃 シマス。」
3体いたちよのモンスターたちが1ターンで全滅し、ちよのフィールドは伏せカードが1枚残るのみとなった。
AI「バトルフェイズ ヲ 終了 シマス。 ターン ヲ 終了 シマス。」
●ちよ LP3800 手札1
モンスター 0:
魔法、罠 1:『伏せカード』
●AILP2700 手札3
モンスター 2:『創世龍』『バイス・ドラゴン』
魔法、罠 2:『シモッチによる副作用』『伏せカード』
一果「遊飛!」
遊飛「おう一果! そっちはデュエル終わったのか。どうだった?」
一果「ああ、残念だけど負けちゃったよ。それよりちよっちはまだみたいだけど…」
遊飛「ああ。ほら、あれだよ。」
遊飛はちよがいる部屋のドアの上を指差す。
一果「なんだ、ライフはちよっちの方が上……ってモンスターいないじゃん! どうにかしないと」
遊飛「大丈夫だって。手札もライフもまだあるんだから。何が起こるか分かんねーぞ?」
一果「……はぁ…そういう奴だったよアンタは。」
ちよ「ドロー。」
ちよ(この子……今はこの子に託すしか…)
ちよ「うちは…『シャイネスマジシャン』を守備表示で召喚!」
•シャイネスマジシャン ☆2 300/1200
大きな本を持ち、深く帽子をかぶった魔法使いの少女が現れるが、凶悪な外見のドラゴン2体を前に本の裏に隠れてしまう。
ちよ「ターン終了。」
AI「ワタシ ノ ターン デス。ドロー シマス。 スタンバイフェイズ ニ 入リマス。メインフェイズ ニ 入リマス。『ゴンドラゴン 』ヲ 召喚 シマス。」
•ゴンドラゴン ☆4 水 1600/900
小舟の先端に竜の顔、後方は竜の尾となった不思議なモンスター。
AI「バトルフェイズ ニ 入リマス。ゴンドラゴン デ シャイネスマジシャン ニ 攻撃 シマス。」
ちよ「シャイネスマジシャンの効果を発動! 攻撃を無効にしてこの子を手札に戻す!」
シャイネスマジシャンは向かってくるモンスターに怯え、反射的に手にした大きな本を突き出してその突撃を止めるや否や手札に逃げてしまう。
AI「バイス・ドラゴン デ プレイヤー ニ 攻撃 シマス。」
ちよ「え、永続トラップ『ライフ・フォース』発動! 直接攻撃の時、ライフを500払うことでダメージを0にする。」
ちよ LP3800→LP3300
AI「創世龍 デ プレイヤー ニ 攻撃 シマス。」
ちよ「ライフ・フォース!」
ちよ LP3300→LP2800
AI「バトルフェイズ ヲ 終了 シマス。ターン ヲ 終了 シマス。」
●ちよ LP2800 手札2
モンスター 0:
魔法、罠 1:『ライフ・フォース』
●AI LP2700 手札3
モンスター 3:『創世龍』『バイス・ドラゴン』『ゴンドラゴン 』
魔法、罠 2:『シモッチによる副作用』『伏せカード』
ちよ「ドロー。シャイネスマジシャンを守備表示。ターンエンド。」
AI「ワタシ ノ ターン デス。ドロー シマス。 スタンバイフェイズ ニ 入リマス。バトルフェイズ ニ 入リマス。」
AI「ゴンドラゴン デ シャイネスマジシャンヲ 攻撃 シマス。」
ちよ「シャイネスマジシャン!」
AI「バイス・ドラゴン デ プレイヤー ニ 攻撃 シマス。」
ちよ「ライフ・フォース!」
ちよ(苦しいけど、今はこれで耐えるしかできないっ!)
〜〜〜 〜〜〜 数ターン後 〜〜〜 〜〜〜
AI「『仮面竜』 デ プレイヤー ニ 攻撃 シマス。」
ちよ「ライフ・フォース!」
ちよLP800→LP300
AI「バトルフェイズ ヲ 終了 シマス。ターン ヲ シュウリョウ シマス。」
●ちよ LP300 手札4
モンスター 0:
魔法、罠 1:『ライフ・フォース』
●AI LP2700 手札5
モンスター 4:『ゴンドラゴン 』『バイス・ドラゴン』『創世竜』『仮面竜』
魔法、罠 2:『シモッチによる副作用』『伏せカード』
怒涛の攻撃をちよはシャイネスマジシャンとライフ・フォースによって繋いでいた。しかし召喚権はシャイネスマジシャンに費やし、ライフはライフ・フォースによって削れ、ちよはじわじわと追い詰められていた。
一果「ライフ・フォースはもう使えない……このターンでなんとかしないと…」
ちよ「っドロー……」
ちよ「うちは『マジック・プランター』を発動!永続トラップのライフ・フォースを墓地に送って2枚ドロー。」
おそるおそる2枚のカードをドローするちよ。ゆっくりとそのカードを確認するとその目を大きく見開いた。
ちよ「これなら…まだ頑張れる! 永続魔法『魔術師の再演』を発動! その効果で墓地の黒魔導師クランを守備表示で特殊召喚。」
ちよの場に再び黒衣の少女が現れる。
ちよ「シャイネスマジシャンを召喚。そして魔法カード『魔女子会』発動。このカードはうちの場に同じレベルの魔法使い族モンスターが2体以上いるときに発動できる。手札か墓地からそのモンスターと同じレベルの魔法使い族モンスターを特殊召喚する。」
ちよ「うちの場にはレベル2のクランとシャイネスマジシャンがいる。墓地から同じレベル2の白魔道士ピケルを特殊召喚!」
モンスターのいなかったちよの場に瞬く間に3人の魔法少女がそろう。
ちよ「ピケルとクランを手札に戻し、『光と闇の姫君』を特殊召喚!」
•光と闇の姫君 ☆7 光(闇) 2200/1000
遊飛「ちよの奴やるじゃんか!」
一果「その調子で頑張れ!」
スタッフ「君たち、デュエルは終わってるんだろう? 騒ぐなら退室してもらうよ?」
一果「は、は〜い。すみません。」
遊飛「なんだよせっかく応援してんのに…」
一果「バカ、一応ここは待合室なんだぞ。」
遊飛「へいへい。分かってるよ。」
一果「ったく…でもシモッチがある以上は光と闇の姫君の効果を使えないよ。」
遊飛「ちよもそれは分かってるはずだって。きっとまだ何かやれることがあるぜ。」
ちよ「そして魔法カード『嵐』を発動。自分の魔法、罠カードを全部破壊、そして同じ数だけ相手の魔法、罠を破壊する。」
ちよ「破壊されたうちのカードは1枚。破壊するコンピューターさんのカードは………シモッチによる副作用!」
互いのフィールドに突風が吹き荒れる。その影響で表になっていた2つの魔法、トラップカードが破壊されていく。
ちよ「よし、魔術師の再演の効果を発動。このカードが墓地に行った時、デッキから魔術師の名前を持つ永続魔法を手札にできる。『魔術師の左手』を手札に加えて…」
AI「トラップカード『威嚇する咆哮』ヲ 発動 シマス。相手 ハ バトルフェイズ ヲ 行ウ コトガ デキマセン。」
ちよ(先手を打たれちゃった…やっぱコンピューターって凄いなぁ…)
ちよ「でも光と闇の姫君の効果は使える! 1ターンに1度、フィールドのモンスターの数×400ポイント、うちのライフを回復して相手のライフにダメージ! 『フェイバー・ジャッジメント!』 」
魔女の姫が持つ杖の先より白い光と黒い光が打ち出され、白いほうがちよに、黒いほうがAIに降り注ぐ。
ちよ LP300→LP2700
AILP2700→LP300
ちよ「魔術師の左手を発動してターンエンド。」
ちよ(やった…なんとか形勢逆転だ…次のターンしのげば勝てる。)
AI「ワタシ ノ ターン デス。 ドロー シマス。スタンバイフェイズ ニ 入リマス。バトルフェイズ ニ 入リマス。仮面竜 デ シャイネスマジシャン ニ 攻撃 シマス。」
ちよ「シャイネスマジシャンの効果!攻撃を無効にしてこの子を手札に。」
AI「創世竜 デ 光の闇の姫君 ニ 攻撃 シマス。」
遊飛「攻撃力はどっちも2200…相打ち狙いか?」
一果「いや、光と闇の姫君は破壊を無効にする効果がある。次のターンでちよっちの勝ちだ!」
ちよ「手札のピケル、クランを墓地に送ることで光と闇の姫君の破壊を無効!」
火球と2つの光の玉が交差し互いに命中するも、爆散したのは竜の方のみであった。
AI「メインフェイズ2 ニ 入リマス。仮面竜、ゴンドラゴン、バイス・ドラゴン ヲ 守備表示 ニ シマス。カード ヲ 2枚 セット シテ ターン ヲ 終了 シマス。」
●ちよ LP2700 手札2
モンスター 1:『光と闇の姫君』
魔法、罠 1:『魔術師の左手』
●AI LP300 手札4
モンスター 3:『ゴンドラゴン 』『バイス・ドラゴン』『仮面竜』
魔法、罠 2:『伏せカード』×2
ちよ「うちのターン、ドロー! 」
AI「スタンバイフェイズ ニ 仮面竜 ヲ リリース シテ トラップ カード『バーストブレス』 ヲ 発動 シマス。リリース シタ 仮面竜 ノ 攻撃力以下 ノ 守備力 ノ モンスター ヲ 全テ 破壊 シマス。」
ちよ「えっ!? えっと…仮面竜の攻撃力が1400で、光と闇の姫君は守備力1000で……ま、魔術師の左手で無効!」
一果「あっぶな〜。魔術師の左手が無かったらやられるところだった…」
遊飛「間一髪だぜ…」
ちよ「ふう……よし、光と闇の姫君の効果発動! フェイバー・ジャッジメント!」
ちよ(やった! 勝った!)
AI「トラップ カード『竜の転生』 ヲ 発動 シマス。バイス・ドラゴン ヲ 除外 シテ 手札 カラ 『マテリアル・ドラゴン』 ヲ 特殊召喚 シマス。」
•マテリアル・ドラゴン ☆6 光 2400/2000
ちよ「っ!?」
AI「コノ モンスター ガ 存在 スル 限リ ライフ ニ ダメージ ヲ 与エル 効果 ヲ ライフ ヲ 回復 スル 効果 ニ シマス。」
ちよ LP2700→LP3900
AI LP300→LP1500
ちよ(今度はマテリアル・ドラゴン!? またうちのデッキの苦手なカードが……でも今なら倒せる!)
ちよ「装備魔法『バウンド・ワンド』を『光と闇の姫君』に装備。攻撃力はそのレベル×100アップ!」
•光と闇の姫君 攻2200→攻2900
ちよ「シャイネスマジシャンを守備表示で召喚してバトルフェイズ。光と闇の姫君で、マテリアル・ドラゴンを攻撃! 『ツインハートショット!!』 」
AI LP1500→LP1000
ちよ「うちはこれでターンエンド。」
AI「ワタシ ノ ターン デス。ドロー シマス。スタンバイフェイズ ニ 入リマス。メインフェイズ ニ 入リマス。ゴンドラゴン ノ 効果 ヲ 発動 シマス。ゴンドラゴン ヲ 除外 シテ デッキ カラ ドラゴン族モンスター1体。 マテリアル・ドラゴン ヲ 手札 ニ 加エマス。」
AI「魔法 カード 『死者転生』 ヲ 発動シマス。手札 ヲ 1枚 捨テ 墓地 カラ マテリアル・ドラゴン ヲ 手札 ニ 加エマス。」
ちよ「……え?」
遊飛「ん?マテリアル・ドラゴンはさっき手札に加えただろ。」
一果「だよなぁ。何考えてんだあのコンピューターは…」
景介「きっと何か意図があるはずだよ。最新鋭のAIが意味のないことをするはずもないからね。」
一果「そういうもんかねぇ……って景介!? あんたいつからそこに…」
遊飛「お前デュエルはどうしたんだ?」
景介「………負けたよ…3ターンでね…」
一果「そりゃ残念だったな。ドンマイドンマイ!」
遊飛「そんな落ち込むなって!」
景介「はは……ありがとう。でもそれより今はちよさんのデュエルだよ。」
AI「魔法カード『融合』ヲ 発動 シマス。手札 ノ 『マテリアル・ドラゴン』 ト 『マテリアル・ドラゴン』 ヲ 墓地 ニ 送リマス。 エクストラデッキ カラ 『レアマテリアル・ドラゴン』 ヲ 融合召喚 シマス。」
•レアマテリアル・ドラゴン ☆8 光 3000/2400
さらに輝きと大きさと刺々しさを増したマテリアル・ドラゴンが現れる。
遊飛「融合したぞ融合! すげー!!」
一果「バカ! 感心してる場合じゃないだろ。ちよっちのピンチだぞ。」
ちよ「マテリアル・ドラゴン同士の融合!?」
AI「コノ カード ガ 存在 スル 限リ ライフ ニ ダメージ ヲ 与エル 効果 ヲ ライフ ヲ 回復 スル 効果 ニ シマス。マタ 相手 ハ ライフ ヲ 回復 デキマセン。」
ちよ「ええっ!? 」
AI「バトルフェイズ ニ 入リマス。レアマテリアル・ドラゴン デ 光と闇の姫君 ニ 攻撃 シマス。」
ちよ「シャイネスマジシャンの効果! 攻撃を無効にしてこの子を手札に!」
AI「レアマテリアル・ドラゴン ノ 効果 ヲ 発動 シマス。カード ノ 効果 ガ 発動 シタ 時 手札 ヲ 1枚捨テ ソノ 効果 ヲ 無効 ニ シテ 破壊 シマス。」
竜の口から放たれる衝撃波によりシャイネスマジシャンは散ってしまう。
ちよ「シャイネスマジシャン!?」
AI「攻撃 ヲ 続行 シマス。」
ちよ LP3900→LP3800
ちよ「まだ倒されない! バウンド・ワンドの効果発動! 装備モンスターが破壊された時、装備モンスターを墓地から特殊召喚する!」
ちよ「もう一度お願い!『光と闇の姫君』 」
AI「バトルフェイズ ヲ 終了 シマス。 ターン ヲ 終了 シマス。」
●ちよ LP3800 手札1
モンスター 1:『光と闇の姫君』
魔法、罠 1 :『魔術師の左手』
●AI LP1000 手札0
モンスター 1:『レアマテリアル・ドラゴン』
魔法、罠 0:
ちよ(あのモンスターは手札がある限りこっちの効果をなんでも無効にしちゃう…あっちに手札がないこのターンで立て直さなきゃ…)
ちよ「うちのターン、ドロー。『ミスティック・パイパー』を召喚して効果を発動! ミスティック・パイパーをリリースしてデッキからカードをドロー!」
このモンスターの効果でドローしたカードが一つ星モンスターならもう一枚のドローが許される。ちよのデッキのモンスターカードはレベルの低い魔法使い族がほとんどなのでさらなるドローの可能性は低くはなかったが、引いたカードは残念ながら罠カードだった。
ちよ(でもミスティック・パイパーの効果を使ったのはそのためだけじゃない!)
ちよ「魔法カード『貪欲な壺』を発動。墓地のモンスター5体…ピケル、クラン、ビッグバンガール、シャイネスマジシャン、ミスティック・パイパーをデッキに戻して2枚ドロー。」
ちよ「カードを2枚伏せて…ターンエンド。」
AI「ワタシ ノ ターン デス。ドロー シマス。 スタンバイフェイズ ニ 入リマス。メインフェイズ ニ 入リマス。レアマテリアル・ドラゴン デ 光と闇の姫君 ニ 攻撃 シマス。 」
ちよ「罠カード『ドゥーブル・パッセ』を発動! 光と闇の姫君への攻撃をうちへのダイレクトアタックに変える!」
一果「ええっ!? そんなことしたらライフが一気に3000も減っちゃうじゃん!!」
景介「ドゥーブル・パッセは相手に攻撃対象になったモンスター……光と闇の姫君の攻撃力分のダメージを与える効果がある。」
一果「な、なんだ…それなら勝ちじゃん。」
景介「なに言ってんのさ、レアマテリアル・ドラゴンは効果で発生したダメージを回復に変えるんだよ? コンピューター側のライフが増えるだけだ。」
一果「あ!? そっか……」
景介「自分ライフに大ダメージと相手ライフの回復…そこまでして効果を使えない今の光と闇の姫君を守る必要ないと思うけど……」
遊飛「大丈夫だろ。」
景介「……え?」
遊飛「ちよはそれが一番いいって思ったからあのカードを発動したんだろ? だから大丈夫だ。」
一果「遊飛……」
景介「………そうだね。もともと僕らが心配したってなにが変わるわけじゃない。」
一果「ああ! 今はちよっちを信じよう!」
ちよ(今のコンピューターさんの手札は1枚…効果を使わせて光と闇の姫君を倒されるか…効果を残して光と闇の姫君を守るか…)
AI「………攻撃 ヲ 続行 シマス。マテリアル・ドラゴン デ プレイヤー ニ ダイレクトアタック シマス。」
ちよ「くっ…ううっ!?」
ちよ LP3800→LP800
ちよ「……ドゥーブル・パッセの効果で光と闇の姫君の攻撃力分のダメージ…」
AI「レアマテリアル・ドラゴン ノ 効果 デ ライフ ニ ダメージ ヲ 与エル 効果 ヲ ライフ ヲ 回復 スル 効果 ニ 変更 シマス。」
AI LP1000→LP3200
AI「バトルフェイズ ヲ 終了 シマス。エンドフェイズ ニ 入リマス。ターン ヲ 終了 シマス。」
●ちよ LP800 手札1
モンスター 1:『光と闇の姫君』
魔法、罠 1:『伏せカード』
●AI LP3200 手札1
モンスター 1:『レアマテリアル・ドラゴン』
魔法、罠 0:
景介「ドゥーブル・パッセの効果でこのターン、光と闇の姫君はダイレクトアタックが出来る。でも…」
一果「…ライフは1000残るから次のターンでやられちゃうか。」
景介「魔法カードか何かで攻撃力を上げようにもそれは無効にされるだろうし…ちよさんのライフは800、モンスターの攻撃力の差も800。攻撃表示のままだと次のターンで負けちゃうよ。」
遊飛「つまりこのターンが勝負ってことだな。」
ちよ(光と闇の姫君は守れた。けど効果も残された…このターンであのモンスターの効果をどうにかしないと次がない……あの子さえ…いれば。)
ちよ「うちのターン………ドロー!」
ちよ(お願い…来て!)
ぎゅっと目をつぶってカードをドローするちよ。カードを握った右手を返しそのカードを恐る恐る確認する。
ちよ「うそ……ホントに…来た!」
ちよ「うちはこの子を召喚する! シャイネスマジシャン!!」
遊飛「お! あのモンスターは!」
景介「さっき貪欲な壺で戻したモンスターか…確か攻撃を無効に出来るんだよね?」
一果「ああ、そのあと手札に戻っちゃうけどね。」
景介「なるほど。」
フィールドに再び現れた恥ずかしがり屋の魔法少女。自身を葬った強大な竜を前に怯えを隠せない彼女にちよは語りかける。
ちよ「今……切り札はあなただよ。シャイネスマジシャン。」
ちよ「リバースカードオープン! 永続罠『暴徒鎮圧!!』 」
ちよ「フィールド上で元々の攻撃力が1番高いモンスターの効果は無効になり、攻撃力、守備力は半分になる!」
AI「レアマテリアル・ドラゴン ノ 効果 ヲ 発動 シマス。カード ノ 効果 ガ 発動 シタ時 手札 ヲ 1マイ 捨テテ ソノ 効果 ヲ 無効 ニ シテ 破壊 シマス。」
一果「あぁ! やっぱりかぁ〜!」
景介「一応シャイネスマジシャンの効果を通せるようになったって考えもある。まだ次のターンを凌げるんだ!」
遊飛「いや、今のちよの目は燃えてるぜ! このターンで逆転する!!」
景介「え…そんなまさか…」
ちよ「お願いシャイネスマジシャン! 第2の効果発動!!」
ちよ「相手がモンスターの効果を発動した時、その効果を無効にしてこの子をデッキに戻す!」
先ほど自身を襲った衝撃波に立ち向かうシャイネスマジシャン。身の丈ほどの本でそれを防ぎ、デッキに戻っていく。
ちよ「ありがとう、シャイネスマジシャン。…これで暴徒鎮圧の効果は通る! 効果を無効にして攻撃力を半分にする! 」
•レアマテリアル・ドラゴン 攻3000→攻1500
ちよ「お待たせ!光と闇の姫君! 効果発動、フェイバージャッジメント!! 」
ちよ LP800→LP1600
AI LP3200→LP2400
ちよ「バトル! ドゥーブル・パッセの効果で光と闇の姫君はダイレクトアタック出来る! ツインハートショット!!」
AI LP2400→LP200
景介「す……凄い…」
一果「ほんとに逆転しちゃったよ…」
遊飛「流石だぜ! 俺もデュエルしたくなってきたーっ!!」
景介「さっきしたばかりだろ!」
ちよ「うちはこれでターンエンド。」
ちよ(決め切れなかったけどかなり有利にはなった。あとはレアマテリアル・ドラゴンをどかされて暴徒鎮圧の効果をこっちに向けなければ……)
AI「ワタシ ノ ターン デス。 ドロー シマス。」
ちよ「………」
AI「………」
今までテンポよく音声を発していたデュエルAIがドローフェイズを終えてから沈黙した。色々と判断をしているのだろうが、そのせいで場に緊張感がはしる。それは10秒にも満たなかったが、対面するちよには10分ほどに感じられた。そして沈黙が破られる。
AI「……サレンダー デス。デュエル ヲ 終了 シマス。 アナタ ノ 勝利 デス。」
AI LP200→LP0
ちよ「へっ?」
景介「サ、サレンダー!? 」
一果「……って事は…」
遊飛「やったぜ! ちよの勝ちだ!!」
切り返すことが不可能だと判断したのだろう。サレンダーを選択し、デュエルが終わった事でシステムが落とされる。再び沈黙したAIに、ちよは「ありがとうございました。」とお礼を言って部屋を出る。待合室では遊飛たち3人が待っていた。それに気づいて歩み寄るちよにすかさず一果が抱きつく。
一果「おめでとう! ちよっち。」
ちよ「ちょっ!? い、一果ちゃん…苦しいよ…」
一果「あはは、ゴメンゴメン! でもホント凄いよ!」
景介「うん、まさかAIを降参させるなんてね。」
ちよ「ありがとう…でも多分運が良かっただけだよ…あの最後の状況もドローカード次第ですぐに逆転されちゃうくらいギリギリだったもん…」
遊飛「何言ってんだ!正々堂々やって勝ったんだから喜べばいいじゃねーか!勝ったやつがうだうだ言ってたら相手に失礼だぞ。」
景介「相手って言っても人工知能だけどね。」
遊飛「う…そ、それでも失礼なもんは失礼だろ!」
ちよ「うん……そうだね。うち、やったよ!」
遊飛「おう! 熱いデュエルだったぜ!!」
ーモニタールームー
シミュレーションルームで行われているシステムの全てを把握するこの部屋でデュエルの様子と紙面に向かい合う男が1人。そしてその部屋の扉を開ける音と共にやたらと背の高い男が入ってきた。
クロノス「お疲れさまーニャ。テストデュエルの方はどうナノーネ? 久城ティーチャー。」
久城「お疲れ様です、校長。テストデュエル開始から一時間ほどではありますが現在の通過者は2人、しかも両方レッドの1年生です。」
クロノス「んんん!? それは凄いーノ!! 今年の1年生ーはレッドまで粒ぞろいナノーネ。アカデミアカップが楽しみナノーネ。」
久城「はい、本当に。このテストデュエルの期間は1週間。その期間中に与えられたチャンスは3回もありますが……果たして何人が通過できるのやら……」
続く
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次回予告
一果「エントリーデュエルの期間も残りわずか。アタシに残されたチャンスは2回……だってのになんか変な奴に絡まれちまった。この忙しいのに迷惑な話だ! さっさと片付けてエントリーデュエルに挑戦してやる!」
一果「次回!『犬猿、相見える!!』デュエルスタンバイ!!」
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1話書くのに5ヶ月って………
今回のライフ・フォースはGXだったかの未OCGカードです。本来の効果は「ライフを400払い受けた戦闘ダメージを0にする。」ですがこれは強すぎると思いダイレクトにアタック限定かつコストは500ライフにしました。
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全開のあらすじ
年に一度の学園内のデュエル大会であるアカデミアカップのエントリーデュエルが始まった。その難易度は高く、挑戦者は次々とデュエルAIに敗北する中、伴 遊飛 は苦戦しつつもそれを打ち破る。そして次はちよの出番となった…
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ガチャリ
簡素なドアを開けるとそこにはひと昔前のデュエルフィールドがあった。以前はゲームセンターなどに設置されていたり、かの有名な決闘王国でも使われていたがデュエルディスクが普及してからというもの、すっかり廃れてしまった代物である。
10代の若者には馴染みがないため、ちよは物珍しそうにそれを眺める。先ほどの遊飛のデュエルで映像越しに見たものの、間近で見るとまた違った迫力がある。
ちよ「うわあ……凄い…」
ちよ「え、えっと…まずは学籍番号…」
眺めているばかりでは進まない。ちよはクロノスの説明を思い出しながらフィールドの前に立ち、パネルを操作する。学籍番号を入力、続いてタッグデュエル、詰デュエルなどの種類の選択画面より『Special』を選ぶ。
AI「……『Special』認証 シマシタ。デッキ ヲ セット シテ クダサイ。」
ちよ「は、はいっ!」
急に機械音声が部屋に響き渡り、驚きながらも音声に従いデッキをセットする。セットしてしばらくの間ピーッという音だけが流れたが、ほどなくしてそれも止まる。
AI「登録完了 デス。エントリーデュエル ヲ 開始 シマス。」
ちよ「よ、よろしくお願いします。」
音声に対してペコリと頭を下げた瞬間、乗っていた足場がゆっくりと上昇し、そこそこの高さでガタッと止まる。
ちよ「こんな感じなんだ…」
ー待合室ー
遊飛「お、そろそろ始まるみたいだぞ。」
景介「さてさて…どんなデッキが来るんだろうね。」
遊飛「何言ってんだ? サイバー・ドラゴンだろ?」
景介「違うと思うよ。ほら、別の部屋のモニター見てみなよ。」
遊飛「ん? 」
遊飛がずらっと並んだ扉の上に設置されたモニターに目をやると生徒達のデュエルの様子が映し出されていた。AI側のフィールドにサイバー・ドラゴンの姿はなく、それぞれ違ったモンスターや魔法カードが展開されている。
遊飛「あれ? サイバー・ドラゴンだけじゃねーんだ…」
景介「僕らより早くここに入ったくせに気づかなかったんだ……」
遊飛「しょうがねえだろ。自分のデッキ組みなおしてたんだからよ…」
景介「はは、遊飛くんらしいね。しかしAIの使うデッキはいくつかのサンプルデッキから選ばれているのか…別の基準があるのか…」
遊飛「んなの気にしたって意味ねーだろ。俺らはちよの応援してればいいんだよ!」
親指と人差し指を顎に当てて考え込む景介の背中をパシーンと軽く叩きモニターの方に向き直る。
景介「一応僕もエントリーデュエル残ってるんだけど……」
遊飛「ほら、始まるぞ!」
景介「聞いてないし…」
そんなやりとりをしている間にちよの立つデュエルフィールドでは先攻が決まっていた。その先攻となったちよが5枚の手札を握り今まさにデュエルが始まるところであった。
ちよ LP4000 VS デュエルAI LP4000
ちよ「うちの先攻! 手札から『ビッグバンガール』を守備表示で召喚!」
・ビッグバンガール ☆4 炎属性 1300/1500
赤いローブを纏った銀髪の女性のモンスターが出現。その場に跪き、防御姿勢をとる。
ちよ「そして魔法カード『ご隠居の猛毒薬』を発動。このカードは相手に800のダメージを与えるか自分のライフを1200回復するかを選ぶカード。うちはライフを回復する!」
ちよ LP4000→LP5200
ちよ「この瞬間、ビッグバンガールの効果発動! 自分のライフが回復した時、相手に500のダメージを与える!」
デュエルAI LP4000→LP3500
ちよ「カードを1枚伏せてターンエンド。」
遊飛「おお!ちよの奴、1ターン目からやるじゃん!」
景介「回復とダメージでライフ差を広げる。いいスタートだ。」
AI「ワタシ ノ ターン デス ドロー シマス。スタンバイフェイズ ニ 入リマス。メインフェイズ ニ 入リマス。『アサルトワイバーン』ヲ 召喚 シマス。」
•アサルトワイバーン ☆4 光属性 1800/1000
青く刺々しい体の飛竜が威嚇するかのように翼を広げ咆哮する。
AI「バトルフェイズ ニ 入リマス。アサルトワイバーン デ ビッグバンガール ニ 攻撃 シマス。」
ちよ「ふ、伏せカード発動! 『フローラルシールド』!!」
その鋭利な翼でビッグバンガールを切り裂かんと突進してくる飛龍の眼前に、無数の花弁が舞う。突進はそれに阻まれてしまい、旋回しながら元の位置へ戻る。
ちよ「これで攻撃は無効。そして1枚ドローする。」
AI「バトルフェイズ ヲ 終了 シマス。メインフェイズ2 ニ 入リマス。カード ヲ 2枚 セット シマス。 ターン ヲ 終了 シマス。」
●ちよ LP5200 手札3
モンスター1 『ビッグバンガール』
魔法、罠0
●デュエルAI LP3500 手札3
モンスター1 『アサルトワイバーン』
魔法、罠1 伏せカード×1
ちよ「うちのターン、ドロー。『白魔道士ピケル』を召喚。」
•白魔道士ピケル ☆2 光属性 1200/0
ちよ「そして永続魔法『平和の使者』発動。これで攻撃力1500以上のモンスターは攻撃できない。ターンエンド。」
ちよ(うん…いい感じ。このまま頑張ろう。)
AI「ワタシ ノ ターン ドロー シマス。スタンバイフェイズ ニ 入リマス。メインフェイズ ニ 入リマス。『ゴーレム・ドラゴン』ヲ 守備表示 デ 召喚 シマス。」
•ゴーレム・ドラゴン ☆4 地属性 200/2000
岩の体を持つドラゴンが盾のような形状の腕を構えて出現する。
AI「コノ カード ガ 存在スル 限り ワタシ ノ フィールド ノ コノ カード 以外 ノ ドラゴン族 モンスター ハ 攻撃対象 ニ デキマセン。」
AI「エンドフェイズ ニ 入リマス。ターン ヲ 終了 シマス。」
遊飛「よし、いい感じに進めてるな!」
景介「ちよさんは魔法使い族、AIはドラゴン族か。さながら魔法少女のドラゴン退治ってとこだね。」
●ちよ LP5200 手札2
モンスター2 『白魔道士ピケル』『ビッグバンガール』
魔法、罠1 『平和の使者』
●デュエルAI LP3500 手札3
モンスター2 『アサルトワイバーン』『ゴーレム・ドラゴン』
魔法、罠1 伏せカード×2
ちよ(あっちも防御を固めてきた…けどうちのデッキには関係ない。よし、このまま!)
ちよ「ドロー。スタンバイフェイズにピケルの効果発動! 」
デュエルAI「トラップカード『シモッチによる副作用』ヲ 発動 シマス。」
ちよ「えっ!?」
デュエルAI「ライフ ヲ 回復 スル 効果 ヲ ダメージ ヲ 与エル 効果 ニ シマス。」
ピケルの杖から放たれた癒しの光を浴びた途端、ちよの体に電撃が疾る。ピケルは振り向いて自分の主人の姿を心配そうな表情で見つめる。
ちよ「うっ…!」
ちよ LP5200→LP4400
遊飛「うまく合わせられちまった……さすがコンピューターってとこか。」
景介「……そういう問題じゃないと思うよ。」
同じ画面を見ながら同じように苦い顔をする2人。しかしその表情の理由は違っていたようだ。
遊飛「ん?どういう意味だよ。」
景介「あのデッキにシモッチによる副作用なんてかなり変だってことだよ。」
遊飛「まあ…確かに都合よく入ってるなって感じはするけどよ。」
景介「ドラゴン族はメジャーでサポートカードが多い種族だ。なのにシモッチによる副作用なんて使い所が限られたカード、普通は入れない。」
景介「でも相手はコンピューター。しかもデュエル前にデッキを登録してるってことは…」
遊飛「ちよのデッキがどんなデッキなのか分かってて入れてるってのか?」
景介「だろうね。考えてみれば遊飛くんの時もそうだ。キメラテックフォートレスドラゴンは機械族の天敵だしね。」
遊飛「じゃあこれは自分のデッキを対策したデッキとのデュエルってことか…」
景介「うん。それでほぼ確定だと思う。」
スタッフ「次、37番! 開いた部屋に入るように!!」
熱い議論を遮ったのはスタッフが次の挑戦者を呼ぶ声だった。その声に反応して立ち上がったのは景介である。
景介「遊飛くんは勝った。一果さんとちよさんも今戦ってる。僕もそれに続くとするよ。」
遊飛「おう!頑張れよ!」
景介「ありがとう。行ってくるよ。」
男同士、拳と拳を合わせて見送り見送られる2人。遊飛はこれでよし!と言わんばかりの満足そうな笑顔だが、景介は少し照れ臭そうな含み笑いを見せて開いた部屋へと向かう。
ーちよサイドー
ちよ LP4400 VS AI LP3500
ちよ(シモッチによる副作用…!? うちのデッキが苦手なカード!)
ちよ「……平和の使者のコスト。うちはライフポイント100を払う。」
・ちよ LP4400→LP4300
ちよ「…カードを2枚伏せてターンエンド。」
手札やフィールドを何度も交互に見比べるちよ。しかしこのターンはカードを伏せるにとどめ、エンドを宣言する。
AI「ワタシ ノ ターン デス。ドロー シマス。」
AI「魔法 カード 『スタンピング・クラッシュ』 発動 シマス。ドラゴン族 モンスター ガ フィールド ニ 存在 スル 場合 魔法、トラップ カード 1 枚 ヲ 破壊 シテ 500 ダメージ ヲ 与エマス。」
AI「平和の使者 ヲ 選択 シテ 破壊 シマス。」
巨大な足が平和の使者を踏み潰し、その衝撃がちよを襲う。
ちよ「うっ!?」
ちよ LP4300→LP3800
AI「アサルト・ワイバーン ヲ 召喚 シマス。」
2体目の青き飛竜がゴーレム・ドラゴンを挟むように現れる。
AI「バトルフェイズ ニ 入リマス。アサルトワイバーン デ ビッグバンガール ヲ 攻撃 シマス。」
ちよ「速攻魔法『ディメンションマジック』を発動! 場に魔法使い族モンスター……うちは白魔道士ピケルを生贄に…」
ちよ「そして手札から魔法使い族モンスター1体を特殊召喚する。お願い、『マジシャンズ・ヴァルキリア!』守備表示!」
•マジシャンズ・ヴァルキリア ☆4 光 1600/1800
ちよ「さらに効果で場のモンスター1体を破壊出来る! アサルト・ワイバーンを破壊!」
ちよ(マジシャンズ・ヴァルキリア……この子が攻撃を引き受けてくれるし守備力も高い。なんとか立て直さないと…)
AI「バトルフェイズ ヲ 終了 シマス。 メインフェイズ ニ 入リマス。カード ヲ 1枚 セット シマス。ターン ヲ 終了 シマス。」
●ちよ LP3800 手札1
モンスター 2:『ビッグバンガール』『マジシャンズ・ヴァルキリア』
魔法、罠 1 :『伏せカード』
●AI LP3500 手札4
モンスター 2:『アサルト・ワイバーン』『ゴーレム・ドラゴン』
魔法、罠 2:『シモッチによる副作用』 『伏せカード』
ちよ「うちのターン、ドロー。………『黒魔導師クラン』を守備表示。」
•黒魔導師クラン ☆2 闇 1200/0
ちよ「うちはこれでターンエンド。」
AI「ワタシ ノ ターン デス。ドロー シマス。 スタンバイフェイズ ニ 入リマス。」
ちよ「クランの効果発動、相手モンスターの数×400ダメージ!」
AI LP3500→LP2700
AI「メインフェイズ ニ 入リマス。ゴーレム・ドラゴン ヲ リリース シテ 『創世龍』 ヲ 召喚 シマス。」
•創世龍 ☆6 光 2200/1800
AI「バトルフェイズ ニ 入リマス。創世龍 デ マジシャンズ・ヴァルキリア ニ 攻撃 シマス。」
魔法使いの少女が放たれる火炎弾に飲み込まれる。
ちよ「くっ!」
AI「アサルト・ワイバーン デ 黒魔導師クラン ヲ 攻撃 シマス。」
ちよ「クランっ!」
AI「アサルト・ワイバーン ノ 効果 ヲ 発動 シマス。戦闘 デ モンスター ヲ 破壊 シタ 時 コノ カード ヲ 墓地 ニ 送り 手札 カラ ドラゴン族 モンスター 1体 ヲ 特殊召喚 シマス。」
AI「『バイス・ドラゴン』ヲ 特殊召喚 シマス。」
•バイス・ドラゴン ☆5 闇 2000/2400
AI「バイス・ドラゴン デ ビッグバン・ガール ヲ 攻撃 シマス。」
3体いたちよのモンスターたちが1ターンで全滅し、ちよのフィールドは伏せカードが1枚残るのみとなった。
AI「バトルフェイズ ヲ 終了 シマス。 ターン ヲ 終了 シマス。」
●ちよ LP3800 手札1
モンスター 0:
魔法、罠 1:『伏せカード』
●AILP2700 手札3
モンスター 2:『創世龍』『バイス・ドラゴン』
魔法、罠 2:『シモッチによる副作用』『伏せカード』
一果「遊飛!」
遊飛「おう一果! そっちはデュエル終わったのか。どうだった?」
一果「ああ、残念だけど負けちゃったよ。それよりちよっちはまだみたいだけど…」
遊飛「ああ。ほら、あれだよ。」
遊飛はちよがいる部屋のドアの上を指差す。
一果「なんだ、ライフはちよっちの方が上……ってモンスターいないじゃん! どうにかしないと」
遊飛「大丈夫だって。手札もライフもまだあるんだから。何が起こるか分かんねーぞ?」
一果「……はぁ…そういう奴だったよアンタは。」
ちよ「ドロー。」
ちよ(この子……今はこの子に託すしか…)
ちよ「うちは…『シャイネスマジシャン』を守備表示で召喚!」
•シャイネスマジシャン ☆2 300/1200
大きな本を持ち、深く帽子をかぶった魔法使いの少女が現れるが、凶悪な外見のドラゴン2体を前に本の裏に隠れてしまう。
ちよ「ターン終了。」
AI「ワタシ ノ ターン デス。ドロー シマス。 スタンバイフェイズ ニ 入リマス。メインフェイズ ニ 入リマス。『ゴンドラゴン 』ヲ 召喚 シマス。」
•ゴンドラゴン ☆4 水 1600/900
小舟の先端に竜の顔、後方は竜の尾となった不思議なモンスター。
AI「バトルフェイズ ニ 入リマス。ゴンドラゴン デ シャイネスマジシャン ニ 攻撃 シマス。」
ちよ「シャイネスマジシャンの効果を発動! 攻撃を無効にしてこの子を手札に戻す!」
シャイネスマジシャンは向かってくるモンスターに怯え、反射的に手にした大きな本を突き出してその突撃を止めるや否や手札に逃げてしまう。
AI「バイス・ドラゴン デ プレイヤー ニ 攻撃 シマス。」
ちよ「え、永続トラップ『ライフ・フォース』発動! 直接攻撃の時、ライフを500払うことでダメージを0にする。」
ちよ LP3800→LP3300
AI「創世龍 デ プレイヤー ニ 攻撃 シマス。」
ちよ「ライフ・フォース!」
ちよ LP3300→LP2800
AI「バトルフェイズ ヲ 終了 シマス。ターン ヲ 終了 シマス。」
●ちよ LP2800 手札2
モンスター 0:
魔法、罠 1:『ライフ・フォース』
●AI LP2700 手札3
モンスター 3:『創世龍』『バイス・ドラゴン』『ゴンドラゴン 』
魔法、罠 2:『シモッチによる副作用』『伏せカード』
ちよ「ドロー。シャイネスマジシャンを守備表示。ターンエンド。」
AI「ワタシ ノ ターン デス。ドロー シマス。 スタンバイフェイズ ニ 入リマス。バトルフェイズ ニ 入リマス。」
AI「ゴンドラゴン デ シャイネスマジシャンヲ 攻撃 シマス。」
ちよ「シャイネスマジシャン!」
AI「バイス・ドラゴン デ プレイヤー ニ 攻撃 シマス。」
ちよ「ライフ・フォース!」
ちよ(苦しいけど、今はこれで耐えるしかできないっ!)
〜〜〜 〜〜〜 数ターン後 〜〜〜 〜〜〜
AI「『仮面竜』 デ プレイヤー ニ 攻撃 シマス。」
ちよ「ライフ・フォース!」
ちよLP800→LP300
AI「バトルフェイズ ヲ 終了 シマス。ターン ヲ シュウリョウ シマス。」
●ちよ LP300 手札4
モンスター 0:
魔法、罠 1:『ライフ・フォース』
●AI LP2700 手札5
モンスター 4:『ゴンドラゴン 』『バイス・ドラゴン』『創世竜』『仮面竜』
魔法、罠 2:『シモッチによる副作用』『伏せカード』
怒涛の攻撃をちよはシャイネスマジシャンとライフ・フォースによって繋いでいた。しかし召喚権はシャイネスマジシャンに費やし、ライフはライフ・フォースによって削れ、ちよはじわじわと追い詰められていた。
一果「ライフ・フォースはもう使えない……このターンでなんとかしないと…」
ちよ「っドロー……」
ちよ「うちは『マジック・プランター』を発動!永続トラップのライフ・フォースを墓地に送って2枚ドロー。」
おそるおそる2枚のカードをドローするちよ。ゆっくりとそのカードを確認するとその目を大きく見開いた。
ちよ「これなら…まだ頑張れる! 永続魔法『魔術師の再演』を発動! その効果で墓地の黒魔導師クランを守備表示で特殊召喚。」
ちよの場に再び黒衣の少女が現れる。
ちよ「シャイネスマジシャンを召喚。そして魔法カード『魔女子会』発動。このカードはうちの場に同じレベルの魔法使い族モンスターが2体以上いるときに発動できる。手札か墓地からそのモンスターと同じレベルの魔法使い族モンスターを特殊召喚する。」
ちよ「うちの場にはレベル2のクランとシャイネスマジシャンがいる。墓地から同じレベル2の白魔道士ピケルを特殊召喚!」
モンスターのいなかったちよの場に瞬く間に3人の魔法少女がそろう。
ちよ「ピケルとクランを手札に戻し、『光と闇の姫君』を特殊召喚!」
•光と闇の姫君 ☆7 光(闇) 2200/1000
遊飛「ちよの奴やるじゃんか!」
一果「その調子で頑張れ!」
スタッフ「君たち、デュエルは終わってるんだろう? 騒ぐなら退室してもらうよ?」
一果「は、は〜い。すみません。」
遊飛「なんだよせっかく応援してんのに…」
一果「バカ、一応ここは待合室なんだぞ。」
遊飛「へいへい。分かってるよ。」
一果「ったく…でもシモッチがある以上は光と闇の姫君の効果を使えないよ。」
遊飛「ちよもそれは分かってるはずだって。きっとまだ何かやれることがあるぜ。」
ちよ「そして魔法カード『嵐』を発動。自分の魔法、罠カードを全部破壊、そして同じ数だけ相手の魔法、罠を破壊する。」
ちよ「破壊されたうちのカードは1枚。破壊するコンピューターさんのカードは………シモッチによる副作用!」
互いのフィールドに突風が吹き荒れる。その影響で表になっていた2つの魔法、トラップカードが破壊されていく。
ちよ「よし、魔術師の再演の効果を発動。このカードが墓地に行った時、デッキから魔術師の名前を持つ永続魔法を手札にできる。『魔術師の左手』を手札に加えて…」
AI「トラップカード『威嚇する咆哮』ヲ 発動 シマス。相手 ハ バトルフェイズ ヲ 行ウ コトガ デキマセン。」
ちよ(先手を打たれちゃった…やっぱコンピューターって凄いなぁ…)
ちよ「でも光と闇の姫君の効果は使える! 1ターンに1度、フィールドのモンスターの数×400ポイント、うちのライフを回復して相手のライフにダメージ! 『フェイバー・ジャッジメント!』 」
魔女の姫が持つ杖の先より白い光と黒い光が打ち出され、白いほうがちよに、黒いほうがAIに降り注ぐ。
ちよ LP300→LP2700
AILP2700→LP300
ちよ「魔術師の左手を発動してターンエンド。」
ちよ(やった…なんとか形勢逆転だ…次のターンしのげば勝てる。)
AI「ワタシ ノ ターン デス。 ドロー シマス。スタンバイフェイズ ニ 入リマス。バトルフェイズ ニ 入リマス。仮面竜 デ シャイネスマジシャン ニ 攻撃 シマス。」
ちよ「シャイネスマジシャンの効果!攻撃を無効にしてこの子を手札に。」
AI「創世竜 デ 光の闇の姫君 ニ 攻撃 シマス。」
遊飛「攻撃力はどっちも2200…相打ち狙いか?」
一果「いや、光と闇の姫君は破壊を無効にする効果がある。次のターンでちよっちの勝ちだ!」
ちよ「手札のピケル、クランを墓地に送ることで光と闇の姫君の破壊を無効!」
火球と2つの光の玉が交差し互いに命中するも、爆散したのは竜の方のみであった。
AI「メインフェイズ2 ニ 入リマス。仮面竜、ゴンドラゴン、バイス・ドラゴン ヲ 守備表示 ニ シマス。カード ヲ 2枚 セット シテ ターン ヲ 終了 シマス。」
●ちよ LP2700 手札2
モンスター 1:『光と闇の姫君』
魔法、罠 1:『魔術師の左手』
●AI LP300 手札4
モンスター 3:『ゴンドラゴン 』『バイス・ドラゴン』『仮面竜』
魔法、罠 2:『伏せカード』×2
ちよ「うちのターン、ドロー! 」
AI「スタンバイフェイズ ニ 仮面竜 ヲ リリース シテ トラップ カード『バーストブレス』 ヲ 発動 シマス。リリース シタ 仮面竜 ノ 攻撃力以下 ノ 守備力 ノ モンスター ヲ 全テ 破壊 シマス。」
ちよ「えっ!? えっと…仮面竜の攻撃力が1400で、光と闇の姫君は守備力1000で……ま、魔術師の左手で無効!」
一果「あっぶな〜。魔術師の左手が無かったらやられるところだった…」
遊飛「間一髪だぜ…」
ちよ「ふう……よし、光と闇の姫君の効果発動! フェイバー・ジャッジメント!」
ちよ(やった! 勝った!)
AI「トラップ カード『竜の転生』 ヲ 発動 シマス。バイス・ドラゴン ヲ 除外 シテ 手札 カラ 『マテリアル・ドラゴン』 ヲ 特殊召喚 シマス。」
•マテリアル・ドラゴン ☆6 光 2400/2000
ちよ「っ!?」
AI「コノ モンスター ガ 存在 スル 限リ ライフ ニ ダメージ ヲ 与エル 効果 ヲ ライフ ヲ 回復 スル 効果 ニ シマス。」
ちよ LP2700→LP3900
AI LP300→LP1500
ちよ(今度はマテリアル・ドラゴン!? またうちのデッキの苦手なカードが……でも今なら倒せる!)
ちよ「装備魔法『バウンド・ワンド』を『光と闇の姫君』に装備。攻撃力はそのレベル×100アップ!」
•光と闇の姫君 攻2200→攻2900
ちよ「シャイネスマジシャンを守備表示で召喚してバトルフェイズ。光と闇の姫君で、マテリアル・ドラゴンを攻撃! 『ツインハートショット!!』 」
AI LP1500→LP1000
ちよ「うちはこれでターンエンド。」
AI「ワタシ ノ ターン デス。ドロー シマス。スタンバイフェイズ ニ 入リマス。メインフェイズ ニ 入リマス。ゴンドラゴン ノ 効果 ヲ 発動 シマス。ゴンドラゴン ヲ 除外 シテ デッキ カラ ドラゴン族モンスター1体。 マテリアル・ドラゴン ヲ 手札 ニ 加エマス。」
AI「魔法 カード 『死者転生』 ヲ 発動シマス。手札 ヲ 1枚 捨テ 墓地 カラ マテリアル・ドラゴン ヲ 手札 ニ 加エマス。」
ちよ「……え?」
遊飛「ん?マテリアル・ドラゴンはさっき手札に加えただろ。」
一果「だよなぁ。何考えてんだあのコンピューターは…」
景介「きっと何か意図があるはずだよ。最新鋭のAIが意味のないことをするはずもないからね。」
一果「そういうもんかねぇ……って景介!? あんたいつからそこに…」
遊飛「お前デュエルはどうしたんだ?」
景介「………負けたよ…3ターンでね…」
一果「そりゃ残念だったな。ドンマイドンマイ!」
遊飛「そんな落ち込むなって!」
景介「はは……ありがとう。でもそれより今はちよさんのデュエルだよ。」
AI「魔法カード『融合』ヲ 発動 シマス。手札 ノ 『マテリアル・ドラゴン』 ト 『マテリアル・ドラゴン』 ヲ 墓地 ニ 送リマス。 エクストラデッキ カラ 『レアマテリアル・ドラゴン』 ヲ 融合召喚 シマス。」
•レアマテリアル・ドラゴン ☆8 光 3000/2400
さらに輝きと大きさと刺々しさを増したマテリアル・ドラゴンが現れる。
遊飛「融合したぞ融合! すげー!!」
一果「バカ! 感心してる場合じゃないだろ。ちよっちのピンチだぞ。」
ちよ「マテリアル・ドラゴン同士の融合!?」
AI「コノ カード ガ 存在 スル 限リ ライフ ニ ダメージ ヲ 与エル 効果 ヲ ライフ ヲ 回復 スル 効果 ニ シマス。マタ 相手 ハ ライフ ヲ 回復 デキマセン。」
ちよ「ええっ!? 」
AI「バトルフェイズ ニ 入リマス。レアマテリアル・ドラゴン デ 光と闇の姫君 ニ 攻撃 シマス。」
ちよ「シャイネスマジシャンの効果! 攻撃を無効にしてこの子を手札に!」
AI「レアマテリアル・ドラゴン ノ 効果 ヲ 発動 シマス。カード ノ 効果 ガ 発動 シタ 時 手札 ヲ 1枚捨テ ソノ 効果 ヲ 無効 ニ シテ 破壊 シマス。」
竜の口から放たれる衝撃波によりシャイネスマジシャンは散ってしまう。
ちよ「シャイネスマジシャン!?」
AI「攻撃 ヲ 続行 シマス。」
ちよ LP3900→LP3800
ちよ「まだ倒されない! バウンド・ワンドの効果発動! 装備モンスターが破壊された時、装備モンスターを墓地から特殊召喚する!」
ちよ「もう一度お願い!『光と闇の姫君』 」
AI「バトルフェイズ ヲ 終了 シマス。 ターン ヲ 終了 シマス。」
●ちよ LP3800 手札1
モンスター 1:『光と闇の姫君』
魔法、罠 1 :『魔術師の左手』
●AI LP1000 手札0
モンスター 1:『レアマテリアル・ドラゴン』
魔法、罠 0:
ちよ(あのモンスターは手札がある限りこっちの効果をなんでも無効にしちゃう…あっちに手札がないこのターンで立て直さなきゃ…)
ちよ「うちのターン、ドロー。『ミスティック・パイパー』を召喚して効果を発動! ミスティック・パイパーをリリースしてデッキからカードをドロー!」
このモンスターの効果でドローしたカードが一つ星モンスターならもう一枚のドローが許される。ちよのデッキのモンスターカードはレベルの低い魔法使い族がほとんどなのでさらなるドローの可能性は低くはなかったが、引いたカードは残念ながら罠カードだった。
ちよ(でもミスティック・パイパーの効果を使ったのはそのためだけじゃない!)
ちよ「魔法カード『貪欲な壺』を発動。墓地のモンスター5体…ピケル、クラン、ビッグバンガール、シャイネスマジシャン、ミスティック・パイパーをデッキに戻して2枚ドロー。」
ちよ「カードを2枚伏せて…ターンエンド。」
AI「ワタシ ノ ターン デス。ドロー シマス。 スタンバイフェイズ ニ 入リマス。メインフェイズ ニ 入リマス。レアマテリアル・ドラゴン デ 光と闇の姫君 ニ 攻撃 シマス。 」
ちよ「罠カード『ドゥーブル・パッセ』を発動! 光と闇の姫君への攻撃をうちへのダイレクトアタックに変える!」
一果「ええっ!? そんなことしたらライフが一気に3000も減っちゃうじゃん!!」
景介「ドゥーブル・パッセは相手に攻撃対象になったモンスター……光と闇の姫君の攻撃力分のダメージを与える効果がある。」
一果「な、なんだ…それなら勝ちじゃん。」
景介「なに言ってんのさ、レアマテリアル・ドラゴンは効果で発生したダメージを回復に変えるんだよ? コンピューター側のライフが増えるだけだ。」
一果「あ!? そっか……」
景介「自分ライフに大ダメージと相手ライフの回復…そこまでして効果を使えない今の光と闇の姫君を守る必要ないと思うけど……」
遊飛「大丈夫だろ。」
景介「……え?」
遊飛「ちよはそれが一番いいって思ったからあのカードを発動したんだろ? だから大丈夫だ。」
一果「遊飛……」
景介「………そうだね。もともと僕らが心配したってなにが変わるわけじゃない。」
一果「ああ! 今はちよっちを信じよう!」
ちよ(今のコンピューターさんの手札は1枚…効果を使わせて光と闇の姫君を倒されるか…効果を残して光と闇の姫君を守るか…)
AI「………攻撃 ヲ 続行 シマス。マテリアル・ドラゴン デ プレイヤー ニ ダイレクトアタック シマス。」
ちよ「くっ…ううっ!?」
ちよ LP3800→LP800
ちよ「……ドゥーブル・パッセの効果で光と闇の姫君の攻撃力分のダメージ…」
AI「レアマテリアル・ドラゴン ノ 効果 デ ライフ ニ ダメージ ヲ 与エル 効果 ヲ ライフ ヲ 回復 スル 効果 ニ 変更 シマス。」
AI LP1000→LP3200
AI「バトルフェイズ ヲ 終了 シマス。エンドフェイズ ニ 入リマス。ターン ヲ 終了 シマス。」
●ちよ LP800 手札1
モンスター 1:『光と闇の姫君』
魔法、罠 1:『伏せカード』
●AI LP3200 手札1
モンスター 1:『レアマテリアル・ドラゴン』
魔法、罠 0:
景介「ドゥーブル・パッセの効果でこのターン、光と闇の姫君はダイレクトアタックが出来る。でも…」
一果「…ライフは1000残るから次のターンでやられちゃうか。」
景介「魔法カードか何かで攻撃力を上げようにもそれは無効にされるだろうし…ちよさんのライフは800、モンスターの攻撃力の差も800。攻撃表示のままだと次のターンで負けちゃうよ。」
遊飛「つまりこのターンが勝負ってことだな。」
ちよ(光と闇の姫君は守れた。けど効果も残された…このターンであのモンスターの効果をどうにかしないと次がない……あの子さえ…いれば。)
ちよ「うちのターン………ドロー!」
ちよ(お願い…来て!)
ぎゅっと目をつぶってカードをドローするちよ。カードを握った右手を返しそのカードを恐る恐る確認する。
ちよ「うそ……ホントに…来た!」
ちよ「うちはこの子を召喚する! シャイネスマジシャン!!」
遊飛「お! あのモンスターは!」
景介「さっき貪欲な壺で戻したモンスターか…確か攻撃を無効に出来るんだよね?」
一果「ああ、そのあと手札に戻っちゃうけどね。」
景介「なるほど。」
フィールドに再び現れた恥ずかしがり屋の魔法少女。自身を葬った強大な竜を前に怯えを隠せない彼女にちよは語りかける。
ちよ「今……切り札はあなただよ。シャイネスマジシャン。」
ちよ「リバースカードオープン! 永続罠『暴徒鎮圧!!』 」
ちよ「フィールド上で元々の攻撃力が1番高いモンスターの効果は無効になり、攻撃力、守備力は半分になる!」
AI「レアマテリアル・ドラゴン ノ 効果 ヲ 発動 シマス。カード ノ 効果 ガ 発動 シタ時 手札 ヲ 1マイ 捨テテ ソノ 効果 ヲ 無効 ニ シテ 破壊 シマス。」
一果「あぁ! やっぱりかぁ〜!」
景介「一応シャイネスマジシャンの効果を通せるようになったって考えもある。まだ次のターンを凌げるんだ!」
遊飛「いや、今のちよの目は燃えてるぜ! このターンで逆転する!!」
景介「え…そんなまさか…」
ちよ「お願いシャイネスマジシャン! 第2の効果発動!!」
ちよ「相手がモンスターの効果を発動した時、その効果を無効にしてこの子をデッキに戻す!」
先ほど自身を襲った衝撃波に立ち向かうシャイネスマジシャン。身の丈ほどの本でそれを防ぎ、デッキに戻っていく。
ちよ「ありがとう、シャイネスマジシャン。…これで暴徒鎮圧の効果は通る! 効果を無効にして攻撃力を半分にする! 」
•レアマテリアル・ドラゴン 攻3000→攻1500
ちよ「お待たせ!光と闇の姫君! 効果発動、フェイバージャッジメント!! 」
ちよ LP800→LP1600
AI LP3200→LP2400
ちよ「バトル! ドゥーブル・パッセの効果で光と闇の姫君はダイレクトアタック出来る! ツインハートショット!!」
AI LP2400→LP200
景介「す……凄い…」
一果「ほんとに逆転しちゃったよ…」
遊飛「流石だぜ! 俺もデュエルしたくなってきたーっ!!」
景介「さっきしたばかりだろ!」
ちよ「うちはこれでターンエンド。」
ちよ(決め切れなかったけどかなり有利にはなった。あとはレアマテリアル・ドラゴンをどかされて暴徒鎮圧の効果をこっちに向けなければ……)
AI「ワタシ ノ ターン デス。 ドロー シマス。」
ちよ「………」
AI「………」
今までテンポよく音声を発していたデュエルAIがドローフェイズを終えてから沈黙した。色々と判断をしているのだろうが、そのせいで場に緊張感がはしる。それは10秒にも満たなかったが、対面するちよには10分ほどに感じられた。そして沈黙が破られる。
AI「……サレンダー デス。デュエル ヲ 終了 シマス。 アナタ ノ 勝利 デス。」
AI LP200→LP0
ちよ「へっ?」
景介「サ、サレンダー!? 」
一果「……って事は…」
遊飛「やったぜ! ちよの勝ちだ!!」
切り返すことが不可能だと判断したのだろう。サレンダーを選択し、デュエルが終わった事でシステムが落とされる。再び沈黙したAIに、ちよは「ありがとうございました。」とお礼を言って部屋を出る。待合室では遊飛たち3人が待っていた。それに気づいて歩み寄るちよにすかさず一果が抱きつく。
一果「おめでとう! ちよっち。」
ちよ「ちょっ!? い、一果ちゃん…苦しいよ…」
一果「あはは、ゴメンゴメン! でもホント凄いよ!」
景介「うん、まさかAIを降参させるなんてね。」
ちよ「ありがとう…でも多分運が良かっただけだよ…あの最後の状況もドローカード次第ですぐに逆転されちゃうくらいギリギリだったもん…」
遊飛「何言ってんだ!正々堂々やって勝ったんだから喜べばいいじゃねーか!勝ったやつがうだうだ言ってたら相手に失礼だぞ。」
景介「相手って言っても人工知能だけどね。」
遊飛「う…そ、それでも失礼なもんは失礼だろ!」
ちよ「うん……そうだね。うち、やったよ!」
遊飛「おう! 熱いデュエルだったぜ!!」
ーモニタールームー
シミュレーションルームで行われているシステムの全てを把握するこの部屋でデュエルの様子と紙面に向かい合う男が1人。そしてその部屋の扉を開ける音と共にやたらと背の高い男が入ってきた。
クロノス「お疲れさまーニャ。テストデュエルの方はどうナノーネ? 久城ティーチャー。」
久城「お疲れ様です、校長。テストデュエル開始から一時間ほどではありますが現在の通過者は2人、しかも両方レッドの1年生です。」
クロノス「んんん!? それは凄いーノ!! 今年の1年生ーはレッドまで粒ぞろいナノーネ。アカデミアカップが楽しみナノーネ。」
久城「はい、本当に。このテストデュエルの期間は1週間。その期間中に与えられたチャンスは3回もありますが……果たして何人が通過できるのやら……」
続く
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次回予告
一果「エントリーデュエルの期間も残りわずか。アタシに残されたチャンスは2回……だってのになんか変な奴に絡まれちまった。この忙しいのに迷惑な話だ! さっさと片付けてエントリーデュエルに挑戦してやる!」
一果「次回!『犬猿、相見える!!』デュエルスタンバイ!!」
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1話書くのに5ヶ月って………
今回のライフ・フォースはGXだったかの未OCGカードです。本来の効果は「ライフを400払い受けた戦闘ダメージを0にする。」ですがこれは強すぎると思いダイレクトにアタック限定かつコストは500ライフにしました。
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Amazonのアソシエイトとして、管理人は適格販売により収入を得ています。
AIのくせにそんなインチキをしていたとは…。メタを張られても頑張れるか、と言う審査なんでしょうが、汚いぜそりゃあ。
しかし凌ぎに凌いで粘り勝ちましたね。
次回は一果の回。犬猿ということで相手はもしかして…。猿…モンキーボード…うっ、頭が…! (2017-11-16 07:45)
いやほんとこの場で会うのは久しぶりですよね。まあたっくさんいる生徒を数十人くらいに絞るので多少の不利は仕方ないのでしょう。粘る時のライフ・フォースの便利さがパネェ……頼りすぎないようにしないと。
モンキーボード……いやいや、もっと古くて存在も忘れられてるような奴でございますよ笑 (2017-11-16 22:11)
OCGは勿論ですが、アニメオリカなんかも組み合わさって実に創作らしいデュエルでした。泥仕合でしたがちよちゃんおめでとう。
フローラル・シールドを出してくるセンスに感服です。見栄えがよくて創作に使いやすい良いカードなんですよね~。ちよちゃんのイメージにもあってます。
クランの効果ダメージ量やタイミングが微妙に違うのは故意なんですかね? (2017-11-17 03:04)
ほんと泥仕合でした。フローラルシールドは効果も優秀かつ女の子デュエリストに使わせやすいので助かりました。
クランの効果……指摘されて気がつきました。相手のスタンバイフェイズだと思い込んでしまってた上、数値もピケルと混同してました。古いOCGだしよく知ってるからと調べることをしないからこういうミスが起こるんですね。反省です… (2017-11-17 08:57)
レアマテリアル・ドラゴンやシモッチといったメタカードに屈する事なく、シャイネス・マジシャンとライフ・フォースの効果を巧みに組み合わせて防御に徹しながら辛抱強く勝機を待ち、激闘の末にギリギリの攻防を制したちよちゃんの技量の高さと芯の強さに感服致しました!
心の底からちよちゃんを応援したくなる最高のデュエルをお書きになって下さってありがとうございます!お陰様で拝読させて頂いている私もちよちゃんから元気と勇気を貰いました!
遊飛と景介と一果ちゃんが、ちよちゃんを見守りながら応援していた所も4人の熱い友情が鮮明に感じられて最高でした!三人の声援もちよちゃんの勝利に強く貢献していると思います!やはり仲間同士の絆が感じられる描写は心がほっこりして良いですね!
シャイネスマジシャンの名前と効果が、ちよちゃんの恥ずかしがり屋ながらも仲間想いで心優しい性格を如実に表していまして、正にちよちゃんに相応しいエースカードだと思いました!光と闇の姫君もピケクラの力を合わせた切り札のカードという風格を感じられて良いですね!
シャイネス・マジシャンは効果が中々強力なので、是非ともペンデュラムデッキで使ってみたいです!他には禁止カードになってしまいますが、血の代償や魔導書の審判とも組み合わせてみたいですね!いちごTさんのオリカはセンスがあってポテンシャルが高く、色んなカードとコンボさせてみたいと思える程の魅力に溢れていますね!
時間の事はお気になさらないで下さい!寧ろ5カ月という長い期間を掛けられたからこそ、これ程読み応えのある素晴らしい作品に仕上がったと思います!なので、ご無理の無い様にご自身のペースでご執筆頑張って下さい!いつも応援しております! (2017-11-17 23:16)
お久しぶりです。いやほんとから揚げさんはいつも褒めちぎってくれるので激しく感謝です。
しかも内容にしっかり触れてくれるのでちゃんと読んでくれているんだなぁと実感します。から揚げさんのコメントは表現、分析、気づかいがしっかりしていて、この人は絶対仕事出来る人だと毎回思っています。そんな方に読んでいただけてとても幸せです。
これからもよろしくお願い致しますm(_ _)m
(2017-11-19 23:58)