集う力（海皇目線）　作：リバース＠影の使者

小走りでポセイドラは戦区へ向かう。
総長官が見え、ポセイドラは彼に尋ねた。

ポ「総長官、現状はどうなっている？」

総長「一応、互角……というところでしょうか。あちらが本気を出しているのかすら、わからないので……」

ポ「……そうだ。奴――なんかよくわからないものはなんなんだ」

魚のような形だが、機械的な巨体。
あれがなんなのかわからないと、まず俺達は勝てない。

総長「現在、学者達が調べております」

ポ「では、わからないということか」

総長「いえ……一応の、仮説はできております」

ポ「……申せ」

総長「…………『人間』達の作った……『兵器』かと……」

――『人間』。
理性と言う欲しか無い者。
反吐が出るほど下劣で、最低なる生命。
奴等に被害にあった魔物達は数多くいる。

その『人間』だと！！！？

ポ「……『兵器』数は」

総長「およそ２００、全機、攻撃力３０００の重量級モンスターです」

ポ「……ふぅ」

総長「どう……いたしますか？」

ポ「……ガイオ、あとはジジィか……あいつ等に話をつけておいてくれ。我は寝る」

総長「はっ……ごゆっくり、お休み下さい」

ポ「あぁ……総長官、お前も休める時は休んでおけ」

総長「はっ……」

総長官の声を聞いた後、俺は寝室へと足を運ぼうとした―――が。

思い出した。


ポ「そうだ……ガル……炎王嬢はいずこへ？」

そういえば、さっきから見ていない。
『待ってろ』とは言って無いから、あいつ来るものばかり……。

総長「いえ、某、御令嬢は見ておりませんが？ そういえば、海皇様の部屋が少し騒がしかったので部屋に入らせてもらいました。勝手ながらすみません……」

――部屋、あぁ、玉座前のこと。
あそこ私物とか結構置いてる―――じゃねえ！！

ポ「おい！ そこに誰かいなかったか！？」

総長「いえ……某、一人で行ったもので……いけなかったでしょうか？」

ポ「くそっ！！」

俺は玉座の方へ走った。
何て馬鹿だ俺ッ！！
仮に、奴等が人間だったとしたら、俺の首を狙いにあそこへ行くはずだろう！！
ガラスで覆われてるだけだから……耐久度は２０００だし……。

ポ「ガルッ！！」


玉座前……しかし、何も『無い』。
ポ「嘘、だろ」

ガラスの破片、血……恐らく、撃たれた弾が『対象』に当たり、血飛沫が舞ったのだろう…･･･だが、その『対象』はいない。

ガラスが割れているが、水は入ってこない。そういう造りになっている、と、親父に聞かされたことがある。

ポ「……消火した、みたいなことじゃ無いのね……」

なら何処だ？
水の中には居られないだろうから、陸？
いや、それでもまず外に出なければならない。

何処だ？
何処なんだ……！？

――我を欲せよ。
ゾクッと背筋が震える。あの声だ……。

ポ「……なんで、お前はそう欲せられたい？」

聞いてみる。傍から見たらただの呟きだったのだろう。
数秒して、返答が来た。

――『望みを叶えるもの』は欲しないか？

望み……だと？
――さぁ、欲しろ。さすれば、望みは叶う。

いいだろう、願ってやる。絶対に叶えろよ？

ポ「……ガルちゃんを、呼び寄せろ」


そういった瞬間、上からガルちゃんが落ちてきた。

続く