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ep3『さまよう影』 作:イツとき
「ぐあー、疲れたー……」
ナギがトレーを置くと、そのままテーブルに倒れこむように突っ伏した。
入学式から一夜明けた4月6日。午前中は、校内設備の使い方から校則、学内システムの利用方法に各種申請のやり方とひたすらガイダンス漬けだった。どこか事務的な案内の映像が延々と続く、体力より先に精神が削られる内容だった。
それらからようやく解放された昼休み。俺たちは校舎一階にある食堂へ足を運んだ。
食堂内には昼休みに入った生徒たちが次々と押し寄せていたが、それでもまだ空席は目立つほどに広々としている。
トイレついでに飲み物を頼んだ雫の分のトレーも受け取り比較的静かな席を確保した。
「話を聞くだけとはいえ、昨日からずっとだからな」
ナギの隣に腰を下ろしながら、俺は相槌を打つ。
「お前はまともに聞いてないだろ」
ナギがテーブルに頬を乗せたまま、目だけをこちらに向けて突っ込んでくる。
その言葉に俺はわかりやすく肩をすくめてみせた。
「あんたたちもっとわかりやすいところにいなさいよ」
その声とともに、雫が3人分の飲み物をかかえて戻ってきた。
俺たちの前に無言で一本ずつ置き、俺の向かいの席へ腰かける。
「飲み物適当。苦手なのがあったら諦めて」
「サンキュ」
「助かる~」
ナギが手を伸ばし、キャップを開けながら生き返ったように起き上がる。
「ちなみに午後もまだまだ続くみたいよ。」
雫が自分の野菜ジュースにストローを挿しながら、何気ない口調で続ける。
「うえぇ……まだあんのか……」
ナギがペットボトルを抱えるようにしながら、再び机に崩れ落ちた。
「明日からは普通の授業も始まるみたいだから諦めなさい」
ナギの大げさな動きを興味なさげにあしらう雫。
「で――昨日のことだけど」
ふと雫がストローから口を離し、俺の方にだけ視線を寄こしてくる。
「結局何だったの?」
昨日のこと。つまり――校長に呼び出された件だな。
「べつに、なんてことない。ただ事件のことについて、ちょっと直接話したかっただけみたいだ。あんまり人目のある場所でする話でもないからな」
「事件……?」
雫が眉をひそめる。
「一週間くらい前のやつ。駅で騒ぎがあっただろ。電車が止まって、乗客が倒れてたって……」
ナギが俺の代わりに説明を補足する。
「……ああ。なんか報道されてたわね。車両ジャックとか、昏睡状態の乗客とか……」
雫がポケットからスマホを取り出し、器用な指さばきで画面を操作し始める。
「あぁやっぱり、結局よくわかってないんでしょ?いつの間に報道されなくなったけど。」
雫はスマホの画面をこちらに向けて差し出した。
そこには事件翌日に掲載されたニュース記事が表示されていた。見出しには『原因不明の集団昏倒、駅構内でのトラブルか』の文字。
「結局、原因は不明のままってことになってるのね。報道もそれきり。まるで意図的に抑えられてるみたい」
「そういうこと。そう遠くない場所だし生徒が巻き込まれてたってことなら、校長も気になるだろうからな。まぁ俺もたまたま居合わせただけで、詳しいことは知らないけど。」
あんな不可思議な状態じゃ証拠なんて出ないだろうから、実際はこれ以上報道のしようもないってとこだろうけど。
「俺も事情聴取ぐらいはされが、報道以上の情報はないな。そのせいであの日は到着が大幅に遅れていい迷惑だ。」
俺は飲み物のボトルを手に取り話は終わりだとお茶を流し込む。
「じゃあもしかして、深夜に現れた謎の生徒ってあんた?」
雫がスマホをテーブルに戻しながら、何気ない口調で続けた。
「なんだそれ?」
ナギが首をかしげ、俺もそれに倣う。
「寮で噂してた子がいたの、ちょうど事件の日の深夜に男子寮に入ってく生徒がいたって」
「それがどうかしたのか?そりゃそんな奴もいるだろ」
「一応寮だからな、門限があるんだよ」
「そもそもその時間は学校自体閉まってるしね」
「そりゃ噂にもなるわな。『駅の怪事件の犠牲者が、亡霊になって夜中に突然現れた』とか、ちょっと話を盛れば立派な怪談になりそうだし」
そう言ってナギはへらへらと笑う
「実際はこんな深夜に現れるなんて超VIPかド不良かって話だけどね」
鉾星の学生寮は、学生寮といっても実質的には学校敷地内に建てられたマンションのようなもので、部屋には生活に必要な設備が整っており、共同生活感は薄い。
ただし、一階には共有スペースと寮監の管理室があり、出入りする際は必ずそこを通る構造になっている。
つまり門限破りは容易ではなく、そんな遅い時間に生徒が一人で出入りしていれば確かに奇怪に映るか。
「それで、実際のところどうなの?VIPか不良か亡霊か」
と挑発的な目で雫が続ける。
「事情を話して無理言って入れてもらった、哀れなただの生徒だよ」
俺は手のひらを見せて降参のポーズを取る。
「というかわざわざそっちまで広めるなんて見てたやつはどれだけ暇なんだ。」
新しい環境に浮足立っていたのだろうが、そんな面白い話でもないだろうに。
「ん、その子が直接見たわけじゃないのか?」
「男子寮と女子寮は建物自体別だからな。」
「距離もそれなりに離れてるし、おおかたSNSで回ってきたとかじゃない?」
ナギの疑問に2人で答える。
最初っから寮に入る気なかったもんな、ナギは知らなくて当然か。
「そういえばナギ」
「ん?」
「お前引っ越しの片付けは終わったのか?」
その一言で、ナギの表情が急速に曇った。
「あー、それねぇ...」
ナギは遠い目をする
「……ダンボールって、見ないふりすれば存在しないってことにならないかな」
「ならないわよ」
食い気味に雫がばっさりと斬り捨てる。
「イツキ、頼む」
俺に向き直るとナギは顔の前で手を合わせ懇願してくる。
「断る」
「晩飯おごるから、今日だけ」
腕をつかまれ体を激しく揺らされる
「はぁ……仕方ないな」
この借りはいつか返させよう
―――
――
―
「それじゃあ行きますか」
放課後になり昇降口で雫と別れた俺たちはナギの家へと向かう
「昼も言ったが門限があるからなさっさと終わらせるぞ」
「まあまあ終わんなかったら止まってけばいいじゃん」
「外泊にも事前に申請がいるんだよ」
「うわぁめんどくさ......やっぱ寮にしなくて正解」
軽口を交わしながら並んで歩く。その合間に、俺は周囲の景色に目をやった。
夕焼けの光が建物のガラスに反射して、街全体が茜色に染まっている。
こっちに着いた日はもう真っ暗だったし、こうして明るいうちに歩くのはこれが初めてだ。
「そういえば。仙羽市は復興の手があまり入らなかったと聞いてたけど、建物は意外と新しいものばかりなんだな」
何気なく思ったことが口をついて出る
「あー、被害が少なかったって言ってももう30年近くも前のことだからな。人も増えたしさすがに街中はほとんど立て替えてるな。
郊外のほうとかは人もいないからもうずっと放置されるみたいだけど」
被害が少なかった故に昔のままのこされて、結果人が寄り付かずに放置されるか......
「皮肉だな」
「したかないんじゃね?ほどんどが廃工場とからしいし権利とかいろいろ難しいんだろ。
それよりさ――」
俺は不意に視界の端に見覚えのある姿を捉えた。
――四葉さん......?
「どうかしたか?」
ナギの声に応えず、俺は足を止めたまま、その姿を見つめる。
「……ナギ、急用できた。悪いが一人で帰っててくれ!」
ナギの返事を待たずに駆け出す。
「な、おい、イツキ?!」
ナギの呼びかけも振り返らず、四葉さんが消えた先へ人の波を縫って追いかける。
視線の先で消えそうになる後姿を見失わないように必死に足を動かした。
歩道を行き交う人々の合間をすり抜け、信号の変わりかけた横断歩道を走り抜ける。
そうして向かう先――彼女の背が、建物の中に消えていくのが見えた。
繁華街の裏手、老朽化した高層ビルだ。
周囲を仮囲いが囲み、立ち入り禁止の看板がいくつも掲げられている。
通行人もなく、工事関係者らしき姿もない。
どうしてこんな場所に......
ただその背を追ってここまで来てしまった俺は、仮囲いの一部がわずかに開いているのを見つけ、躊躇いながらもそこを潜り抜ける。
踏み込んだ瞬間、肌に触れる空気の質が変わった。
埃っぽく、ひんやりとした空気。割れたガラス片や、ひび割れたコンクリート。どうやらこのビルの駐車場だった場所のようだ。
こんな場所にどんな用があるっていうんだ......?
誰かに見つかって追い出されるわけにもいかないと慎重に足を進める。
奥に上の階に続くスロープを見つけてゆっくりと上がっていくと、不意に誰かの声が聞こえ俺は足を止める。
四葉さんの声、ではないな
低い男の一方的な話声。おそらく電話か何かだろうか。
あたりには解体に使われるのだろう機材が並べられている。
俺は足音を殺し、それらの陰に身を潜めながら声のするほうへと慎重に近づいた。
声の主は、藍色の髪をした黒服の人物だった。手には見慣れない形状の通信機のような装置が握られている。
一般人じゃないよな......と思った次の瞬間――
「……はい、白瀬四葉はまだ。ですが――」
耳に飛び込んできたその名前に、息をのむ。
まさかあいつらの......!
咄嗟に電源を切るためにポケットのスマホに手を伸ばすが、指が触れた瞬間――
スマホが鳴った。
――あまりに間の悪い着信。
すぐに電源を切るがすでに遅く。
「誰だ……!」
男の声が鋭く跳ねた。すでにこちらへと足音が向かってくる。
俺は機材の陰から飛び出し、来た道を駆け下りる。
「逃がすか!」
男は一枚のカードを掲げた瞬間、空間が揺れた。
壁が歪み、影が滴るように床を覆い尽くす。
「これは......あのときの......!」
影が一瞬で俺を飲み込み、視界が暗転する――。
この感覚、間違いない。駅での事件。あの時の不可思議な空間が今、再び目の前に現れた。
「学生か、なぜこんなところにいる。」
藍色の髪をオールバックに撫でつけた男が、影に満ちた空間の中でゆっくりと歩を進める。
「そっちこそ、解体現場には随分と不相応な恰好だけど?」
黒いスーツに皮手袋といかにもな恰好だ。
俺の言葉に男は不愉快そうに眉を顰める。
「質問に質問で返すな、聞いているのはこちらだ」
「“ちょっと道に迷った”って言ったら解放してくれるのか?」
「口の減らないガキだ。それで命乞いのつもりか?」
「さあな。……でも、正直に言って帰してくれる雰囲気でもないだろ?」
俺は一歩、前へ出る。
「......随分と余裕そうだな、え?」
男の表情がさらに険しくなる。
「なぁ、この空間あんたが出してるんだろ?まともなものじゃないよな、教えてくれよ」
「お前、何か知っているな」
男が鋭く目を細める。
「どうだろうな、でも知りたいことなら山ほどある」
あの時と同じなら――俺がやるべきことはひとつだ。
俺は迷わずディスクを展開する。
「お前らの正体も、目的も、ここで引きずり出す!!」
男もデュエルディスクを構えた。
「無知な小僧が吠えるな……!!」
互いに一歩踏み出す。
影が震え、空間が激しく唸る。二人の意志が交差する瞬間――
「デュエル!!」
光が爆ぜデュエルフィールドが構築されていく。
DUEL START
Unknown VS Itsuki
LP4000 LP4000
TURN1:Itsuki
「先攻は俺がもらう。俺は征従士ブランシェを召喚!」
頭上に光の輪が広がり、その輝きの中から銀髪の銃士が軽やかに降り立つ。
《征従士 ブランシェ》
炎・星4/戦士族/ATK1500
「召喚時の効果により手札の《増援部隊》を墓地に送り、デッキから《征戦哨戒(コンクエスタ・リコン)》を手札に加える。
続けて効果発動、手札より《征銃士シャルル》を召喚!」
炎が床を裂いて逆巻き、その炎を払うように真紅のマントを翻した赤き銃士が現れる。
手にした銃を肩に担ぎ、敵を見据える。
《征銃士 シャルル》
炎・星4/戦士族/ATK1800
「ブランシェは1ターンに1度、手札から《征銃士》を召喚できる。
さらにシャルルの効果発動、手札の《征戦哨戒》を捨て、デッキから《征十字砲火(コンクエスタ・クロスファイア)》を手札に加える。
カードを1枚セットしてターンエンド。」
TURN2:Unknown
「随分とつつましい立ち上がりだな、さっきまでの威勢はどうした?」
男が鼻で笑う。
「さっさとターンを進めろよ」
俺の言葉に男の表情が不機嫌そうに歪む。
「俺のターン、ドロー」
「早速行かせてもらうぞ、手札より融合を発動!
手札の《灰海の見張り番クロウネスト》と《灰海の屍繰りシグロット》を融合!融合召喚―《灰海の白骨船》」
男の背後に黒い渦が広がり、灰の奔流が駐車場を覆い尽くす。
灰の海へと変貌した底から無数の骨と腐食した船板で組み上がった骸骨の帆船が浮上した。
《灰海の白骨船》
闇・星6/水族/融合/ATK2100
「さらに手札より《灰海の斥候艇グレイ・スケイル》を特殊召喚!」
白骨船の側面から灰色の小舟が降下する、灰色の鱗のようにフジツボに覆われた船体がギシギシと軋む。
《灰海の斥候艇グレイ・スケイル》
闇・星4/水族/ATK700
「グレイ・スケイルは自分フィールドに融合モンスターが存在する場合手札より特殊召喚できる。続けて《灰海の水夫 ザルグラ》を召喚!」
灰の海面を割り、朽ち果てた海賊が現れる。
腐食したカトラスからは鈍い瘴気が漏れ、体にへばりつく外套の裂け目から骨が覗く。
《灰海の水夫 ザルグラ》
水・星4/アンデット族/ATK1600
「レベル4の《グレイ・スケイル》と《ザルグラ》でオーバーレイ!
エクシーズ召喚――現れよ、《灰海の壊し屋レヴァイン》!」
灰の渦が爆ぜ、青白い肌の亡霊が浮かび上がる。
右腕は巨大な巻貝の破城槌と化し、体表は魚の鱗のような硬質の皮膚で覆われていた。
《灰海の壊し屋レヴァイン》
水・ランク4/アンデット族/ATK1700
「レヴァインの攻撃力は自身の効果により、自分フィールドの融合モンスター1体につき500アップする。」
ATK1700→2200
「バトルだ、レヴァインでシャルルを攻撃!」
レヴァインが床を砕きながら突進。巻貝の破城槌が空気を裂き、シャルルに迫る。
「シャルルの効果発動! このカードと戦闘を行うモンスターの攻撃力を600ダウンする!」
銃声が響き、炎弾が放たれるが――
「無駄だ!レヴァインは自分より攻撃力の低い相手の効果を受けない!」
勢いのまま突き出された破城槌が炎弾ごとシャルルを貫き体は光の粒子となって掻き消える。
衝撃が体を襲い、思わず一歩後ずさる。
この痛み...ダメージもあの時と同じか。
Itsuki:LP4000 → 3600
「自分の場のモンスターが破壊されたことでブランシェの効果が発動する。戻ってこい、シャルル。」
飛び散った光が再び集まり、閃光の中からシャルルが立ち上がる。
「この効果で特殊召喚されたシャルルはこのターン1度だけ戦闘および効果では破壊されない」
「ならば、白骨船よ、征従士ブランシェをひき潰せ!」
白骨船が船体をきしませ、灰の海を割りながらブランシェへと迫る。
「この瞬間、罠カード発動!《征十字砲火》!」
シャルルが飛び上がり空中から白骨船の甲板を見下ろす
「このカードは炎属性モンスターが戦闘を行うダメージステップに発動し、その相手モンスターの攻撃力をほかの炎属性モンスター1体の攻撃力分ダウンさせる」
《灰海の白骨船》ATK2100 → 300
シャルルのマスケット銃とブランシェの拳銃が赤く煌めき、2人の銃口が白骨船を捉える。
膨大な炎が放射され交差するように船体を貫く。
「ぐあぁぁぁぁ!!」
爆風が熱波となって男を襲う
LP4000 → 2800
「チッ、小賢しい……速攻魔法《灰海の骨岩礁》を発動! 自分フィールドの灰海融合モンスターが戦闘で破壊された時相手モンスター1体を破壊する。
道連れだ征従士ブランシェ!」
よろよろと立ち上がった男がカードを発動すると骨の塊が隆起し、白骨船の残骸をもちあげブランシェを押し潰し爆散する。
舞い上がったコンクリートのかけらがパラパラと音を立てて降りかかる。
煙る先で男が俺をにらみつける。
「その程度の小細工がいつまで通じるかな。俺はこれでターンエンドだ」
TURN3:Itsuki
「俺のターン、ドロー!」
このカードなら......いける。
「すぐに終わらせるさ、俺は装備魔法《従者の誓剣》を発動!」
光の輪から豪華な装飾で飾られた剣が現れる。
「自分の手札か墓地より征従士を特殊召喚しこのカードを装備する。墓地より舞い戻れブランシェ!」
剣の現れた光から手を伸ばしブランシェが歩み出ると、剣を握りゆっくりとその胸に掲げる。
《征従士 ブランシェ》ATK1500
「さらにシャルルの効果。手札の《征護炎幕(コンクエスタ・カスケード)》を捨て、《征祈銃葬(コンクエスタ・レクイエム)》を手札に加える!」
「バトルフェイズ!シャルルでレヴァインを攻撃!」
シャルルが剣を抜き放ちレヴァインへ迫る。
「さらに墓地の征十字砲火の効果発動。このカードを除外することでこのターン、シャルルが破壊したモンスターの攻撃力分のダメージをお前に与える!」
シャルルが銃を構えその先にレヴァインを捉える。
「融合モンスターのいないレヴァイン攻撃力は1700、今度こそ効果を受けてもらうぞ」
シャルルの効果を受けたレヴァインの攻撃力は1100まで下がり戦闘ダメージ700、そこにクロスファイアの効果で1700のダメージが加われば相手のライフは残り400。
ブランシェの攻撃で勝負が決まる!
「甘いな! 墓地の《灰海の見張り番クロウネスト》の効果発動!相手モンスターの攻撃宣言時墓地のこのカードを特殊召喚しバトルの対象を自身に変更する」
《灰海の見張り番クロウネスト》
水・星4/アンデット族/DEF800
「クロウネストの攻撃力は0、よって俺への効果ダメージも0だ」
灰の中から骸骨の船員が現れ、銃弾を受け砕け散る。
「この効果発動後フィールドを離れたクロウネストはゲームから除外される......だがそれによって墓地の白骨船の効果が発動する。」
直後、灰の海から白骨船が再び浮上する。
「灰海の白骨船は1ターンに1度、灰海モンスターが除外された時墓地から蘇る。」
「...俺はカードを1枚伏せてターンエンドだ」
クロスファイアを躱されたのは痛いが奴の手札は0枚。状況はまだこちらが有利のはずだ。
TURN4:Unknown
「どうやら勝負を焦りすぎたようだな。俺のターン......ドロー!」
引いたカードを見た男の口元がゆっくりと歪み、笑い声が漏れる。
「ハハッ……どうやら貴様の運命は決まったようだ。覚悟するがいい!」
一度、空間が大きく揺れる。まるで何かの拍動のようだ。
「俺は《灰海の白骨船》をリリースし、このカードを発動する!」
男が1枚のカードをゆっくり掲げると
白骨船の船体が砕け、破片が宙に舞い巨大な円環を形作る。
その中から光が降り注ぎ円盤状の巨大な機械が現れる。
これはまさか......!
「発動せよ、《ヘイズ・マキナ》!」
マキナのゲートは、やはりわずかに開くにとどまった。
その隙間から黒い霧が滲み出す。空間を埋め尽くす漆黒の向こうで、紫の炎がゆらめいた。
やがてそれは近づき、その正体をあらわにする。
「ヘイズ・マキナは自分フィールドのモンスターをリリースすることで、そのモンスターと同じ属性かつ同じ種類のモンスターを呼び出せる。
門の先より来たれ――《魔爪甲艦-ナグルファル》!!」
その姿は──紫炎に包まれた異形の巨艦。
巨大な爪で何層にも覆われた船体は紫炎で燃え上がり
その外壁を鈍色の紋様が脈打ち、不吉な鼓動を放つ。
《魔爪甲艦-ナグルファル》
闇・星9/融合/水族/ATK2900
「見せてやるよ、人知を超えた力ってやつを......!」
ナギがトレーを置くと、そのままテーブルに倒れこむように突っ伏した。
入学式から一夜明けた4月6日。午前中は、校内設備の使い方から校則、学内システムの利用方法に各種申請のやり方とひたすらガイダンス漬けだった。どこか事務的な案内の映像が延々と続く、体力より先に精神が削られる内容だった。
それらからようやく解放された昼休み。俺たちは校舎一階にある食堂へ足を運んだ。
食堂内には昼休みに入った生徒たちが次々と押し寄せていたが、それでもまだ空席は目立つほどに広々としている。
トイレついでに飲み物を頼んだ雫の分のトレーも受け取り比較的静かな席を確保した。
「話を聞くだけとはいえ、昨日からずっとだからな」
ナギの隣に腰を下ろしながら、俺は相槌を打つ。
「お前はまともに聞いてないだろ」
ナギがテーブルに頬を乗せたまま、目だけをこちらに向けて突っ込んでくる。
その言葉に俺はわかりやすく肩をすくめてみせた。
「あんたたちもっとわかりやすいところにいなさいよ」
その声とともに、雫が3人分の飲み物をかかえて戻ってきた。
俺たちの前に無言で一本ずつ置き、俺の向かいの席へ腰かける。
「飲み物適当。苦手なのがあったら諦めて」
「サンキュ」
「助かる~」
ナギが手を伸ばし、キャップを開けながら生き返ったように起き上がる。
「ちなみに午後もまだまだ続くみたいよ。」
雫が自分の野菜ジュースにストローを挿しながら、何気ない口調で続ける。
「うえぇ……まだあんのか……」
ナギがペットボトルを抱えるようにしながら、再び机に崩れ落ちた。
「明日からは普通の授業も始まるみたいだから諦めなさい」
ナギの大げさな動きを興味なさげにあしらう雫。
「で――昨日のことだけど」
ふと雫がストローから口を離し、俺の方にだけ視線を寄こしてくる。
「結局何だったの?」
昨日のこと。つまり――校長に呼び出された件だな。
「べつに、なんてことない。ただ事件のことについて、ちょっと直接話したかっただけみたいだ。あんまり人目のある場所でする話でもないからな」
「事件……?」
雫が眉をひそめる。
「一週間くらい前のやつ。駅で騒ぎがあっただろ。電車が止まって、乗客が倒れてたって……」
ナギが俺の代わりに説明を補足する。
「……ああ。なんか報道されてたわね。車両ジャックとか、昏睡状態の乗客とか……」
雫がポケットからスマホを取り出し、器用な指さばきで画面を操作し始める。
「あぁやっぱり、結局よくわかってないんでしょ?いつの間に報道されなくなったけど。」
雫はスマホの画面をこちらに向けて差し出した。
そこには事件翌日に掲載されたニュース記事が表示されていた。見出しには『原因不明の集団昏倒、駅構内でのトラブルか』の文字。
「結局、原因は不明のままってことになってるのね。報道もそれきり。まるで意図的に抑えられてるみたい」
「そういうこと。そう遠くない場所だし生徒が巻き込まれてたってことなら、校長も気になるだろうからな。まぁ俺もたまたま居合わせただけで、詳しいことは知らないけど。」
あんな不可思議な状態じゃ証拠なんて出ないだろうから、実際はこれ以上報道のしようもないってとこだろうけど。
「俺も事情聴取ぐらいはされが、報道以上の情報はないな。そのせいであの日は到着が大幅に遅れていい迷惑だ。」
俺は飲み物のボトルを手に取り話は終わりだとお茶を流し込む。
「じゃあもしかして、深夜に現れた謎の生徒ってあんた?」
雫がスマホをテーブルに戻しながら、何気ない口調で続けた。
「なんだそれ?」
ナギが首をかしげ、俺もそれに倣う。
「寮で噂してた子がいたの、ちょうど事件の日の深夜に男子寮に入ってく生徒がいたって」
「それがどうかしたのか?そりゃそんな奴もいるだろ」
「一応寮だからな、門限があるんだよ」
「そもそもその時間は学校自体閉まってるしね」
「そりゃ噂にもなるわな。『駅の怪事件の犠牲者が、亡霊になって夜中に突然現れた』とか、ちょっと話を盛れば立派な怪談になりそうだし」
そう言ってナギはへらへらと笑う
「実際はこんな深夜に現れるなんて超VIPかド不良かって話だけどね」
鉾星の学生寮は、学生寮といっても実質的には学校敷地内に建てられたマンションのようなもので、部屋には生活に必要な設備が整っており、共同生活感は薄い。
ただし、一階には共有スペースと寮監の管理室があり、出入りする際は必ずそこを通る構造になっている。
つまり門限破りは容易ではなく、そんな遅い時間に生徒が一人で出入りしていれば確かに奇怪に映るか。
「それで、実際のところどうなの?VIPか不良か亡霊か」
と挑発的な目で雫が続ける。
「事情を話して無理言って入れてもらった、哀れなただの生徒だよ」
俺は手のひらを見せて降参のポーズを取る。
「というかわざわざそっちまで広めるなんて見てたやつはどれだけ暇なんだ。」
新しい環境に浮足立っていたのだろうが、そんな面白い話でもないだろうに。
「ん、その子が直接見たわけじゃないのか?」
「男子寮と女子寮は建物自体別だからな。」
「距離もそれなりに離れてるし、おおかたSNSで回ってきたとかじゃない?」
ナギの疑問に2人で答える。
最初っから寮に入る気なかったもんな、ナギは知らなくて当然か。
「そういえばナギ」
「ん?」
「お前引っ越しの片付けは終わったのか?」
その一言で、ナギの表情が急速に曇った。
「あー、それねぇ...」
ナギは遠い目をする
「……ダンボールって、見ないふりすれば存在しないってことにならないかな」
「ならないわよ」
食い気味に雫がばっさりと斬り捨てる。
「イツキ、頼む」
俺に向き直るとナギは顔の前で手を合わせ懇願してくる。
「断る」
「晩飯おごるから、今日だけ」
腕をつかまれ体を激しく揺らされる
「はぁ……仕方ないな」
この借りはいつか返させよう
―――
――
―
「それじゃあ行きますか」
放課後になり昇降口で雫と別れた俺たちはナギの家へと向かう
「昼も言ったが門限があるからなさっさと終わらせるぞ」
「まあまあ終わんなかったら止まってけばいいじゃん」
「外泊にも事前に申請がいるんだよ」
「うわぁめんどくさ......やっぱ寮にしなくて正解」
軽口を交わしながら並んで歩く。その合間に、俺は周囲の景色に目をやった。
夕焼けの光が建物のガラスに反射して、街全体が茜色に染まっている。
こっちに着いた日はもう真っ暗だったし、こうして明るいうちに歩くのはこれが初めてだ。
「そういえば。仙羽市は復興の手があまり入らなかったと聞いてたけど、建物は意外と新しいものばかりなんだな」
何気なく思ったことが口をついて出る
「あー、被害が少なかったって言ってももう30年近くも前のことだからな。人も増えたしさすがに街中はほとんど立て替えてるな。
郊外のほうとかは人もいないからもうずっと放置されるみたいだけど」
被害が少なかった故に昔のままのこされて、結果人が寄り付かずに放置されるか......
「皮肉だな」
「したかないんじゃね?ほどんどが廃工場とからしいし権利とかいろいろ難しいんだろ。
それよりさ――」
俺は不意に視界の端に見覚えのある姿を捉えた。
――四葉さん......?
「どうかしたか?」
ナギの声に応えず、俺は足を止めたまま、その姿を見つめる。
「……ナギ、急用できた。悪いが一人で帰っててくれ!」
ナギの返事を待たずに駆け出す。
「な、おい、イツキ?!」
ナギの呼びかけも振り返らず、四葉さんが消えた先へ人の波を縫って追いかける。
視線の先で消えそうになる後姿を見失わないように必死に足を動かした。
歩道を行き交う人々の合間をすり抜け、信号の変わりかけた横断歩道を走り抜ける。
そうして向かう先――彼女の背が、建物の中に消えていくのが見えた。
繁華街の裏手、老朽化した高層ビルだ。
周囲を仮囲いが囲み、立ち入り禁止の看板がいくつも掲げられている。
通行人もなく、工事関係者らしき姿もない。
どうしてこんな場所に......
ただその背を追ってここまで来てしまった俺は、仮囲いの一部がわずかに開いているのを見つけ、躊躇いながらもそこを潜り抜ける。
踏み込んだ瞬間、肌に触れる空気の質が変わった。
埃っぽく、ひんやりとした空気。割れたガラス片や、ひび割れたコンクリート。どうやらこのビルの駐車場だった場所のようだ。
こんな場所にどんな用があるっていうんだ......?
誰かに見つかって追い出されるわけにもいかないと慎重に足を進める。
奥に上の階に続くスロープを見つけてゆっくりと上がっていくと、不意に誰かの声が聞こえ俺は足を止める。
四葉さんの声、ではないな
低い男の一方的な話声。おそらく電話か何かだろうか。
あたりには解体に使われるのだろう機材が並べられている。
俺は足音を殺し、それらの陰に身を潜めながら声のするほうへと慎重に近づいた。
声の主は、藍色の髪をした黒服の人物だった。手には見慣れない形状の通信機のような装置が握られている。
一般人じゃないよな......と思った次の瞬間――
「……はい、白瀬四葉はまだ。ですが――」
耳に飛び込んできたその名前に、息をのむ。
まさかあいつらの......!
咄嗟に電源を切るためにポケットのスマホに手を伸ばすが、指が触れた瞬間――
スマホが鳴った。
――あまりに間の悪い着信。
すぐに電源を切るがすでに遅く。
「誰だ……!」
男の声が鋭く跳ねた。すでにこちらへと足音が向かってくる。
俺は機材の陰から飛び出し、来た道を駆け下りる。
「逃がすか!」
男は一枚のカードを掲げた瞬間、空間が揺れた。
壁が歪み、影が滴るように床を覆い尽くす。
「これは......あのときの......!」
影が一瞬で俺を飲み込み、視界が暗転する――。
この感覚、間違いない。駅での事件。あの時の不可思議な空間が今、再び目の前に現れた。
「学生か、なぜこんなところにいる。」
藍色の髪をオールバックに撫でつけた男が、影に満ちた空間の中でゆっくりと歩を進める。
「そっちこそ、解体現場には随分と不相応な恰好だけど?」
黒いスーツに皮手袋といかにもな恰好だ。
俺の言葉に男は不愉快そうに眉を顰める。
「質問に質問で返すな、聞いているのはこちらだ」
「“ちょっと道に迷った”って言ったら解放してくれるのか?」
「口の減らないガキだ。それで命乞いのつもりか?」
「さあな。……でも、正直に言って帰してくれる雰囲気でもないだろ?」
俺は一歩、前へ出る。
「......随分と余裕そうだな、え?」
男の表情がさらに険しくなる。
「なぁ、この空間あんたが出してるんだろ?まともなものじゃないよな、教えてくれよ」
「お前、何か知っているな」
男が鋭く目を細める。
「どうだろうな、でも知りたいことなら山ほどある」
あの時と同じなら――俺がやるべきことはひとつだ。
俺は迷わずディスクを展開する。
「お前らの正体も、目的も、ここで引きずり出す!!」
男もデュエルディスクを構えた。
「無知な小僧が吠えるな……!!」
互いに一歩踏み出す。
影が震え、空間が激しく唸る。二人の意志が交差する瞬間――
「デュエル!!」
光が爆ぜデュエルフィールドが構築されていく。
DUEL START
Unknown VS Itsuki
LP4000 LP4000
TURN1:Itsuki
「先攻は俺がもらう。俺は征従士ブランシェを召喚!」
頭上に光の輪が広がり、その輝きの中から銀髪の銃士が軽やかに降り立つ。
《征従士 ブランシェ》
炎・星4/戦士族/ATK1500
「召喚時の効果により手札の《増援部隊》を墓地に送り、デッキから《征戦哨戒(コンクエスタ・リコン)》を手札に加える。
続けて効果発動、手札より《征銃士シャルル》を召喚!」
炎が床を裂いて逆巻き、その炎を払うように真紅のマントを翻した赤き銃士が現れる。
手にした銃を肩に担ぎ、敵を見据える。
《征銃士 シャルル》
炎・星4/戦士族/ATK1800
「ブランシェは1ターンに1度、手札から《征銃士》を召喚できる。
さらにシャルルの効果発動、手札の《征戦哨戒》を捨て、デッキから《征十字砲火(コンクエスタ・クロスファイア)》を手札に加える。
カードを1枚セットしてターンエンド。」
TURN2:Unknown
「随分とつつましい立ち上がりだな、さっきまでの威勢はどうした?」
男が鼻で笑う。
「さっさとターンを進めろよ」
俺の言葉に男の表情が不機嫌そうに歪む。
「俺のターン、ドロー」
「早速行かせてもらうぞ、手札より融合を発動!
手札の《灰海の見張り番クロウネスト》と《灰海の屍繰りシグロット》を融合!融合召喚―《灰海の白骨船》」
男の背後に黒い渦が広がり、灰の奔流が駐車場を覆い尽くす。
灰の海へと変貌した底から無数の骨と腐食した船板で組み上がった骸骨の帆船が浮上した。
《灰海の白骨船》
闇・星6/水族/融合/ATK2100
「さらに手札より《灰海の斥候艇グレイ・スケイル》を特殊召喚!」
白骨船の側面から灰色の小舟が降下する、灰色の鱗のようにフジツボに覆われた船体がギシギシと軋む。
《灰海の斥候艇グレイ・スケイル》
闇・星4/水族/ATK700
「グレイ・スケイルは自分フィールドに融合モンスターが存在する場合手札より特殊召喚できる。続けて《灰海の水夫 ザルグラ》を召喚!」
灰の海面を割り、朽ち果てた海賊が現れる。
腐食したカトラスからは鈍い瘴気が漏れ、体にへばりつく外套の裂け目から骨が覗く。
《灰海の水夫 ザルグラ》
水・星4/アンデット族/ATK1600
「レベル4の《グレイ・スケイル》と《ザルグラ》でオーバーレイ!
エクシーズ召喚――現れよ、《灰海の壊し屋レヴァイン》!」
灰の渦が爆ぜ、青白い肌の亡霊が浮かび上がる。
右腕は巨大な巻貝の破城槌と化し、体表は魚の鱗のような硬質の皮膚で覆われていた。
《灰海の壊し屋レヴァイン》
水・ランク4/アンデット族/ATK1700
「レヴァインの攻撃力は自身の効果により、自分フィールドの融合モンスター1体につき500アップする。」
ATK1700→2200
「バトルだ、レヴァインでシャルルを攻撃!」
レヴァインが床を砕きながら突進。巻貝の破城槌が空気を裂き、シャルルに迫る。
「シャルルの効果発動! このカードと戦闘を行うモンスターの攻撃力を600ダウンする!」
銃声が響き、炎弾が放たれるが――
「無駄だ!レヴァインは自分より攻撃力の低い相手の効果を受けない!」
勢いのまま突き出された破城槌が炎弾ごとシャルルを貫き体は光の粒子となって掻き消える。
衝撃が体を襲い、思わず一歩後ずさる。
この痛み...ダメージもあの時と同じか。
Itsuki:LP4000 → 3600
「自分の場のモンスターが破壊されたことでブランシェの効果が発動する。戻ってこい、シャルル。」
飛び散った光が再び集まり、閃光の中からシャルルが立ち上がる。
「この効果で特殊召喚されたシャルルはこのターン1度だけ戦闘および効果では破壊されない」
「ならば、白骨船よ、征従士ブランシェをひき潰せ!」
白骨船が船体をきしませ、灰の海を割りながらブランシェへと迫る。
「この瞬間、罠カード発動!《征十字砲火》!」
シャルルが飛び上がり空中から白骨船の甲板を見下ろす
「このカードは炎属性モンスターが戦闘を行うダメージステップに発動し、その相手モンスターの攻撃力をほかの炎属性モンスター1体の攻撃力分ダウンさせる」
《灰海の白骨船》ATK2100 → 300
シャルルのマスケット銃とブランシェの拳銃が赤く煌めき、2人の銃口が白骨船を捉える。
膨大な炎が放射され交差するように船体を貫く。
「ぐあぁぁぁぁ!!」
爆風が熱波となって男を襲う
LP4000 → 2800
「チッ、小賢しい……速攻魔法《灰海の骨岩礁》を発動! 自分フィールドの灰海融合モンスターが戦闘で破壊された時相手モンスター1体を破壊する。
道連れだ征従士ブランシェ!」
よろよろと立ち上がった男がカードを発動すると骨の塊が隆起し、白骨船の残骸をもちあげブランシェを押し潰し爆散する。
舞い上がったコンクリートのかけらがパラパラと音を立てて降りかかる。
煙る先で男が俺をにらみつける。
「その程度の小細工がいつまで通じるかな。俺はこれでターンエンドだ」
TURN3:Itsuki
「俺のターン、ドロー!」
このカードなら......いける。
「すぐに終わらせるさ、俺は装備魔法《従者の誓剣》を発動!」
光の輪から豪華な装飾で飾られた剣が現れる。
「自分の手札か墓地より征従士を特殊召喚しこのカードを装備する。墓地より舞い戻れブランシェ!」
剣の現れた光から手を伸ばしブランシェが歩み出ると、剣を握りゆっくりとその胸に掲げる。
《征従士 ブランシェ》ATK1500
「さらにシャルルの効果。手札の《征護炎幕(コンクエスタ・カスケード)》を捨て、《征祈銃葬(コンクエスタ・レクイエム)》を手札に加える!」
「バトルフェイズ!シャルルでレヴァインを攻撃!」
シャルルが剣を抜き放ちレヴァインへ迫る。
「さらに墓地の征十字砲火の効果発動。このカードを除外することでこのターン、シャルルが破壊したモンスターの攻撃力分のダメージをお前に与える!」
シャルルが銃を構えその先にレヴァインを捉える。
「融合モンスターのいないレヴァイン攻撃力は1700、今度こそ効果を受けてもらうぞ」
シャルルの効果を受けたレヴァインの攻撃力は1100まで下がり戦闘ダメージ700、そこにクロスファイアの効果で1700のダメージが加われば相手のライフは残り400。
ブランシェの攻撃で勝負が決まる!
「甘いな! 墓地の《灰海の見張り番クロウネスト》の効果発動!相手モンスターの攻撃宣言時墓地のこのカードを特殊召喚しバトルの対象を自身に変更する」
《灰海の見張り番クロウネスト》
水・星4/アンデット族/DEF800
「クロウネストの攻撃力は0、よって俺への効果ダメージも0だ」
灰の中から骸骨の船員が現れ、銃弾を受け砕け散る。
「この効果発動後フィールドを離れたクロウネストはゲームから除外される......だがそれによって墓地の白骨船の効果が発動する。」
直後、灰の海から白骨船が再び浮上する。
「灰海の白骨船は1ターンに1度、灰海モンスターが除外された時墓地から蘇る。」
「...俺はカードを1枚伏せてターンエンドだ」
クロスファイアを躱されたのは痛いが奴の手札は0枚。状況はまだこちらが有利のはずだ。
TURN4:Unknown
「どうやら勝負を焦りすぎたようだな。俺のターン......ドロー!」
引いたカードを見た男の口元がゆっくりと歪み、笑い声が漏れる。
「ハハッ……どうやら貴様の運命は決まったようだ。覚悟するがいい!」
一度、空間が大きく揺れる。まるで何かの拍動のようだ。
「俺は《灰海の白骨船》をリリースし、このカードを発動する!」
男が1枚のカードをゆっくり掲げると
白骨船の船体が砕け、破片が宙に舞い巨大な円環を形作る。
その中から光が降り注ぎ円盤状の巨大な機械が現れる。
これはまさか......!
「発動せよ、《ヘイズ・マキナ》!」
マキナのゲートは、やはりわずかに開くにとどまった。
その隙間から黒い霧が滲み出す。空間を埋め尽くす漆黒の向こうで、紫の炎がゆらめいた。
やがてそれは近づき、その正体をあらわにする。
「ヘイズ・マキナは自分フィールドのモンスターをリリースすることで、そのモンスターと同じ属性かつ同じ種類のモンスターを呼び出せる。
門の先より来たれ――《魔爪甲艦-ナグルファル》!!」
その姿は──紫炎に包まれた異形の巨艦。
巨大な爪で何層にも覆われた船体は紫炎で燃え上がり
その外壁を鈍色の紋様が脈打ち、不吉な鼓動を放つ。
《魔爪甲艦-ナグルファル》
闇・星9/融合/水族/ATK2900
「見せてやるよ、人知を超えた力ってやつを......!」
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