Ep4　これからのこと　作：ター坊

「お、おお…」
昼飯にと思って食堂にやって来た遊路の目の前には

ラーメンどんぶりの豚汁
草鞋のようなでかさのカツが乗ったカツ丼
前者二つとは明らかに不釣り合いな量の申し訳程度の小皿の漬物

がお盆でまとめられていた。
「ささ、遊路くん。アンタ若いんだからどーんと食べなさい。豚だけにとこトン勝つ、ってね！あっはっはっは！！」
恰幅の良いおばさん―勝彦会長の妻･千代さんは豪快に笑いながら、唖然とする遊路に勧める。
「あの…女将さん。量がちょっと多い気が…」
「何言ってんだい！ちゃんと食わなきゃ、体がもたないよ？それにアンタの嫁さんが作ったもんでもあるんだからね！」
「へっ？遊月と美羽が？」
「はい…私は豚汁の野菜切りを…」
「私はカツを揚げるのを…かな」
遊月と美羽の期待に満ちた瞳は遊路にとっては退くに退けない状況へのトドメとなった。
「…いただきます」
遊路は意を決して箸を丼に突き刺す。
「…美味い」
サイズは規格外としても味の方もなかなかのようで、遊路の箸も自然と早まる。
「はふはふ…ｽﾞｽﾞｰ」
ちなみに他のプロ3人も同じ食事内容だが、Ｇジャスティメンとジョセフィーヌはその体格故か量をものともせず、穂香は意外と大食いのようで
「うんめえな~」
と喜んで食べていた。
食事中、勝彦会長が話しかけてきた。
「ところで遊路くん。例のアレはどうなったのかね？」
食事中の話題はやはりデュエル事業関連の話となる。
「はい。WDOに申請の書類は出したんですが、返答は半年掛かる、って言ってましたから。そろそろだと思いますがたぶん月末くらいじゃないですかね」
勝彦会長と遊路が話しているアレとは遊路の持つ新しい召喚方法･ドライヴ召喚だった。
「ふむ。世界チャンピオンの次は新召喚方法のパイオニアか…。少年、魅せてくれるな」
「ホントよねぇ。今の遊路ちゃんですら歯が立たないのに、これで新召喚方法が使えるようになったらもっと勝てないわねぇ」
「んだんだ。ホント憧れるなぁ」
「ちょっと待ってくださいってば。審査を通ったにしても実装はたぶん来年くらいですし、皆さんもドライヴ召喚が使える訳ですから、勝てる勝てないはまた別問題ですよ」
「あら？それじゃあドライヴ召喚を遊路ちゃんよりも上手に使えちゃう子とか出ちゃうってこと？」
「そうかも知れません。ただ…」
「ただ？」
「たとえそんな奴が現れたにしても負けませんよ。俺には守りたい支えたい家族がいますから。この想いある限り、俺は常に最強で居続けますよ」
遊路の言葉に食堂が静まり返る。
「…なんか変なこと言いましたか？」
「いや、とんでもないさね！かぁっ、自分の嫁と娘の為に最強であり続ける！ちょっとアンタ！アンタも遊路くん見習ってそういう事アタシに言いよ！」
「ば、馬鹿言え！」
遊路の決意に食堂はどっと盛り上がった。




おまけの次回予告

大和「あーう」
Ｇジャスティメン「うむ。癒されるな…」
ジョセフィーヌ「ホント、無垢よねぇ」
牛坂「んだぁ」
大和「あぅ、あぅ」
~しばらくして~
Ｇジャスティメン「いかん！可愛さでほんわかしすぎて営業遅れるぞ！！急げ！！」