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HOME > 遊戯王SS一覧 > 第1話「八雲紫のスクラップブック」

第1話「八雲紫のスクラップブック」 作:似非紳士

 むかしむかし、この国には一人の恐ろしい王様が居りました。
 彼は「黒きファラオ」と呼ばれ、「Nyarlathotep」と呼ばれる神を信仰していました。
 王様の名前は「ネフレン=カ」と言い、彼は自らに従わない相手を「生贄」と称して殺していきました。
 彼の信仰していたNyarlathotepは彼の望みをかなえ、忌まわしい禁じられた魔術の知識を与えました。
 彼はその与えられた禁断の魔術を「9枚の札」に込めて、何時でも使えるように身の回りにおいていました。
 暫くの後、民衆の反乱によって追い詰められたネフレン=カはその札に込められた禁断の術を使い、民衆の反乱を鎮圧しました。
 しかし、彼はその魔術の代償で命を失います。
 遥か遠く、宇宙の外に広がる究極の混沌から、その顛末を眺めていたNyarlathotepはひとりニヤニヤと邪悪に笑っていました。

『すでに名前すら伝えられていない忘れ去られた古代エジプトの童話より』

(八雲紫の者と思われる筆跡の文字で「昨今の事件との関係性を早急に調査する必要性大」「紅魔館内大図書館の蔵書の閲覧許可を至急」と書かれたメモが張られている)


 太古の昔、まだこの世界には混沌しか存在しなかったころ。
 ある日、原初の世界を覆っていた混沌は寄り集まって、そこに混沌の核が生まれた。
 それは邪知暴虐にして、愉悦を何よりも好む邪なる王であり、森羅万象を生み出し、また戯れに打ち砕く残虐な王であった。
 かの王は、自らの存在から無名の霧、闇、這い寄る混沌を生み出し、彼の忠実な配下とした。
 かの王は、宇宙を形作り、星の海を、銀河を、そして旧支配者と呼ばれる宇宙の覇者を生み出した。

 そのようなある日、外なる世界の混沌と混沌の狭間より秩序ある存在「旧き神」が生まれた。
 彼らは混沌の王の目に余る暴虐に憤り、かの王から知性を奪い去り、外なる世界の果て「混沌の坩堝」に流刑とした。
 さまざまな邪なる者や、旧支配者たちが封じられてゆくなか、1柱の大いなる邪神は封印を逃れ、旧き神たちの前から姿を消した。

 曰く、其は混沌の王に仕える従者である。
 曰く、其は混沌の王の強壮なる使者である。
 曰く、其は万物を知り、故に万物を嘲笑うものである。
 曰く、其は千の異なる貌を持ちながら無貌の神である。

 曰く、其は這い寄る混沌である。

『かの作家、ラヴクラフトに感化された青年が書き上げた理解不能な一文(彼は失踪)』
(この項目の最後に男性の者と思われる名前が書かれており、「幻想入り」という印が押されていた)


 一人の考古学者の卵がいた。
 彼の名前は「ペガサス・J・クロフォード」といい、アーカムのミスカトニック大学の学生時代にエジプト考古学を専攻し、エジプトの壁画から嘗てのファラオたちがカードゲームに親しんでいた事を推測。
 そのゲームを復興させようと研究し卒業後にインダストリアル・イリュージョン社を設立。
 現代に遊戯王オフィシャルカードゲームとして蘇らせる。
 その時に、彼が「オシリスの天空竜」「ラーの翼神竜」「オベリスクの巨神兵」を神のカードとして生みだした事は良く知られている。
 しかし、彼が同時に王家の谷の外にある隠されたファラオの墓から発掘した9枚の石板をカードとして作り直した事はあまり知られていない。
 「黒きファラオ」
 「邪神の復活」
 「ルルイエの主」
 「名状し難き者」
 「無名の霧」
 「盲目白痴の王」
 「生きた炎」
 「這い寄る混沌」
 「森の黒山羊」
 これらのカードをペガサスは「闇のカード」と呼んでインダストリアル・イリュージョン社の地下倉庫に厳重に保管していたのだが、先の事件の混乱のさいに紛失してしまったらしい。

『とあるオカルト雑誌の都市伝説コラムより『闇のカード』について』
(この項目は丸で囲まれた上に、矢印で重要と記されている)


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イイネ タイトル 閲覧数 コメ数 投稿日 操作
137 第1話「八雲紫のスクラップブック」 6037 0 2013-05-05 -

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