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2話 真紅の覚醒 作:シンクロ厨
走る! 今はそれしか2人の脳内に浮かぶ言葉は無かった。デュエルスタジアムの方から煙が流れてくるのがはっきりとわかった。煙と同時に次々と人が逃げてくる。でも2人は止まらなかった。警告をする様な声が聞こえた様な気がしたが、2人の好奇心まじりの走りを止めることは出来なかった。
「わっ!」2人は同時に叫び、そして言葉を失った。辺り一面に瓦礫が飛び散り、火の海と化していた。この平和な街で育った彼らからしてみれば、まさに目を疑う光景だった。「とっ とりあえず逃げ遅れた人がいるかどうか!」真希は独り瓦礫の山の方へ向かった。だが遊輝は、立ち尽くしていた「ハァ…ハァ…」目の前に広がる、破壊の爪痕、それは彼の心にかなりのダメージを与えた。まるでこの世の終わりの様な顔をし、まるで忘れ去られた石像の様に立ち尽くしていた。「一体…なにが…」やっと思考を取り戻しそんな誰もが抱く疑問をふと頭に思い浮かべた時、「!」背後からの異様な威圧感に無理やり引っ張られたように後ろを振り向き、見上げた、 それは、そこにいた。
それは巨大だった。遊輝は威圧感、およびこの破壊の元凶はこいつだと直感した。その巨大なものは、人型をしていた。でもただの人型ではなく、頭には一対の立派なツノをはやし、背中にはコウモリの様な翼が生えていた。悪魔だ。そう思った遊輝は正しかった。だがその体は、無機的な機械で出来ていた。一目で機械と解るほど有機的な部分が一つも無い、見るからにハイテクな、それとしてどことなく荒廃感のあるボディだ。でも次の瞬間には、そんな彼の分析は瞬時に吹き飛ぶ事となる。しばらく彼を見下ろしていた機械の悪魔が、いきなり遊輝にむかってパンチをかましてきたのだ。「うわー!?」遊輝はぎこちないジャンプで、間一髪でかわした。そして…逃げた。「うわぁーやめろぉー!」情けない声を出して逃げる若者を、機械の悪魔は追いかけ始めた。「グゥオー!!」獣ような唸り声と金属の軋む音、そして容赦のかけらもないけたたましい足音をスタジアム全体に響かせながら追ってくる機械の悪魔から、遊輝は泣きそうな気持ちで必死に逃げていた。「殺される…殺されるぅー!」そんな遊輝の心配とは裏腹に、機械の悪魔は中々追いついてこない。あいつがポンコツ機械で出来ているから遅いのか、それとも自分がリミッター解除…火事場の馬鹿力でも出しているのか。でもそんなことは今の遊輝にとってはどうでもいいことだった。いや、そういう思考さえも、今の彼には、「生きたい」という本能の前に排除されていたのかもしれない。そうして走り回っている内に、彼は疲れてしまいその場に立ち止まる事を余儀なくされた。しかし疲れ知らずの機械で出来た悪魔は、当たり前の様に引き離されず、彼を見下ろしていた。そしてその理性のかけらも無い鉄の拳を、彼に向かって振り下ろした。「あっ…」彼は自分が、これから死亡することを、疲労で思考停止した脳で予想することも出来なかった。だが彼に近づいた死神は、いわゆるアクシデントに巻き込まれた。何がが遊輝の手を強く掴んで引っ張ったのだ。そのおかげで彼は拳が着地する所の周辺に投げ出され、死を回避できた。「大丈夫!? 遊輝!」必死な顔で呼びかけるのは、真希だ。彼はまだ自分に何が起きたのかわからなかった。そして視界の端では、排除すべき対象が突然視界から消えたことでバランスを崩した悪魔が、そのまま前のめりで倒れたのが見えた。激しい轟音と砂ぼこりが起こった。「助かった…」彼は心の底から安堵した。「遊輝、私、あいつが現れて怖かったんだよ。ずっと見つからないように隠れていたけど、遊輝が…グスッ…殺されそうに…なってたから…グスッ…だから…」彼女は泣いていた。遊輝を救うため、咄嗟に恐怖に震える体を動かし、救い出した。そしてその自分でも気付いていなかった恐怖が、急にこみ上げ、抑えきれなくなったのだ。「あっ…ありがとう、真希…」そして彼は、彼女への感謝の気持ちをバネにして、腰をあげた。「ったく、突然襲ってきやがって、あいつは一体何なんだ!」「たぶんスクラップ・デスデーモンだよ。」「スクラップ・デスデーモン?…!」物覚えの良い彼は、講義で言われたモンスターのステータスをほぼ覚えていた。スクラップ・デスデーモン。機械族のシンクロモンスターで、攻撃力は2700、守備力は1800、情報が頭の中に思いうかんだ。でもそれはあくまでデュエルでの話だということも同時に思い浮かんだ。今の彼にとって重要なことは、どうしてデュエルでもないのにモンスターがいて、しかも物理的に完全に実体化しているのかということだった。
考えている時だった。砂煙の中に人が浮かぶのが見えた。そしてその人影はだんだんこちらに近づいてきた。そしてその人影は声を発した「おいおい・・全員逃げたと思ったのに、まだ逃げてない奴がいるじゃねえかよぉ」野太い男性の声だった。そして人影の全貌がはっきりと見えた。男性だった。その男は見るからに味方とは思えない外見だった。黒いタンクトップの上にグリーンのジャケットを羽織り、破れたジーンズをはいていた。頭からは上にのびた髪があり、うっすらと髭を生やしたおり、顔は見るからに人相が悪かった。とにかく、アブなそうな輩だということはすぐに理解できた。そして胸の所まで持ち上げた腕には、…デュエルディスクを付けていた。「あっ!スクラップ・デスデーモン!」突然真希が叫んだ。確かにその男のデュエルディスクのモンスターゾーンには、白いカード、つまりシンクロモンスターが置かれていた。だが真希はそれを一目見ただけでスクラップ・デスデーモンだということを見抜いた。驚くべき視力だと遊輝は思った。だが遊輝が視力以上に驚いたのは、彼女の表情だった。さっきまでぐずっていたはずの真希の表情には涙一つなく、男に対する敵意がむき出しの表情をしていた。遊輝は今まで見たこともない様な表情と態度の真希を見て、立ち直りが早い奴だと感服していた。「ほぉ‥一目でモンスターの種類を当てるたあ、さすが、デュエルユニバーシティの生徒だけあるな。」男は2人を挑発していた。だが真希は威嚇する様に大きな声を張る。「モンスターを使ってこんなことを!…目的は何!」「そんな怖い顔して・・落ち着けよ、お嬢ちゃん。」2人は腹の探り合いをしている様に遊輝には見えた。遊輝は話の隙間に入ることさえ出来なかった。「もういい! 貴方も決闘者なんでしょ。だったらデュエルのみ! 貴方の腹を割らせてやる!」そう言ってデュエルディスクを展開しようとした時、真希は気づいた。「え…なんでっ…!」真希はパニックに陥った。いくらデュエルディスクのスイッチを入れても。ディスクが出ないのだ。「かかったなこのアマが! そうやって、俺が暴れれば絶対にデュエルを仕掛けてくる奴がいると思って、ジャミング装置を持ってきたのさ。」男は得意げに背中の装置を見せびらかす。「これで俺意外はデュエルディスクを出すことも出来ねぇんだよ!俺は無敵だぁ! 」男は勝ち誇った顔で笑っていた。「そんな….」絶望した顔で崩れ落ちる真希、それを見た遊輝は・・震えていた….今まで抱いた事のない様な「怒り」で。『俺はさっき、今の真希の様に絶望して崩れ落ちた。でも真希が暗闇から救ってくれた。‥恩返しだぜ・・今の俺じゃなくて、誰が今のこいつを救ってやるんだっ!….』「うおーっ!….」叫び、腕のスリープ状態のデュエルディスクのスイッチを押した。だがその瞬間、思い出してしまった。今はディスクを出せないことを。「どうやらテメェもそこのアマみてぇなデュエルバカらしいな!勇気だしてきたつもりだろうが、どうやったってこの場を好転させる事なんざできねぇんだよ!」遊輝はピクリとも動くことが出来なかった。そして男の後ろで、デスデーモンが再び起き上がった事に気づかなかった。「お前ら無様に潰れちまえ!スクラップ・デスデーモンで、ダイレクトアタック!」デスデーモンは無情の拳を振り上げ、放った。どんどん向かってくる拳、「真希ぃ…お前のこと…守れなかったな…」絶望の言葉を発した時だった。急に遊輝の目をつぶり、真っ黒になったはずの視界が、光で満ち溢れた。そして遊輝の意識は、どこかに吸い込まれていった。
「ん…」遊輝は目覚めた。そして周りを見渡し、静かに驚愕した「どこだ…ここ…俺は…あの一撃で…」そこは真っ暗な空間だった。上下左右全部漆黒だった。でもなぜか全然怖い気はしなかった。そして彼は頭のなかでここの結論を勝手に出した。“たぶん、ここ、あの世ってやつだな。”彼はそうして納得した、しかしその安心は直ぐに悲しみに変わった。「俺は…俺は、真希を守れなかった‥絶望から救えなかった…不公平だ…俺は馬鹿だ。」やり切れなさ、悔しさ、すべてが彼に拘束する様にまとわりついていた。遊輝は虚無を感じた。辛い気持ちがとめどなく溢れてくるのに、何も感じれない。自ら全てを悔やみ、諦め、闇に身を委ねようとしていた時だった。突然目の前から赤い閃光が噴き出した。「な‥なんだぁっ!?」そのうち閃光は一筋の光となり彼の額にあたった。「あ…」かれは何かが頭に流れ込むのを感じていた。そしてそれは彼に語りかけてきた。『お前はそのまま絶望の闇に堕ちたままでいいのか?』それは精神に直接語りかけてきた。それはさらに質問を続ける。『だが、もし奇跡が起き、絶望が希望に転じる可能性があったら?』 『なんだ、お前….ああ、そうだな、奇跡でも、起きてくれていたらよかったのにな。…』 『諦めるのは、まだ、早い! 君に可能性を切り開く勇気を与えよう。』 『まっ‥待てよ!なんだよ勇気って‥ それ以前にお前は誰なんだよ!』『すぐにわかる すぐにな。』遊輝の額に差し込む真紅の光は、しだいに強くなっていき、それと同時に再び遊輝は体が吸い込まれる感覚がした。『さあ行け! 自らの勇気で、大切な人を、守れっ!』そう言い残し、真紅の光は再び広がり、そして、目の前から消えた。
遊輝は目を開いた。目の前には、・・巨大な鉄の拳!「お前ら無様に潰れちまえ!スクラップ・デスデーモンで、ダイレクトアタック!」 『なんだよ、未来なんて、変わってねぇじゃねぇかよ!….いや、あいつは言っていたっ…!勇気で、守る! 真希をっ!』その瞬間、彼のスリープ状態のデュエルディスクから、あの真紅の光があふれでた、「グァーっ!なんだぁっ!」男は目を押さえた。それと同時に、デスデーモンも、動きを止め、そして、消え去った。そしてその光は…腕に巻きつき、真紅のデュエルディスクになっていた。「ん‥遊輝‥なんで、私達死んじゃったはずじゃ、‥えっ、デュエルディスク⁉︎、遊輝⁉︎なんで⁉︎」真希は驚きの表情を隠せない。「なにい〜〜ッ!? テメェ!どんなトリックをぉ!」「トリックじゃねえよ。勇気が起こした・・奇跡だぜ!」誇らしげな顔で堂々と佇む遊輝。その顔は自信にみちあふれていた。「遊輝ぃ‥なんだか‥カッコよくなったね…
「わっ!」2人は同時に叫び、そして言葉を失った。辺り一面に瓦礫が飛び散り、火の海と化していた。この平和な街で育った彼らからしてみれば、まさに目を疑う光景だった。「とっ とりあえず逃げ遅れた人がいるかどうか!」真希は独り瓦礫の山の方へ向かった。だが遊輝は、立ち尽くしていた「ハァ…ハァ…」目の前に広がる、破壊の爪痕、それは彼の心にかなりのダメージを与えた。まるでこの世の終わりの様な顔をし、まるで忘れ去られた石像の様に立ち尽くしていた。「一体…なにが…」やっと思考を取り戻しそんな誰もが抱く疑問をふと頭に思い浮かべた時、「!」背後からの異様な威圧感に無理やり引っ張られたように後ろを振り向き、見上げた、 それは、そこにいた。
それは巨大だった。遊輝は威圧感、およびこの破壊の元凶はこいつだと直感した。その巨大なものは、人型をしていた。でもただの人型ではなく、頭には一対の立派なツノをはやし、背中にはコウモリの様な翼が生えていた。悪魔だ。そう思った遊輝は正しかった。だがその体は、無機的な機械で出来ていた。一目で機械と解るほど有機的な部分が一つも無い、見るからにハイテクな、それとしてどことなく荒廃感のあるボディだ。でも次の瞬間には、そんな彼の分析は瞬時に吹き飛ぶ事となる。しばらく彼を見下ろしていた機械の悪魔が、いきなり遊輝にむかってパンチをかましてきたのだ。「うわー!?」遊輝はぎこちないジャンプで、間一髪でかわした。そして…逃げた。「うわぁーやめろぉー!」情けない声を出して逃げる若者を、機械の悪魔は追いかけ始めた。「グゥオー!!」獣ような唸り声と金属の軋む音、そして容赦のかけらもないけたたましい足音をスタジアム全体に響かせながら追ってくる機械の悪魔から、遊輝は泣きそうな気持ちで必死に逃げていた。「殺される…殺されるぅー!」そんな遊輝の心配とは裏腹に、機械の悪魔は中々追いついてこない。あいつがポンコツ機械で出来ているから遅いのか、それとも自分がリミッター解除…火事場の馬鹿力でも出しているのか。でもそんなことは今の遊輝にとってはどうでもいいことだった。いや、そういう思考さえも、今の彼には、「生きたい」という本能の前に排除されていたのかもしれない。そうして走り回っている内に、彼は疲れてしまいその場に立ち止まる事を余儀なくされた。しかし疲れ知らずの機械で出来た悪魔は、当たり前の様に引き離されず、彼を見下ろしていた。そしてその理性のかけらも無い鉄の拳を、彼に向かって振り下ろした。「あっ…」彼は自分が、これから死亡することを、疲労で思考停止した脳で予想することも出来なかった。だが彼に近づいた死神は、いわゆるアクシデントに巻き込まれた。何がが遊輝の手を強く掴んで引っ張ったのだ。そのおかげで彼は拳が着地する所の周辺に投げ出され、死を回避できた。「大丈夫!? 遊輝!」必死な顔で呼びかけるのは、真希だ。彼はまだ自分に何が起きたのかわからなかった。そして視界の端では、排除すべき対象が突然視界から消えたことでバランスを崩した悪魔が、そのまま前のめりで倒れたのが見えた。激しい轟音と砂ぼこりが起こった。「助かった…」彼は心の底から安堵した。「遊輝、私、あいつが現れて怖かったんだよ。ずっと見つからないように隠れていたけど、遊輝が…グスッ…殺されそうに…なってたから…グスッ…だから…」彼女は泣いていた。遊輝を救うため、咄嗟に恐怖に震える体を動かし、救い出した。そしてその自分でも気付いていなかった恐怖が、急にこみ上げ、抑えきれなくなったのだ。「あっ…ありがとう、真希…」そして彼は、彼女への感謝の気持ちをバネにして、腰をあげた。「ったく、突然襲ってきやがって、あいつは一体何なんだ!」「たぶんスクラップ・デスデーモンだよ。」「スクラップ・デスデーモン?…!」物覚えの良い彼は、講義で言われたモンスターのステータスをほぼ覚えていた。スクラップ・デスデーモン。機械族のシンクロモンスターで、攻撃力は2700、守備力は1800、情報が頭の中に思いうかんだ。でもそれはあくまでデュエルでの話だということも同時に思い浮かんだ。今の彼にとって重要なことは、どうしてデュエルでもないのにモンスターがいて、しかも物理的に完全に実体化しているのかということだった。
考えている時だった。砂煙の中に人が浮かぶのが見えた。そしてその人影はだんだんこちらに近づいてきた。そしてその人影は声を発した「おいおい・・全員逃げたと思ったのに、まだ逃げてない奴がいるじゃねえかよぉ」野太い男性の声だった。そして人影の全貌がはっきりと見えた。男性だった。その男は見るからに味方とは思えない外見だった。黒いタンクトップの上にグリーンのジャケットを羽織り、破れたジーンズをはいていた。頭からは上にのびた髪があり、うっすらと髭を生やしたおり、顔は見るからに人相が悪かった。とにかく、アブなそうな輩だということはすぐに理解できた。そして胸の所まで持ち上げた腕には、…デュエルディスクを付けていた。「あっ!スクラップ・デスデーモン!」突然真希が叫んだ。確かにその男のデュエルディスクのモンスターゾーンには、白いカード、つまりシンクロモンスターが置かれていた。だが真希はそれを一目見ただけでスクラップ・デスデーモンだということを見抜いた。驚くべき視力だと遊輝は思った。だが遊輝が視力以上に驚いたのは、彼女の表情だった。さっきまでぐずっていたはずの真希の表情には涙一つなく、男に対する敵意がむき出しの表情をしていた。遊輝は今まで見たこともない様な表情と態度の真希を見て、立ち直りが早い奴だと感服していた。「ほぉ‥一目でモンスターの種類を当てるたあ、さすが、デュエルユニバーシティの生徒だけあるな。」男は2人を挑発していた。だが真希は威嚇する様に大きな声を張る。「モンスターを使ってこんなことを!…目的は何!」「そんな怖い顔して・・落ち着けよ、お嬢ちゃん。」2人は腹の探り合いをしている様に遊輝には見えた。遊輝は話の隙間に入ることさえ出来なかった。「もういい! 貴方も決闘者なんでしょ。だったらデュエルのみ! 貴方の腹を割らせてやる!」そう言ってデュエルディスクを展開しようとした時、真希は気づいた。「え…なんでっ…!」真希はパニックに陥った。いくらデュエルディスクのスイッチを入れても。ディスクが出ないのだ。「かかったなこのアマが! そうやって、俺が暴れれば絶対にデュエルを仕掛けてくる奴がいると思って、ジャミング装置を持ってきたのさ。」男は得意げに背中の装置を見せびらかす。「これで俺意外はデュエルディスクを出すことも出来ねぇんだよ!俺は無敵だぁ! 」男は勝ち誇った顔で笑っていた。「そんな….」絶望した顔で崩れ落ちる真希、それを見た遊輝は・・震えていた….今まで抱いた事のない様な「怒り」で。『俺はさっき、今の真希の様に絶望して崩れ落ちた。でも真希が暗闇から救ってくれた。‥恩返しだぜ・・今の俺じゃなくて、誰が今のこいつを救ってやるんだっ!….』「うおーっ!….」叫び、腕のスリープ状態のデュエルディスクのスイッチを押した。だがその瞬間、思い出してしまった。今はディスクを出せないことを。「どうやらテメェもそこのアマみてぇなデュエルバカらしいな!勇気だしてきたつもりだろうが、どうやったってこの場を好転させる事なんざできねぇんだよ!」遊輝はピクリとも動くことが出来なかった。そして男の後ろで、デスデーモンが再び起き上がった事に気づかなかった。「お前ら無様に潰れちまえ!スクラップ・デスデーモンで、ダイレクトアタック!」デスデーモンは無情の拳を振り上げ、放った。どんどん向かってくる拳、「真希ぃ…お前のこと…守れなかったな…」絶望の言葉を発した時だった。急に遊輝の目をつぶり、真っ黒になったはずの視界が、光で満ち溢れた。そして遊輝の意識は、どこかに吸い込まれていった。
「ん…」遊輝は目覚めた。そして周りを見渡し、静かに驚愕した「どこだ…ここ…俺は…あの一撃で…」そこは真っ暗な空間だった。上下左右全部漆黒だった。でもなぜか全然怖い気はしなかった。そして彼は頭のなかでここの結論を勝手に出した。“たぶん、ここ、あの世ってやつだな。”彼はそうして納得した、しかしその安心は直ぐに悲しみに変わった。「俺は…俺は、真希を守れなかった‥絶望から救えなかった…不公平だ…俺は馬鹿だ。」やり切れなさ、悔しさ、すべてが彼に拘束する様にまとわりついていた。遊輝は虚無を感じた。辛い気持ちがとめどなく溢れてくるのに、何も感じれない。自ら全てを悔やみ、諦め、闇に身を委ねようとしていた時だった。突然目の前から赤い閃光が噴き出した。「な‥なんだぁっ!?」そのうち閃光は一筋の光となり彼の額にあたった。「あ…」かれは何かが頭に流れ込むのを感じていた。そしてそれは彼に語りかけてきた。『お前はそのまま絶望の闇に堕ちたままでいいのか?』それは精神に直接語りかけてきた。それはさらに質問を続ける。『だが、もし奇跡が起き、絶望が希望に転じる可能性があったら?』 『なんだ、お前….ああ、そうだな、奇跡でも、起きてくれていたらよかったのにな。…』 『諦めるのは、まだ、早い! 君に可能性を切り開く勇気を与えよう。』 『まっ‥待てよ!なんだよ勇気って‥ それ以前にお前は誰なんだよ!』『すぐにわかる すぐにな。』遊輝の額に差し込む真紅の光は、しだいに強くなっていき、それと同時に再び遊輝は体が吸い込まれる感覚がした。『さあ行け! 自らの勇気で、大切な人を、守れっ!』そう言い残し、真紅の光は再び広がり、そして、目の前から消えた。
遊輝は目を開いた。目の前には、・・巨大な鉄の拳!「お前ら無様に潰れちまえ!スクラップ・デスデーモンで、ダイレクトアタック!」 『なんだよ、未来なんて、変わってねぇじゃねぇかよ!….いや、あいつは言っていたっ…!勇気で、守る! 真希をっ!』その瞬間、彼のスリープ状態のデュエルディスクから、あの真紅の光があふれでた、「グァーっ!なんだぁっ!」男は目を押さえた。それと同時に、デスデーモンも、動きを止め、そして、消え去った。そしてその光は…腕に巻きつき、真紅のデュエルディスクになっていた。「ん‥遊輝‥なんで、私達死んじゃったはずじゃ、‥えっ、デュエルディスク⁉︎、遊輝⁉︎なんで⁉︎」真希は驚きの表情を隠せない。「なにい〜〜ッ!? テメェ!どんなトリックをぉ!」「トリックじゃねえよ。勇気が起こした・・奇跡だぜ!」誇らしげな顔で堂々と佇む遊輝。その顔は自信にみちあふれていた。「遊輝ぃ‥なんだか‥カッコよくなったね…
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イイネ | タイトル | 閲覧数 | コメ数 | 投稿日 | 操作 | |
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56 | 1話 日常と災難の狭間 | 656 | 0 | 2016-03-01 | - | |
171 | 2話 真紅の覚醒 | 1543 | 0 | 2016-03-02 | - |
更新情報 - NEW -
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