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HOME > 遊戯王SS一覧 > 第5話 男山遊太郎という男

第5話 男山遊太郎という男 作:ター坊

~氷杖院サイド~

とある休日

カチカチカチ…

「やはり変ですわ…」
あの屈辱の敗北から、ずっとあの男のことを調べているけれど、どのデータベースにもデータらしいデータが無い。あるのはGクラスで戦績0戦、というド素人データのみ。過去の大会実績もデュエルの活動も一切ない…。
「男山遊太郎…、一体何者ですの…?」
PC画面の男山遊太郎の顔写真をキッと睨まずにはいられなかった。いつか必ず…。

コンコン

不意にドアノックの音がする。
「はい」
「詩音お嬢様、おやつをお持ちしました」
いつもの声が聞こえる。
「入りなさい」

ガチャ

「失礼致します」
入ってきたのは世話係の智里(ちさと)さん、幼少の頃から家事全般をやってくれているメイドだ。両親が仕事で家を空けることが多いため、私にとっては単なる世話係というよりも姉のような存在で、私が心を許せる数少ない人間の一人…。
「お嬢様。御無礼を承知で申し上げますが、最近なんだか楽しそうですね」
「楽しそう?何を以てそう思うのかしら?」
「そうですね…。その画面の方…でしょうか?」
智里さんの視線の先にはPC画面の男山遊太郎の顔写真があった。
「いいえ!むしろこの男のせいで人生最悪の気分ですわ!!この男に負けてから…!」
「え?負けて?」
あっ。
「あの…えっと…あぅ……」
「なるほど。楽しそうに見えたのはそのせいでしょうかね」
「で、ですから!楽しくなどなくて!」
「いいえ。久々に見ますよ。デュエルモンスターズに関してそんなに生き生きしたお嬢様は」
「え?」
「少々出過ぎた物言いでした。お許しを。それでは失礼致します」
「あっ…」
「お嬢様。如何なさいましたか?」
「あの…。私が負けたことは…」
「はい。旦那様と奥様には内密にします」
智里さんはにっこり笑いながら部屋から退出する。
「…私が生き生きしている?どういうことかしら?」
その言葉に引っ掛かるものを感じながらも、智里さんが持ってきてくれたケーキセットの紅茶を一口飲んだ。



~夏蓮サイド~

「あーあ」
思わず溜め息が出る昼休み。というのも今日は運命の発表日なのです。
「おーい!テスト結果張り出し始まったぞ!」
一人の男子生徒がクラスのみんなに伝える。


テスト結果の張り出しとは先週行われた中間学力検査テストのことである。国語・数学・英語・理科・社会の五教科(2、3年生はまた違う)のテストで、範囲は中学の範囲全体とこの学園に入ってからの授業で扱った範囲で行われる。これで自身の実力を知ることが目的なんだけど…。


「あーあぁ…」
ホントに溜め息しか出ない。
「天宮さん。どうしたんだ?」
「あっ。蒲田くん」
蒲田くんとは男山さん繋がりで顔を覚えてる程度からそこそこ話す知り合いくらいになった。
「蒲田くんは先週のテストどうだった?」
「おいら、たくさん勉強してカツ丼食べたから、きっと良いよ」
「へぇ。自信あるんだ」
「へへ。おいら最近、なんだか自信が湧いてきたんだぁ。自分を信じるようになったって言うか…」
「男山さんとデュエルしてから?」
「おー!そうだなぁ」
男山さん…。悪い人には見えないけどやっぱり恐いなぁ。私はチラリと男山さんを見る。
「… Z Z Z 」
テストの結果張り出しでざわつく廊下の雑音なんか気にせず爆睡している。
「…観念して見に行こう」
私は重い足取りで教室を出た。




だいたいの人が見終わったのかテストの結果発表の貼り紙の前には人はあまりいなかった。
「さて私の番号は『B-2』は…」
貼り紙に生徒の実名を載せる訳にはいかないので、そんな感じで書かれる。私の『B-2』とは『B組の出席番号2番』という意味だ。
「えーっとおいらの番号は…」
蒲田くんも同じように番号を探す。
「あった」
「おいらも」

順位(1年生77人中 五教科合計点【500満点】)



34位 B-2(天宮夏蓮)得点:296点


55位 B-6(蒲田篤志)得点:211点


「ええっと…。なんかごめんなさい」
「うーん。次ぃがんばるよ…」
なんとも中途半端な。それに自信があるといった蒲田くんよりも上ってなんか罪悪感が…。
「あら天宮さん。最近よく会いますわね」
「せ、生徒会長…!」
ここで苦手な人が…!取り巻きの女子生徒と共に現れる。
「やっぱり生徒会長も気になって?」
「まぁ私が1位というのは間違いないと思いますけど。一応の確認ですわよ。さーて私のは…」


1位 B-27 得点:500点

2位 A-19(氷杖院詩音)得点:487点



「あ、ありえませんわ!天宮さん!」
「は、はい!」
「この1位というのは誰ですの!?Bで始まってるから、あなたのクラスでしょう!?」
よほどショックだったのか、私に鬼の形相で迫る。487点ってすごいと思うけどなぁ。
「え、でも27番?私たちのクラスは確か26人しか…あ」
そう言えば新しい転入生を含めたら27人になる。それで担任の先生が出席番号ずらすのが面倒ってことでそのまま27の番号に…。
「まっ、当然だな」
「男山さん!?」
いつのまにか男山さんが後ろからテストの結果を見ていた。
「また貴方ですのね!男山遊太郎!!」
「またとはなんだ」
「それよりもこれはどういうことですの!」
生徒会長さんはテスト結果の張り紙を指差して男山さんに説明を求める。
「俺が満点取っただけだ」
「いいえ!何かの間違いです!!」
「じゃあ先生方が採点ミスってか?」
怒る生徒会長さんに煽る男山さん。ああ…。こんなやり取り見てるだけで胃が…!…でも確か男山さんのテスト受けた時って…。

私はテストの風景を思い起こす。

1日目
1、2時間目 国語・数学のテスト
開始7分くらいで男山さんのいびきが聞こえる。

3時間目 英語のテスト
リスニングテスト終了後
「手間取らせやがって!」
とテストの解答用紙を試験監督に叩きつけて帰宅(だいたい10分そこそこ)


2日目 
1、2時間目 社会・理科
どちらも開始5分くらいから男山さんのいびきが



「…」
あんなのでテスト全教科満点の500?それって…
「カンニングじゃないの?」
生徒会長さんの取り巻きの女子生徒の一人が口走る。
「そうよ!あり得ないわ!!」
「氷杖院様がこんな番長みたいな小汚ない奴より劣っているわけないわよ!」
一人が口走れば続けと言わんばかりに出てくる罵詈雑言。…確かに、私も少し疑ったけど…これってあんまりにも酷すぎる。それでも男山さんは悠然と取り乱すことがない。
「あら?何か弁明はあるかしら?」
「いいや。俺は普通にテストを受けて普通に満点を取っただけだからな。疚しいことはしてないさ」
「ふん。減らず口を」
まさに一触即発。男山さんと生徒会長さんの睨み合う。



「あの…ま、待って、下さい…」

か細い女の子の声が割って入る。
「ん?貴女は誰ですの?」
「えっと…。若葉雛里(わかば ひなり)…です…」
身長は平均的な私よりも小さく、花の髪留めをした可愛らしい女の子だ…って言うかクラスメイトだっけ。テストの結果は…え、5位?
「で?貴女はどうして男山遊太郎を庇うのかしら?」
「あの…えっと…」
「何も言えないなら、下がって下さる?」
「あ…そのっ」
なんだろ…見てらんない。
「あの…生徒会長さん?」
「何かしら?天宮さん?」
わっ!言っちゃった。私は穏便な学園生活を送りたいだけで、こんな波風立つことはしたくないと思ってたけど…。けど…
「そのっ、なんというか男山さんの話も聞かないで一方的にカンニングとか決めつけるのはあんまりじゃないかなぁ、と思いまして」
「へぇ。それじゃあ天宮さんは私が学力で男山遊太郎よりも劣る馬鹿と仰りたいのかしら?」
「い、いえ!そんな、滅相もない!!」
「実際そういうことじゃないのか?」
男山さん!話をややこしくしないで!と心で叫ぶ。ああ、さよなら私の平穏な学園ライフ…。
「あの…」
「若葉さん…でしたか?まだ何か?」





~若葉サイド~

普段のわたしなら、影に隠れてただろう。わたしは決して物を言うタイプじゃないから。こんなことをしたのはきっとあの時のせいだろう。

わたしは美化委員に所属していて、学園の花壇のお世話をしていました。家が花屋ということもあり花の手入れは大好きです。けど…

ボンッ
「きゃっ!」
何かが掠め、目を閉じる。目を開けると花壇にバスケットボールが投げられて、花が2、3本折れてしまった。
「イヤー。わりぃわりぃw」
「お前ノーコンじゃねw」
学園の上級生二人組がやって来た。
「イヤーホントにメンゴメンゴw」
「まぁ花なんて誰も見てないしいんじゃねw」
「あの…」
「ん?」
「やめてください…」
「やめてください…ってか?アッハッハッ!可愛い声で何言ってんの?」
「よく見れば可愛いなぁ。お持ち帰りしようかなぁ?」
「お前、口リコンかよw」
「ひっ…!」
「アッハッハッ!マジちっちゃい女の子の怯える顔、興奮するわw」
わたしの手が掴まれそうになった時だった。

カンッ

「いって…なんだ?」
「ゴミ箱と間違えた」
その時会った人こそ、男山さんでした。
「なんだと?1年の分際で」ブンッ
「おや。先輩でしたか。それにしてもいきなり危ないじゃないですか」パシッ。ギリギリギリ…
「いってぇ!いってぇよ!離せバカ!」
「こうっすか?」ブンッ
「ぎゃあ!」
掴んだ手を離すように投げ飛ばしました。
「ひっ!テメェ。覚えてろよ!」
「へぇ。先輩…また遊んでくれるんすか?」
「わっ!わぁぁ!」
男山さんが睨み返すと逃げていきました。
「あの…。ありがとう…ございました」
「ん?ああ…」
お礼を言うと男山さんはビニール袋から何かを取り出した。

クッチャクッチャ

何処かのコンビニで買ったのか、焼き鳥を食べ始めた。3本食べ終わると紙製のおしぼりで口を拭い、それを細長く千切った。そしてしゃがみこむと…

プスッ,キュッ

「こんなもんだろ」
「あ…」
男山さんがやったことに驚いた。焼き鳥の串を折れた花の添え木にして、それを細長く千切ったおしぼりで結ったのだ。
「じゃあな」
「あの…!」
けど待ってはくれず、行ってしまった。同じクラスだから言う機会もあったけど…やっぱり恐くて敬遠してた。





そして今。
「若葉さん…でしたか?まだ何か?」
「あの…。男山さんは確かに怖いです」
けど、花にああいうことする人に限って…!
「で、でも!そういうずるいことをする悪い人じゃないと思います!」
「ふーん…」
わたしの言葉を聴いて生徒会長さんは少し考える素振りを見せる。そして
「そうですわね…。これを機に男山遊太郎を生徒会で問題生徒として取り上げるつもりですけど」
不敵に笑う生徒会長さん。
「若葉さん。貴女が私とのデュエルに勝てたら、生徒会での糾弾とカンニング疑惑を取り消しましょう」
「そんな…」
生徒会長さんのデュエリストクラスはAクラス、Fクラスのわたしが敵う訳が…。
「…」
わたしがどうしようかと考えていると男山さんが前に出た。
「あら?なんですの?カンニングを認めるのかしら?」
「…」
すると男山さんはポケットから何か出した。
「…俺はコイツが勝つに千賭ける」
「えっ?」
男山さんが手にしていたのは千円札…えっ?賭けるって?
「生徒会長さんよ。お前は1度Gクラスの俺に負けたんだ。逆に言えば俺はお前が負けるに千賭けるぜ」
「な、何を言っていますの!?わ、私があ、貴方のような格下に負ける訳がありませんし!妄言はお止めなさい!」
「さぁな。おい、ちびっこいの」
「え?わたし…ですか?」
「あんな啖呵切ったんだ。テメェのデュエリスト根性見せてみろ」
「でも…やって負けたら……」
「お前はお前のデュエルをしろ。名目なんざ二の次、アイツをぶちのめすことだけ考えろ」
えっと…恐い……。
「は、はい…」
思わず応えてしまった。


~蒲田サイド~

すごい騒ぎになってきただぁ。この口喧嘩の騒動は学園中に広がって、放課後、学園の校庭でデュエルすることになった。見物として1年生だけじゃなく2、3年生の先輩も集まる。
「なぁ男山くん。なんで若葉さんが勝つと思うんだぁ?」
恐る恐る訊いてみる。
「…知らねぇ」
「ほげっ!?」
何か確信があってあんなすげぇこと言ったんじゃないのか?
「コイントスやって裏が出たから、あのちびっこいのに賭けた。それだけだ」
「そ、そんな!若葉さんが負けたら…、もしかしたら学園にいられなくなっちまうんだよ?」
「…そんときはそんとき。時の運って奴だ」
「時の…運?」
「ここでちびっこいのが負ければ、賭けた俺の運もそれまでってことだ。…始まるようだ」
男山くんはデュエルで対峙しようとする若葉さんと生徒会長さんを見る。
「ま。軽く捻って差し上げますわ」
「うぅ…」


「「デュエル!!」」
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白金 将
いよいよ若菜ちゃんのデュエルですね……
男山くんと関わってどう変わっていくか楽しみなのです(`・ω・´) (2016-02-14 02:17)
ギガプラント
モブの悪漢はどうしてこう変態なのか……あれ?このセリフ別の作品でも言ったような気がするぞ?
さくっと添え木作っちゃうあたり男山君は器用ですなぁ。 (2016-02-14 03:50)
ター坊
白金 将さん、コメントありがとうございます。
若葉ちゃんだけど…まぁ良いか。若葉ちゃんはちょっと遊太郎にキュンときているのかも知れません。そして気になるデュエルは…たぶん一ヶ月後や。 (2016-02-14 07:47)
ター坊
ギガプラントさん、コメントありがとうございます。
モブが女の子に絡むとどう足掻いても変態設定が付きますね。
男山のこういう行動の理由は後々のストーリーに関わっていきますので、その辺もお楽しみいただければ、と思います。 (2016-02-14 07:54)
ハカラメ
ロリ〇ンに人権はありません(冷徹
喧嘩が強くて頭も良くて、その上さりげない気配りまで出来るとは...話数を重ねる度に男山君の株が上昇してるなぁ。 (2016-02-14 12:44)
名無しのゴーレム
というか主人公たちと生徒会長って同学年だったのか……(驚き)
いや、さすがに開始数分で回答を終えて満点とか答え知ってるとしか思えなくね? それか問題数が異常に少ないか……今回に関しては周囲の反応が妥当すぎるように感じますね〜。
また生徒会長が咬ませ犬になってしまうのか? (2016-02-14 13:01)
ター坊
ハカラメさん、コメントありがとうございます。
ちなみに口(くち)リコンとすれば伏せ字にせずに済みます。
口リコン上等!口リコン万歳!口リコン最高!
ほら~♪あとは〇ンコだけだ。
ただ授業態度や暴力沙汰が多いため内申点は絶望的に低そう。
男山くんは「こうやったら男らしいよね」って行動を取らせるつもりです。 (2016-02-14 13:08)
ター坊
名無しのゴーレムさん、コメントありがとうございます。
一応、詩音は主人公チームと同じ1年生です。たぶん下剋上で生徒会長の座に就いたのかも。テストはたぶん普通通りな感じです。 (2016-02-14 13:13)

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