#01 地の使い手、上地遊機！　作：☆みーにゃん☆

「震玄竜ネッシータでダイレクトアタック！」
「ぐあぁっ！」

挑戦者のデュエリストをまた一人倒した上地遊機(カミジ・ユウキ)は、デュエルに敗北すると同時に体が砂のようになって消えて行く挑戦者を見てため息をついた。

「クソっ、またか…。時間もないってのに…」

世界滅亡まで、あと１年。つい先日、最も権威のある科学者の主水七瀬(モンド・ナナセ)がはじきだした結論だ。この世界を保っている６つの力が、完全に力を失った時この世界は滅びる。七瀬はそう言った。

それを防ぐためには、世界の均衡を保っている６枚のカード―今は６人のデュエリストの手に握られているのだが―を探さなければならない。その６枚のカードとは、「握競震玄竜ネッシータＸ」、「ＥＰ―ＸＮビッグバン」、「ＸＹＺＥＲ―ＸＧＡＭＥ」、「ウィルオーブ・Ｘ・デス」、「彗星王ハレーＸ」、「潜水式蟲艦タニシンカイ６５０Ｘ」。

遊機はそれを探して、各地を旅してはデュエリストと戦っていった。しかし…。

「こんなにダミーが多いなんてな…」

世界の異変により世界の全人口の９割が死滅し、それと同時に化学反応を起こした砂が「デュエル砂人形」となり、街を闊歩し出したのだ。そんな砂人形が６枚の選ばれたカードを持っているはずもなく、遊機は「またか」と呟いたわけである。

「次の奴を探すか…」

路地に積もった砂を左手ですくい、それが正真正銘の砂であることを確認すると、また別の路地へと消えて行った。

「おい、お前」

別の路地に入るなり、遊機は男に呼び止められた。

「世界滅亡を止めるためだ。デュエルしろ。もっとも、お前も砂人形かもしれないが」

男はデッキを遊機に見せ、無表情でこう告げた。

「ああ。俺も思っていることは同じだ。行くぞ、デュエル！」

その瞬間、２人はデュエルするための別次元、通称「Ｄ次元」に移動した。ここではカードの１枚１枚が具象化され、モンスター達が生身での決闘をする。

「先攻はオレがもらう。まずはおろかな埋葬を発動。デッキから曙光の騎士を墓地へ送る。続いて曙光を除外し、手札から暗黒竜 コラプサーペントを守備表示で特殊召喚する。カードを２枚セットしてターンエンドだ」
「行くぜ、俺のターン、ドロー！　まずは冑薙竜プレシオを通常召喚！　効果でデッキからレベル３の地属性・海竜族のチューナー１体を特殊召喚だ！　よってプレシオ２体目を特殊召喚！　バトルフェイズ！　プレシオは直接攻撃が可能だ！　行け、プレシオ！」
「攻撃力は６００か…フン、その程度、２体とも受けてやろう」
「俺はカードを２枚セットしてターンエンドだ！」
「直接攻撃か…守備表示にするだけ無駄だということだな。いいだろう。オレの力を見せてやる！　エンドフェイズに罠発動、針蟲の巣窟！　デッキから５枚を墓地へ送る。…さあ、舞台は整った。混沌の一角を司る竜よ、今宵は闇とともにあれ！　混沌帝龍 ―始祖の使者―、墓地の闇を全て除外して君臨！　効果でお前の手札を全て墓地へ送る！　そしてプレシオ１体に攻撃！」
「ぐあっ…！」
「残りは１６００…次のターンで終わるな。ターンエンドだ」
「次のターンで終わる、って？」
「ああ」
「だったら、俺がこのターンで決めてやる！　通常召喚、冑薙竜スピス！　効果でデッキからフィールド魔法、混濁の沼をサーチし、そのまま発動！　効果でチューナーモンスター１体をチューナーではないものとして扱う！　プレシオとスピスでシンクロ召喚！」
「シンクロ召喚…来るか」
「深き泥より現れよ、大地を揺るがす海竜よ！　震玄竜ネッシータ！　行け、ネッシータ！　直接攻撃だ！」
「ほう…しかし、攻撃力はたったの１２００…。受けても構わんな」
「俺はここで罠カードを発動！　混濁流！　効果でネッシータの攻撃力を、俺の墓地に存在する海竜族・地属性のチューナー１体につき４００アップさせる！」
「始祖の使者の効果を逆手に取っただと…そんな馬鹿な！」
「墓地には条件のモンスターが４体！　攻撃力は２８００になる！　これで終わりだ！」
「ぐあ…あぁあ！」

デュエルが終わると、Ｄ次元は閉じ、デュエリストは元の世界に戻る。そして…。

「…またかよ…」

遊機の目の前には、砂があるばかりだった。

…その様子を、物陰から見ていた青年が一人。

「…ほとんどの奴が砂人形だって分かってるのに闘うなんて…面白いことをする奴がいるもんだね」

―次回―

「僕と協力しないか？」

「君と僕の戦い方は似てるね」

「闇より出でし天使達よ、交われ！　エクシーズ召喚！」

#02 滅亡阻止の協力者、夕闇崇高！