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「ちっぽけな世界で~1人目」 作:おんみょん
図書館というところは街の中でも陰気な場所だと思う。
本を痛めないように光が抑えてあるから暗いし、
静かにしなくてはならないという決まりがあるし、
古書の匂いがその雰囲気を増長している様に思える。
しかし私、アウスはそんな図書館が好きである。
図書館が好きというより本が好きなのである。
出来れば図書館という世界に閉じ籠っていたい。
わりと切実に。
出来れば3食付きで。
ー ー ー ー ー ー ー ー ー
太陽が朗らかに唄う。
清々しい程の快晴にダルクはさも迷惑そうな顔をしていた。
僕はそれほど太陽が嫌いじゃないけれど彼は嫌そうだった。
何でも闇の魔術師は光を浴びすぎてはダメだという。
ドラキュラか。
僕は心のなかで小さく突っ込んでおいた。
「それにしてもクロノ…平和すぎるぜ…」
「ダルク、平和なのは良いことだと思うけど」
「世界が温くて…溶けそうだ…」
温いのか暑いのか。
「バイオレンスだ…バイオレンスか、水分がたりねぇ…」
多分その二つなら水分が足りないんだと思う。
「そんなに言うなら何処かに涼みにいこうよ」
「そうだな…」
「図書館でも行く?」
「いや、止めとこう涼みに来ただけだとバレると確実にアウスのやつに嫌な顔をされる…」
「そうだったね…」
冷たい目的な意味で涼しくはなれるかもしれないが。
「じゃあ、ドルチェに行こうよ。なんか飲みに」
「そうするか」
僕とダルクは腰掛けていた樽から立ち上がり、ダラダラとドルチェの方へと歩き出した。
ー ー ー ー ー ー ー ー ー
ドルチェはマジョレーヌが経営するこじゃれたカフェである。
お菓子も美味しいと評判で大人もよく利用している。
取り敢えず僕はレモンティー、ダルクはアイスコーヒーを頼んだ。
ストローに口をつけながらダルクが話を振ってきた。
「バイオレンスの話をしよう」
すごい…どや顔だ…
「バイオレンスの話ってなにさ」
レモンティーを飲みながら返す。
「なんか熱い話だよ」
「火」
「熱いけどさぁ…違う、こう…胸にくる感じ?」
「火矢のことだね」
「違くて、こう…スリリングな…な?」
「指輪の盗人?」
「?…スリ、リングか!苦しいぞ?」
「…」
「黙るなよ!」
「だってバイオレンスな話って言われてもさぁ…」
「じゃあいいよ、面白そうな話で」
「なにその荒いフリ」
若手に対する大物司会者の無茶ぶりか…
「…面白そう、面白そうね…そういえばこの前の新聞にタキオンが目撃されたって書いてあったってアウスが教えてくれたっけ。まあ、眉唾物だけど」
「タキオン?」
「ダルク…昨日、学校で習ったばかりの伝承なんだけど…107つの伝承の一つ、幻のタキオン竜のことだよ。何でも時間と空間の裂け目を飛ぶから姿は見えないとかなんとか…見えないものを目撃したってどういうことなんだろうね?」
「も、もちろん覚えていたぞ。ただタキオン竜を知らない読者のことを考えてだなぁ…」
メタ発言を…
「それでどこで目撃されたんだ?」
「この近くの樹海だって」
「行こう」
しまった火をつけてしまった。
バイオレンスだなぁ…
ー ー ー ー ー ー ー ー ー
ドルチェをあとにし僕達は図書館へ向かった。
表向きは知識豊富なアウスを仲間に連れていく、というものだが面倒なことへ巻き込まれる仲間を増やすというのも実はある。
「旅は道連れっていうしなぁ…」
道連れの意味が違う気もするけど。
「何か言ったか?」
「いいえ、なにも?」
「そうか、おっ、着いたな」
ダルクがドアを開ける。
ギキィという軋みとともに図書館に光が差し込む。
「誰?…なんだ、クロノとダルクか」
ダルそうに図書館からアウスが出てくる。
「突然だが冒険に行かないか?」
「行かない」
目の前でドアが閉められる。
「今の誘い方は無いと思う」
「…ライナでも誘ってみるか」
ー ー ー ー ー ー ー ー ー
数日後、アウスはいつものように図書館で古い魔術書を読んでいた。
そこに来訪者が現れる。
ヒータとエリアとウィンだった。
「ダルクとクロノとライナが数日前から見当たら無いんだけど心当たりないか?」
とヒータ。
「ここにこの前寄ってるのを見たんだけど」
とエリア。
「…」
ウィンはあまり喋らない。
「冒険に行かないかとは誘われたけど…」
「どこに?」
「多分樹海だと思う。この前新聞のタキオン竜の記事を教えてあげた後だったし。」
「よし行ってみよう」
「いってらっしゃい」
「なに言ってるんだアウス?お前も行くぞ?」
「え、ちょ、まっ…」
「問題無用!」
ヒータに強引に手を引かれる。
ヒータの強引なところは良いところだと思うけども、
これから始まる冒険を知っていたら私は絶対に外に出なかっただろう。後に私はそう思う。
本を痛めないように光が抑えてあるから暗いし、
静かにしなくてはならないという決まりがあるし、
古書の匂いがその雰囲気を増長している様に思える。
しかし私、アウスはそんな図書館が好きである。
図書館が好きというより本が好きなのである。
出来れば図書館という世界に閉じ籠っていたい。
わりと切実に。
出来れば3食付きで。
ー ー ー ー ー ー ー ー ー
太陽が朗らかに唄う。
清々しい程の快晴にダルクはさも迷惑そうな顔をしていた。
僕はそれほど太陽が嫌いじゃないけれど彼は嫌そうだった。
何でも闇の魔術師は光を浴びすぎてはダメだという。
ドラキュラか。
僕は心のなかで小さく突っ込んでおいた。
「それにしてもクロノ…平和すぎるぜ…」
「ダルク、平和なのは良いことだと思うけど」
「世界が温くて…溶けそうだ…」
温いのか暑いのか。
「バイオレンスだ…バイオレンスか、水分がたりねぇ…」
多分その二つなら水分が足りないんだと思う。
「そんなに言うなら何処かに涼みにいこうよ」
「そうだな…」
「図書館でも行く?」
「いや、止めとこう涼みに来ただけだとバレると確実にアウスのやつに嫌な顔をされる…」
「そうだったね…」
冷たい目的な意味で涼しくはなれるかもしれないが。
「じゃあ、ドルチェに行こうよ。なんか飲みに」
「そうするか」
僕とダルクは腰掛けていた樽から立ち上がり、ダラダラとドルチェの方へと歩き出した。
ー ー ー ー ー ー ー ー ー
ドルチェはマジョレーヌが経営するこじゃれたカフェである。
お菓子も美味しいと評判で大人もよく利用している。
取り敢えず僕はレモンティー、ダルクはアイスコーヒーを頼んだ。
ストローに口をつけながらダルクが話を振ってきた。
「バイオレンスの話をしよう」
すごい…どや顔だ…
「バイオレンスの話ってなにさ」
レモンティーを飲みながら返す。
「なんか熱い話だよ」
「火」
「熱いけどさぁ…違う、こう…胸にくる感じ?」
「火矢のことだね」
「違くて、こう…スリリングな…な?」
「指輪の盗人?」
「?…スリ、リングか!苦しいぞ?」
「…」
「黙るなよ!」
「だってバイオレンスな話って言われてもさぁ…」
「じゃあいいよ、面白そうな話で」
「なにその荒いフリ」
若手に対する大物司会者の無茶ぶりか…
「…面白そう、面白そうね…そういえばこの前の新聞にタキオンが目撃されたって書いてあったってアウスが教えてくれたっけ。まあ、眉唾物だけど」
「タキオン?」
「ダルク…昨日、学校で習ったばかりの伝承なんだけど…107つの伝承の一つ、幻のタキオン竜のことだよ。何でも時間と空間の裂け目を飛ぶから姿は見えないとかなんとか…見えないものを目撃したってどういうことなんだろうね?」
「も、もちろん覚えていたぞ。ただタキオン竜を知らない読者のことを考えてだなぁ…」
メタ発言を…
「それでどこで目撃されたんだ?」
「この近くの樹海だって」
「行こう」
しまった火をつけてしまった。
バイオレンスだなぁ…
ー ー ー ー ー ー ー ー ー
ドルチェをあとにし僕達は図書館へ向かった。
表向きは知識豊富なアウスを仲間に連れていく、というものだが面倒なことへ巻き込まれる仲間を増やすというのも実はある。
「旅は道連れっていうしなぁ…」
道連れの意味が違う気もするけど。
「何か言ったか?」
「いいえ、なにも?」
「そうか、おっ、着いたな」
ダルクがドアを開ける。
ギキィという軋みとともに図書館に光が差し込む。
「誰?…なんだ、クロノとダルクか」
ダルそうに図書館からアウスが出てくる。
「突然だが冒険に行かないか?」
「行かない」
目の前でドアが閉められる。
「今の誘い方は無いと思う」
「…ライナでも誘ってみるか」
ー ー ー ー ー ー ー ー ー
数日後、アウスはいつものように図書館で古い魔術書を読んでいた。
そこに来訪者が現れる。
ヒータとエリアとウィンだった。
「ダルクとクロノとライナが数日前から見当たら無いんだけど心当たりないか?」
とヒータ。
「ここにこの前寄ってるのを見たんだけど」
とエリア。
「…」
ウィンはあまり喋らない。
「冒険に行かないかとは誘われたけど…」
「どこに?」
「多分樹海だと思う。この前新聞のタキオン竜の記事を教えてあげた後だったし。」
「よし行ってみよう」
「いってらっしゃい」
「なに言ってるんだアウス?お前も行くぞ?」
「え、ちょ、まっ…」
「問題無用!」
ヒータに強引に手を引かれる。
ヒータの強引なところは良いところだと思うけども、
これから始まる冒険を知っていたら私は絶対に外に出なかっただろう。後に私はそう思う。
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